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1章 アンジェラス1は転生する
29話 休暇
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今日は待ちに待った休みの日。
フルで働いた為、金もソレなりに貯まり高級なものは、買えないとしても一般人が買える小物くらいは何個か買えるようには、貯まっていた。
「フェル、何がいい?」
『肉団子ヲ、食ソウ。』
フェルというのは、フェンリルの愛称だ。
そのまんまなあいしょう愛称だが、案外気に入ってくれている。
なんでも、フェンリルという最後の生き残りとしての誇りがその名に残っているからと言っていた。
よく分からないが、一個体の名前よりも種族名の方を大切にしている様だ。
「ちょっと食べにくいから、私の頭の上で食べてね。」
ワンピース形の寝巻きが汚るでは困る為、頭上で食べてもらう。
『美味イ』
「柔らかいね。」
肉団子の硬さは、めぐる世界によって違う。
同じ名前や見た目をしていても、やはり世界ごとに違いが出るものなのだ。
「次は、何処に行こうか。」
女子供の多い店は、小物屋の様で女の子や子供が好きそうな物が安い値段で売っていた。
「彼処に入るね。」
『ウム』
フェンリルの頷きを確認し、中へと入っていく。
子供が好みそうな甘いお菓子の様な香りと、可愛らしい雰囲気のある店だ。
「ねぇ、何か欲しいものある?」
『貴様ノ、好キナモノヲ買ウト良イ。』
「フェルは買わないの?」
『我ハ、可愛イモノヨリ格好良サヲ求メル。』
「やっぱりオスナンダネ。」
『ソコハセメテ、男ト言エ。』
「……あ、あれとか綺麗じゃ無い?」
碧色の蝶の形をした髪飾りで、ガラス細工なのか綺麗に透き通っている。
『我ハ、アレノ方ガ似合ウト思ウゾ。』
私の言葉を華麗にスルーしてフェンリルが見ていた物は、確かに綺麗だった。
「本当に綺麗……」
綺麗だけど、誰も見向きもしない物。
薄紫色の薔薇が付いたチェーンネックレス。
光の浴び方によって色が変わるようで、青や赤にも変色するらしい。
試しに値段を見てみると、何故か他の商品よりもお手軽な値段だ。
「なにか、曰く付きなのかな……」
『邪気ハ、感ジラレンガ……』
何処か怪しい。けれど、不思議と惹きつけられる。
「まぁ、とりあえず買うかな。何があっても私が死ぬなんてあり得ないんだし。」
『ソノ割ニ、背骨折ッテ動ケナクナッテイタガナ。』
「アレは偶々だもん。」
『ホウ?』
「も、もし万全な状態だったら、絶対引けを取らなかったもんっ!」
『戦イニ、万全ナ状態ナド関係ナカロウ。負ケル時ハ、負ケルノダ。』
何か言い返したいが、正論すぎて何も言えない。
取り敢えずネックレスを手に取り、会計場所まで持っていく。
「お客様、本当にコレをお買いに?」
「うん、どうかした?」
「い、いえ……」
何処か心配そうな瞳をして、ネックレスを渡す店員に礼を言い、店を出る。
「絶対曰く付きだね。」
『ダロウナ。』
「ま、それはそれとして……」
まだ全ての店を見て回ったわけではない為、無難そうな危なくない店に入っては何かを買ったり出たりを繰り返す。
ソレが終わる頃には、もう日も暮れ始め空がオレンジ色に染まっていた。
『ソロソロ帰ル時間デアルナ。』
「そうだね。」
フェンリルと共に、帰路に着く。
段々と、暗くなるにつれて夜の街の灯りが彩り始める。
きっとこれから、私たちとは無関係な世界が始まってゆくのだろう。
「ねぇ、フェル。」
『ナンダ?』
「人って、汚いと思う私の認識は間違っているのかな?」
肌の見える着物で、男に縋り付く女達が目につく。
ソレに、だらしない顔で反応する男達。
その光景が、お世辞にも綺麗だとは思えない。
「昼間は何もできないから、本性を表さないだけで、夜になると汚くなる。私は……その汚さが嫌いなの。」
『……間違ッテハ、オラヌヨ。』
「そうだよね。」
本当は、フェンリルに聞かなくても分かってる。
世界の意志様が、人間のことを知れと指示を出したのは、恐らくこう言う汚いところを見て、軽蔑している事を知っているからだろう。
世界を救う過程で態度には出さなくとも、いつかボロが出る時が来る。
だから、その前に認識を変えろという彼なりの優しさなのだろう。
「私はやっぱり、人間が嫌いだよ。」
『獣人デアルガナ。』
「根本は一緒でしょ。」
『エルフハ、違ウノカ?』
「彼らは、頭がいいから」
戦争は何も生まない事をきちんと理解している。
だから、話で全てを解決しようとするのだ。
人間とは違い合理的で、争いを生まない頭のいい種族。
因みに私の中では人間と同じ様な肌をしている中ではエルフが一番好きだったりする。
***
我は今、少女の頭上で月を見ているフェンリルもといフェルである。
そのままの名付けであるが、唯一のフェンリルの生き残りとしては、名残があっていい愛称だと思う。
我はフェンリルという種族の生き残りなのだが、別に獣人が嫌いというわけではない。
ただ、封印された理由が理不尽なだけであって、別に気にしていない。
理由がわからなくとも本当に気にしていない。うん、本当に。
だが、嫌いではないと言うだけで好きでもない。
少女の言う人間と同じく、獣人は強欲で中途半端に人に同情したり、踏み躙ったり戦争したり、愚かすぎて何も言えないのだ。
中には、頭の良い奴もいる様だが大半が戦争して領土を増やそうとする馬鹿な者で占めている。
そして、エルフとの一番の違いは、身分の差がハッキリしている事だと我は思っている。
平民が何を言おうと、基本的に贅沢のできる貴族は話を聞かない。
それに対して、エルフは村長も含めて身分など関係なく誰にでも平等な態度をとる決まりがあり、何より戦争は何も生まない事を理解している。
かと言って、疎外的なエルフと我は一度も会ったことがないのだが。
ーーと、そんな話は置いておくとして。
少女と出会ってまだ一月も経っていないが、少し気になる点がある。
アンジェラスとしての特徴なのか、それとも少女自身としての特徴なのかは知らないが、少女は全てを世界の意志様への言葉だと変換する。
例えば、何かを褒められた時に世界の意志様が褒められていると何故か解釈をするのだ。
ソレは、少女が頑張ったから得られた賞賛であって、世界の意志様は何も関係ないというのに。
ソレに付け加え、少女の世界の意志様に対する崇拝度も可笑しい。
生みの親である為、父親の様に慕うならまだ分かるのだが、少女の場合はまた違う様な気がするのだ。勿論、恋愛感情とかそういう物ではないのだが。
送られたデータでは、アンジェラスが世界を救う存在で一人一人、人格も実力も違うと言う事で、少女の努力は少女自身のものだという事は直ぐに分かった。
ソレを、聡い少女ならば分かるはずだろうに、何故か頑なに自分が頑張ったからだという答えを否定する。
勿論、その原因が気になりはするものの聞く気はない。
あくまでも、ソレは少女の問題であって我には関係ないのだから。
フルで働いた為、金もソレなりに貯まり高級なものは、買えないとしても一般人が買える小物くらいは何個か買えるようには、貯まっていた。
「フェル、何がいい?」
『肉団子ヲ、食ソウ。』
フェルというのは、フェンリルの愛称だ。
そのまんまなあいしょう愛称だが、案外気に入ってくれている。
なんでも、フェンリルという最後の生き残りとしての誇りがその名に残っているからと言っていた。
よく分からないが、一個体の名前よりも種族名の方を大切にしている様だ。
「ちょっと食べにくいから、私の頭の上で食べてね。」
ワンピース形の寝巻きが汚るでは困る為、頭上で食べてもらう。
『美味イ』
「柔らかいね。」
肉団子の硬さは、めぐる世界によって違う。
同じ名前や見た目をしていても、やはり世界ごとに違いが出るものなのだ。
「次は、何処に行こうか。」
女子供の多い店は、小物屋の様で女の子や子供が好きそうな物が安い値段で売っていた。
「彼処に入るね。」
『ウム』
フェンリルの頷きを確認し、中へと入っていく。
子供が好みそうな甘いお菓子の様な香りと、可愛らしい雰囲気のある店だ。
「ねぇ、何か欲しいものある?」
『貴様ノ、好キナモノヲ買ウト良イ。』
「フェルは買わないの?」
『我ハ、可愛イモノヨリ格好良サヲ求メル。』
「やっぱりオスナンダネ。」
『ソコハセメテ、男ト言エ。』
「……あ、あれとか綺麗じゃ無い?」
碧色の蝶の形をした髪飾りで、ガラス細工なのか綺麗に透き通っている。
『我ハ、アレノ方ガ似合ウト思ウゾ。』
私の言葉を華麗にスルーしてフェンリルが見ていた物は、確かに綺麗だった。
「本当に綺麗……」
綺麗だけど、誰も見向きもしない物。
薄紫色の薔薇が付いたチェーンネックレス。
光の浴び方によって色が変わるようで、青や赤にも変色するらしい。
試しに値段を見てみると、何故か他の商品よりもお手軽な値段だ。
「なにか、曰く付きなのかな……」
『邪気ハ、感ジラレンガ……』
何処か怪しい。けれど、不思議と惹きつけられる。
「まぁ、とりあえず買うかな。何があっても私が死ぬなんてあり得ないんだし。」
『ソノ割ニ、背骨折ッテ動ケナクナッテイタガナ。』
「アレは偶々だもん。」
『ホウ?』
「も、もし万全な状態だったら、絶対引けを取らなかったもんっ!」
『戦イニ、万全ナ状態ナド関係ナカロウ。負ケル時ハ、負ケルノダ。』
何か言い返したいが、正論すぎて何も言えない。
取り敢えずネックレスを手に取り、会計場所まで持っていく。
「お客様、本当にコレをお買いに?」
「うん、どうかした?」
「い、いえ……」
何処か心配そうな瞳をして、ネックレスを渡す店員に礼を言い、店を出る。
「絶対曰く付きだね。」
『ダロウナ。』
「ま、それはそれとして……」
まだ全ての店を見て回ったわけではない為、無難そうな危なくない店に入っては何かを買ったり出たりを繰り返す。
ソレが終わる頃には、もう日も暮れ始め空がオレンジ色に染まっていた。
『ソロソロ帰ル時間デアルナ。』
「そうだね。」
フェンリルと共に、帰路に着く。
段々と、暗くなるにつれて夜の街の灯りが彩り始める。
きっとこれから、私たちとは無関係な世界が始まってゆくのだろう。
「ねぇ、フェル。」
『ナンダ?』
「人って、汚いと思う私の認識は間違っているのかな?」
肌の見える着物で、男に縋り付く女達が目につく。
ソレに、だらしない顔で反応する男達。
その光景が、お世辞にも綺麗だとは思えない。
「昼間は何もできないから、本性を表さないだけで、夜になると汚くなる。私は……その汚さが嫌いなの。」
『……間違ッテハ、オラヌヨ。』
「そうだよね。」
本当は、フェンリルに聞かなくても分かってる。
世界の意志様が、人間のことを知れと指示を出したのは、恐らくこう言う汚いところを見て、軽蔑している事を知っているからだろう。
世界を救う過程で態度には出さなくとも、いつかボロが出る時が来る。
だから、その前に認識を変えろという彼なりの優しさなのだろう。
「私はやっぱり、人間が嫌いだよ。」
『獣人デアルガナ。』
「根本は一緒でしょ。」
『エルフハ、違ウノカ?』
「彼らは、頭がいいから」
戦争は何も生まない事をきちんと理解している。
だから、話で全てを解決しようとするのだ。
人間とは違い合理的で、争いを生まない頭のいい種族。
因みに私の中では人間と同じ様な肌をしている中ではエルフが一番好きだったりする。
***
我は今、少女の頭上で月を見ているフェンリルもといフェルである。
そのままの名付けであるが、唯一のフェンリルの生き残りとしては、名残があっていい愛称だと思う。
我はフェンリルという種族の生き残りなのだが、別に獣人が嫌いというわけではない。
ただ、封印された理由が理不尽なだけであって、別に気にしていない。
理由がわからなくとも本当に気にしていない。うん、本当に。
だが、嫌いではないと言うだけで好きでもない。
少女の言う人間と同じく、獣人は強欲で中途半端に人に同情したり、踏み躙ったり戦争したり、愚かすぎて何も言えないのだ。
中には、頭の良い奴もいる様だが大半が戦争して領土を増やそうとする馬鹿な者で占めている。
そして、エルフとの一番の違いは、身分の差がハッキリしている事だと我は思っている。
平民が何を言おうと、基本的に贅沢のできる貴族は話を聞かない。
それに対して、エルフは村長も含めて身分など関係なく誰にでも平等な態度をとる決まりがあり、何より戦争は何も生まない事を理解している。
かと言って、疎外的なエルフと我は一度も会ったことがないのだが。
ーーと、そんな話は置いておくとして。
少女と出会ってまだ一月も経っていないが、少し気になる点がある。
アンジェラスとしての特徴なのか、それとも少女自身としての特徴なのかは知らないが、少女は全てを世界の意志様への言葉だと変換する。
例えば、何かを褒められた時に世界の意志様が褒められていると何故か解釈をするのだ。
ソレは、少女が頑張ったから得られた賞賛であって、世界の意志様は何も関係ないというのに。
ソレに付け加え、少女の世界の意志様に対する崇拝度も可笑しい。
生みの親である為、父親の様に慕うならまだ分かるのだが、少女の場合はまた違う様な気がするのだ。勿論、恋愛感情とかそういう物ではないのだが。
送られたデータでは、アンジェラスが世界を救う存在で一人一人、人格も実力も違うと言う事で、少女の努力は少女自身のものだという事は直ぐに分かった。
ソレを、聡い少女ならば分かるはずだろうに、何故か頑なに自分が頑張ったからだという答えを否定する。
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