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第三章後編『やっとついた?アストロデクス王国!』
第十五話 ラキト、臨時司令官となる?
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視点変更 ライト→三人称
空もオレンジ色に染まってくる夕暮れ時、アストロデクス王国内のとある街の近くの洞窟に、フードを被った一人の男が入っていった。
その男のフードは何も傷付いていないにも関わらず、血で汚れている。
その男は洞窟の突き当たりまで行くと、白い筒状の石を取り出してチョークの様に床に何かを書き始めた。
それから数分後、男は一つの大きな魔法陣を完成させた。
それを見下げならが男は魔法陣に向かって何かを呟く。
すると外からゆっくりと何かが這いずって来る音が聞こえてきた。
その這いずって来た『蛇』は、真っ白な体に赤い瞳、紫の舌を持っている事から、かなり高位の魔物だと予想できる。
男はその蛇に、背負っていた赤い槍の矛先を向ける。
そしてそれを突き刺………そうとするのを止めて後ろに飛び退いた。
それが項をなしたのだろう。 男が先程まで立っていた場所が、軽い爆発を起こした。
その場所に、何者かが飛び降りて来るのを感じて男は槍を振るい、赤い剣筋を飛ばした。
しかしその剣筋は正体不明の攻撃によって掻き消され、その攻撃の余波が男を吹き飛ばす。
それを好機と見たのか、謎の人物は煙から飛び出して走り出す。
男も吹き飛ばされた時に出た少量の血を槍に吸い込ませて、赤い輝きを増幅させる。
そして謎の人物………ラキトは拳を振るい、ソニックブームを飛ばした。
それを男は避け、ラキトを串刺しにしようと槍を突き出した。
しかしその槍の一撃はラキトが来ていた服によって止められ、ラキトは槍を掴み、握り潰した。
それにより体勢を崩した男に、止めを刺そうと拳を構えた瞬間、ラキトは強烈な破裂音と共に謎の衝撃を受けて仰け反った。
その音の持ち主………『マスケット銃』を持った等身大の人形は、男に敬礼をして消滅した。
「《バールドワイヤー》………」
男がそう呟くと、ラキトの足元から有刺鉄線が植物の様に伸び、ラキトの足に絡まった。
ラキトは振りほどこうと身を揺するが、有刺鉄線はドンドン伸びていく。
どうやらラキトの足から滴る血を吸って、成長している様だ。
「《ガンコープス》………」
そして男は三体の鉄砲を持った人形を召還して、ラキトに狙いを定めた。
「………《紅蓮 トルネード》!」
しかしその人形はその一撃によって消し炭にされ、直撃を免れた二体もバラバラになって消えていった。
そしてその攻撃は男にも掠り、フードの一部が破けていた。
それを見たラキトは驚き、フードの男は杖を取り出して消えていったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
視点変更 三人称→ラキト
………これは困った事になった。
もしあの男の正体の予想が本当に合っているとしたら………実穂達にとっては苦しい戦いになるかもしれないな。
………連絡入れるか。
………?
念話が繋がらない? 兄ちゃん寝てるのか?
いや、でもこれは………繋がらないと言うよりは居なくなったみたいな感覚………っ!? もしや!?
「『管理者権限、000に強制接続』」
『………ラキト様ですか………どうされました?』
ラキトが光海に通信を繋げると同時に、落ち込んだ様子の光海の声が聞こえてきた。
「兄ちゃんの反応が無い………何かあったのか?」
その言葉に光海は一瞬詰まり、ゆっくりと話し始めた。
『………マスターは……妖力で不安定となった部屋にワープホールを繋げた際、ワープホールが暴走して飲み込まれてしまいました』
「………赤魔法による強制介入か?」
『恐らく』
ラキトは頭を押さえ、ため息を付いた。
「もっと兄ちゃんには自分の事を大切にしてほしいんだがな?」
『そうですね、今回だって城の被害と近くに居た私達へのダメージを無視すれば、波動で簡単に抜け出せたでしょうに』
ラキトは洞窟から出て、前へ掌を向けた。
「………転送座標の特定はできてるのか?」
『申し訳ございません。 どうやらマスターは全てのスキルを封じられている様でして………私達の呼び出し用端末も土壇場で実穂様へ渡された様ですし………』
「………スキルを封じられてるのか………なら当分は大丈夫そうだな………それにしても流石兄ちゃんだ、死にたがってる癖に生き残る術を残すとはな」
ラキトのその言葉は若干嬉しそうだった。
『………どういう意味でしょう?』
「兄ちゃんが残したのは呼び出し用端末だろ? でもその端末は連絡するだけで、呼び出す事自体は兄ちゃんがサーバー操作を使ってしている」
『しかしそれは呼び出し用端末で承認を得たから呼び出せるのでしょう? 承認を受けなければ呼び出せない設定にしたのはマスターですし』
ラキトが掌を向けている先が、少し帯電し始めた。
「それだよ、光海は常に承認してるだろ? スキルが使えない影響で呼び出しは無理だが、その呼び出し用端末で承認の繋がりを辿って兄ちゃんの場所を探せないか?」
『っ!? やってみます!』
光海への通信が切れる感覚を感じた。
それと同時に目の前に作ろうとしていたワープホールが徐々に開き始める。
「これを即座に作り出せる兄ちゃんはやっぱり凄いな………『管理者権限、オールナンバーに通達』」
そう呟いたラキトの前に、十個のウィンドウが出現した。
そのウィンドウそれぞれに、各チームのリーダーの顔が見えている。
『緊急通達? また何か起こったのでしょうか?』
『考えなきゃいけない様なめんどくせぇ仕事じゃなきゃ良いんだけどなぁ』
『こら、ゼロヒ! そんな事を言ってはなりません! そもそも貴女はちゃんとした乙女としての作法をですね………』
『ゼロミもこんな所で説教を始めるのはおかしいと思うな』
『折角ゼロクと一緒に行くカフェの下見に行ってたのに………呼び出されるなんて………なんてツイてないんでしょう!』
『それってただ単に遊びに行ってただけの様に聞こえるなー』
『私はどんな勤めでも果たしてみせる所存であります!』
『私もどのようなお仕事であろうと受けるつもりです』
『皆頑張ろうとしてるのです! なら私もいつも以上に頑張るのです!』
『どうせ私なんて居ても役に立たないとは思うけど…….呼び出されたから参加しない訳にはいかなそう………』
ラキトが緊急通達の通知を送ってから数秒後にとんでもなく騒がしくなったが、ラキトは手をパン! とならして静かにさせた。
………まぁ右手は使えないので左手で小さなソニックブームを起こしただけなのだが。
「皆、聞いてくれ………兄ちゃんが行方不明になった」
『っ!?』
先程まで騒がしかった者達に、緊張感が走った。
「恐らく光海も焦りすぎて連絡するのを忘れていたのだろう………今光海が大急ぎで居場所の特定に励んでいる。 そしてお前達には………呼び出しの承認を一時的に解除しておいてもらいたい」
『つまり呼び出されるまで待てと言う事だね』
『我慢するのです………』
「………多分全員の力を借りる事になるだろう。 お前達、心の準備は良いな?」
『当然!』
ラキトは完全に開いたワープホールの方を向き、通信を切った。
『頼んだ』と言い残してから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ディメン「どうも皆さんこんにちは、あとがき担当のディメンだぜ」
シルフィ「どうも皆さんこんにちは、ライトの代理のシルフィよ」
ディメン「さて、今回は本編と言うよりは関話だったな」
シルフィ「………本編に関係ある話だから関話では無いんじゃないの?」
ディメン「そこらへんは意見が別れやすいんだよな………ま、今回は今まで出番が少なかったラキトのメイン回だ、次の話からは出番も増えるしもう影が薄いなんて言われないな」
シルフィ「そんな事言われてたの? あの子」
ディメン「いや、ライトが言ってただけだ………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」
シルフィ「誤字脱字やストーリー矛盾等がありましたらご報告の方をお願いするわね」
ディメン「それでは皆さん」
ディメン&シルフィ「さようなら」
空もオレンジ色に染まってくる夕暮れ時、アストロデクス王国内のとある街の近くの洞窟に、フードを被った一人の男が入っていった。
その男のフードは何も傷付いていないにも関わらず、血で汚れている。
その男は洞窟の突き当たりまで行くと、白い筒状の石を取り出してチョークの様に床に何かを書き始めた。
それから数分後、男は一つの大きな魔法陣を完成させた。
それを見下げならが男は魔法陣に向かって何かを呟く。
すると外からゆっくりと何かが這いずって来る音が聞こえてきた。
その這いずって来た『蛇』は、真っ白な体に赤い瞳、紫の舌を持っている事から、かなり高位の魔物だと予想できる。
男はその蛇に、背負っていた赤い槍の矛先を向ける。
そしてそれを突き刺………そうとするのを止めて後ろに飛び退いた。
それが項をなしたのだろう。 男が先程まで立っていた場所が、軽い爆発を起こした。
その場所に、何者かが飛び降りて来るのを感じて男は槍を振るい、赤い剣筋を飛ばした。
しかしその剣筋は正体不明の攻撃によって掻き消され、その攻撃の余波が男を吹き飛ばす。
それを好機と見たのか、謎の人物は煙から飛び出して走り出す。
男も吹き飛ばされた時に出た少量の血を槍に吸い込ませて、赤い輝きを増幅させる。
そして謎の人物………ラキトは拳を振るい、ソニックブームを飛ばした。
それを男は避け、ラキトを串刺しにしようと槍を突き出した。
しかしその槍の一撃はラキトが来ていた服によって止められ、ラキトは槍を掴み、握り潰した。
それにより体勢を崩した男に、止めを刺そうと拳を構えた瞬間、ラキトは強烈な破裂音と共に謎の衝撃を受けて仰け反った。
その音の持ち主………『マスケット銃』を持った等身大の人形は、男に敬礼をして消滅した。
「《バールドワイヤー》………」
男がそう呟くと、ラキトの足元から有刺鉄線が植物の様に伸び、ラキトの足に絡まった。
ラキトは振りほどこうと身を揺するが、有刺鉄線はドンドン伸びていく。
どうやらラキトの足から滴る血を吸って、成長している様だ。
「《ガンコープス》………」
そして男は三体の鉄砲を持った人形を召還して、ラキトに狙いを定めた。
「………《紅蓮 トルネード》!」
しかしその人形はその一撃によって消し炭にされ、直撃を免れた二体もバラバラになって消えていった。
そしてその攻撃は男にも掠り、フードの一部が破けていた。
それを見たラキトは驚き、フードの男は杖を取り出して消えていったのだった。
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視点変更 三人称→ラキト
………これは困った事になった。
もしあの男の正体の予想が本当に合っているとしたら………実穂達にとっては苦しい戦いになるかもしれないな。
………連絡入れるか。
………?
念話が繋がらない? 兄ちゃん寝てるのか?
いや、でもこれは………繋がらないと言うよりは居なくなったみたいな感覚………っ!? もしや!?
「『管理者権限、000に強制接続』」
『………ラキト様ですか………どうされました?』
ラキトが光海に通信を繋げると同時に、落ち込んだ様子の光海の声が聞こえてきた。
「兄ちゃんの反応が無い………何かあったのか?」
その言葉に光海は一瞬詰まり、ゆっくりと話し始めた。
『………マスターは……妖力で不安定となった部屋にワープホールを繋げた際、ワープホールが暴走して飲み込まれてしまいました』
「………赤魔法による強制介入か?」
『恐らく』
ラキトは頭を押さえ、ため息を付いた。
「もっと兄ちゃんには自分の事を大切にしてほしいんだがな?」
『そうですね、今回だって城の被害と近くに居た私達へのダメージを無視すれば、波動で簡単に抜け出せたでしょうに』
ラキトは洞窟から出て、前へ掌を向けた。
「………転送座標の特定はできてるのか?」
『申し訳ございません。 どうやらマスターは全てのスキルを封じられている様でして………私達の呼び出し用端末も土壇場で実穂様へ渡された様ですし………』
「………スキルを封じられてるのか………なら当分は大丈夫そうだな………それにしても流石兄ちゃんだ、死にたがってる癖に生き残る術を残すとはな」
ラキトのその言葉は若干嬉しそうだった。
『………どういう意味でしょう?』
「兄ちゃんが残したのは呼び出し用端末だろ? でもその端末は連絡するだけで、呼び出す事自体は兄ちゃんがサーバー操作を使ってしている」
『しかしそれは呼び出し用端末で承認を得たから呼び出せるのでしょう? 承認を受けなければ呼び出せない設定にしたのはマスターですし』
ラキトが掌を向けている先が、少し帯電し始めた。
「それだよ、光海は常に承認してるだろ? スキルが使えない影響で呼び出しは無理だが、その呼び出し用端末で承認の繋がりを辿って兄ちゃんの場所を探せないか?」
『っ!? やってみます!』
光海への通信が切れる感覚を感じた。
それと同時に目の前に作ろうとしていたワープホールが徐々に開き始める。
「これを即座に作り出せる兄ちゃんはやっぱり凄いな………『管理者権限、オールナンバーに通達』」
そう呟いたラキトの前に、十個のウィンドウが出現した。
そのウィンドウそれぞれに、各チームのリーダーの顔が見えている。
『緊急通達? また何か起こったのでしょうか?』
『考えなきゃいけない様なめんどくせぇ仕事じゃなきゃ良いんだけどなぁ』
『こら、ゼロヒ! そんな事を言ってはなりません! そもそも貴女はちゃんとした乙女としての作法をですね………』
『ゼロミもこんな所で説教を始めるのはおかしいと思うな』
『折角ゼロクと一緒に行くカフェの下見に行ってたのに………呼び出されるなんて………なんてツイてないんでしょう!』
『それってただ単に遊びに行ってただけの様に聞こえるなー』
『私はどんな勤めでも果たしてみせる所存であります!』
『私もどのようなお仕事であろうと受けるつもりです』
『皆頑張ろうとしてるのです! なら私もいつも以上に頑張るのです!』
『どうせ私なんて居ても役に立たないとは思うけど…….呼び出されたから参加しない訳にはいかなそう………』
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………まぁ右手は使えないので左手で小さなソニックブームを起こしただけなのだが。
「皆、聞いてくれ………兄ちゃんが行方不明になった」
『っ!?』
先程まで騒がしかった者達に、緊張感が走った。
「恐らく光海も焦りすぎて連絡するのを忘れていたのだろう………今光海が大急ぎで居場所の特定に励んでいる。 そしてお前達には………呼び出しの承認を一時的に解除しておいてもらいたい」
『つまり呼び出されるまで待てと言う事だね』
『我慢するのです………』
「………多分全員の力を借りる事になるだろう。 お前達、心の準備は良いな?」
『当然!』
ラキトは完全に開いたワープホールの方を向き、通信を切った。
『頼んだ』と言い残してから。
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ディメン「さて、今回は本編と言うよりは関話だったな」
シルフィ「………本編に関係ある話だから関話では無いんじゃないの?」
ディメン「そこらへんは意見が別れやすいんだよな………ま、今回は今まで出番が少なかったラキトのメイン回だ、次の話からは出番も増えるしもう影が薄いなんて言われないな」
シルフィ「そんな事言われてたの? あの子」
ディメン「いや、ライトが言ってただけだ………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」
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