女性専用車両でJKが痴女られるお話

若椿 柳阿(わかつばき りゅうあ)

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第五話

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 その後、どのようにして学校に向かったのかは覚えていない。無意識に歩いて、そしていつの間にかに学校に到着していたような気がする。

 なんかずっと上の空。なんというか、あまりにも現実っぽい感じはしなくて、なんとなく夢でも見ていたんじゃないかな、って、そんな感覚。

 そうして歩いてしまったせいで学校も少しだけ遅刻。……まあ、本当に少し、だいたい二分くらいの遅刻だったから、先生とかには「遅刻なんて珍しいね」なんて言われて、一応なんか許されたけれど、それさえもなんかどうでもいい。

 よくわかんない。よくわかんないな、という気持ちだけがずっと私の心の中に残り続けていた。





「なんかぼうっとしてるね?」

「……え?」

 いつの間にか昼ご飯を食べる時間になっていた。

 あれ、さっきまで授業だったような気がするけれど、でも私は机の上にお弁当を広げている。そしていつも通りに机を向かい合わせにしている友達がいて、それで彼女はご飯を食べてて、そして話しかけてて。私もお弁当の一つまみを口に含んでいて、それで、ええとそれで。

「なんか今日変じゃない? ……遅刻しそうになってたり、今もなんか変だし」

「そ、そうかな? あは、あはははは……」

 ──原因はわかりきっているというかなんというか。

 今日、私は女性専用車両に乗って、それで痴漢された。痴漢というか痴女というか。もうこの際そんなことはどうでもいい。

 ともかく私は変態なことをさせられた。絶対にされるはずのない場所で、女の人しか乗らない車両で。ただただ身体を触られた。

 そして、身体を触られて、それでお尻も触られて。声を我慢しなきゃいけなくて、我慢して、我慢する度に指が奥に入ってきて。

 ……そんなこと、友達に言えるわけもない。

 きっと、男の人に痴漢された、っていう風に言えば、目の前にいる友達は心配してくれると思う。めちゃくちゃ同情してくれるだろうし、彼女から率先していろいろ何かしてくれるんだと思う。……具体的になにをやるのかはわからないけれど、でも何かはしてくれると思う。

 でも、でもだ。今日、私の身体を触ってきたのは女の人。

 それを友達に言ったところで、それを信じてもらえるような気はしない。なんか、現実感がなさすぎる。

 そりゃあさ、女の人が好きな女の人がいる、っていうのはわかるよ。漫画とかでもアニメとかでも見たことあるし。でも、でも、現実に、しかも身近にそんな人がいるだなんて、リアリティーがないっていうか、なんていうか。

 それでえっちなことをされて、それで遅れてしまった、とか、そういうこと、口に出して言えない。

 というか、友達が信じるにしろ信じないにしろ、恥ずかしすぎて私は口に出すことなんてしたくないのだ。



「────」

 ──肌に食い込むような指先、私のあそこをなぞっていた指の腹の感覚。お尻の穴で遊ぶみたいに、くにゅくにゅって、入り口だけ触ってきた感触。えらいね、って褒めてくれて──、いや、あんなのほめ言葉でもなんでもないし。それで、あ、あそこに指を奥まで入れられて、それで、それで──。



「──あ、顔赤くなってるー!」

「──へっ?」

 頭の中で再生された記憶。その再生は友達の声で停止させられる。

「だからぁ、やっぱり好きな人とかできたんじゃないのかなぁ、って!」

「え、え? な、なんでそうなるの??」

 な、何の話をしていたんだろう。わかんない。ちょっとぼうっとしすぎたかもしれない。

「いやいや、だって今だってなんか物思いに耽ってたし? なんか恋する乙女? みたいな感じになってたよ?」

「え、あ、いや、違う、……違うよ」

 本当にそういうのじゃない。ただ、私は今日あのOLの人に触られたことが恥ずかしくて、イカされたことが恥ずかしいだけで、それで顔が赤くなっていただけ。それ以上も以下もない。

 でも、言い訳をするためには、その事実を言葉にしなければいけない。そうでなくても、何かしらいい嘘を話さなければいけなくて。

 それさえも今の私には余裕がないし、勇気もない。だから、結局黙ることしかできない。

「やっぱりあれ? 電車で運命の出会い、しちゃった的な?」

「う、運命? ち、違うよっ!」

 冗談でもそんなことは想像したくない。私、男の人が好きだし。……まあ、小学生の時以来、好きな人とかできたことないんだけどさ。

 そんなことは置いといても、私に変なことをするような人とのそれを、運命だなんて、そんなの絶対に考えたくない。

「ふっふっふ。その慌てようはもう確定みたいなもんですなぁ!」

「違うって! 本当にっ!」

「はいはい! ま、明日の朝、一緒に乗って確認すればいいだけだしぃ?」

「だ、だから、本当にそういうのじゃ……、──あっ」

 そこで、なんとなく思いついたこと。

 普通の車両も怖いけれど、今日みたいに女性専用車両で変なことをされるくらいなら、普通の車両に乗った方がいい。

 でも、一人だと心細いし、こういうときこそ、友達と一緒に過ごすべきでは?

 きっと、私がピンチになったらすぐに助けてくれるだろうし。

 頭の中でそんなことを想像しながら、今日の帰りと明日の朝、それぞれどのように過ごせばいいか、を私は計画することにした。

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