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突然の申し渡し
しおりを挟む胸が焼けるように痛い。
トビアスは自分の胸に布が巻き付けられるのをぼんやりと眺めた。
血は滲み、白い布を赤く染める。
――あつ、い。
ケーラーがビリエルに何かを伝たようで、手渡された小瓶の中身を口移しで飲まされた。
苦い。これは薬のようだ。
「まだ間に合うか!?」
「いや、その回復薬だけでは足りん。すぐに医者に診てもらわなければ危ない」
「貴様わざわざ毒まで!」
「お、お前を殺すつもりだったんだ」
ビリエルの弱々しい声をケーラーの怒声がかきけす。
「いいかビリエル! お前が愛していた少年はお前を愛してなどいなかった! お前から金品を巻き上げて逃げるつもりだったが、私の方が財産を持っていると気づき、近づいてきたのを、私が国から追放しただけの話だったんだ!」
「!?」
ケーラーの言葉にビリエルは沈黙して大人しくなった。
ケーラーはトビアスを抱えると来た道を引き返す。
途中、傭兵らしき男が近づいてくるとケーラーを先導する。
――きもち、わるい。
トビアスは意識を手放した。
手が包まれている温かさに目が覚めた。
小さくうめく声は自分のものだと気づいて、ゆっくり瞼を開くと、疲れた男の顔が映り込む。
「ケー、ラー」
掠れた声で呼ぶと、ケーラーが目を見開き、額をさわる。
そして頷いて顔を離した。
「熱はないな、胸は痛くないか?」
「うん、大丈夫」
「そうか」
そっと抱かれて息を飲む。
ケーラーの体温は熱いくらいで、眠気に襲われて瞳を閉じた。
「無茶をしおって」
「すみません」
「ここはオルヴォ達のアジトだ。ここならしばらくは身を隠せる」
再び横にされて深呼吸を繰り返す。
ケーラーに体調や空腹について訪ねられるが、どれにも顔を振って返した。
それよりも、胸が別の意味で疼いて困っていた。
――こ、こんな時に。
思わず寝返りを打ちケーラーに背中を向けて火照りを静めようとするが、おさまるどころか昂るばかりで焦りが増す。
ふいに肩を揺さぶられて、体がびくりと大袈裟に震えて緊張で妙な声が出た。
「ひぃあっ」
「トビアス、まさかお前」
肩を掴まれ仰向けにされて胸元を開かれる。
斬られた後はすでになく、代わりに異様に膨らんだ2つの突起がぷるぷると震えていた。
恥ずかしくて両手で隠そうとするが阻止されてしまう。
それどころか乳首を指で弄られてしまい急激に快感が全身に広がり、脳まで甘く痺れた気がした。
「ひぃいうぅっ」
「かなり張っているな……辛いだろう」
「や、やめ、てぇ」
ケーラーの手首を掴んで剥がそうとしても力が入らず無意味な行動だった。
「出さないと腫れて大変だぞ、大人しくしていろ」
反抗虚しく両手の指でこねくりまわされて腰がびくびくと跳ねてしまい、すっかり自身が熱をもち布地を押し上げている。
「ひぃっ」
更に口に含まれて歯を立てられると、ビリビリと強い刺激が起こり、トビアスは胸の疼きに耐えられなかった。
ぷしゃあ。
「や、やああああっ♡」
「んう」
放乳と同時に性器もはじけてしまい、外に吐き出せないもどかしさに呻く。
いつもより長い射精と放乳に、神経が麻痺する感覚がして快楽に浸る。
ケーラーがいつまでも乳首を吸いつづけるので、だんだん理性が飛びはじめて思考が回らなくなっていく。
また意識が沈みそうになった時、扉が叩かれて誰かが入って来た。
「無事だったらしいな」
「オルヴォ、お前」
トビアスは声を出すのも億劫だったので、ケーラーが対応してくれるのは有り難い。
何やら険悪な雰囲気だが、話が落ちつくとケーラーがトビアスに向きなおって口を開く。
「お前を聖騎士にするそうだ 」
「……っ?」
突然の宣告にトビアスは戸惑う。
ケーラーの背後に佇むオルヴォはただほくそ笑み、その意図は計れなかった。
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