134 / 158
第二区画
134.ドワーフの住処
しおりを挟む
「おい、ドーリどうするんだ?」
「どうするも何も決めるのはトラベラだぞ?」
「そうだよな。今まではオークとして育てられてきたが俺達が育てたらドワーフに変わりないよな?」
あれからドワーフ達はトラベラの子供について話し合っていた。生まれたばかりの子供をどうするかは、ドワーフ達には重要な問題だ。
人間同士であれば問題ないが、相手が魔物となれば変わってくるのだろう。
そもそも見た目は人間に近くても、オークは魔物に変わりはない。
結局は産んだ母親であるトラベラに任すことになった。みんなが納得して幸せな生活ができれば良いがそんな雰囲気ではないのが現実だろう。
いつまたオークに襲われるかわからないし、ひょっとしたら産んだ子供が襲ってくるかもしれない恐怖がある。
そんな険しい空気の中、俺は今後のこともありドワーフ達に話しかけることにした。
俺達も時間が限られている。
「すみません、今いいですか?」
「ああ、こちらの話に集中しててすみません」
ドワーフ達は一斉に俺を見てきた。これだけの人数に見られると俺もたじろいでしまう。
「慧ってロリコンかショタコンなのか?」
後ろでアホなことを言っている笹寺を桃乃は勢いよく叩いていた。一応後輩ではあるがしっかりしている桃乃に任せれば笹寺はどうにかなるだろう。
「そろそろ俺達も戻らないといけなくなりましたので今後のことについて話しておこうと思いまして……ドーリさん達はこの後どうしますか?」
「あれ? 名前を伝えましたか?」
「いえ、先程名前が聞こえたので――」
俺はアイテムからハンマーやそのほかの道具を取り出し、ドーリに渡す。
「こっ、これは私の大事にしてたハンマーじゃないか!?」
「俺達はドーリさん達が住んでいたところから元の世界とこちらの世界を行き来しています」
ハンマーは異世界と現実世界を繋ぐ穴がある集落にあった物だ。
きっと彼らはあの集落に住んでいたのだろう。
「んっ、どういうことだ?」
「俺達にも詳しくはわからないんですが、こちらの世界に繋がる穴がドーリさんが住んでた集落にあるんです。そこからこの世界に来てejm2:32:°2・=:3」
「ん? 何を言っているんだ?」
「えーっと、ここには38gd%:|5:€<saf」
俺はドワーフにこの世界に来ている目的を話そうとするが、勝手に口が動き知らない言語に変換されていた。
桃乃の顔を見ると気付いてはいないため、ドワーフ達と同じ言葉を話していると認識しているのだろう。
「すみません、詳しいことは言えないようです」
「ああ、何か事情がありそうだな」
なんとなくでドーリは理解したのだろう。
「これからの話ですが、このままここで生活をしますか? それとも元の集落に戻りますか?」
俺はこの先の生き方をドワーフ自身で考えてもらおうと思っていた。
ここの集落では人の目につきにくいという利点がある。また、近くにリョウタがいるため、魔物が寄りにくいのだ。
ただ、リョウタ自体が俺には友好的だが、ドワーフに対してはわからない。
一方、元の集落では一度オーク達に襲撃されている。そのため、オークに襲われる可能性があった。
ちなみにリョウタには我の生活の邪魔をしなければ問題ないと聞いている。
あいつってやっぱ犬みたいだし、引きこもりで風呂に入らないから臭いのだろう。
「私達はここに残ろうと思います。あいにく前の集落では水を汲みに行くのも遠かったですし、今はここにも水溜りがあったので、どうにかなると思います」
ドワーフ達は俺達がいない間にこの集落を回っていたそうだ。生活水準が保たれるのであれば、リョウタの存在は気にならないらしい。
それにしても水溜まりはどこにあったのだろうか。
水溜まりがあるのなら、さっき渡した水に群がるのはおかしい。きっと何かが起きているのだろう。
「さっき持ってきた実と種を分けてもらってもいいですか?」
「私達は助けてもらった身分なので構いません」
俺はオークの集落から回収した実と種を分けてもらうことにした。
「できれば何の実と種なのかわかる範囲内で教えてもらってもいいですか?」
ダンジョンの中での失敗を生かして、今回は何の種かわかってから使うつもりだ。
「ああ、それなら適任がいますよ」
ドーリが呼んだのは自分の娘で、一番初めに助けた女性だった。
「娘のリズウィンが農地の仕事をしていたので、その辺は詳しいと思います」
「わかりました」
そう言ってドーリはまたドワーフ達の元へ戻って行った。
「えーっと、今回は助けて頂きありがとうございます」
「いえ、無事でよかったです」
遅れて娘のリズウィンがやってきた。小さな体格ですらっとした手足が特徴だ。
どことなくリズウィンの姿が亡くなった妹に似ていた。きっと生きていたらこんな姿をしていたのだろうか。
「どうしましたか?」
ついつい、リズウィンを見つめていたようだ。
「すみません、よろしくお願いします」
俺はリズウィンに一通りの種と実について教えてもらうことになった。
「どうするも何も決めるのはトラベラだぞ?」
「そうだよな。今まではオークとして育てられてきたが俺達が育てたらドワーフに変わりないよな?」
あれからドワーフ達はトラベラの子供について話し合っていた。生まれたばかりの子供をどうするかは、ドワーフ達には重要な問題だ。
人間同士であれば問題ないが、相手が魔物となれば変わってくるのだろう。
そもそも見た目は人間に近くても、オークは魔物に変わりはない。
結局は産んだ母親であるトラベラに任すことになった。みんなが納得して幸せな生活ができれば良いがそんな雰囲気ではないのが現実だろう。
いつまたオークに襲われるかわからないし、ひょっとしたら産んだ子供が襲ってくるかもしれない恐怖がある。
そんな険しい空気の中、俺は今後のこともありドワーフ達に話しかけることにした。
俺達も時間が限られている。
「すみません、今いいですか?」
「ああ、こちらの話に集中しててすみません」
ドワーフ達は一斉に俺を見てきた。これだけの人数に見られると俺もたじろいでしまう。
「慧ってロリコンかショタコンなのか?」
後ろでアホなことを言っている笹寺を桃乃は勢いよく叩いていた。一応後輩ではあるがしっかりしている桃乃に任せれば笹寺はどうにかなるだろう。
「そろそろ俺達も戻らないといけなくなりましたので今後のことについて話しておこうと思いまして……ドーリさん達はこの後どうしますか?」
「あれ? 名前を伝えましたか?」
「いえ、先程名前が聞こえたので――」
俺はアイテムからハンマーやそのほかの道具を取り出し、ドーリに渡す。
「こっ、これは私の大事にしてたハンマーじゃないか!?」
「俺達はドーリさん達が住んでいたところから元の世界とこちらの世界を行き来しています」
ハンマーは異世界と現実世界を繋ぐ穴がある集落にあった物だ。
きっと彼らはあの集落に住んでいたのだろう。
「んっ、どういうことだ?」
「俺達にも詳しくはわからないんですが、こちらの世界に繋がる穴がドーリさんが住んでた集落にあるんです。そこからこの世界に来てejm2:32:°2・=:3」
「ん? 何を言っているんだ?」
「えーっと、ここには38gd%:|5:€<saf」
俺はドワーフにこの世界に来ている目的を話そうとするが、勝手に口が動き知らない言語に変換されていた。
桃乃の顔を見ると気付いてはいないため、ドワーフ達と同じ言葉を話していると認識しているのだろう。
「すみません、詳しいことは言えないようです」
「ああ、何か事情がありそうだな」
なんとなくでドーリは理解したのだろう。
「これからの話ですが、このままここで生活をしますか? それとも元の集落に戻りますか?」
俺はこの先の生き方をドワーフ自身で考えてもらおうと思っていた。
ここの集落では人の目につきにくいという利点がある。また、近くにリョウタがいるため、魔物が寄りにくいのだ。
ただ、リョウタ自体が俺には友好的だが、ドワーフに対してはわからない。
一方、元の集落では一度オーク達に襲撃されている。そのため、オークに襲われる可能性があった。
ちなみにリョウタには我の生活の邪魔をしなければ問題ないと聞いている。
あいつってやっぱ犬みたいだし、引きこもりで風呂に入らないから臭いのだろう。
「私達はここに残ろうと思います。あいにく前の集落では水を汲みに行くのも遠かったですし、今はここにも水溜りがあったので、どうにかなると思います」
ドワーフ達は俺達がいない間にこの集落を回っていたそうだ。生活水準が保たれるのであれば、リョウタの存在は気にならないらしい。
それにしても水溜まりはどこにあったのだろうか。
水溜まりがあるのなら、さっき渡した水に群がるのはおかしい。きっと何かが起きているのだろう。
「さっき持ってきた実と種を分けてもらってもいいですか?」
「私達は助けてもらった身分なので構いません」
俺はオークの集落から回収した実と種を分けてもらうことにした。
「できれば何の実と種なのかわかる範囲内で教えてもらってもいいですか?」
ダンジョンの中での失敗を生かして、今回は何の種かわかってから使うつもりだ。
「ああ、それなら適任がいますよ」
ドーリが呼んだのは自分の娘で、一番初めに助けた女性だった。
「娘のリズウィンが農地の仕事をしていたので、その辺は詳しいと思います」
「わかりました」
そう言ってドーリはまたドワーフ達の元へ戻って行った。
「えーっと、今回は助けて頂きありがとうございます」
「いえ、無事でよかったです」
遅れて娘のリズウィンがやってきた。小さな体格ですらっとした手足が特徴だ。
どことなくリズウィンの姿が亡くなった妹に似ていた。きっと生きていたらこんな姿をしていたのだろうか。
「どうしましたか?」
ついつい、リズウィンを見つめていたようだ。
「すみません、よろしくお願いします」
俺はリズウィンに一通りの種と実について教えてもらうことになった。
27
あなたにおすすめの小説
合成師
あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。
平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。
どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる