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第一章 魔王誘惑作戦
16 第一章完結
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ミリアは目を輝かせながら目の前で繰り広げられる死闘を眺める。
その周りを、激しい魔法の応酬に怯えた魔獣たちが囲んでいた。手慰みにその頭を撫でる。
(ルーカスさま、やっぱり強かったのね!)
ギルバートの火魔法も相当な威力だが、ルーカスはそれをいとも容易くいなしている。
「くっ、小癪な。これでも喰らえ!」
ギルバートが一際大きな魔法を展開すると、ルーカスの周りが巨大な火の壁で覆われる。
かなりの距離をとっているミリアでさえも肌がひりつくような熱を感じるのだ。囲まれた者はひとたまりもないだろう。
しかし、燃え盛る壁はうねりながら一つに纏まり、ギルバートに襲いかかる。
ルーカスが起こした風で炎を操ったのだ。
火に照らされたルーカスは神々しくさえあって、ミリアは見惚れてしまう。
「なっ⁉︎」
ギルバートは慌てて避けるが、間に合わず、逃げ遅れた右腕を負傷した。
腕を押さえ、たまらず膝をつく。
「どうした。もう終わりか?」
ルーカスの冷めた声音に、ギルバートはきっと睨みつけた。
「ふんっ。これくらいで負けを――っぐわっ」
ギルバートの体はいきなり成長した蔦に絡みつかれた。身体中の骨がみしみしと嫌な音を立てる。
「これ以上抵抗すると言うのなら、まず傷ついた右腕から折ってやろう」
「ぐっ……折るなら折るがいい。俺は絶対に、負けを認めないからな!」
窮地に立たされても、ギルバートの目に宿る闘志は消えていない。降伏する気が無いのは明白だ。
「……そうか」
ルーカスが手を振り上げかけたところに、ミリアが乱入する。
「お邪魔しますよ~」
「! ミリア、下がっていろと……」
ミリアは満面の笑みをルーカスに向ける。
「ルーカスさまがお強いことは、よーく分かりました。ここからは、わたしに任せてくださる?」
「……危ないことはするなよ?」
「わたしは危なくないです」
ギルバートは馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「何をするつもりだ? 腕を切られた意趣返しか?」
ミリアはその言葉を無視して、治癒魔法をかける。酷い火傷を負った右腕も、その他諸々の傷も、みるみる治っていく。
「そんな奴に治癒魔法をかけなくても……」
ルーカスは不服そうな声を上げる。ギルバートは悔しそうに歯噛みする。
「情けをかけるつもりか?」
ミリアは何を言ってるんだという顔をした。
「いいえ。全く」
魔法陣が放つ白い光が、一瞬のうちにどす黒い血の色に染まる。
途端、治ったはずの傷が、治る前の状態に戻り始めた。
「ぐ、ぐぉぉおおおおお⁉︎」
あまりの痛みに、ギルバートは叫び声を上げる。
ルーカスも初めて見る光景に目を剥いた。
ミリアは淡々と説明する。
「わたし、実家で毎日毎日父と部下たちの治癒をしていたんですけど、他の使い方ができないか模索していたんですよ」
そのまま治しては元に戻してを続ける。
延々と続く痛みに、ギルバートはそろそろ気絶しそうだ。
「そしてこうやって治癒魔法の反転が出来るようになったんですけど……『白衣の堕天使』なんてあだ名をつけられちゃいました」
照れ臭そうにはにかむミリアはとても可愛いが、やっていることは全く可愛くない。
ルーカスは流石にギルバートに同情した。追いついたウィルも殺意が薄れていく。
「ふふ、あなたはわたしを躾けるとかふざけたことを言ってましたけど、躾が必要なのは、あなたみたいですね?」
ミリアはぐったりとしたギルバートに張り手をかます。
ギルバートの頬は見事に腫れてきた。
「あぁ、あと、覚えてますかね? あなた、わたしが成長したら楽しみ、みたいなことも言ってましたけど……」
ミリアは聖母のように穏やかに微笑みかける。
「わたし、もう二十歳なんで、これ以上の成長は見込めませんわ。残念でしたね」
これにはその場にいた全員が驚く。せいぜい十四、五歳だと思っていたのだ。
驚異の童顔である。
ルーカスは少しほっとした。自分が実はロリコンの気があるのかと不安に思っていたのだ。
そこに、ウィルが報告を上げる。
「ローラから報告が。今日は定例会の日だったということで、あっさりと共犯者たち全員を取り押さえられたそうです」
「そうか、よくやった」
「どのように罰しますか?」
「今回の計画は万死に値するが、実行したのはこの男だけだしな。ウィル、記録用の魔道具を持ってきているか? この男が痛めつけられる様を見せれば、もう馬鹿な真似をする気にはならないだろう。ついでに、二度とこのような野望を持てない程度に財を没収しろ」
「はっ」
「この人はどうしますかー? もう少しわたしが躾けてもいいですかね」
ミリアの問いに、ルーカスとウィルは顔を見合わせる。
正直ルーカスも、生まれたことを後悔するほど自らの手で痛めつけてやりたいと思ったが……今のギルバートの惨状を見ると、いっそ気の毒とさえ思う。
「…………お前の気がすむまで躾けてやれ」
「はーい」
その日、魔王城の森で男の悲鳴が絶えることはなかった。
事後処理が済み、一息つけるようになると、ルーカスはミリアを呼び出した。
「どうしました?」
「……なぜ、お前はわざと攫われたんだ?」
ミリアはもじもじと恥ずかしそうな素振りを見せる。
「……実はですね、助けてくれたら結婚してもいいって言ったじゃないですか。あれ、ちょっと正しくないんです」
「どういうことだ?」
ルーカスが問い詰めた時、突然外から隕石でも衝突したような爆音が響いた。
「あ、来ましたね」
慌てるルーカスとは対照的に、ミリアは平然としている。
「ミリアを誑かした男は、どこだぁぁああああ⁉︎」
人とは思えない声量で、何者かが叫んでいる。
「わたしの父、すごく過保護なんです。わたしに護身術だと言って、自分の部下でも倒せるような武術を身につけさせて。で、常々言っていたことが、『自分より弱い男には嫁がせん』と」
ルーカスは背中に冷や汗が伝うのを感じた。
破壊音は、未だに続いている。そしてどんどん近づいている。
「魔法を素手で握りつぶすような『戦場の獅子』に勝てる男なんて、普通いないんで、嫁き遅れて結局二十歳なっちゃって」
ミリアが結婚できない理由は父親にあった。夜会デビューの日も、ミリアの可憐さに惹かれてふらふら寄ってきた男性たちは、父の殺気に当てられて皆失神してしまった。以来、夜会には行かないようにしていた。
国王に提示した条件は、相手が父に勝てるような強さを持つことだった。
ミリアはルーカスに抱きつく。
「で、この前の戦いでルーカスさまの実力が分かったんで、父に手紙を送ったんです」
『やっとお父さんに勝てそうな方に出会えました』
「……俺に、あの化け物と戦えと?」
魔王に父親を化け物呼ばわりされたミリアは、いい笑顔で親指を立てる。
「ルーカスさまなら互角に戦えるはずです! 傷ついたらわたしが癒しますので、ご安心を」
城の前に無数のクレーターを作るミリアの父を見て、生きて帰れるのだろうかとルーカスが途方に暮れていると、頬に柔らかい感触が。
「この前名前を呼んでくれたので、ご褒美です」
唇を耳元に寄せ、囁く。
「初恋の人が、唯一父に勝てそうな方だなんて、運命的ですね」
ルーカスの白皙の美貌は朱に染まる。
「……勝ったら、口づけてもいいか?」
ミリアは微笑んだ。
「もちろんですよ、わたしの魔王さま」
その周りを、激しい魔法の応酬に怯えた魔獣たちが囲んでいた。手慰みにその頭を撫でる。
(ルーカスさま、やっぱり強かったのね!)
ギルバートの火魔法も相当な威力だが、ルーカスはそれをいとも容易くいなしている。
「くっ、小癪な。これでも喰らえ!」
ギルバートが一際大きな魔法を展開すると、ルーカスの周りが巨大な火の壁で覆われる。
かなりの距離をとっているミリアでさえも肌がひりつくような熱を感じるのだ。囲まれた者はひとたまりもないだろう。
しかし、燃え盛る壁はうねりながら一つに纏まり、ギルバートに襲いかかる。
ルーカスが起こした風で炎を操ったのだ。
火に照らされたルーカスは神々しくさえあって、ミリアは見惚れてしまう。
「なっ⁉︎」
ギルバートは慌てて避けるが、間に合わず、逃げ遅れた右腕を負傷した。
腕を押さえ、たまらず膝をつく。
「どうした。もう終わりか?」
ルーカスの冷めた声音に、ギルバートはきっと睨みつけた。
「ふんっ。これくらいで負けを――っぐわっ」
ギルバートの体はいきなり成長した蔦に絡みつかれた。身体中の骨がみしみしと嫌な音を立てる。
「これ以上抵抗すると言うのなら、まず傷ついた右腕から折ってやろう」
「ぐっ……折るなら折るがいい。俺は絶対に、負けを認めないからな!」
窮地に立たされても、ギルバートの目に宿る闘志は消えていない。降伏する気が無いのは明白だ。
「……そうか」
ルーカスが手を振り上げかけたところに、ミリアが乱入する。
「お邪魔しますよ~」
「! ミリア、下がっていろと……」
ミリアは満面の笑みをルーカスに向ける。
「ルーカスさまがお強いことは、よーく分かりました。ここからは、わたしに任せてくださる?」
「……危ないことはするなよ?」
「わたしは危なくないです」
ギルバートは馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「何をするつもりだ? 腕を切られた意趣返しか?」
ミリアはその言葉を無視して、治癒魔法をかける。酷い火傷を負った右腕も、その他諸々の傷も、みるみる治っていく。
「そんな奴に治癒魔法をかけなくても……」
ルーカスは不服そうな声を上げる。ギルバートは悔しそうに歯噛みする。
「情けをかけるつもりか?」
ミリアは何を言ってるんだという顔をした。
「いいえ。全く」
魔法陣が放つ白い光が、一瞬のうちにどす黒い血の色に染まる。
途端、治ったはずの傷が、治る前の状態に戻り始めた。
「ぐ、ぐぉぉおおおおお⁉︎」
あまりの痛みに、ギルバートは叫び声を上げる。
ルーカスも初めて見る光景に目を剥いた。
ミリアは淡々と説明する。
「わたし、実家で毎日毎日父と部下たちの治癒をしていたんですけど、他の使い方ができないか模索していたんですよ」
そのまま治しては元に戻してを続ける。
延々と続く痛みに、ギルバートはそろそろ気絶しそうだ。
「そしてこうやって治癒魔法の反転が出来るようになったんですけど……『白衣の堕天使』なんてあだ名をつけられちゃいました」
照れ臭そうにはにかむミリアはとても可愛いが、やっていることは全く可愛くない。
ルーカスは流石にギルバートに同情した。追いついたウィルも殺意が薄れていく。
「ふふ、あなたはわたしを躾けるとかふざけたことを言ってましたけど、躾が必要なのは、あなたみたいですね?」
ミリアはぐったりとしたギルバートに張り手をかます。
ギルバートの頬は見事に腫れてきた。
「あぁ、あと、覚えてますかね? あなた、わたしが成長したら楽しみ、みたいなことも言ってましたけど……」
ミリアは聖母のように穏やかに微笑みかける。
「わたし、もう二十歳なんで、これ以上の成長は見込めませんわ。残念でしたね」
これにはその場にいた全員が驚く。せいぜい十四、五歳だと思っていたのだ。
驚異の童顔である。
ルーカスは少しほっとした。自分が実はロリコンの気があるのかと不安に思っていたのだ。
そこに、ウィルが報告を上げる。
「ローラから報告が。今日は定例会の日だったということで、あっさりと共犯者たち全員を取り押さえられたそうです」
「そうか、よくやった」
「どのように罰しますか?」
「今回の計画は万死に値するが、実行したのはこの男だけだしな。ウィル、記録用の魔道具を持ってきているか? この男が痛めつけられる様を見せれば、もう馬鹿な真似をする気にはならないだろう。ついでに、二度とこのような野望を持てない程度に財を没収しろ」
「はっ」
「この人はどうしますかー? もう少しわたしが躾けてもいいですかね」
ミリアの問いに、ルーカスとウィルは顔を見合わせる。
正直ルーカスも、生まれたことを後悔するほど自らの手で痛めつけてやりたいと思ったが……今のギルバートの惨状を見ると、いっそ気の毒とさえ思う。
「…………お前の気がすむまで躾けてやれ」
「はーい」
その日、魔王城の森で男の悲鳴が絶えることはなかった。
事後処理が済み、一息つけるようになると、ルーカスはミリアを呼び出した。
「どうしました?」
「……なぜ、お前はわざと攫われたんだ?」
ミリアはもじもじと恥ずかしそうな素振りを見せる。
「……実はですね、助けてくれたら結婚してもいいって言ったじゃないですか。あれ、ちょっと正しくないんです」
「どういうことだ?」
ルーカスが問い詰めた時、突然外から隕石でも衝突したような爆音が響いた。
「あ、来ましたね」
慌てるルーカスとは対照的に、ミリアは平然としている。
「ミリアを誑かした男は、どこだぁぁああああ⁉︎」
人とは思えない声量で、何者かが叫んでいる。
「わたしの父、すごく過保護なんです。わたしに護身術だと言って、自分の部下でも倒せるような武術を身につけさせて。で、常々言っていたことが、『自分より弱い男には嫁がせん』と」
ルーカスは背中に冷や汗が伝うのを感じた。
破壊音は、未だに続いている。そしてどんどん近づいている。
「魔法を素手で握りつぶすような『戦場の獅子』に勝てる男なんて、普通いないんで、嫁き遅れて結局二十歳なっちゃって」
ミリアが結婚できない理由は父親にあった。夜会デビューの日も、ミリアの可憐さに惹かれてふらふら寄ってきた男性たちは、父の殺気に当てられて皆失神してしまった。以来、夜会には行かないようにしていた。
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「この前名前を呼んでくれたので、ご褒美です」
唇を耳元に寄せ、囁く。
「初恋の人が、唯一父に勝てそうな方だなんて、運命的ですね」
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