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後日談(前編)
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〇
「それでねぇ、私と彰人が結ばれることになったんだよぉ!」
にちゃあ、というかにへらとした笑顔を朱里ちゃんは浮かべながら、そうして机の上に広げている弁当を箸でつついている。ここ最近ではなかなか見ることができないくらいに真っ直ぐな笑顔を彼女は浮かべながら語るものだから、私は本当によかったねぇ、という風に返した。
……いやー、まさかセ〇クスしないと出られない部屋から、まさかそういう結末を辿るとはなかなか予測できないものだよなぁ。
正直、エッチはしないだろうな、とわかりきっていたつもりだけれど、まさかそれをハートを伝える、ということでえっちをする、というように捉えるとは思わなかった。そこは竹原くんもよくやったよね。偉いと思う。こんな純粋すぎる子でもわかるように、そしてきちんと伝えたのは本当に偉い。
ただ、それはそれとして。
「……どうやって出たの?」
「……ふぇ?」
私は朱里ちゃんと竹原くんのなれそめ話を聞いた後、率直に思ってしまった疑問について口に出してみる。
なんか第一、第二のえっちを成し遂げて、それから第三のえっちであるらしい気持ちを伝える行為を行ったのはよくわかった。そこで竹原くんがはっきりと朱里ちゃんに告白をしたのもよくわかったし、それで結ばれたのもよくわかる。
ただ、それはそれとして部屋からはどうやって出たのか。
朱里ちゃんが言うには、竹原くんはスマートロックの鍵を外に放り投げたらしいじゃない? その上でえっちを達成したとしても開けられる人なんていないわけで。
……いや、それとも週末の間、ずっと同じ部屋で過ごしてたのか? ……まさか、本当のえっちというか、性行為というか、セ〇クスというものに手を出したのか……? 手を出して、それで朱里ちゃんの家族が帰ってくるまで致した……、みたいな……?
さ、最近の若者の性って乱れている、とはよく言われているけれど、それでも付き合ってすぐにヤる、というのはなかなかじゃない……? わ、私だったら嫌だなぁ。そんな風にすぐヤるって、そういう目的で付き合ってる、とか思われても仕方ないような気がする。
「ああ! それなら彰人が開けてくれたんだよー!」
そんな私の疑問に、朱里ちゃんは当然のように言葉を返す。
「……え? ……どうやって?」
「えっ? ……だから、普通に鍵を──」
「鍵って外に落としたんじゃないの!?」
つ、つまり告白が成功した後に竹原くんはお家から飛び降りた、ってコト?! それは勇気があり過ぎることでは!?
朱里ちゃんの言葉をそのまま鵜呑みにしてしまった私は、それから遠くの席で一人食事をとっている竹原くんの方へと視線を移す。
……特に怪我とかはないっぽい。うん。あれかな、そんなに高さとかがない感じだったのかな? それとも、事前にクッションを落下ポイントに敷き詰めていた、とか……? だとしても勇気があり過ぎるけれど。
「あっ、いや、ええとね。めっちゃ普通に、スマホであけてくれたんだよね!」
「……あー」
なるほど、なるほどね? そういやスマートロックってスマホの機能で連携できるとかなんとかって聞いたような気がする。
そ、そりゃあそうか。告白した後に勢い余って高いところというか二階から外にダイビングしたりは流石にしないよね。勇気があるとか以前の問題だもんね。
「だから、その次の日は恋人になれたから一緒にデートしてぇ、それで一緒のご飯食べてぇ。えへ、えへへへぇ! 楽しかったなぁ!!」
そう語る朱里ちゃんの顔はこれ以上ないほどにデレデレと口角を緩ませていて、本当に楽しかったのだろうな、と伝わってくる。
そんな朱里ちゃんはさておき、それはそれとして竹原くんの方へと視線をやれば、いつの間にか男子生徒の面々に囲まれているというか、絡まれている様子。えっ、さっきまで一人だったはずだけどマジでいつの間に?
「──おいおいおい竹原くんよォ? なんかめちゃくちゃ幸せそうでいいなァ??」
「──ちょっと面ァ貸してくれや……」
「──ちょっと、ちょっとだけな? 先っちょだけ! そう、本当に顔の先っちょだけ引っぺがすだけだからァ!」
……ま、まずい。朱里ちゃんのファンクラブの方々が竹原くんに絡んでるんだ……。
あれだもんね、今朝とか一緒に手を繋ぎながら登校してきたし、なんならさっきも「はい彰人! 今日のお弁当!」って朱里ちゃんが奥さんみたいに渡している姿とかもみんな見てたもんね……。
いつもだったら朝のうちに渡している、とかそういう話を聞いたことがあるけれど「今朝はおててを離したくなくて忘れちゃったんだぁ!」って朱里ちゃんは言ってた。そのせいで現状のトラブルが起きているというかなんというか……。
……南無阿弥陀仏! 竹原くん! 君の骨はきちんと埋めてあげるからね!!
と、そんな気持ち(プラス単純になんか面白い気持ち)で一連の風景を眺めてみる。ただ、今日に関しては竹原くんもどこか余裕そうな表情という感じがする。
いつもだったら男子たちに絡まれてるときも気まずそうな顔をしていつまでも目を逸らしているのに、なんかすっごくにやけているというかなんというか。ともかくとしてすごく余裕そう。
「──いいのか? 俺は朱里の彼氏だぞ?」
「──ッ!?」
一斉に竹原くんを囲んでいるファンクラブの男子たちが息を呑む。その唖然としたような雰囲気に彰人くんは続けた。
「俺が傷つけば、きっと朱里も悲しむだろうなぁ……、あーあ、お前らのせいで朱里が泣いちゃうのかなぁ……」
「き、貴様ァ……! 清水さんを盾にする気かッ!」
「いや? 朱里に彼氏として選ばれた俺が、そんなことをするわけがないじゃないかぁ」
「────」
「あー、でもここでどこかの誰かさんに傷つけられたら、朱里に選ばれた俺が傷つけられたら、絶対に朱里は悲しむだろうなあぁ!! そんなひっどいことをやる輩なんているのかなあぁ!!」
……いや、なんともダサいよ竹原くん……。それ普通に朱里ちゃんを盾として使っているじゃない……。
ただ、それでも竹原くんの言葉は効果があったらしく、朱里ちゃんのファンクラブの男子たちは「く、くうぅ」とか「清水さんが幸せなら……」とか「覚えていやがれッ!」とか口々に漏らして退散していってる。
……うん、なんか全員ダサいな。……まあそれが面白いからこのクラスが大好きなんだけどね。
「いやー、彰人が他の人たちとも仲良くしていてうれしいなー!」
「……そ、そうだね?」
そんな一連の騒動を私と同じように見ていた朱里ちゃんはそう呟く。私は曖昧な返事をすることしかできなかった。
──────────────────────────
皆様、星をくださったり応援して頂いたり、本当にありがとうございます!
次回で最終回です!! 最後までよろしくお願いいたします!
「それでねぇ、私と彰人が結ばれることになったんだよぉ!」
にちゃあ、というかにへらとした笑顔を朱里ちゃんは浮かべながら、そうして机の上に広げている弁当を箸でつついている。ここ最近ではなかなか見ることができないくらいに真っ直ぐな笑顔を彼女は浮かべながら語るものだから、私は本当によかったねぇ、という風に返した。
……いやー、まさかセ〇クスしないと出られない部屋から、まさかそういう結末を辿るとはなかなか予測できないものだよなぁ。
正直、エッチはしないだろうな、とわかりきっていたつもりだけれど、まさかそれをハートを伝える、ということでえっちをする、というように捉えるとは思わなかった。そこは竹原くんもよくやったよね。偉いと思う。こんな純粋すぎる子でもわかるように、そしてきちんと伝えたのは本当に偉い。
ただ、それはそれとして。
「……どうやって出たの?」
「……ふぇ?」
私は朱里ちゃんと竹原くんのなれそめ話を聞いた後、率直に思ってしまった疑問について口に出してみる。
なんか第一、第二のえっちを成し遂げて、それから第三のえっちであるらしい気持ちを伝える行為を行ったのはよくわかった。そこで竹原くんがはっきりと朱里ちゃんに告白をしたのもよくわかったし、それで結ばれたのもよくわかる。
ただ、それはそれとして部屋からはどうやって出たのか。
朱里ちゃんが言うには、竹原くんはスマートロックの鍵を外に放り投げたらしいじゃない? その上でえっちを達成したとしても開けられる人なんていないわけで。
……いや、それとも週末の間、ずっと同じ部屋で過ごしてたのか? ……まさか、本当のえっちというか、性行為というか、セ〇クスというものに手を出したのか……? 手を出して、それで朱里ちゃんの家族が帰ってくるまで致した……、みたいな……?
さ、最近の若者の性って乱れている、とはよく言われているけれど、それでも付き合ってすぐにヤる、というのはなかなかじゃない……? わ、私だったら嫌だなぁ。そんな風にすぐヤるって、そういう目的で付き合ってる、とか思われても仕方ないような気がする。
「ああ! それなら彰人が開けてくれたんだよー!」
そんな私の疑問に、朱里ちゃんは当然のように言葉を返す。
「……え? ……どうやって?」
「えっ? ……だから、普通に鍵を──」
「鍵って外に落としたんじゃないの!?」
つ、つまり告白が成功した後に竹原くんはお家から飛び降りた、ってコト?! それは勇気があり過ぎることでは!?
朱里ちゃんの言葉をそのまま鵜呑みにしてしまった私は、それから遠くの席で一人食事をとっている竹原くんの方へと視線を移す。
……特に怪我とかはないっぽい。うん。あれかな、そんなに高さとかがない感じだったのかな? それとも、事前にクッションを落下ポイントに敷き詰めていた、とか……? だとしても勇気があり過ぎるけれど。
「あっ、いや、ええとね。めっちゃ普通に、スマホであけてくれたんだよね!」
「……あー」
なるほど、なるほどね? そういやスマートロックってスマホの機能で連携できるとかなんとかって聞いたような気がする。
そ、そりゃあそうか。告白した後に勢い余って高いところというか二階から外にダイビングしたりは流石にしないよね。勇気があるとか以前の問題だもんね。
「だから、その次の日は恋人になれたから一緒にデートしてぇ、それで一緒のご飯食べてぇ。えへ、えへへへぇ! 楽しかったなぁ!!」
そう語る朱里ちゃんの顔はこれ以上ないほどにデレデレと口角を緩ませていて、本当に楽しかったのだろうな、と伝わってくる。
そんな朱里ちゃんはさておき、それはそれとして竹原くんの方へと視線をやれば、いつの間にか男子生徒の面々に囲まれているというか、絡まれている様子。えっ、さっきまで一人だったはずだけどマジでいつの間に?
「──おいおいおい竹原くんよォ? なんかめちゃくちゃ幸せそうでいいなァ??」
「──ちょっと面ァ貸してくれや……」
「──ちょっと、ちょっとだけな? 先っちょだけ! そう、本当に顔の先っちょだけ引っぺがすだけだからァ!」
……ま、まずい。朱里ちゃんのファンクラブの方々が竹原くんに絡んでるんだ……。
あれだもんね、今朝とか一緒に手を繋ぎながら登校してきたし、なんならさっきも「はい彰人! 今日のお弁当!」って朱里ちゃんが奥さんみたいに渡している姿とかもみんな見てたもんね……。
いつもだったら朝のうちに渡している、とかそういう話を聞いたことがあるけれど「今朝はおててを離したくなくて忘れちゃったんだぁ!」って朱里ちゃんは言ってた。そのせいで現状のトラブルが起きているというかなんというか……。
……南無阿弥陀仏! 竹原くん! 君の骨はきちんと埋めてあげるからね!!
と、そんな気持ち(プラス単純になんか面白い気持ち)で一連の風景を眺めてみる。ただ、今日に関しては竹原くんもどこか余裕そうな表情という感じがする。
いつもだったら男子たちに絡まれてるときも気まずそうな顔をしていつまでも目を逸らしているのに、なんかすっごくにやけているというかなんというか。ともかくとしてすごく余裕そう。
「──いいのか? 俺は朱里の彼氏だぞ?」
「──ッ!?」
一斉に竹原くんを囲んでいるファンクラブの男子たちが息を呑む。その唖然としたような雰囲気に彰人くんは続けた。
「俺が傷つけば、きっと朱里も悲しむだろうなぁ……、あーあ、お前らのせいで朱里が泣いちゃうのかなぁ……」
「き、貴様ァ……! 清水さんを盾にする気かッ!」
「いや? 朱里に彼氏として選ばれた俺が、そんなことをするわけがないじゃないかぁ」
「────」
「あー、でもここでどこかの誰かさんに傷つけられたら、朱里に選ばれた俺が傷つけられたら、絶対に朱里は悲しむだろうなあぁ!! そんなひっどいことをやる輩なんているのかなあぁ!!」
……いや、なんともダサいよ竹原くん……。それ普通に朱里ちゃんを盾として使っているじゃない……。
ただ、それでも竹原くんの言葉は効果があったらしく、朱里ちゃんのファンクラブの男子たちは「く、くうぅ」とか「清水さんが幸せなら……」とか「覚えていやがれッ!」とか口々に漏らして退散していってる。
……うん、なんか全員ダサいな。……まあそれが面白いからこのクラスが大好きなんだけどね。
「いやー、彰人が他の人たちとも仲良くしていてうれしいなー!」
「……そ、そうだね?」
そんな一連の騒動を私と同じように見ていた朱里ちゃんはそう呟く。私は曖昧な返事をすることしかできなかった。
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