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第二部屋 ……そして、脱出(中編)
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◇
さて、ここまでの状況を整理したところで、その上で俺がするべきことはなにか。そしてしてはいけないこととは何か。
もしここが本当に『えっちしないと出れない部屋』ということならば、そりゃあそれは致し方ない部分がある。……ええと、あの、その、なんだ。……まあ、えっちすることについてはやぶさかでもない気持ちが半分以上半分未満くらいはあるのは確かだ。
でも、ここは確実に人為的に仕組まれていることがわかる空間でしかない。朱里が書いたて貼り付けたであろう文言のそれぞれ、そして未だに俺の足を掴み続けている力強い握力。
そんな人為的としか言えない自室の中、おそらく『えっち』というものの本質を理解していないであろう朱里に、俺が手を出すことは絶対に許されないのである。
だったら、ここではどう行動するべきか。
……ああ、そんなの決まっている。
「──あ、あー! そろそろ学校に行く準備をしないと、遅刻しちゃうかもなぁ!!」
そんな、あからさますぎる声。自分自身で思うけれど、あまりにも棒読み過ぎる自身の演技に、我ながら恥ずかしいと感じてしまう自分がいる。
いや、なんで俺が辱めを受けなければいけないんだよ……。ここで辱めを受けるべきは確実に朱里であるべきなのに──げふんげふん、いや、なんでもない。何も考えていないです。
そんな棒読み声を出しながら、それから俺はちらりと朱里の方を見る。未だにずっと俺の足首をがっしりと掴んでいる彼女の力が緩むことはなく、そろそろ掴まれている部分に痕がつきそうな頃合いではある。
「すやー、す、……へっ?」
──かかったな、と俺は思った。
朱里は俺のそんな嘘に騙されるがまま、途端に眠っていたふりをやめるように、呆然とした息を吐き出す。
これなら力を弱めてくれるだろう。流石に高校生活の中で皆勤賞を目指している朱里であるのならば、彼女がこの状況を諦めてくれる。
俺はそう期待しながら、だんだんと緩んでくれるであろう握力を待ち続けていた、が──。
──ぎゅぎゅぎゅぎゅうううう。
「──あっ待って痛ェ! 痛いんですけどォ!!」
なんか、なおさら握力は力強くなっていき、その上でアキレス腱が嫌な音を立ててしまいそうなくらいに掴まれていく。
「……まだ、彰人のアラームは鳴ってないから、だいじょうぶ、だいじょうぶよ朱里……」
俺が悲鳴をあげる中、それでも冷静にと言わんばかりに朱里は小さい声でそう呟いていく。
クソッ! 見誤ったッ! こいつ、アホのくせにこういうときだけ目敏いんだった!
……いや、まあもうそんなことは置いておくとして、それならば俺はどうすればいいんだって話になるわけで。
ここは朱音が思う通りの行動をしなければいけないのだろうけれど、その場合俺はどうすればいいのだろう。
え、寝ているふりをしている朱里を襲えばいいんでしょうか。すやー、すやー、とあからさまな寝息を立てている彼女に対して、俺は鬼畜としか言えない所業を犯すことを朱里に期待されているのでしょうか。
……え、なにそのエロゲ。しかもただのエロゲとかじゃなくて、めちゃくちゃアングラ向けのエロゲじゃん。睡眠〇を強いてくるシチュエーションとか世界が許しませんよマジで。
……っていうか、マジで足痛い。
流石に俺の悲鳴が耳に届いたのか、先ほど以上に力が強くなる、ということは回避されているけれど、それでも一瞬でもミシミシと音が聞こえそうになった足首がいたくてしょうがない。マジで足痛い。だから、ここはさっさと状況を変えるしかない。
……えっ、でもそれって睡〇姦をしろってことになるのでは?
いや、いやいやいやいや。流石にそれはできないですよ朱里さん。あくまでも寝ているふりをしていることは理解しているし、その上でえっちをしてしまうことに対して合意をされているとしても、それは流石に飲めないっすよ朱里さん……。
いやー、流石にそれは本当に駄目ですわ。それは俺のカバーから外れているので無理っす。もともと手を出す気なんて一切ないのに、より一層その気が消耗してきたよ……。
……ここはとりあえず、せめて寝ている(ふりをしている)朱里を起こして、そこから話すことにするしかない、か……?
「……あ、朱里さーん? お、起きてー? 朝だよー?」
訝し気、というか、慎重さを纏うような声遣いを意識しながら、俺は足首を掴みながらベッドにもたれかかり続けている彼女にそう声をかけてみる。
……でも、さっきも声かけたしな。その上で無視されているから、こんな声掛けで起きるわけもないだろうが──。
「──ん、ンン……? あ、アキト! お、オハヨー?」
──い や 、 な ぜ こ れ で 起 き た し 。
そんな俺の心のツッコミは声になることはなく、ただひたすら棒読み以上? もしくは棒読み以下でしかない台詞読みを聞きながら、俺はようやく起き上がった朱里と対面することになった。
──────────────────────────
これは演技派女優ですわ……(目逸らし)。
それはそれとして、いいね、応援コメントありがとうございます!
励みになっております!
さて、ここまでの状況を整理したところで、その上で俺がするべきことはなにか。そしてしてはいけないこととは何か。
もしここが本当に『えっちしないと出れない部屋』ということならば、そりゃあそれは致し方ない部分がある。……ええと、あの、その、なんだ。……まあ、えっちすることについてはやぶさかでもない気持ちが半分以上半分未満くらいはあるのは確かだ。
でも、ここは確実に人為的に仕組まれていることがわかる空間でしかない。朱里が書いたて貼り付けたであろう文言のそれぞれ、そして未だに俺の足を掴み続けている力強い握力。
そんな人為的としか言えない自室の中、おそらく『えっち』というものの本質を理解していないであろう朱里に、俺が手を出すことは絶対に許されないのである。
だったら、ここではどう行動するべきか。
……ああ、そんなの決まっている。
「──あ、あー! そろそろ学校に行く準備をしないと、遅刻しちゃうかもなぁ!!」
そんな、あからさますぎる声。自分自身で思うけれど、あまりにも棒読み過ぎる自身の演技に、我ながら恥ずかしいと感じてしまう自分がいる。
いや、なんで俺が辱めを受けなければいけないんだよ……。ここで辱めを受けるべきは確実に朱里であるべきなのに──げふんげふん、いや、なんでもない。何も考えていないです。
そんな棒読み声を出しながら、それから俺はちらりと朱里の方を見る。未だにずっと俺の足首をがっしりと掴んでいる彼女の力が緩むことはなく、そろそろ掴まれている部分に痕がつきそうな頃合いではある。
「すやー、す、……へっ?」
──かかったな、と俺は思った。
朱里は俺のそんな嘘に騙されるがまま、途端に眠っていたふりをやめるように、呆然とした息を吐き出す。
これなら力を弱めてくれるだろう。流石に高校生活の中で皆勤賞を目指している朱里であるのならば、彼女がこの状況を諦めてくれる。
俺はそう期待しながら、だんだんと緩んでくれるであろう握力を待ち続けていた、が──。
──ぎゅぎゅぎゅぎゅうううう。
「──あっ待って痛ェ! 痛いんですけどォ!!」
なんか、なおさら握力は力強くなっていき、その上でアキレス腱が嫌な音を立ててしまいそうなくらいに掴まれていく。
「……まだ、彰人のアラームは鳴ってないから、だいじょうぶ、だいじょうぶよ朱里……」
俺が悲鳴をあげる中、それでも冷静にと言わんばかりに朱里は小さい声でそう呟いていく。
クソッ! 見誤ったッ! こいつ、アホのくせにこういうときだけ目敏いんだった!
……いや、まあもうそんなことは置いておくとして、それならば俺はどうすればいいんだって話になるわけで。
ここは朱音が思う通りの行動をしなければいけないのだろうけれど、その場合俺はどうすればいいのだろう。
え、寝ているふりをしている朱里を襲えばいいんでしょうか。すやー、すやー、とあからさまな寝息を立てている彼女に対して、俺は鬼畜としか言えない所業を犯すことを朱里に期待されているのでしょうか。
……え、なにそのエロゲ。しかもただのエロゲとかじゃなくて、めちゃくちゃアングラ向けのエロゲじゃん。睡眠〇を強いてくるシチュエーションとか世界が許しませんよマジで。
……っていうか、マジで足痛い。
流石に俺の悲鳴が耳に届いたのか、先ほど以上に力が強くなる、ということは回避されているけれど、それでも一瞬でもミシミシと音が聞こえそうになった足首がいたくてしょうがない。マジで足痛い。だから、ここはさっさと状況を変えるしかない。
……えっ、でもそれって睡〇姦をしろってことになるのでは?
いや、いやいやいやいや。流石にそれはできないですよ朱里さん。あくまでも寝ているふりをしていることは理解しているし、その上でえっちをしてしまうことに対して合意をされているとしても、それは流石に飲めないっすよ朱里さん……。
いやー、流石にそれは本当に駄目ですわ。それは俺のカバーから外れているので無理っす。もともと手を出す気なんて一切ないのに、より一層その気が消耗してきたよ……。
……ここはとりあえず、せめて寝ている(ふりをしている)朱里を起こして、そこから話すことにするしかない、か……?
「……あ、朱里さーん? お、起きてー? 朝だよー?」
訝し気、というか、慎重さを纏うような声遣いを意識しながら、俺は足首を掴みながらベッドにもたれかかり続けている彼女にそう声をかけてみる。
……でも、さっきも声かけたしな。その上で無視されているから、こんな声掛けで起きるわけもないだろうが──。
「──ん、ンン……? あ、アキト! お、オハヨー?」
──い や 、 な ぜ こ れ で 起 き た し 。
そんな俺の心のツッコミは声になることはなく、ただひたすら棒読み以上? もしくは棒読み以下でしかない台詞読みを聞きながら、俺はようやく起き上がった朱里と対面することになった。
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これは演技派女優ですわ……(目逸らし)。
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