お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――

敬二 盤

文字の大きさ
179 / 188
第四章『不穏な空気! エグリゲイション聖国』

第七話 何か気持ち悪い怪物だ!

しおりを挟む
視点変更 ライト→実穂



私達の前方でカチカチカチカチと耳障りな鳴き声が響く。

それを発する何かは一見巨大な蜘蛛の様にも見える。

しかしその体は流動体でできており、紫が混ざった泥の様な物がポタポタと地面に落ちる。

…………え? 何この化け物?



《時を戻そう☆》



次の日、私達はライトに連れられてお城の外で集合した。

皆新しい装備を着て、準備万端の状態だね。

「じゃあ繋げるよ? 準備は良いね?」

ライトが皆に問いかけ、私達は頷く。

それを見たライトは右手を前に出し《ワープホール》を開けた。

それを通って向こう側へ行くと、妙に空気がピリピリとしている森が出てきた。

「ここが聖国? 何か、ピリピリしてるね?」

「神の威厳ってやつかしら?」

「いや、単純にこの森の性質だよ」

ライトの説明によると、この森には魔物を寄せ付けない性質があるらしい。

そしてこのピリピリは私達の中にある魔力がそれに反応しているんだとか。

「それで、あの何か白い門の先にあるのが聖国の首都だよ」

ライトが指差した先には、扉が無い白い門があり、その前には白色の鎧に金のラインが入れられている鎧を着た騎士達が、門を守るかの様に立っていた。

「何か、凄いね」

「大きいわね」

「「真っ白!」」

私と美堀とインカとヨウタがそれぞれ思った事を口にする。

ボーッとしていると、服の裾をチョイチョイっと引っ張られた。

「………ご主人様、ライト様が先に行ってますよ?」

「あっ! 待って!」

その後、門の前まで皆でやってきたんだけど………。

「あっ、ライト様! ご無沙汰しております!」

「おー、バッシュ君、今日も真面目だねぇ」

「はい! 私は忠実なる聖騎士なので!」

………何か、凄い犬みたいな人だね。

「じゃ、お仕事頑張ってねー」

「激励の言葉、ありがとうございます!」

こんな感じでライトの顔パスだったよ………。

『彼、純粋でしょ? 結構期待してる子なんだよねぇ』

………ライトも子供を自慢する親みたいになってるし。

『誰が親だ』

念話で突っ込まないでよ………。

………聖国の首都は統一感があり、同じような白い建物がずらっと並んでいる。

何か、都会に来たみたい………こっちの世界ではここもちゃんとした都会なんだろうけどね?

こんな感じに私達が物珍しさにまわりをキョロキョロしていると………

「キャァァァァッ!?」

突如悲鳴が聞こえてきた。

「うわっ! 来るなっ!」

「逃げろ! 食われるぞ!」

「ヒィィィ!?」

そしてその悲鳴が聞こえてきた方向から、沢山の人が逃げ出してきた。

「………皆、どうする? 付いてくる?」



《冒頭に戻る》



いや、まぁ付いていきたいとは言ったよ。

言ったけどね?

この蜘蛛みたいな何かが凄い気持ち悪い!

何か体から垂れてる物が落ちた所がシューって鳴って溶けてるもん!

………よし、身辺整理終わり!

「あっ、ちょっと待って」

私は戦おうと杖を取り出そうとしたけど、ライトに止められた。

「あれは『穢れ』の魔物だから普通の魔法や攻撃は効かないんだよ」

ライトはそう言いながらポーチを探る。

「………インカの攻撃、効かなさそう」

「ヨウタの攻撃も効かなさそう」

双子は警戒しながらジーッと化け物を見つめている。

「大丈夫、これさえかければ穢れは消えるから」

ライトは青白く光る瓶を手に取ると、化け物目掛けて投げつけた。

そして瓶は割れ、中身の液体が降りかかる。

「よし、これで穢れは消え………てない?」

………うん、何も起きてないね。

「あちゃあ………存在が穢れの魔物だったかぁ………」

ライトは頭を掻きながら、何か考えている。

「………何か投げ付けたら倒せないかしら?」

「物理ダメージ無効化してくるから無理だよ」

美堀の投げつける作戦も効果無いんだ………。

「ま、別に良いや、使っちゃお」

ライトは考えるのを止めて、両手を胸の前に置いた。

「皆、少し下がってて………あっ、美堀、多分気を反らすぐらいはできるからこの中に入ってる石を魔物の向こう側に投げといて」

「わかったわ」

美堀はライトから袋を貰うと、その中に入ってる石をポイポイと化け物の向こう側へ投げる。

その石の音は妙に響き、化け物の視線はそちらの方へ向いた。

「さて、やらなきゃなぁ………」

ライトは一度目を瞑ってから、深く息を吸って、唱え始めた。

「『原初の剣は光の剣  闇を打ち払いし力を持ち  持つ物に勝利をもたらす ただそれは幻想の幻  現実の一欠片 強大なる力の前に  何者もひれ伏せ』」

ライトがその呪文を唱え始めると、まわりから雲がライトの上空に渦を巻いて集まり、雷が鳴り響く。

その雲はまばらで、呪文が完成する度に集まっていく様に思える…………が。

「『以下省略』!」

省略しちゃったよ!?

空に集まった雲は一瞬の内に何かに貫かれ、散った。

その貫いた物を、ライトは両手で掴んだ。

「さてさて、仕事だよエクス?」

ライトはその剣を片手に持ち変えながら呟く。

『………何故省略するのだ主よ』

落ち込んでいる様な響く声へと向かって。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディメン「どうも皆さんこんにちは、あとがき担当のディメンだぜ」

ライト「どうも皆さんこんにちは、ライト スターダストです!」

ディメン「いや………一気に話が進んだな?」

ライト「やっぱサクサク進めると調子良くなるよね」

ディメン「1日遅れてたけどな」

作者「うぐっ!?」

ディメン「出てくるな出てくるな………今回のステータスだぜ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー・進和 実穂 
・性別 女 年齢 18歳
・種族 人間
・職業  ?
・LV 8  38/40
・握力 5
・HP 37
・MP 120
・AT  24
・DE 28
・IN 30
・MD 28
・AG 23
・EX 15

スキル
・支援魔法支配 Lv 2
・聞き耳 Lv 4
・合成魔法 Lv 5
・読み聞かせLv 4
・反転 Lv 1

パッシブスキル
・異世界言語
・§高?の?護
・自衛術
・幻影魔法耐性Lv 1
・森羅万象(一部封印中)

加護 呪い

称号
・異世界人
・最高?の?護
・助けられた者
・空を飛ばされし物
・トラブルメーカー
・弱者
・強者
・生者
・死者
・支援の支配者


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディメン「さてさて………うん? 何か紙があるな?」

ライト「新しい仕事………あっ、このメタ空間の方で仕事するんだ………」

ディメン「………おっと、あとがきの続きしなきゃな………そういや穢れって何なんだ?」

ライト「簡単に言うと怨念だね、人の怨念が指向性を持たずに腐っていった物」

ディメン「なるほどなぁ…………今回はこの小説を読んでくれてありがとな」

ライト「誤字脱字やストーリー矛盾等がありましたらご報告の方をお願いします」

ディメン「それでは皆さん」

ディメン&ライト「さようなら」
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...