お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――

敬二 盤

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第三章前編『おいでませ!竜人の世界!』

第十五話 脳内世界での出来事

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視点変更 実穂→三人称


暗く、なにも見えない闇の中で、双子は踞っていた。

((暗い怖い痛い冷たい悲しい虚しい辛い暗い悲しい痛い怖い虚しい))

渦巻く混沌は双子を包み、精神の要を徐々に削っていた。

そして双子は安らぎを求めて片割れを探す、二人の距離が近くなるにつれて混沌は力を増し、離れると弱まっていく。

しかし双子はどんどんと近づいていく。

その様子はまるで亡者の様で、地べたをズルズルと這いずっていた。

途中、山場の様に痛みがとてつもなく強くなる事があったが、双子は耐え、ついに互いの姿を認識した。

その瞬間、耐え難い程の苦痛が二人を襲ったが、それでも諦めずに手を伸ばし、互いの手を握った。

そして二人は村の全ての竜人に黙っていたとある事を実行した。

「「《ドラゴニックパラライズ》」」

そう二人で唱えると、体の痛みは消え、残すのは不安感だけとなった。

しかしそれも片割れが側に居るので消えて、二人は自由に動ける様になった。

そうして"右の角"を生やしたヨウタと"左の角"を生やしたインカは手を繋ぎながら周りを見渡した。

二人の周りには混沌が相変わらず渦巻いているが、辛うじて隙間から外の様子を見る事はできる。

外は何もなく、真っ暗な世界が続いていた。

竜人は夜目が効くので、何かあったらわかる筈なのだが………何もわからなかった。

「………ここ、何処だろう?」

「もしかして………地獄なの?」

「そんな事言っちゃ駄目だって! きっと夢だよ! そうだよきっとね!」

インカが暗い事を言うと、ヨウタが励ます。

いつものやり取りに二人はホッとしていた。

そんな中、二人の背後からコトッ、コトッと足音が聞こえてきた。

双子はビックリして振り返った。 そしてそこには驚きの光景が広がっていた。

そこには………双子の母親が亡者の様に地べたを這いずりながら"大量に"近づいてきていた。

二人はゾッとして逃げ出そうとした。

しかし、足元がいきなり盛り上がり、そこから新しい母親が出てきて二人の足を掴んだ。

躓いた二人はその拍子に手を離してしまい、不安感が蘇ってきた。

恐怖で身が縮まった二人は逃げ出そうとしたが、上手く足が動かせない。

母親達がゆっくりと近付いてきて足を捕まれている。

そんな絶望的な状況は二人の精神を崩壊させるのに十分な恐怖だった







………………筈だった。

「うわっ! ゾンビ映画みたい!………ってあれ? あの人達って双子のお母さんなんじゃ………何で大量に居るの?」

暗い場面に似合わない、どこか陽気な声が聴こえてきて、双子は少しであるが、恐怖に耐える事ができた。

『ちょっと!? 実穂! 何で二人同時に手を繋いじゃったの!? というより何で押し出すだけって言ったのにリンクしちゃってるの!?』

「だって勝手に反応しちゃったし。 二人同時だったのは………繋いでって言われたからそうなのかなぁって思って………」

『………説明不足だったかぁ………って! 制御が追い付かない!? …………あぁ! もう! 光海!『 Connect to main server』』

『了解です『Connecting to main server』………『Connection completed』』

珍しいライトの投げやりな声を聞きながら、実穂は双子の手を繋ぐと、ポツリと呟いた。

「《リフレッシュ》」

すると双子の不安感は取り除かれ、周りの混沌も消え去った。

そして双子は目の前に女性がいる事に気が付いた。

その女性は太陽の様な笑みを浮かべて、双子が無事だった事を喜んでいた。

そんな中、その実穂の後ろにいた大量の双子の母親が崩れ、混沌へと変わり、実穂へ憑こうと一斉に飛びかかってきた。

それを見て、双子は実穂に抱きつき、実穂の背中で互いの手を握り、こう唱えた。

「「《エンシェントドラゴンブレス》!」」

古竜のブレスと全く同じ魔力量のブレスが、双子の握った手から放たれる。

そのブレスは目の前一面に広がり、混沌を一つ残らず焼き払った。

そしてその混沌から、何かが落ち、ベチャッ!と音を立てた。

混沌の残骸が晴れ、その姿が露になる。

そこに居たのは………双子の、母親だった。

双子の母親は所々が溶け、そこから黒い何かが煙として溢れ出ている。

「イン……カァ…………ヨ…ウタァ………。」

双子の母親はゆっくりと這いずりながら近付いてくる。

双子は少し怯えながらも近付くか迷っている様だ。

そんな中、実穂はライトに尋ねた。

「ライト? 双子の方はもう押し出しちゃって良いよね?」

『え?………ま、良いんじゃない? それよりもお母さんの方が大事なんだけど………まさかここまで入れ替わりが進んでるとはね………魂、戻さない方が良かったかな?』

光海に指示を出した事で普通に会話が出来る位の余裕ができたライトは、返事をしてから考え込む様な声を出した。

「………お母さんはどうなるの?」

「助かるの?」

双子は不安げに実穂を見上げる。

それに対して実穂は、安心させる様に双子の頭を撫でた。

「大丈夫だよ、私がどうにかやってみるし、出来なくてもライトが何とかしてくれるよ!」

『過剰な期待は止めて欲しいんだけど……』

ライトの呟きは誰にも聞かれず、双子は実穂に頭を下げた。

「「お母さんを、よろしくお願いします!」」

「うん、頑張るよ!………じゃあ、また外で会おう!」

そして実穂は双子に魔力を流す。

すると双子は、スッと消えてしまった。

「………じゃあ、次はお母さんの番だね?」

そう言うと、実穂はお母さんに近付いていった。

「イン………カァ…ヨウタ……ァ」

実穂が近付くにつれて、お母さんから吹き出る黒い煙が実穂に襲いかかってくる。

しかし、それを許すライトではなく、近付いてくる煙を次々と消していった。

『………光海、アカレコ使っちゃ駄目?』

『駄目です、お母さんの魂が弾け飛びますよ?』

『………実穂ー、演算で力尽きる前に何とかしてー』

実穂はそれに頷くと、母親の前で立ち止まった。

双子の母親はゆっくりと立ち上がると、腕を振り上げて引っ掻こうとしてきた。

しかし、その動きは止まった。

何故なら………実穂が母親に抱き付いたからだった。

「………辛かったね? 子供が傷つけられてるのに何もできなくて………苦しかったよね? 自分が無力過ぎて………私も、化物と戦ってた時にそんな気持ちになったよ………それの何十倍もの苦しみを、良く耐えたね………」

呟く様に話し出した実穂の声は、何処か憂いを纏っていて、悲しそうだった。

「これから双子がこの里でどうやって過ごしていくのかはわからないよ、だけど………お母さんが笑顔なら子供もきっと、笑顔になっていくんだと思うよ」

その言葉に母親から溢れている煙が揺らめいた。

実穂はそれを見て、母親に魔力を込めていく。

「だからね?」

黒い煙はそれによって消え、母親の体から一気に緑色のエネルギーが溢れ出した。 そして母親の体も輝きだし………

「帰ろう? 子供達の元へ」

一粒の涙を落とし、母親は消え去った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディメン「どうも皆さんこんにちは、あとがき担当のディメンだぜ」

ライト「どうも皆さんこんにちは、失敗して消滅されても困るしもう良いやって感じに光海の秘密を一つ解放した、ライト スターダストです」

ディメン「………いや、あれだけじゃ解説とかしない限り大丈夫だろ」

ライト「そうかなぁ? 世界には色んな人が居るからね? 洞察力が物凄い人ならわかったりするかもね?」

ディメン「ま、大丈夫だろ………今回のステータスだぜ」


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・進和 実穂 
・性別 女 年齢 18歳
・種族 人間
・職業  ?
・LV 8  38/40
・握力 5
・HP 37
・MP 120
・AT  24
・DE 28
・IN 30
・MD 28
・AG 23
・EX 15

スキル
・支援魔法支配 Lv 2
・聞き耳 Lv 3
・合成魔法 Lv 5
・読み聞かせLv 4

パッシブスキル
・異世界言語
・?高?の?護
・自衛術
・幻影魔法耐性Lv 1
・森羅万象(一部封印中)

加護 呪い

称号
・異世界人
・?高?の?護
・助けられた者
・空を飛ばされし物
・トラブルメーカー
・弱者
・強者
・生者
・死者
・支援の支配者


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディメン「そういや演算処理が大変って言っていたが………今回《性格変換》使ってたか?」

ライト「《性格合成》なら使ってたよ? 少し前にデメリット付きの裏技を見つけたから少し試してたけどね?」

ディメン「どんなのだ?」

ライト「合成する順番の一番最初を《勇者》にする事で二番目の性格のまま三番目の能力を使う事に成功したよ………デメリットは三つまでしか混ぜられなくなる事だね?」

ディメン「って事は今回は《勇者》《天爛》《計算》の順番で混ぜてたんだな?」

ライト「イグザクトリー♪」

ディメン「それでも足りなかったって………どんだけ重い演算なんだよ………」

ライト「常に変化し続ける世界の情報を一ミリ残らず元に戻す位かな?」

ディメン「………それ、実際にやってた事だろ………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」

ライト「誤字脱字やストーリー矛盾等がありましたらご報告の方をお願いします」

ディメン「それでは皆さん」

ディメン&ライト「「さようなら」」
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