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第三章後編『やっとついた?アストロデクス王国!』
プロローグ 動き始めた闇
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「国王様、近頃魔物が凶暴化しているとの報告が相次いでいます」
「うむ………被害は?」
ここはアストロデクス王国首都の中心部にある城の執務室。
そこでは真面目そうな執事と難しそうな顔をしている大柄の男性………国王が向かい合っていた。
「民家が三軒、家畜十五頭ですね………あくまで現在わかっている時点での被害ですので、首都から離れた場所では何十倍もの被害が出ているでしょう」
「………そうか」
国王は悲しげな顔をしてから、机に設置されている魔道具を取り、耳に当てた。
「………またあの方に協力を頼むのですか?」
執事はまだ早いと言うかの様に諌めた。
「………恐らく今回の凶暴化は自然の物では無いだろう、丁度増え始めたタイミングが帝国の勇者召喚の時期と一致しているからな。………そして放置しておけば大きな災厄となる予感がする」
「作用でございますか」
執事は納得して、魔道具の本体に魔石を填めた。
すると魔道具は輝きだし、光の線が国王の持っている魔道具へと繋がった。
『………こんな時にどうしたの? 王様?』
その魔道具からは何故か不機嫌な子供の様な声が聞こてきた。
「少々頼みたい事があってな。 その為に連絡をしたのだが………お取り込み中か?」
『まぁそうだね。その用事は後で聞いてあげるよ。 あと数日でそっちに着くからね?』
王様と執事はそんな軽い感じの発言に驚いた。
二人の予想では、もう少し遅いと思っていたのだ。
『………あっ、そうだ!』
子供の声の主は突如思い付いたかの様に声を上げた。
『ねぇ、君達に質問なんだけどね? 今からすぐにギャラフ領のリバの町に修復金を送るか、乱暴で性格が悪く、横暴なAランク冒険者をボコボコにされる。 どっちの方が良い?』
その言葉を聞いて、二人は察した。
"これ、仲間が絡まれて起こってるな"と。
「………Aランク冒険者は町に必要な存在だが………その町は他にも居たな?」
「えぇ、Sランク冒険者『終演のジャスミン』が拠点としている筈です」
………二人は顔を見合せ、頷いた。
「良いぞ? ボコボコにしてやれ」
「一人の冒険者の為に複数の将来有望な冒険者が被害を受けるなど許せませんからね?」
二人は何故か楽しげな表情をしていた。
『了解♪ それじゃ、用件は今日の夜、一人で直接聞きに来るとするよ。 それじゃあまた今夜!』
子供の声の主がそう言うと、魔道具の輝きが止まった。
「………あそこの町のAランクと言うと………あいつだったな?」
「えぇ、何人もの冒険者を止めさせている、厄介者なので逆にありがたいですね」
そしてこの二人は思った。
"そんな奴があいつの精神攻撃に耐えられるのか?"と。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ジトジトと湿っていて暗い洞窟の中、謎の黒いローブを被った男が血を流しながら魔法陣を書いていた。
ポタポタと流れる血が、ゆっくりと線の形になっていき、少しづつ赤黒く染まっていく。
そして、その男の周りにはおびただしい量の魔法陣が張り巡らされている。
壁や床は勿論、天井や水の中、水の上にまで血で描かれていた。
水の波紋でも崩れる事は無い魔法陣一つ一つからは、謎のオーラが立ち上っている。
「Gugyaaaaa!」
そんな異様な光景の中、突如洞窟の奥から急に巨大な蜥蜴が叫びながら謎の男に向かって行った。
「………」
謎の男はユラリと立ち上がり、近付いてきた蜥蜴の首にある、鱗と鱗の隙間に刃が真っ赤に染まった槍を突き刺した。
「Gugyaa!?」
蜥蜴はその槍が刺さったまま暴れていたが、暫くすると動きが鈍くなり、動かなくなった。
その蜥蜴の死体を男はズルズルと引きずり、近くの魔法陣の上に置いた。
すると魔法陣は黒く輝きだし、紫色の煙を出しながら蜥蜴を取り込んでいった。
その紫色の煙が他の魔法陣に触れた途端、触れられた魔法陣は蜥蜴が取り込まれた魔法陣と同じ様に黒く輝き出し、魔法陣の模様がゆっくりと消えていく。
その消えている場所から、上位魔法文字が浮き上がり、何かを形作っていく。
そして魔法陣が完全に消えると同時に、何かを形作っていた文字は固まる様に圧縮され………"取り込まれた筈の蜥蜴"が作られた。
それを見習うかの様に周りの魔法陣も消えていき、次々と蜥蜴が作られていく。
その様子を謎の男は、喜ぶでもなく、悲しむでもなく、ただボーっと見つめていただけだった。
暫く経って大量の蜥蜴が洞窟の外に出ていった後、男はまた指先をナイフで切って魔法陣を作り始めた。
その様子は淡々としていて冷静そうに見えるが、そうでは無いのだろう。
詳しい事はわからないが、少なくとももう壊れている事は確かなのだった。
「うむ………被害は?」
ここはアストロデクス王国首都の中心部にある城の執務室。
そこでは真面目そうな執事と難しそうな顔をしている大柄の男性………国王が向かい合っていた。
「民家が三軒、家畜十五頭ですね………あくまで現在わかっている時点での被害ですので、首都から離れた場所では何十倍もの被害が出ているでしょう」
「………そうか」
国王は悲しげな顔をしてから、机に設置されている魔道具を取り、耳に当てた。
「………またあの方に協力を頼むのですか?」
執事はまだ早いと言うかの様に諌めた。
「………恐らく今回の凶暴化は自然の物では無いだろう、丁度増え始めたタイミングが帝国の勇者召喚の時期と一致しているからな。………そして放置しておけば大きな災厄となる予感がする」
「作用でございますか」
執事は納得して、魔道具の本体に魔石を填めた。
すると魔道具は輝きだし、光の線が国王の持っている魔道具へと繋がった。
『………こんな時にどうしたの? 王様?』
その魔道具からは何故か不機嫌な子供の様な声が聞こてきた。
「少々頼みたい事があってな。 その為に連絡をしたのだが………お取り込み中か?」
『まぁそうだね。その用事は後で聞いてあげるよ。 あと数日でそっちに着くからね?』
王様と執事はそんな軽い感じの発言に驚いた。
二人の予想では、もう少し遅いと思っていたのだ。
『………あっ、そうだ!』
子供の声の主は突如思い付いたかの様に声を上げた。
『ねぇ、君達に質問なんだけどね? 今からすぐにギャラフ領のリバの町に修復金を送るか、乱暴で性格が悪く、横暴なAランク冒険者をボコボコにされる。 どっちの方が良い?』
その言葉を聞いて、二人は察した。
"これ、仲間が絡まれて起こってるな"と。
「………Aランク冒険者は町に必要な存在だが………その町は他にも居たな?」
「えぇ、Sランク冒険者『終演のジャスミン』が拠点としている筈です」
………二人は顔を見合せ、頷いた。
「良いぞ? ボコボコにしてやれ」
「一人の冒険者の為に複数の将来有望な冒険者が被害を受けるなど許せませんからね?」
二人は何故か楽しげな表情をしていた。
『了解♪ それじゃ、用件は今日の夜、一人で直接聞きに来るとするよ。 それじゃあまた今夜!』
子供の声の主がそう言うと、魔道具の輝きが止まった。
「………あそこの町のAランクと言うと………あいつだったな?」
「えぇ、何人もの冒険者を止めさせている、厄介者なので逆にありがたいですね」
そしてこの二人は思った。
"そんな奴があいつの精神攻撃に耐えられるのか?"と。
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ジトジトと湿っていて暗い洞窟の中、謎の黒いローブを被った男が血を流しながら魔法陣を書いていた。
ポタポタと流れる血が、ゆっくりと線の形になっていき、少しづつ赤黒く染まっていく。
そして、その男の周りにはおびただしい量の魔法陣が張り巡らされている。
壁や床は勿論、天井や水の中、水の上にまで血で描かれていた。
水の波紋でも崩れる事は無い魔法陣一つ一つからは、謎のオーラが立ち上っている。
「Gugyaaaaa!」
そんな異様な光景の中、突如洞窟の奥から急に巨大な蜥蜴が叫びながら謎の男に向かって行った。
「………」
謎の男はユラリと立ち上がり、近付いてきた蜥蜴の首にある、鱗と鱗の隙間に刃が真っ赤に染まった槍を突き刺した。
「Gugyaa!?」
蜥蜴はその槍が刺さったまま暴れていたが、暫くすると動きが鈍くなり、動かなくなった。
その蜥蜴の死体を男はズルズルと引きずり、近くの魔法陣の上に置いた。
すると魔法陣は黒く輝きだし、紫色の煙を出しながら蜥蜴を取り込んでいった。
その紫色の煙が他の魔法陣に触れた途端、触れられた魔法陣は蜥蜴が取り込まれた魔法陣と同じ様に黒く輝き出し、魔法陣の模様がゆっくりと消えていく。
その消えている場所から、上位魔法文字が浮き上がり、何かを形作っていく。
そして魔法陣が完全に消えると同時に、何かを形作っていた文字は固まる様に圧縮され………"取り込まれた筈の蜥蜴"が作られた。
それを見習うかの様に周りの魔法陣も消えていき、次々と蜥蜴が作られていく。
その様子を謎の男は、喜ぶでもなく、悲しむでもなく、ただボーっと見つめていただけだった。
暫く経って大量の蜥蜴が洞窟の外に出ていった後、男はまた指先をナイフで切って魔法陣を作り始めた。
その様子は淡々としていて冷静そうに見えるが、そうでは無いのだろう。
詳しい事はわからないが、少なくとももう壊れている事は確かなのだった。
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