魂は細部に宿る

ごはんがススム

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魂は細部に宿る②

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現場付近に到着し、入り口の横の表札に目を向ける。二心創開総本部と書かれている。

事件について調べ、初めは被害者の小学校から調べた方が良いのかと思ったが、学校へは警察がよく行っているだろう。後々行く事にはなるだろうが、まずは警察が手を出しにくい二心創開から調べてみようと思い、電話でアポを取ってみた。

入会とかではなく、宗教とはどんな事をしているのかと気になったので、是非一度見学させてほしいといった内容の電話をしてみた。

もっと設定を凝った方が良かったか。と思っていると、向こうは特に疑うこともなく、是非いらしてくださいという事だった。本当に表向きはやましい事は無いのだろう。

建物の見た目は至ってどこにでもある公民館といった感じだろうか。全体的に茶色の塗装がされている。建物は4階建だ。至って綺麗で、特に入り口は閉まってなかったので、敷地内に入ってみる。

すると2人の中年の男性が俺の方を見た。俺は少しドキドキしながらこんにちはと言ってみる。

すると向こうも特に気にせずこんにちはと返してくれた。警戒とかは特にされてないみたいだ。それとも同じ宗派の人間と思われたのだろうか。

建物の中に入り、受付のようなところに向かう。若い女性が座っていた。

『お電話させていただいた松永です。』

『えーっと松永様ですね。お伺いしております。身分証を確認させていただいてもよろしいでしょうか?』

良かった。最初は念の為に偽名でも名乗っておこうかなと思っていたから。まさか身分証を提示させるほどセキュリティがしっかりしてるとは、余程規模がでかいんだろう。
今思えば、二心創開はニュースで取り上げられて、たちまち有名になってたんだったなぁ。あまり良く思ってない連中とかもくるのだろう。警戒もするはずだ。

『確認致しました。あちらのお席で少々お待ちください。』

彼女はそう言うと、席を立ちどこへと向かって行った。

俺は受付の前にある腰掛けに座って待っていた。たまに人が通るが、特に俺に見向きもしない。なんなら笑顔で挨拶をしてくれたりする人もいる。

5分くらいだろうか、それぐらい経つと先ほどの若い女性が中年の女性を連れてきた。特に目立つ事はなく、普通の主婦といった感じだろうか。

『お待たせ致しました。わたくし臨時でここの責任者をさせていただいている長野と申します。』

この女性は長野と言うらしい。臨時とは恐らく、リーダーや幹部が警察に事情聴取をされているからだろう。続けて彼女は言う。

『いつもは松永様の様な見学の方は、ここの責任者が案内するのですが、今は少し立て込んでおりまして、私が案内させていただきます。』

『ありがとうございます。よろしくお願いします。それにしてもなんというか普通の場所なんですね。こういうところ初めてで怖いイメージを持っていたものですから。』

恐る恐るそう言ってみる。軽薄だったか。

『ふふふっよく言われます。確かに宗教というと怖いイメージも持たれることもありますが、我々は気にしていません。ただ御神体ににお経をを唱えるだけの活動なので。』

彼女は特に気にする素振りは無く、はにかみながらそう言った。とても良い人そうだ。

『では早速行きましょうか。』

そういうと彼女は俺に建物を案内してくれた。

この場所にはさまざまな区画があり、それぞれ用途が違った。と言ってもやってる事は宗教とはあまり関係がなさそうなものばかりだ。

みんなで運動をしている場所、みんなで談笑している場所、みんなで将棋や囲碁を打つ場所、なんとも平和な空間だった。本当に宗教なのだろうか。

そう思っていると広い場所に着いた。3階にある第二体育館だ。ここがこの建物で一番広い場所らしい。先ほどの光景とは打って変わって違う。

床には満遍なく緑のシートが引かれており、そこに100人くらいいるのだろうか、一人一人が座布団に座り、手を合わせている。

その100人が手を合わせる先には、仏壇が置かれている。しかし仏壇は閉まっていて、中は見えない様になっている。

『これが我々の活動です。仏壇の中の御神体に手を合わせ、1人の人間がお経を詠むのです。』

言われて見てみると仏壇のすぐ前に1人の男性が居た。あまり聞いたことのない経を唱えている。

『あの仏壇の中に御神体がおられるのですか?』

なるべく丁寧に聞いてみる。

『はい。あの中にはニシン様の御神体がおられると我々は聞かされています。』

聞かされている。つまり彼女達は中を見た事がないのだろうか。そのニシン様とやらを、ふと疑問に思ったので聞いてみる。

『長野さんは見た事がないのですか?』

『仏壇の中を見た事があるのはここの正式な責任者と幹部の人間だけです。わたくしは見た事はありません。ですが、どんな御姿をしているのかはここにいる人は全員が知っています。』

『どんな御姿なんですか?』

興味本位でそう聞いてみる。すると彼女は申し訳なさそうに言った。

『申し訳ありません。それは入信された方にしかお教え出来ないのです。』

まあ当たり前か、いくら普通の宗教とはいえ、部外者に自分達の神をおいそれと教えるわけがない。

特に話すこともなくずーっとその光景を見ていると、長野は手を合わせ始めた。あれ、これこのまま居る流れなのか。

30分くらい経っただろうか。ようやく終わり、みんながゾロゾロと満足そうに体育館を出て行く。

『この建物で案内するところは以上になります。満足いただけましたか?』

それを聞いてハッと気づいた。当の目的をすっかりと忘れていた。それとなく事件の話を仕掛けてみる。

『なんというか素晴らしかったですね。あの事件を聞いて、偏見を持ってここを見にきたのですが、全く関係のない団体に見えてきました。やっぱりメディアは信用してはいけないですね。』

そう少し熱く語ってみると、長野は嬉しそうに言った。

『満足いただけた様で良かったです。あの事件はとても悲しい事件ですが、我々にはなんの関係もないことなんです。』

そう言い彼女は悲しそうな顔をした。

長野の施設案内が終わり、彼女と別れる際にもう少し中を見せてもらってもいいか。と聞くと快く了承してくれた。

彼女と別れた後に1人で色々見回ってみると特に怪しいところは一つもない。それとなく館内の人たちに事件のことを聞いても、リーダー達はやってない。とそれ一点貼りだった。

知らない。ではなく、やってない。だ。

これが宗派全体で口裏合わせをしているのなら大したものだが、そんな感じもしない。一人一人違う意見で我々のリーダー達の仕業じゃないというのだ。

まああくまで宗教団体、自分達のリーダーを庇うのは当然か、それにみんながみんな疑いなく、そう言うのだ。

ひょっとしたら真犯人が分かっていてそう言っているのかもしれない。分かっているからこそ全員がそう信じている。そう考えられなくはない。

なんにせよ、今日の調査では特に得られた物はなかった。そう思い、外を眺めると夕陽がさしていた。もうこんな時間か。

外に出ようと階段を降り、一階の廊下を進むと、第一体育館と書いてある所があった。ここは見てなかったな。チラッと覗くと子供達がワイワイ遊んでいた。小学生くらいだろうか。子供もいるんだなぁ

外に出て車に戻る。成果はなかったが、まだ1日目だ。気を取り直して、明日は被害者の小学校に行こう。



________________________________





少女は血だらけだった。自分でしてしまった事を幼いながらに理解していた。こんな事が出来てしまう自分が怖かった。

彼女は後悔していた。どうしてこんな事をしてしまったんだと。身体は小刻みに震えている。相手は全然知らない子、恨みなど全くない。

ただの好奇心だった。衝動的だった。なんとなく、家から持ち出した包丁を持って、それとなくその子を人目につかない河川敷にある橋の下に誘った。

『ねえこっちに面白いものがあるよ。』

少し暗くなりその子が友人達と別れたのを確認して、話しかける。

その時は特に何も考えていなかった。包丁とか見せたらどうなるのかなとかそんな気持ちだった。

その子は特に疑うこともなく、ちょこちょことこちらに走ってきた。

どうやってこれを見せようかな、見せたらどんな反応するんだろう。怖がるかな?逃げ出すかな?そんな事を考えながらランドセルを下す。

『お腹おっきいね。どうして?』

その子は悪気はなかったのだろう。ただ気になっただけなのだ。それもそうだ。

彼女は決して太っていない。なんなら細い。それなのにお腹だけぷっくりしているのだ、服でよく分からないが、ランドセルを下ろし、身体を前のめりにした時などはどうしても目立ってしまう。

彼女がそれを聞いた時には既にランドセルの中の彼女の手が包丁を掴んでいた。




彼女はプツンと何かが切れた感覚と同時にその子の横腹に包丁をブッ刺した。

その子は口をぱくぱくしていた。声を出そうにも出ないようだった。その子はあまりの激痛に仰向けに倒れた。

彼女はその子の上に乗り赤くなったその子の服を捲し上げた。

腹は出ていない。健康的な腹だ。すごく憎たらしかった。彼女はそのお腹を端から一突きしたあたりまで裂いた。切れ味が悪く上手く切れないので、グッ、グッと深く入れ込みながら裂いた。

思いの外時間がかかった。人間って丈夫なんだという事がわかった。その子は何も反応はない。最初の方は大声は出ずとも嗚咽の様な声を出していたが、途中から何も言わなくなった。

そして今に至る。彼女はどうしたらいいか分からなかった。ひどく困惑していた。とりあえず包丁をランドセルに入れ、全速力で走った。辺りは少し暗く、人通りも少ないので人に会う事はなく、家に着いた。

家に着くと母親が居た。母親もひどく慌てていた。娘が制服を真っ赤に染めめ帰ってきたのだ。当然だろう。

母親は震えた声でどうしたの。と聞いた。

すると彼女はポツポツと話し始めた。女の子を刺してしまった事。初めはそんな気はなかった事。友達ができず、どうにかして誰かの気を引いてみたかったこと。

母親は狼狽えながらも彼女の話を聞いていた。話を聞き終わり、思った。この子を守らなければいけない。と

母親は彼女のことを少し早い反抗期だと思っていた。何かと反抗してくるし、言動も荒い。お風呂も一緒に入ってくれない。最近は娘と関係が上手くいっていなかった。

しかしそんな彼女が涙を流し、自分に助けを求めている。そんな姿を見て抱きしめたくなる親がほとんどだろう。

彼女に制服を脱ぐ様に言う。彼女は言われた通りに制服を脱ぐ。







母親は一点を凝視していた。

シーンと沈黙が流れる。少女はどうしたんだろうとおもった。

それを見た母親は落ち着きを取り戻した。

娘から離れそしてすぐに受話器を取り電話をし始めた。

娘は困惑していた。さっきまで寄り添ってくれていた母がいきなりそっけなくなり、電話をし始めた。涙がまた溢れてくる。

母親は特に気にすることなく電話している。

泣き喚く娘を横目に












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