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第一区画
68. スキルブック
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俺達は気を取り直して、ダンジョン"豊満な殺戮"の攻略を進めた。
あれから、食糧庫や幼虫がたくさんいる子供部屋はあったが、子供部屋に関しては入り口ですぐに桃乃が魔法で処理をしている。
時折、悪魔の様な顔をする桃乃に俺は若干引いていたが、ひょっとしたらそっちが本当のす――。
「じゃないです!」
「えっ?」
「先輩、さっきから声漏れてますよ? 誰に解説してるんですか?」
ああ、どうやら声が漏れていたらしい。悪魔の様な――。
「だから悪魔じゃないですよ。先輩を燃やしましょうか?」
「……」
俺は桃乃の顔を見て、震えが止まらなかった。今も悪魔のような顔を俺に向けられると、絶対に怒らせてはいけない人だと再認識した。
「えっ、先輩嘘ですよ? 本気で受け取らないでくださいよ」
俺はとりあえず桃乃に逆らわないようにした。ここ最近いつのまにか立場が逆になってきたのか、桃乃の性格が変わりつつある。
それもスキルの影響かもしれない。それだけでパッシブスキルは人を変えてしまう。
「先輩、変なこと考えてないでちょっとこれを見てくださいよ」
魔法使いのはずが、俺より前を歩いている桃乃に呼ばれるとそこには大きな扉があった。
前までは扉などなく、いきなり大きな空間が広がっている程度だった。
「ボス部屋か?」
「先輩、それってフラグ――」
その扉はいかにもこの先何かがいるような雰囲気を放っていた。大体こういう扉の先にはボスがいると決まっている。
「中に入りますか?」
心配そうに聞いてくれてはいるが、桃乃の顔は輝いていた。すでに中に入りたいと言っている顔に入らないという選択肢はないだろう。
あの怯えていた桃乃は存在しなくなっていた。
「ああ、俺が開けるから後ろからついてこいよ」
ここは先輩……そんな悲しい顔をしなくてもいいじゃないか。
隣で桃乃は悲しい顔をしている。次は開けるのを譲ってあげるけど、今回は安全のために俺が開けることにした。
決して俺が開けたいからではない。俺の方が足が速いから対応しやすいためだ。
「じゃあ、行くぞ」
俺は大きく扉を開けた。きっとここにはボスのクイーンキラーアント、つまり女王アリがいるはずだ。
「……」
扉を開けるとそこには……何も存在しなかった。
キラーアントさえも一匹たりとも存在していない。
「先輩何もいないですよ?」
「……」
俺はここで活躍するつもりが何もなく終わってしまった。
フラグを立てたつもりが……。
俺はボス部屋の奥に進んでいくと、怪しげな宝箱が置いてあった。
「先輩、どうし……宝箱ですね!」
後から来た桃乃が宝箱と俺を交互に見ている。
「ああ、今度は開けていいぞ」
俺の言葉にすぐに桃乃は宝箱に手を伸ばした。
「ちょっと待った!」
俺は宝箱を開けようとした桃乃の手を止めた。
「やっぱ、先輩が開けたいんじゃ――」
「いや、これ罠があったらどうす――」
「先輩お願いします! こういう時は年上の出番ですよ?」
薄情じゃないかというほどすぐに後ろに引いた。むしろ俺を盾にして隠れている。こういう時だけ頼られても困るが、先輩としては引けない。
俺はアイテムを変更し、スコップを取り出した。最近気づいたのだが、袋に入っていないスコップだが、装備一覧を確認すると武器の項目にスコップは保存されていた。そう、武器としてだ。
「じゃあ、開けるぞ」
俺は離れたところでスコップを使って、宝箱を開けると簡単に開いた。
「ちょ、先輩中の確認してきてください」
いや、だから上司の俺を盾にしないでくれよ。
ゆっくりと近づき中を確認すると1冊の本が入っていた。
「先輩何がありましたか?」
「火属性魔法のスキルブックらしい」
神光智慧大天使で調べるとスキルブックという存在だった。
スキルブックは適性がある人が読むことで、スキルを手に入れる1回限りの魔法の本らしい。
きっと、火属性魔法だから俺には反応していないのかただの本にしか見えなかった。
現に桃乃はスキルブックを見て目を輝かしている。
「その本光ってますよ!」
どうやら適性がある人にとっては輝いて見えるらしい。
「じゃあ、これやるよ! 俺は使えないだろうし、売るより戦力をあげた方が効率いいだろ?」
「ありがとうございます」
俺が桃乃にスキルブックを渡すと、桃乃は嬉しそうにしていた。
おっ、これは先輩としての株を上げたのか?
受け取った桃乃はすぐにスキルブックを開くと、本から光が溢れると同時に光が桃乃に吸収されている。
もっとカッコいい演出があると思ったが、特になかったようだ。
「どうだ?」
「スキルを覚えましたよ!」
どうやら本当にスキルを獲得できるらしい。
「何のスキルだった?」
「ボルケーノストライクという上級の火属性魔法です。初めての上級魔法ですよ!」
名前からして強そうなスキルを手に入れたらしい。それでも俺は納得がいかなかった。
「魔法にランクがあるのか?」
「えっ? 先輩の魔法にはないんですか?」
「うん……」
どうやら桃乃は魔法を覚えた時からランクがついていたらしい。
ファイヤーボールなどの基本的な技は下級魔法。
ウォーターカッターなど威力が少し上がったものは中級魔法。
今回覚えたボルケーノストライクは上級魔法に分類されているらしい。
ウォーターカッターで中級魔法なら上級魔法はとんでもない威力だろう。
確かに神光智慧大天使でもランクが分かれていると説明されている。
それなのにランクが存在しない木属性魔法に何か特別な何かがあるのだろうか。
そんな話をしていると突然急に脳内に声が聞こえてきた。
【パパパパーン! 異世界ダンジョン"豊満な殺戮"をクリアしました!」
どうやらダンジョンをクリアしたらしい。
あれから、食糧庫や幼虫がたくさんいる子供部屋はあったが、子供部屋に関しては入り口ですぐに桃乃が魔法で処理をしている。
時折、悪魔の様な顔をする桃乃に俺は若干引いていたが、ひょっとしたらそっちが本当のす――。
「じゃないです!」
「えっ?」
「先輩、さっきから声漏れてますよ? 誰に解説してるんですか?」
ああ、どうやら声が漏れていたらしい。悪魔の様な――。
「だから悪魔じゃないですよ。先輩を燃やしましょうか?」
「……」
俺は桃乃の顔を見て、震えが止まらなかった。今も悪魔のような顔を俺に向けられると、絶対に怒らせてはいけない人だと再認識した。
「えっ、先輩嘘ですよ? 本気で受け取らないでくださいよ」
俺はとりあえず桃乃に逆らわないようにした。ここ最近いつのまにか立場が逆になってきたのか、桃乃の性格が変わりつつある。
それもスキルの影響かもしれない。それだけでパッシブスキルは人を変えてしまう。
「先輩、変なこと考えてないでちょっとこれを見てくださいよ」
魔法使いのはずが、俺より前を歩いている桃乃に呼ばれるとそこには大きな扉があった。
前までは扉などなく、いきなり大きな空間が広がっている程度だった。
「ボス部屋か?」
「先輩、それってフラグ――」
その扉はいかにもこの先何かがいるような雰囲気を放っていた。大体こういう扉の先にはボスがいると決まっている。
「中に入りますか?」
心配そうに聞いてくれてはいるが、桃乃の顔は輝いていた。すでに中に入りたいと言っている顔に入らないという選択肢はないだろう。
あの怯えていた桃乃は存在しなくなっていた。
「ああ、俺が開けるから後ろからついてこいよ」
ここは先輩……そんな悲しい顔をしなくてもいいじゃないか。
隣で桃乃は悲しい顔をしている。次は開けるのを譲ってあげるけど、今回は安全のために俺が開けることにした。
決して俺が開けたいからではない。俺の方が足が速いから対応しやすいためだ。
「じゃあ、行くぞ」
俺は大きく扉を開けた。きっとここにはボスのクイーンキラーアント、つまり女王アリがいるはずだ。
「……」
扉を開けるとそこには……何も存在しなかった。
キラーアントさえも一匹たりとも存在していない。
「先輩何もいないですよ?」
「……」
俺はここで活躍するつもりが何もなく終わってしまった。
フラグを立てたつもりが……。
俺はボス部屋の奥に進んでいくと、怪しげな宝箱が置いてあった。
「先輩、どうし……宝箱ですね!」
後から来た桃乃が宝箱と俺を交互に見ている。
「ああ、今度は開けていいぞ」
俺の言葉にすぐに桃乃は宝箱に手を伸ばした。
「ちょっと待った!」
俺は宝箱を開けようとした桃乃の手を止めた。
「やっぱ、先輩が開けたいんじゃ――」
「いや、これ罠があったらどうす――」
「先輩お願いします! こういう時は年上の出番ですよ?」
薄情じゃないかというほどすぐに後ろに引いた。むしろ俺を盾にして隠れている。こういう時だけ頼られても困るが、先輩としては引けない。
俺はアイテムを変更し、スコップを取り出した。最近気づいたのだが、袋に入っていないスコップだが、装備一覧を確認すると武器の項目にスコップは保存されていた。そう、武器としてだ。
「じゃあ、開けるぞ」
俺は離れたところでスコップを使って、宝箱を開けると簡単に開いた。
「ちょ、先輩中の確認してきてください」
いや、だから上司の俺を盾にしないでくれよ。
ゆっくりと近づき中を確認すると1冊の本が入っていた。
「先輩何がありましたか?」
「火属性魔法のスキルブックらしい」
神光智慧大天使で調べるとスキルブックという存在だった。
スキルブックは適性がある人が読むことで、スキルを手に入れる1回限りの魔法の本らしい。
きっと、火属性魔法だから俺には反応していないのかただの本にしか見えなかった。
現に桃乃はスキルブックを見て目を輝かしている。
「その本光ってますよ!」
どうやら適性がある人にとっては輝いて見えるらしい。
「じゃあ、これやるよ! 俺は使えないだろうし、売るより戦力をあげた方が効率いいだろ?」
「ありがとうございます」
俺が桃乃にスキルブックを渡すと、桃乃は嬉しそうにしていた。
おっ、これは先輩としての株を上げたのか?
受け取った桃乃はすぐにスキルブックを開くと、本から光が溢れると同時に光が桃乃に吸収されている。
もっとカッコいい演出があると思ったが、特になかったようだ。
「どうだ?」
「スキルを覚えましたよ!」
どうやら本当にスキルを獲得できるらしい。
「何のスキルだった?」
「ボルケーノストライクという上級の火属性魔法です。初めての上級魔法ですよ!」
名前からして強そうなスキルを手に入れたらしい。それでも俺は納得がいかなかった。
「魔法にランクがあるのか?」
「えっ? 先輩の魔法にはないんですか?」
「うん……」
どうやら桃乃は魔法を覚えた時からランクがついていたらしい。
ファイヤーボールなどの基本的な技は下級魔法。
ウォーターカッターなど威力が少し上がったものは中級魔法。
今回覚えたボルケーノストライクは上級魔法に分類されているらしい。
ウォーターカッターで中級魔法なら上級魔法はとんでもない威力だろう。
確かに神光智慧大天使でもランクが分かれていると説明されている。
それなのにランクが存在しない木属性魔法に何か特別な何かがあるのだろうか。
そんな話をしていると突然急に脳内に声が聞こえてきた。
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どうやらダンジョンをクリアしたらしい。
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