99 / 154
第99話 断捨離/真島が言おうとしたこと
しおりを挟む
「オマエまだやんの?」
断捨離を続けるオレを尻目にシャワーを浴びてさっぱりした表情の灰谷が言う。
ベッドの縁に腰かけて濡れた髪をタオルでゴシゴシと拭く。
オレのTシャツに少し丈の足りないジャージ姿。
熱のこもったカラダ。
うちのボディーソープとシャンプーの匂い。
清潔な肌。
その姿はひどく無防備でオレを落ち着かない気持ちにさせる。
なんでだろう。こんなの何度も見てるはずなのに。
なんだか見ていられない。
「オレ、もうちょっと片付けるから。灰谷、先寝てろよ」
「いや、オマエが寝るまで起きてるって。つうか手伝うって言ってんじゃん」
オレの部屋には寝る場所もないからって、さっき母ちゃんが客間に布団を敷いてくれた。
張り切って二組。
オレのはいいって言ったのに。
並んだ布団はまるで新婚初夜。
あんな近くじゃ寝れねえし。
「手伝って貰うことがねえよ。オレのときめきはオレにしか測れないんだから」
「まあな」
「じゃあ、明日の朝、早起きしてゴミ捨てに付き合ってくれよ」
「おう。じゃあ先に寝るかな。お前もテキトーにしろよ」
「うん」
「んじゃ、おやすみ」
灰谷がオレの肩をポンと叩き、荷物を飛び越えて出て行った。
灰谷の触れたところが、熱を持ってジンジンする。
そう、オレのときめきはオレにしか測れない。
ときめき~。
はあ~。
それにしても……オレ、さっき公園の近くで灰谷に何言おうとした?
灰谷が明日美ちゃんと別れたって聞いて。
――もう、限界かな。
いっそのこと告ってフラレて終わりにしたい気持ちもある。
このままだったら笑い話に……なんねえか。
いや、逆にオレがラクになるだけだろ。
灰谷に自分の気持ちだけ押しつけて。
いや、灰谷ならキッパリ、カタつけてくれるかも。
「真島、ハッキリ言う。オマエとはそういうの、ない。でも、今までどおり友達な」……とかね。
はあ~。
わかんねえ。なんかもうわかんねえ。
ふ~。
ガサガサガサガサ。
オレは自分の始末のつかない気持ちを詰めこむようにゴミ袋にモノを詰めた。
*
ガタガタバタン。
真島が片付けをする音が聞こえる。
客間に敷かれた布団の上にごろりと寝転がり、頭の下に手を組んで灰谷は天井を眺めていた。
明日美と別れた。
本当は自分の方から別れを切り出さなければいけなかったのに、結果、明日美に言わせてしまった。
サイテーだなオレ。
そして、別れたその足で真島に会いに来た。
まだ数時間しかたってないのに、もうなんだか終わったことみたいな気がしている。
オレって本当に薄情だな。
なんだっけ。真島が昼間、言ってたやつ。
『自分にとって一番大事なものが何かを知るには、今大事だと思ってるものを片っ端から捨ててみること』……だっけ。
あいつも色々あったから、だから断捨離なんて始めたんだろうな。
大事なものか……大事なものを片っ端から……オレなら何を捨てる?
そしたら何が残る?
コンビニからの帰り道、真島は何を言おうとしたんだろうか。
まぶしいあの夏。
自転車で遊びに行ったあの時も、真島はオレに何か言いかけた。
そして、退院してオレがなんでも話せよって言った日も。
同じ顔をしていた気がする。
『灰谷……オレ……オレ』
あれは……。
断捨離を続けるオレを尻目にシャワーを浴びてさっぱりした表情の灰谷が言う。
ベッドの縁に腰かけて濡れた髪をタオルでゴシゴシと拭く。
オレのTシャツに少し丈の足りないジャージ姿。
熱のこもったカラダ。
うちのボディーソープとシャンプーの匂い。
清潔な肌。
その姿はひどく無防備でオレを落ち着かない気持ちにさせる。
なんでだろう。こんなの何度も見てるはずなのに。
なんだか見ていられない。
「オレ、もうちょっと片付けるから。灰谷、先寝てろよ」
「いや、オマエが寝るまで起きてるって。つうか手伝うって言ってんじゃん」
オレの部屋には寝る場所もないからって、さっき母ちゃんが客間に布団を敷いてくれた。
張り切って二組。
オレのはいいって言ったのに。
並んだ布団はまるで新婚初夜。
あんな近くじゃ寝れねえし。
「手伝って貰うことがねえよ。オレのときめきはオレにしか測れないんだから」
「まあな」
「じゃあ、明日の朝、早起きしてゴミ捨てに付き合ってくれよ」
「おう。じゃあ先に寝るかな。お前もテキトーにしろよ」
「うん」
「んじゃ、おやすみ」
灰谷がオレの肩をポンと叩き、荷物を飛び越えて出て行った。
灰谷の触れたところが、熱を持ってジンジンする。
そう、オレのときめきはオレにしか測れない。
ときめき~。
はあ~。
それにしても……オレ、さっき公園の近くで灰谷に何言おうとした?
灰谷が明日美ちゃんと別れたって聞いて。
――もう、限界かな。
いっそのこと告ってフラレて終わりにしたい気持ちもある。
このままだったら笑い話に……なんねえか。
いや、逆にオレがラクになるだけだろ。
灰谷に自分の気持ちだけ押しつけて。
いや、灰谷ならキッパリ、カタつけてくれるかも。
「真島、ハッキリ言う。オマエとはそういうの、ない。でも、今までどおり友達な」……とかね。
はあ~。
わかんねえ。なんかもうわかんねえ。
ふ~。
ガサガサガサガサ。
オレは自分の始末のつかない気持ちを詰めこむようにゴミ袋にモノを詰めた。
*
ガタガタバタン。
真島が片付けをする音が聞こえる。
客間に敷かれた布団の上にごろりと寝転がり、頭の下に手を組んで灰谷は天井を眺めていた。
明日美と別れた。
本当は自分の方から別れを切り出さなければいけなかったのに、結果、明日美に言わせてしまった。
サイテーだなオレ。
そして、別れたその足で真島に会いに来た。
まだ数時間しかたってないのに、もうなんだか終わったことみたいな気がしている。
オレって本当に薄情だな。
なんだっけ。真島が昼間、言ってたやつ。
『自分にとって一番大事なものが何かを知るには、今大事だと思ってるものを片っ端から捨ててみること』……だっけ。
あいつも色々あったから、だから断捨離なんて始めたんだろうな。
大事なものか……大事なものを片っ端から……オレなら何を捨てる?
そしたら何が残る?
コンビニからの帰り道、真島は何を言おうとしたんだろうか。
まぶしいあの夏。
自転車で遊びに行ったあの時も、真島はオレに何か言いかけた。
そして、退院してオレがなんでも話せよって言った日も。
同じ顔をしていた気がする。
『灰谷……オレ……オレ』
あれは……。
0
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる