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第二章『予想外!意外と良い場所魔王国!』

関話 ひとりぼっちのえいゆう

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『ひとりぼっちのえいゆう』
著者 ディア ダーボー
保管場所 魔王国 魔王城書庫 準禁書庫・王国 王城書庫 禁書庫



とある夏のある日、突如魔王が現れた。

魔王はこの世界に混沌と滅びをもたらす存在で、この大陸の真ん中に魔王城を作った。

魔王はそこにいた人達を魔族にしてしまい、魔族は魔王を崇拝するようになりました。

これは危ないと思った王は、各国の王へ、『勇者召喚の儀式』をするように提案しました。

その提案は賛成され、次に『勇者召喚の儀式』をどの国がするのかを決める事になりました。

王達が話し合った結果、ジャブマラユ王国がする事になりました。

ジャブマラユ王国は国中から魔力が多い魔術師を集め、一年間がんばって魔力を魔方陣に入れ続けた結果、ようやく二人の男と女の勇者を呼び出す事ができました。

最初、呼び出された勇者達は酷く困惑していましたが、たまたまそこに居合わせた旅人が話をすると、あっという間に納得してしまいました。

それを見た王様は、旅人を気に入り、勇者達の旅についていく許可を与えました。

旅人は渋っていましたが、勇者達の説得によりついていく事になりました。

勇者達は、城で装備品を整え、少しの訓練をしました。

旅人はその様子を見て、勇者達にいくつかの魔道具を渡した。

それはどれも国宝級で、王はなぜそれを持っているのかを聞き出そうとしましたが、ことごとくはぐらかされてしまいました。

そしてしばらくたったある日、魔王が魔族を連れてジャブマラユ王国に攻めてきました。

魔族達は空を飛び、魔物を操り、魔法を使って攻撃してきました。

王国の兵士達は、弓や魔法を使って対抗しましたが、魔族には敵いませんでした。

だけど王国には勇者達がいます。

勇者達は魔法を使い、魔族を落とすと、剣で攻撃して倒しました。

勇者達が怪我をすると、旅人が回復魔法やポーションを勇者達に使い、傷を癒しました。

そして2ヶ月が経ち、魔王率いる魔族達は撤退していきました。 

国民は大喜び、だが勇者達は違いました。

勇者達は「このままでは他の国が狙われてしまう、そうならない為にも魔王を倒さねば」と言って魔王討伐の旅に出ました。

その旅は、過酷な事が一杯ありました。

巨大なモンスター、大自然の猛威、突如現れた深いダンジョンなど、どれもが大変で、つらいです。

だけど勇者達はくじけずに魔族の住んでいる魔王城まで行きました。

その途中、何度か魔族とも戦いました。

魔族はとても強く、勇者達と旅人の援護をあわせてようやく倒せる強さでした。

そして、魔王城へ到着しました。

魔王城は禍々しく、暗い雰囲気で、物凄い威圧感がありました。

勇者達が中へ入って少し進むと魔族が現れました。

彼女は四天王の一人《狂愛》と名乗りました。

《狂愛》は、魅了チャームを使い男の勇者を魅了しようとしました。

だがそれは効きませんでした、魅了チャームは自分が心に決めた相手がいると、効かなくなるからです。

そして、《狂愛》は倒されました。

また、部屋を移動すると、今度は四天王の一人《狂遊》と名乗る少年の魔族が現れました。

勇者達が魔法を撃つと、するすると避け、剣で攻撃しようとすると、宙に浮かんでしまいました。

そして空中で魔法を乱射して来ました。

勇者達は防ぐので手一杯でしたが、旅人がある道具を投げると一瞬強い光が出て、魔族は落ちて、魔法は乱れて壊れました。

そこを勇者達が攻撃して、倒しました。

次の部屋に行くと、四天王の一人《狂食》と名乗る肥太った大男が現れました。

勇者達が魔法を使い、《狂食》を攻撃すると、《狂食》は大きく口を開け、魔法を飲み込んでしまいました。

そして地面を叩いて、土のゴーレムを作り出しました。

勇者達は土のゴーレムを倒しながらどうやって倒すかを考えました。

そして倒しきった後、ある方法を思い付きました。

勇者達は《エクスプロージョン》の魔法を《グラビティ》で球状にして、《狂食》に投げつけました。

《狂食》はそれを食べようとしましたが、口に入れた途端、爆発してしまい、口の中を焼かれてしまいました。

こうして《狂食》は倒されました。

次の部屋では、四天王最後の一人《狂眠》と名乗る眠そうな少女が居ました。

《狂眠》は勇者達に向かって《スリープ》を掛けますが、勇者達は魔法でそれを解きました。

しかし旅人はそれを解く前に眠ってしまいました。

《狂眠》は旅人に向かって魔法を撃ちますが、勇者達が防御します。

そして旅人の《スリープ》を解いてから、《狂眠》は倒されました。

これで、残るは魔王のみとなりました。

勇者達は豪華で大きな漆黒の扉を開けます。

するとそこには豪華なローブに歪に歪んだ杖、紫色の肌に二本の角を持った魔王が、玉座に座っていました。

魔王は勇者に問いました。

「勇者よ、一つ問おう、なぜお前達は矮小な人間などを助ける、人間は欲の塊だ、お前達、こっちへ来ないか?欲深い人間よりこちらの方がいいと思うが」

その提案を勇者は断り、魔王は「残念だ」と言って、魔法を使いました。

魔王の魔法は横に伸びる黒い光の柱となり、勇者達を包みました。

それで勇者達は倒れたと魔王は思いましたが、旅人が魔王の攻撃を防いでいました。

そして旅人は薬品を二つ、魔王に投げました。

一つは毒薬、もう一つは弱体化薬です。

それを浴びた魔王は動きが遅くなり、魔法の威力も下がりました。

だが魔王は魔王です、それでも強い魔王に勇者達は苦戦しましたが、旅人の援護もあり、残りの一撃まで追い詰めました。

そして魔王は倒される時に、こう言い残しました。

「我を倒したとしても世界が平和になるわけでは無い、日々人間同士で戦争や騙し合いをする世の中は平和とは言えん、我を倒した後、お前達の居場所も我を殺して暫くしたら無くなるであろう」

そして魔王は倒されました。

ジャブマラユ王国に戻った勇者達は王国の民達から手厚い歓迎を受けて、一躍英雄となりました。

そして世界を救った勇者達は王国に残り、英雄となった旅人はまた、旅に出ることになりました。

こうして世界は平和になったのでした、めでたしめでたし………








………三年後、世界を救った勇者達の人気は衰えず、勇者達を次の王にするべきという意見も上がってきていた。

勇者達は声明、戦闘力、賢さの全てがあり、王となるには相応しい人達です。

その事を聞いた王様は、自分が勇者に倒され、王位を奪われるのではないかと不安になりました。

そこで王様は魔王討伐記念日の日、勇者を自室に呼び出しました。

呼ばれた勇者達はノックをしましたが、いくら待ってもノックは帰ってきません。

不思議に思った勇者達は王様の部屋のドア開けようとすると、簡単に開いてしまいました。

王様に何かあったのかと思った勇者達は急いで部屋の中へ入り、辺りを見渡しました。

するとそこには倒れた王様がいた。

助けようとして王様に近づこうとした途端、部屋の外から大勢の足音が聞こえてきました。

その大勢の足音の正体は兵士達で、兵士達は部屋に入ってくるなりこう言いました。

「勇者達よ、まさか王位欲しさにこんな事をするとは………仕方あるまい、勇者達を拘束しろ!」

勇者達はそんな事していないと言いましたが、兵士達はそれを聞かずに勇者達に首輪をつけてしまいました。

首輪の効果で体が重くなった勇者達は、何だか眠くなってきました。

その薄れ行く意識の中で最後に見たのは、薄目を開けて邪悪な笑みを浮かべている王様の顔でした。

そして目が覚めた後、勇者達は処刑台の上に居ました。

回りには昨日まで勇者様万歳と声を上げていた国民達。

その誰もが「勇者様達がこんな人だったなんて」と言っていました。

勇者達は察しました、嵌められたのだと。

勇者達はギロチンの台の上に首を乗せられています。

そしてギロチンが下がりきるまで、勇者達は旅人の安否を心配していましたとさ………








………魔王討伐の三年後、魔王討伐記念日の日、旅人は久しぶりに王都へ立ち寄った。

理由は勇者達と会う約束をしているからである。

旅人は毎年この時期になると人がごった返してお祭り騒ぎになっている事を知っていた。

なのに今年は一人も人がいない、辛うじて門番はいたので王都へ入り、勇者達にこの理由を聞こうかと思った時、旅人は人だかりを見つけた。

なぜ皆が集まっているのかが気になって、旅人はその中心へと移動した。

人混みを抜けた先で旅人は見てしまった………勇者達が首を切られる所を。

旅人は急いで処刑台に上がり、そこにいた兵士の胸ぐらを掴み、事情を聞いた。

そして旅人は勇者達が王様を殺害しようとしたと言われた。

旅人は王様にそんな事はしないと力説しましたが、王様は「こいつが首謀者かもしれん、こいつを引っ捕らえよ」と言って旅人を捕まえようとしました。

旅人は両腕と両膝を地面について泣いていました。

旅人は絶望しました、勇者達という大切な人が人間によって殺された事に。

旅人は理解しました、人間という種族の愚かさを。

旅人は泣き崩れました。

それと同時に旅人の足元が凍りつき始めました。

兵士達は魔力が漏れただけと思い気にせずに旅人を捕まえようとしました。

だがそれは間違いでした。

兵士は凍った場所に触れた瞬間、一気に氷の氷像へと変化し、砕け散ってしまいました。

それを見た住人達は、大慌てで逃げ出しました。

だが、住人の半分は謎の結界によって閉じ込められてしまいました。

その閉じ込められた人は、勇者達が魔王を倒した時には勇者達に黄色い声援を送り、王様に嵌められた時には罵倒などを吐いていた人達でした。

氷はゆっくりと広がっていき、裏で悪い事をしていたメイド、国を思うがままに操ろうとしていた宰相、勇者達を嵌めた王様など、次々と凍りつき砕けちって行きました。

どうやら悪い事をした人、悪い人が閉じ込められたようです。

その他の人は家から大事な物を集め、他の国へ逃亡し始めました。

それから一年後、ジャブマラユ王国の全領土が完全に凍りついた時、氷の増殖は止まりました。

その中心には助けた人達から裏切られ、仲間も殺された『ひとりぼっちのえいゆう』が佇んでいましたとさ。
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