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第十五話 乱戦
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地下へと続く梯子を降り、用水路に足を踏み入れたウルフ。
すると、しばらく進んだ先で、何者かに背後を取られ、
彼は歩みを止め、背後を取る者の言葉に、耳を傾けた。
「状況を報告して下さい、ウルフ」
ウルフが振り返った先には、ルィフメーに滞在するニカルクアの伝達員が、陰に佇んでいた。
ロビンの変装をしている者が、校舎を襲撃しているという、非常事態を前に、
状況報告を求める伝達員に対し、任務に就くウルフは、淡々と口を開いた。
「先に断っておく。
今、ロビンの格好で、軍学校を襲撃してるのは俺じゃない。
俺達の任務を妨害する第三者だ。
俺は今から、その第三者を止めにいく」
決意を抱いた眼差しを向けるウルフに、伝達員は言葉を送った。
「第三者が存在するのであれば、速やかに対処を。
少なくとも現状だけ見れば、
上層部は、貴方が乱心し凶行に出たと、認識する可能性があります。
最悪、貴方を切り捨てるかも」
するとウルフは、伝達員に向かって、鋭く返した。
「なら大佐に伝えてくれ。
俺は必ず、任務を遂行すると。
亡命対象を渡航させ、安全に本国へ送り出すと。
大佐ならこの言葉を、必ず信じるはずだ」
真っ直ぐな瞳を浮かべるウルフを見て、
伝達員は、しばらく沈黙を貫いた。
すると彼は、懐に手を入れ、ウルフへ物を手渡した。
「貴方の言葉、大佐殿にお伝え致します。
それと、伝達員の私に出来るのは、この程度のものですが...」
ウルフが手渡されたのは、ルィフメー王国製のナイフだった。
軍事国家ニカルクアでは、剣を主流に戦わない為、
ナイフの方が、得手であるウルフを気遣い、
ルィフメーの市場で、仕入れたナイフを、伝達員は手渡した。
思いがけない支援を受け、ウルフは、伝達員の手を掴んで、礼を言った。
「ありがとう、これで本領が発揮出来る」
するとウルフは、伝達員と別れ、用水路の先へと向かい、
地上へと、歩みを進めるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇
軍学校へ戻ってきたウルフは、野外演習場を通り、校舎を目指す。
すると地を駆ける彼の前に、二体の魔物が、突如として姿を現した。
「クソッ、こんな時に!」
ウルフは剣を抜き、行く手を阻む魔物に肉薄する。
魔物の体を、斬り上げる彼は、剣を振り上げた勢いをそのままに跳躍し、
もう一体の魔物の、脳天へ降下して、剣先を突き刺した。
魔物の急所から、剣を引き抜いたウルフは、
最初に斬撃を与えた魔物へ、トドメの一撃を薙ぎ払う。
二体の魔物を撃破した彼へ向かって、更なる魔物が、背後から襲いかかる。
瞬時に、殺気を感じ取ったウルフは、魔物の奇襲を、後退して回避すると、
すかさず、攻撃後の隙を狙い、魔物の頭部へ、剣先を突き刺した。
眉間を貫かれた魔物は、悲鳴を上げて、地面に倒される。
しかし、剣を握るウルフの周囲には、数多の魔物が群れを成して、彼を取り囲んでいた。
額から汗を垂らすウルフは、剣を手に勢いよく駆け抜け、魔物の群れを突破しようとする。
魔物達に接近する彼は、懐からナイフを手に取り、
剣とナイフを両手に握り、魔物の群れへ肉薄した。
剣による斬撃を、魔物に薙ぎ払うウルフは、後方から迫る敵へ、ナイフを突き刺し、
同時に、二本の刃を引き抜くと、舞うように宙へ跳び上がる。
落下する勢いをそのままに、別の魔物の頭部へ、剣を突き刺す彼は、頭部に乗りながら、
接近する他の敵へ、素早くナイフを投げつけた。
深々と剣を突き刺され、ウルフに頭部へ乗られる魔物は、
音を当てて、地面に転倒すると、ウルフは剣を引き抜き、
ナイフを投げつけた魔物に向かって、間髪入れず、トドメの斬撃を薙ぎ払う。
魔物から血飛沫の上がる中、ウルフは、ナイフを引き抜くと、
ゾロゾロと迫りくる魔物の群れを前に、彼は、乱れた呼吸を整えた。
「クソッ、どれだけ数がいるんだ...」
すると校舎の方から、新たに大きな火の手が上がり、
ウルフは、切迫した表情を浮かべる。
「くっ、襲撃者がまだ校内にいるのか!
ならここで、時間を使っている場合じゃない!」
ウルフは、剣とナイフを構え、魔物の群れに向かって、勢いよく接近する。
「そこを退けぇ!!」
通り際に、魔物を剣で斬り裂くウルフは、駆けながら更に別の魔物を、ナイフで斬りつける。
迫る魔物に向かって彼は、急所に剣を突き刺し、
無力化すると、剣を引き抜いた勢いで、死角から攻め込む敵目掛けて、刀身を振り下ろした。
続けて襲いかかる魔物を、迎え撃つように、ウルフは近付いてきた眉間に、
ナイフを突き立て、刃を引き抜いて、生命活動を終わらせる。
駆け抜けた道に、魔物の骸を作り上げるウルフ。
しかし周囲には、次々と魔物が現れ、彼に殺意を向け、ゆっくりと迫りくる。
無尽蔵に出現する、魔物の群れを前に、ウルフは体力を消耗させた。
戦いの疲労で、息の上がる彼は、魔物に取り囲まれる中、
火の手の上がる校舎を見つめる。
軍学校に居る生徒達を救う為、襲撃者の凶行を止める為、
ウルフは絶体絶命の中、剣を握りしめた。
そんな彼の元に、一人の少女が姿を現す。
「ぼ、僕も戦う!君一人に、苦労を背負わせられないよ!」
ウルフが視線を向けた先には、剣を構えたシルビアの姿があった。
すると、しばらく進んだ先で、何者かに背後を取られ、
彼は歩みを止め、背後を取る者の言葉に、耳を傾けた。
「状況を報告して下さい、ウルフ」
ウルフが振り返った先には、ルィフメーに滞在するニカルクアの伝達員が、陰に佇んでいた。
ロビンの変装をしている者が、校舎を襲撃しているという、非常事態を前に、
状況報告を求める伝達員に対し、任務に就くウルフは、淡々と口を開いた。
「先に断っておく。
今、ロビンの格好で、軍学校を襲撃してるのは俺じゃない。
俺達の任務を妨害する第三者だ。
俺は今から、その第三者を止めにいく」
決意を抱いた眼差しを向けるウルフに、伝達員は言葉を送った。
「第三者が存在するのであれば、速やかに対処を。
少なくとも現状だけ見れば、
上層部は、貴方が乱心し凶行に出たと、認識する可能性があります。
最悪、貴方を切り捨てるかも」
するとウルフは、伝達員に向かって、鋭く返した。
「なら大佐に伝えてくれ。
俺は必ず、任務を遂行すると。
亡命対象を渡航させ、安全に本国へ送り出すと。
大佐ならこの言葉を、必ず信じるはずだ」
真っ直ぐな瞳を浮かべるウルフを見て、
伝達員は、しばらく沈黙を貫いた。
すると彼は、懐に手を入れ、ウルフへ物を手渡した。
「貴方の言葉、大佐殿にお伝え致します。
それと、伝達員の私に出来るのは、この程度のものですが...」
ウルフが手渡されたのは、ルィフメー王国製のナイフだった。
軍事国家ニカルクアでは、剣を主流に戦わない為、
ナイフの方が、得手であるウルフを気遣い、
ルィフメーの市場で、仕入れたナイフを、伝達員は手渡した。
思いがけない支援を受け、ウルフは、伝達員の手を掴んで、礼を言った。
「ありがとう、これで本領が発揮出来る」
するとウルフは、伝達員と別れ、用水路の先へと向かい、
地上へと、歩みを進めるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇
軍学校へ戻ってきたウルフは、野外演習場を通り、校舎を目指す。
すると地を駆ける彼の前に、二体の魔物が、突如として姿を現した。
「クソッ、こんな時に!」
ウルフは剣を抜き、行く手を阻む魔物に肉薄する。
魔物の体を、斬り上げる彼は、剣を振り上げた勢いをそのままに跳躍し、
もう一体の魔物の、脳天へ降下して、剣先を突き刺した。
魔物の急所から、剣を引き抜いたウルフは、
最初に斬撃を与えた魔物へ、トドメの一撃を薙ぎ払う。
二体の魔物を撃破した彼へ向かって、更なる魔物が、背後から襲いかかる。
瞬時に、殺気を感じ取ったウルフは、魔物の奇襲を、後退して回避すると、
すかさず、攻撃後の隙を狙い、魔物の頭部へ、剣先を突き刺した。
眉間を貫かれた魔物は、悲鳴を上げて、地面に倒される。
しかし、剣を握るウルフの周囲には、数多の魔物が群れを成して、彼を取り囲んでいた。
額から汗を垂らすウルフは、剣を手に勢いよく駆け抜け、魔物の群れを突破しようとする。
魔物達に接近する彼は、懐からナイフを手に取り、
剣とナイフを両手に握り、魔物の群れへ肉薄した。
剣による斬撃を、魔物に薙ぎ払うウルフは、後方から迫る敵へ、ナイフを突き刺し、
同時に、二本の刃を引き抜くと、舞うように宙へ跳び上がる。
落下する勢いをそのままに、別の魔物の頭部へ、剣を突き刺す彼は、頭部に乗りながら、
接近する他の敵へ、素早くナイフを投げつけた。
深々と剣を突き刺され、ウルフに頭部へ乗られる魔物は、
音を当てて、地面に転倒すると、ウルフは剣を引き抜き、
ナイフを投げつけた魔物に向かって、間髪入れず、トドメの斬撃を薙ぎ払う。
魔物から血飛沫の上がる中、ウルフは、ナイフを引き抜くと、
ゾロゾロと迫りくる魔物の群れを前に、彼は、乱れた呼吸を整えた。
「クソッ、どれだけ数がいるんだ...」
すると校舎の方から、新たに大きな火の手が上がり、
ウルフは、切迫した表情を浮かべる。
「くっ、襲撃者がまだ校内にいるのか!
ならここで、時間を使っている場合じゃない!」
ウルフは、剣とナイフを構え、魔物の群れに向かって、勢いよく接近する。
「そこを退けぇ!!」
通り際に、魔物を剣で斬り裂くウルフは、駆けながら更に別の魔物を、ナイフで斬りつける。
迫る魔物に向かって彼は、急所に剣を突き刺し、
無力化すると、剣を引き抜いた勢いで、死角から攻め込む敵目掛けて、刀身を振り下ろした。
続けて襲いかかる魔物を、迎え撃つように、ウルフは近付いてきた眉間に、
ナイフを突き立て、刃を引き抜いて、生命活動を終わらせる。
駆け抜けた道に、魔物の骸を作り上げるウルフ。
しかし周囲には、次々と魔物が現れ、彼に殺意を向け、ゆっくりと迫りくる。
無尽蔵に出現する、魔物の群れを前に、ウルフは体力を消耗させた。
戦いの疲労で、息の上がる彼は、魔物に取り囲まれる中、
火の手の上がる校舎を見つめる。
軍学校に居る生徒達を救う為、襲撃者の凶行を止める為、
ウルフは絶体絶命の中、剣を握りしめた。
そんな彼の元に、一人の少女が姿を現す。
「ぼ、僕も戦う!君一人に、苦労を背負わせられないよ!」
ウルフが視線を向けた先には、剣を構えたシルビアの姿があった。
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