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5章 エルフの森
邪神より怖い
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チートツールで弱体化させた、くっころのカーミラをりょうじょ……じゃなくて、捕獲しようと近づいたとき、突如俺の顎に衝撃が走り、俺の視界がグルっと周ったかと思った次の瞬間には空を見げていて、次の瞬間腕に激痛が走った。
「パールに何してんのよ!!」
何が起こったのか一瞬わからなかったが、アリーセが、俺に腕ひしぎ逆十字を完璧な姿勢で極めていた。
頭部に打撃を与え、意識がそこに向いた瞬間に足元を掬い投げ、転倒と同時に腕を極める。
「打投極」と呼ばれる流れるようなコンビネーションを食らったようだ。
「アリーセ!? ちょ、待って、話せばわかるから!!」
「問答無用ー!!」
「ぎゃあああああっ! 何してんのってそっちが聞いて来たのに不条理だああっ!」
腕ひしぎ十字がためは、一見すると何がそんなに痛いのかわからないかもしれないが、相手の肘の関節を自身の膝を支点として、相手の腕を伸び切った力の入らない状態で体に密着させ、肘の可動範囲外になる相手の頭方向にギリギリと曲げることで肘を壊す技である。
HP減らない為に肘が破壊される事は無いが、普通ならば最初の瞬間に手が使い物にならなくかるレベルのダメージを受けるのだが、それがスリップダメージとして腕にかかるので、とんでもなく痛い。
俺とアリーセでは、現状俺の方がステータスは高いのであるが、意識を逸らせて力が抜けたスキを狙い、力が入らない状態にしたうえでテコの要領で腕を曲げる為、アリーセは力をそれほど使う事がなくステータスの差をモノともしない力学を効果的に用いた対人特化の怖ろしい技だ。
余談ではあるが、相手が複数の場合は一人を腕を極め状態で近場に居る他の対象に向かって投げ、衝突の瞬間に腕を折るという極悪な技も使えるらしい。
「パールはなにやってもあんなにボロボロならないから! あれモンスターが化けた偽物だからああああああ」
「イオリならドラゴンくらいどうにでもできちゃうでしょ!」
「出来ることしか出来ないってばあああああっ!」
俺がアリーセに折檻(?)を食らって、地面をバンバン叩いてギブアップの意思表示をしている隙に、視界の端でくっころのカーミラが懐から玉のような物を取り出し、それを地面に投げつけた。
玉が地面にぶつかると、その玉は砕けることなく、うにょーんと広がって禍々しい感じに光る魔法陣を形成した。
「この借りは必ず返させてもらうからな!」
くっころのカーミラが、捨て台詞を吐いてその魔法陣に沈んで行った。
おそらく転移の魔道具か何かだろう。
魔法やスキルは使えなくしたが、所持品までは気を回していなかったのは詰めが甘かったようだ。
一般人以下のステータスにスキルも一切使えなくなって、今後どうするつもりなのだろう? と思わないでもないが、今は自分がそれどころではない状態だ。
「ほら見てほらほらー! 捨て台詞吐いて逃げちゃったよ!」
ジタバタと暴れるが、アリーセは俺を解放してくれる気配が無い。
体勢的には腕を股で挟んで手も胸元付近に密着している為、人によってはラッキーイベントかなにかに見えるかもしれない。 しかし、そんな事が言えるのは、まともにこの技を食らった事が無いからであろうと断言できる。
それから俺が解放されたのはそれから数分経ち、本物パールが様子を見に来てからだった。
「HPを上げていなかったら(腕が)即死だった……」
「勘違いして悪かったわ。 だけど普通は数秒と掛からずに腕が使い物にならなくなるんだけど、本当にイオリは頑丈ね」
俺じゃなかったら冒険者引退だったかもな……。 壊れた腕は魔法やポーションで治せても、心の傷は治せないからな……。
「しかし不穏な気配を感じでご主人様の所に来てみれば、何でいつも愉快なことになっておるんだ?」
もう痛く無いはずなのに、まだ肘が痛いような気がしてしまうので、俺はちっとも愉快ではないが、本物のパールが来てくれたお陰で助かったので、黙っておく。
ひとまずアリーセが落ち着いたので、経緯と事情説明をする事にした。
正座で……。
「なんで邪神がイオリにちょっかいを出して来るのよ?」
「十中八九、勇者認定されたからであろうな。 次そういった輩が現れたら、聖剣でスパッと斬って捨ててしまえ」
「斬って捨てるかどうかは別として、俺そんな理由だけで狙われてんの? 面倒なんですけどー」
「面倒なだけで、どうとでもなるかのような言い様だのー」
実際どうとでもなりそうと言うか、大したことが出来ないんじゃないかって、思っている自分がいるな。
実際まんまと騙されはしたが、入水させられても苦しいは苦しいが、死にはしなかった筈だし、使徒もパールと比べれば、あんまり有能そうでは無かった。
制約があるとか、弱体化してるとか、そもそも強くないとか、そんなあたりじゃなかろうか?
場合によっては、普通の神々の中に黒幕みたいなのがいて、邪神なんて存在しないという可能性だってあるとも思っている。
何より、邪神よりもアリーセの方がよっぽど怖い。
そういう意味では「恐怖」が足らないし「混沌」ともしていない。
俺の中に「負の感情」も芽生えなければ「害」でみても微々たるものだ。
「まあ、ともかく情報が足らないから、判断のしようがないけど、狙われているのが俺ならコリンナ様達とは別れた方が良いかもしれないな」
「パールに何してんのよ!!」
何が起こったのか一瞬わからなかったが、アリーセが、俺に腕ひしぎ逆十字を完璧な姿勢で極めていた。
頭部に打撃を与え、意識がそこに向いた瞬間に足元を掬い投げ、転倒と同時に腕を極める。
「打投極」と呼ばれる流れるようなコンビネーションを食らったようだ。
「アリーセ!? ちょ、待って、話せばわかるから!!」
「問答無用ー!!」
「ぎゃあああああっ! 何してんのってそっちが聞いて来たのに不条理だああっ!」
腕ひしぎ十字がためは、一見すると何がそんなに痛いのかわからないかもしれないが、相手の肘の関節を自身の膝を支点として、相手の腕を伸び切った力の入らない状態で体に密着させ、肘の可動範囲外になる相手の頭方向にギリギリと曲げることで肘を壊す技である。
HP減らない為に肘が破壊される事は無いが、普通ならば最初の瞬間に手が使い物にならなくかるレベルのダメージを受けるのだが、それがスリップダメージとして腕にかかるので、とんでもなく痛い。
俺とアリーセでは、現状俺の方がステータスは高いのであるが、意識を逸らせて力が抜けたスキを狙い、力が入らない状態にしたうえでテコの要領で腕を曲げる為、アリーセは力をそれほど使う事がなくステータスの差をモノともしない力学を効果的に用いた対人特化の怖ろしい技だ。
余談ではあるが、相手が複数の場合は一人を腕を極め状態で近場に居る他の対象に向かって投げ、衝突の瞬間に腕を折るという極悪な技も使えるらしい。
「パールはなにやってもあんなにボロボロならないから! あれモンスターが化けた偽物だからああああああ」
「イオリならドラゴンくらいどうにでもできちゃうでしょ!」
「出来ることしか出来ないってばあああああっ!」
俺がアリーセに折檻(?)を食らって、地面をバンバン叩いてギブアップの意思表示をしている隙に、視界の端でくっころのカーミラが懐から玉のような物を取り出し、それを地面に投げつけた。
玉が地面にぶつかると、その玉は砕けることなく、うにょーんと広がって禍々しい感じに光る魔法陣を形成した。
「この借りは必ず返させてもらうからな!」
くっころのカーミラが、捨て台詞を吐いてその魔法陣に沈んで行った。
おそらく転移の魔道具か何かだろう。
魔法やスキルは使えなくしたが、所持品までは気を回していなかったのは詰めが甘かったようだ。
一般人以下のステータスにスキルも一切使えなくなって、今後どうするつもりなのだろう? と思わないでもないが、今は自分がそれどころではない状態だ。
「ほら見てほらほらー! 捨て台詞吐いて逃げちゃったよ!」
ジタバタと暴れるが、アリーセは俺を解放してくれる気配が無い。
体勢的には腕を股で挟んで手も胸元付近に密着している為、人によってはラッキーイベントかなにかに見えるかもしれない。 しかし、そんな事が言えるのは、まともにこの技を食らった事が無いからであろうと断言できる。
それから俺が解放されたのはそれから数分経ち、本物パールが様子を見に来てからだった。
「HPを上げていなかったら(腕が)即死だった……」
「勘違いして悪かったわ。 だけど普通は数秒と掛からずに腕が使い物にならなくなるんだけど、本当にイオリは頑丈ね」
俺じゃなかったら冒険者引退だったかもな……。 壊れた腕は魔法やポーションで治せても、心の傷は治せないからな……。
「しかし不穏な気配を感じでご主人様の所に来てみれば、何でいつも愉快なことになっておるんだ?」
もう痛く無いはずなのに、まだ肘が痛いような気がしてしまうので、俺はちっとも愉快ではないが、本物のパールが来てくれたお陰で助かったので、黙っておく。
ひとまずアリーセが落ち着いたので、経緯と事情説明をする事にした。
正座で……。
「なんで邪神がイオリにちょっかいを出して来るのよ?」
「十中八九、勇者認定されたからであろうな。 次そういった輩が現れたら、聖剣でスパッと斬って捨ててしまえ」
「斬って捨てるかどうかは別として、俺そんな理由だけで狙われてんの? 面倒なんですけどー」
「面倒なだけで、どうとでもなるかのような言い様だのー」
実際どうとでもなりそうと言うか、大したことが出来ないんじゃないかって、思っている自分がいるな。
実際まんまと騙されはしたが、入水させられても苦しいは苦しいが、死にはしなかった筈だし、使徒もパールと比べれば、あんまり有能そうでは無かった。
制約があるとか、弱体化してるとか、そもそも強くないとか、そんなあたりじゃなかろうか?
場合によっては、普通の神々の中に黒幕みたいなのがいて、邪神なんて存在しないという可能性だってあるとも思っている。
何より、邪神よりもアリーセの方がよっぽど怖い。
そういう意味では「恐怖」が足らないし「混沌」ともしていない。
俺の中に「負の感情」も芽生えなければ「害」でみても微々たるものだ。
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