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テオンはしばらく繋がったままクロエを抱きしめていた。
ぎゅっと丸まっていたクロエの足先が弛緩し、柔らかな体から徐々に力が抜けていく。そのまま抱いていたかったテオンだが、名残惜しさを感じながら、その体を離した。
クロエの中から抜くと、コポッという音とともに秘所から鮮血が混ざった精液が溢れる。
無事に処女ではなくなったものの、すでにマダムジョスティーヌとの約束を果たすためではない。クロエが他の男に触られることがないように遂行したに過ぎないのだ。
クロエは脱力したままで、また気をやった様子。
受け止め切れない快感を与えてしまったが、初体験が痛くてどうしようもなかったという思い出になるよりも良かったのではないだろうか。
けれど、少しやり過ぎたかもしれないと思いつつ、テオンは洗面所に向かう。濡らしたタオルを持ってくると、クロエを起こさないように体を優しく拭き始めた。
胸や腹にいくつも散らした赤い花が目に入った。愛人にはつけたことがない鬱血痕。なぜか、心が満たされるような気がするのだから不思議だ。
テオンは小さく唸った。
脚をそっと開き、タオルの面を変えながら股の間も拭く。充血した秘所が艶めかしく、蜜穴からまたつぅっと白濁した体液が流れるのを見て、テオンはまた自身のものが固くなるのを感じた。
いや、さすがにこのまま二回戦に持ち込むのは鬼畜すぎる。
ふぅーっと深く深呼吸をし、拭き終えるとそっとブランケットを掛けた。クロエはまだ起きない。
テオンも傍らに寝そべり、肘をつきながらその顔を見つめた。
すぅすぅと小さく開いた口から洩れる息。
少し垂れた小さな目に小さな鼻、ひよこのような口。こじんまりとした造りの顔はどれ一つとっても美人の形容詞には当てはまらない。それなのに、クロエのことがかわいく見える。
マダムとも似ている箇所が何一つ見当たらないクロエ。だけど、真珠のようなツヤ肌はよく似ているような気がした。
顔だけでなく、クロエはどこを触っても吸い付くような柔肌だ。しっとりとした肌はいつまでも触れていたくなるほどで、肌と肌を合わせるだけでも気持ちがいい。
肩肘をつきながらクロエの髪を手に取り指先に絡めていると、クロエがうっすらと目を開けた。
「あ……」
「クロエ、体は大丈夫?」
初めての挿入だったのだ。十分にほぐしてから挿れたものの、処女膜が破れて出血したのだし、何度も擦りあげた粘膜には違和感もあるだろう。
クロエはぼーっとしているように見えたが、首だけテオンに向けるとじっと瞳を見つめてきた。
「……はい。あの、シャワー、使ってください」
「あ、ああ……そうだね。それじゃあ借りるよ」
初体験を済ませたクロエの態度は思ったようなものではなく、思いのほかクールなことにテオンは拍子抜けした気分だった。
甘い事後を過ごそうと思っていたのだが、ふと思う。
そういえば夕飯時を過ぎてしまった。食べることが大好きなクロエだ。きっとお腹が空いていることだろう。シャワーを浴びて外へ食事に行ってもいいし、着替えて何か買ってきてもいいかもしれない。
お互いにシャワーを浴びて身支度が終わり、テオンが夕飯をどうしようか訪ねようとした時だった。
「テオン様」
その声に顔を上げると、クロエは少し首を傾げ、その唇は弧を描いていた。
「今日でお会いするのは最後です。思い出をありがとうございました。あなたのことが好きでした」
「……クロエ?」
「私、知っているんです」
テオンの心臓がどくんと嫌な音を立てた。
寂しそうな目は悲しそうにも見える。先ほどまで散々吸ったことで腫れぼったさのあるクロエの唇。その小さな口が何かおぞましいことを言うような気がして、テオンは指先から体温が奪われていくような心地がした。
クロエは一体何を知っているというのだろうか。母親であるマダムジョスティーヌとは連絡を取っていないはず。それなら、マダムとテオンに接点があることは知らないだろう。
動揺を悟られないよう、平常心を装いながらクロエの答えを待つ。
どうか真実を知りませんように。
たわいもないかわいらしいことを口にして、なんだそんなことかと驚かせてくれますように。
けれども、クロエが口にしたのはテオンが考えていた最も最悪なパターンだった。
「母の……マダムジョスティーヌとの取引材料が私の純潔だってこと、知っていました。……よかったですね、これで母と繋がりを持てるじゃないですか。
私からの最後のプレゼントです。……どうぞ、その才知を活かせる役職について、みんなの暮らしを良くしてください。さようなら、テオン様」
「クロエ……」
「……出て行って。二度と私の前に現れないで」
ぎゅっと丸まっていたクロエの足先が弛緩し、柔らかな体から徐々に力が抜けていく。そのまま抱いていたかったテオンだが、名残惜しさを感じながら、その体を離した。
クロエの中から抜くと、コポッという音とともに秘所から鮮血が混ざった精液が溢れる。
無事に処女ではなくなったものの、すでにマダムジョスティーヌとの約束を果たすためではない。クロエが他の男に触られることがないように遂行したに過ぎないのだ。
クロエは脱力したままで、また気をやった様子。
受け止め切れない快感を与えてしまったが、初体験が痛くてどうしようもなかったという思い出になるよりも良かったのではないだろうか。
けれど、少しやり過ぎたかもしれないと思いつつ、テオンは洗面所に向かう。濡らしたタオルを持ってくると、クロエを起こさないように体を優しく拭き始めた。
胸や腹にいくつも散らした赤い花が目に入った。愛人にはつけたことがない鬱血痕。なぜか、心が満たされるような気がするのだから不思議だ。
テオンは小さく唸った。
脚をそっと開き、タオルの面を変えながら股の間も拭く。充血した秘所が艶めかしく、蜜穴からまたつぅっと白濁した体液が流れるのを見て、テオンはまた自身のものが固くなるのを感じた。
いや、さすがにこのまま二回戦に持ち込むのは鬼畜すぎる。
ふぅーっと深く深呼吸をし、拭き終えるとそっとブランケットを掛けた。クロエはまだ起きない。
テオンも傍らに寝そべり、肘をつきながらその顔を見つめた。
すぅすぅと小さく開いた口から洩れる息。
少し垂れた小さな目に小さな鼻、ひよこのような口。こじんまりとした造りの顔はどれ一つとっても美人の形容詞には当てはまらない。それなのに、クロエのことがかわいく見える。
マダムとも似ている箇所が何一つ見当たらないクロエ。だけど、真珠のようなツヤ肌はよく似ているような気がした。
顔だけでなく、クロエはどこを触っても吸い付くような柔肌だ。しっとりとした肌はいつまでも触れていたくなるほどで、肌と肌を合わせるだけでも気持ちがいい。
肩肘をつきながらクロエの髪を手に取り指先に絡めていると、クロエがうっすらと目を開けた。
「あ……」
「クロエ、体は大丈夫?」
初めての挿入だったのだ。十分にほぐしてから挿れたものの、処女膜が破れて出血したのだし、何度も擦りあげた粘膜には違和感もあるだろう。
クロエはぼーっとしているように見えたが、首だけテオンに向けるとじっと瞳を見つめてきた。
「……はい。あの、シャワー、使ってください」
「あ、ああ……そうだね。それじゃあ借りるよ」
初体験を済ませたクロエの態度は思ったようなものではなく、思いのほかクールなことにテオンは拍子抜けした気分だった。
甘い事後を過ごそうと思っていたのだが、ふと思う。
そういえば夕飯時を過ぎてしまった。食べることが大好きなクロエだ。きっとお腹が空いていることだろう。シャワーを浴びて外へ食事に行ってもいいし、着替えて何か買ってきてもいいかもしれない。
お互いにシャワーを浴びて身支度が終わり、テオンが夕飯をどうしようか訪ねようとした時だった。
「テオン様」
その声に顔を上げると、クロエは少し首を傾げ、その唇は弧を描いていた。
「今日でお会いするのは最後です。思い出をありがとうございました。あなたのことが好きでした」
「……クロエ?」
「私、知っているんです」
テオンの心臓がどくんと嫌な音を立てた。
寂しそうな目は悲しそうにも見える。先ほどまで散々吸ったことで腫れぼったさのあるクロエの唇。その小さな口が何かおぞましいことを言うような気がして、テオンは指先から体温が奪われていくような心地がした。
クロエは一体何を知っているというのだろうか。母親であるマダムジョスティーヌとは連絡を取っていないはず。それなら、マダムとテオンに接点があることは知らないだろう。
動揺を悟られないよう、平常心を装いながらクロエの答えを待つ。
どうか真実を知りませんように。
たわいもないかわいらしいことを口にして、なんだそんなことかと驚かせてくれますように。
けれども、クロエが口にしたのはテオンが考えていた最も最悪なパターンだった。
「母の……マダムジョスティーヌとの取引材料が私の純潔だってこと、知っていました。……よかったですね、これで母と繋がりを持てるじゃないですか。
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「クロエ……」
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