勘違い側近は王の愛に気づかない

彩月野生

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狂気の想い

 ルシードは、愛する王の傍にいられる事がこの上ない喜びであったが、王はところかまわずに、その剛直でルシードをなぶり尽くす。
 中庭に連れ出され、四つん這いで背後から尻穴に突っ込まれて力強く犯される。
 肉がぶつかりあう乾いた音が響く。

「あ……はあっは……へい、かあ……!」
「おまえ、は……! いい加減、男共に色目を使うのを、やめろ!!」

 背中に鞭を振るわれて、するどい痛みに悲鳴をあげてしまう。

「ヒイッ! お、お赦しを……!」
「奴隷のくせに! 奴隷らしくしろ! そんなに裸体を、男共に見せたいのか!」
「そ、そんな! そんなことは、決して……!」

 鞭で肌を叩かれる痛みにたえ、腹奥を剛直で抉られる快感に悶ながら、必死に否定の言葉をさけぶが、愛する王には届かない。

 王のルシードへの執着は激情へと変わり、どこでも構わず襲われた。
 そんな王の姿は、獲物を飲み込む蛇のような異様さだと、臣下達をおののかせた。
 臣下達から話はまたたくまに王都中に広がり、王を引きずり下ろすべきだという声が上がり始める。
 臣下達は、ここぞとばかりに王に忠告を試みた。
 彼らは怯える虫のように震えながら、上目遣いで同じ言葉を吐いた。

「民からは、側近を奴隷にするような王は要らないと声があがっております!」
「ルシードを王都から追放されてください!」
「そうです! 今ならまだ間に合います!」
「私の奴隷なのだから私が決める」
「陛下!」

 いつものやり取りを、ルシードは王の足元に蹲り、聞いていた。
 今のルシードは、薄着一枚で下半身が丸出しの状態であるが、皆すっかり慣れており、王以外は見向きもしない。

 王は魔物が入り込んだかのような暗い表情をしており、睨みつけられれば、心の臓を喰らわれてしまうのではないかと錯覚するほどである。
 臣下達を無視して、ルシードの胸ぐらをつかみ、いきなり唇をふさいだ。

「むぐ……!」
「……はっ」

 短い口づけが終わり、顎を掴まれて凄まれる。

「お前も充分に痛みを知っただろう! そろそろ褒美をくれてやる!」
「うぐ……へ、へいか!?」
「お前を妻に迎えてやる!」
「……っ」

 今の言葉に衝撃を与えられたルシードは、世界が回ったように感じて目を見開いた。
 床に放り投げられて、大人しくしていると、王が高笑いする声が聞こえてくる。

 臣下達が絶叫して次々に王の間から出て行った。
 皆一様に陛下が狂ってしまったと嘆きながら。
 その考えにはルシードも同意せずにはいられない。
 なぜ、虫けらのように扱う己を、突然妻にするなどと――!?

 ふいに、可哀想なあの騎士の言葉が脳裏に蘇り、唇を噛む。

 ――ほんとうに、陛下は、私を……?

 だが、王は悪魔のような負をまとい、いつでも剣を振るって誰彼構わず、命を奪いかねないような雰囲気をまとっている。
 こんな化け物のような存在が、奴隷を妻にしたとなれば、世界からつまはじきにされ、我が国は滅亡するであろう。

 危機を察した臣下達と民は、一丸となり、王を失脚させるべく動き始めたのだ。

 ルシードは王を守ってみせると決意した。
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