【R18】『廻円のヴィルヘルム』~半人半魔のあまあま淫乱お姉さんを嫁にして、ブサメンコミュ障な童貞貴族は人生逆転です!~

八雲水経・陰

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EP3_③

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 その日の晩、夜の12時頃――。

「あっ♡ あっ♡ あぁんっ♡ アウッ……レスタ様ぁっ♡」

「……。」

「い、イクッ!♡ イクゥッ!♡」

「……ふぅ。」

 アウレスタは、一人の女と交わっていた。しかし、抗えぬ快楽に喘いでいる女に対し、彼はどこか冷めている。

「はぁ……はぁ……はぁ……気持ち良かったです……アウレスタ様……♡」

「あぁ、そうだね。」

「今日こそ、子供が出来たかもしれません……♡」

「そうか。」

「母乳が出るようになったら、夜伽の幅も広がりそうです……♡」

「楽しみだな。」

 美しい赤の長髪と藍色の眼、そしてHカップの巨乳を持つその美女は、髪を掻き上げながら微笑んだ。
 だが、それほどの美女を抱いていたと言うのに、彼には微塵も興奮している様子がない。

「なぁ、セシリア。」

「はい、何でしょうか!もしかして……側室に加えて頂けるのですか!? 嬉しいです……♡」

 彼の隣に寝転んだ女は、腕に抱き付いて豊穣な乳房を押し付けた。
 まるで、「まだ足りない」と言わんばかりに誘惑し、更なる子種をせがんでいるように見える。

「なら、まずは子供ですね♡ あなたの望む数だけ、幾らでも孕ませてください……♡」

 興奮が冷めやらぬ彼女は、アウレスタの話も聞かずに捲し立てる。しかし彼は、彼女の望みを断ち切った。

「側室?子供?バカを言うな。」

「え?」

「お前を、エミリーと並べる? そんな訳ないだろう。 もう飽きた。お前は今からタダの奴隷だ。」

 "タダの奴隷"、その言葉が意味する物は、人権の剥奪を意味する。
 つまり先ほどセレアに語った、恐ろしい処遇へ直行すると言う事だ――。

「そ、そんな!待って下さい! アウレスタ様!昨晩まで、あんなに楽しそうにしてたのに!」

「今日になって飽きた。それだけだ。」

 あまりにも冷淡な答えに、女は納得がいかない。
 なんとか自分の価値を認めさせようと思い、必死になる。

「お、お待ちください! 私はきっと!立派な子を産ん」

 その時、彼女の姿は忽然と消えた。
 男は高度な転送魔法を使い、彼女を瞬時に地下牢へ送り込んだのだ。

「蛙の子は蛙。お前如きの胎から、俺の血を引いた"優秀な子"は生まれない。」

 貴族の多くが行き着く、おぞましい悩み。
 自分の子孫を、どれほど優秀な形で血統に残せるかと言う探求。
 ここにハマった人間は、男にしろ女にしろ、異性を繁殖用の道具としか見れなくなる。

 彼は確かに昨日まで、今の奴隷妻との夜伽を純粋に楽しんでいた。
 彼女の容姿も体も気に入っていたし、体の相性も良かった。やや不純な動機ではあったが、そこには確かな"情"があった。

 しかし今日になって、彼の中に猛烈な"欲望"が芽生えた。
 欲望で濁った瞳で見ると、いくら美しい女でも、"人の言葉を話す豚"にしか見えないのだ。

 その原因は至って単純。
 『隣の芝は青く見える』という言葉に尽きるだろう――。

 セレアティナを見た時、彼は一目惚れした。そして同時に、自分の物にしたいと思ったのだ。

 だが、彼女には先約があった。
 彼にしてみれば、"ブタ以下の薄らバカ"と言う評価であった弟が、あの美女を手に入れていた。

 容姿端麗・頭脳明晰・スポーツ万能。
 そんな、ありとあらゆる名声をモノにして来た自分ではなく、"底辺な弟"の所有物だった。

「諦めてたまるか……!」

 美しい碧眼を囲む白目は、いつの間にか血走っていた。
 嫉妬と憎悪に満ちた彼の表情は、悪鬼の如く歪んでいる。

 だが冷静になって考えれば、ここまで狂う必要も無いのだ。

 先ほど奴隷に堕とした女も、絶世の美女に違いない。
 セレアほどではないが、世界トップ100には入るほどの娼婦を、わざわざ連れて来たのだから。

 それに、彼女はセレアよりも若かった。
 淫魔は20代から歳を取らないが、それはあくまで"肉体"の話。
 彼女の心は30歳の物。いくら妖艶な気を持つ美女と言えども、みずみずしい気立ては失われつつある。

 謂わば彼女は、既に達観しているのだ。
 幼少期を抜けて、青春を終え、社会人として成熟した感性。世間の縮図に気が付いて、自分の限界を悟った齢。

 淫魔は長寿な種だが、精神年齢は既に人生の折り返しに立っている。
 それに引き換え、あの女はまだ20歳。僅か10歳差とは言え、その差は大きい。

 そして何より、彼とヴィルの決定的な違いは――。



「アウレスタ様……どうなさいましたか……?」

「あぁ、エミリー。 今日は遅いね。」

「けほっ……けほっ……。 あなた様を……お待ちしておりましたので……。」

 貴族が奴隷妻を娶る理由に、「正妻との子が望めない時」と言う物があった。
 彼の正妻、即ち貴族同士の結婚相手であるエミリーは、生まれつき虚弱体質で、子を望める体ではなかったのだ。

「今日は……一緒に……?」

「あぁ、良いよ。 だから、先に行っといてくれ。 冷えると良くないから、しっかりストーブを点けるんだよ。」

「えへへ……分かりました……♡」

 どこか幼い印象を持たせる彼女だが、年齢はアウレスタより少し下。28歳だ。

 と言っても、成長期を常に屋内で過ごした為、身体的成長は15歳ほどで止まっている。
 友人も少なかったので、精神年齢も成長しないまま。

 だが、その愛は本物だった。
 アウレスタへの愛は勿論のこと、彼自身も虚弱だが可憐な彼女を愛していた。

 だから、高望みしなくても良かったのだ。

 セレアは正直なところ、アウレスタのような男は好みではない。『刺激的で賢いが、どこか熱い男』が、彼女の好みだ。
 もし彼女を手に入れたとしても、ヴィルほど気に入られる事も無かっただろう。

 だからこそ、ある程度で妥協すれば良かったのだ。

 仮にも、あの女とて高級娼婦。
 セレアほどではないが、高い教養と器用な体を持っている。勿論、母体としても優秀だった。

 そんな彼女が産んだ子を、正妻のエミリーと共に育てれば良かったのだ。
 彼女自身も、子が望めない体な事は自覚しており、他人の胎から生まれた子を育てる覚悟も、十分に出来ていた。

 健康な子供を、愛のある環境で育てる。
 それだけで人間は、かなり真っ当に育つ物だ。そして金に物を言わせれば、大抵の事は叶えられる。

 そんな事が分かっていても、彼は完璧を求めずに居られなかった。

「それじゃ、俺はまだやる事があるから。」

「早く来てくださいね……!」
 
 エミリーは優しく微笑むと、ゆっくりと部屋から出て行った。
 そして、彼女の足音が遠ざかった事を確認したアウレスタは、机の引き出しを開けた。

 それは、"魔法の杖"だった。
 彼が何か、良からぬ事を企んでいるのは、誰の目にも明らかである――。

「あの女は俺の物だ……! エミリーと俺の子を……絶対に産ませてやる……!」

 正妻への愛ゆえか、他人の妻への歪んだ恋ゆえか、完璧を求めすぎる故か。どんな理由にしろ、彼は悪魔に囁かれていた。

<ヴィルヘルムを"殺して"、女を奪え。そして、孕ませろ。>

 その悪魔は、自らの心に巣食った怪物なのか、それとも"淫魔の誘惑"なのか。彼には分からない。

 ただ一つ分かるのは、この沸き立つ衝動を発散するには、セレアティナを奪う以外に道が無いという事。

「待っててくれエミリー……すぐに戻るからな……!」

 彼がついに覚悟を決めて、ヴィルの部屋に向かおうとした時――。



チリーン……チリーン……

「ん?こんな時間に誰だ?」

 部屋ごとに設置された呼び鈴が、突如として鳴り響いた。
 もう、とっくに消灯時間は過ぎている。それなのに、誰が来たのだろうか。

チリンチリンッ……

「はぁ……はいはい、今行くよ。」

 気怠そうにため息を吐いた彼は、杖を握り締めたまま扉へと向かった――。
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