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第一章 失われた竜使い
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「東の剣聖シュバイア卿の話を知ってる?」
誰だっただろう?
確か、魔族討伐で名を挙げた聖騎士のはずだ。
「彼も生まれつき片足が不自由だったらしいよ。
そして、魔眼には恵まれなかった」
へえ‥‥‥ならその人物は片足だけで魔族をいなしたことになる。
「つまり、竜族と双璧を成す魔族を、その不自由な体で討伐した、と?
そんなことが可能なのか、アシュリー?」
さあ?
そう弟は別のグラスにワインを注いで、兄も同罪にしようと誘ってくる。
「まあ、貰うけど。
さあ、とはいえ、そのシュバイア卿の剣技はいまに伝わっている、そういう話かな?」
正解、そうアシュリーはグラスを傾けた。
「この十年、グレアム卿に習い続けた。
お陰様で、免許皆伝とはいかなくても、目録まではいけた」
「すまない、僕にはその階位がわからないよ?」
「弟子を‥‥‥持てる。
そういうことだよ、兄さん。
国に戻った時に、近衛騎士を打ち倒せば。
父上はどんな顔をするかな?
こんな、目と足が不自由な俺が、さ」
アシュリー‥‥‥そんな、涙を流すな。
僕の心が、痛いよ。
お前から、母上の中にいる時に多くを奪ったこの自分の存在を。
お前は知ったら許してくれるのかい?
いつまでも憎まれるのは自分だけで終わらそう。
そう思いながら、アルバートはアシュリーに聞いた。
「アシュリー‥‥‥妊娠の話は本当なのか?」
下手をすれば竜公国と揉めることになるぞ?
そういう意味を含んだ問いかけだった。
弟は暗く、押し黙ってしまった。
「すまない、兄さん。
どうにかできないか、考えるよ。
ルシアードにも相談する気ではいるんだ‥‥‥」
第三王子か。
あれに言えばこれ幸いとさらに華を咲かせようとするだろう。
仲のよい二人がこれを期に別の道へと進むかもしれない。
「アシュリー」
「なんだい、兄さん?」
アルバートは静かに、兄として命じた。
いや、第一王子としてだったかもしれない。
「誰にも話すな。
四年の歳月のうちに僕らでなんとかしよう。
ルシアードは‥‥‥駄目だ。
理由は、分かるな?」
ルシアードはそんな奴じゃないよ、兄さん。
あれは少しだけ、頑張り過ぎなんだよ。
俺たちを守ろうと、さ。
そうアシュリーは言う。
「そうだね、だから駄目だよ。
ルシアードは大公家の出。
僕らとは違う。
その、妊娠の件はシェスと竜公国にヒビを入れる大きな要因にならないかな?
僕はルシアードの負担を増やしたくないよ、アシュリー?」
弟はびっくりしたような顔をする。
「兄さんは時々、政治家のようなことを言うんだね?
まるでエバンス卿みたいだ。
俺は時々、兄さんが分からなくなるよ。
本当に凡庸なのか、それを隠しているのか、さ?」
まあ、そんな訳ないよね、兄さんは本好きな歴史家になるのが夢だもの。
アシュリーは軽く笑い流してワインを継ぎ足す。
誰だっただろう?
確か、魔族討伐で名を挙げた聖騎士のはずだ。
「彼も生まれつき片足が不自由だったらしいよ。
そして、魔眼には恵まれなかった」
へえ‥‥‥ならその人物は片足だけで魔族をいなしたことになる。
「つまり、竜族と双璧を成す魔族を、その不自由な体で討伐した、と?
そんなことが可能なのか、アシュリー?」
さあ?
そう弟は別のグラスにワインを注いで、兄も同罪にしようと誘ってくる。
「まあ、貰うけど。
さあ、とはいえ、そのシュバイア卿の剣技はいまに伝わっている、そういう話かな?」
正解、そうアシュリーはグラスを傾けた。
「この十年、グレアム卿に習い続けた。
お陰様で、免許皆伝とはいかなくても、目録まではいけた」
「すまない、僕にはその階位がわからないよ?」
「弟子を‥‥‥持てる。
そういうことだよ、兄さん。
国に戻った時に、近衛騎士を打ち倒せば。
父上はどんな顔をするかな?
こんな、目と足が不自由な俺が、さ」
アシュリー‥‥‥そんな、涙を流すな。
僕の心が、痛いよ。
お前から、母上の中にいる時に多くを奪ったこの自分の存在を。
お前は知ったら許してくれるのかい?
いつまでも憎まれるのは自分だけで終わらそう。
そう思いながら、アルバートはアシュリーに聞いた。
「アシュリー‥‥‥妊娠の話は本当なのか?」
下手をすれば竜公国と揉めることになるぞ?
そういう意味を含んだ問いかけだった。
弟は暗く、押し黙ってしまった。
「すまない、兄さん。
どうにかできないか、考えるよ。
ルシアードにも相談する気ではいるんだ‥‥‥」
第三王子か。
あれに言えばこれ幸いとさらに華を咲かせようとするだろう。
仲のよい二人がこれを期に別の道へと進むかもしれない。
「アシュリー」
「なんだい、兄さん?」
アルバートは静かに、兄として命じた。
いや、第一王子としてだったかもしれない。
「誰にも話すな。
四年の歳月のうちに僕らでなんとかしよう。
ルシアードは‥‥‥駄目だ。
理由は、分かるな?」
ルシアードはそんな奴じゃないよ、兄さん。
あれは少しだけ、頑張り過ぎなんだよ。
俺たちを守ろうと、さ。
そうアシュリーは言う。
「そうだね、だから駄目だよ。
ルシアードは大公家の出。
僕らとは違う。
その、妊娠の件はシェスと竜公国にヒビを入れる大きな要因にならないかな?
僕はルシアードの負担を増やしたくないよ、アシュリー?」
弟はびっくりしたような顔をする。
「兄さんは時々、政治家のようなことを言うんだね?
まるでエバンス卿みたいだ。
俺は時々、兄さんが分からなくなるよ。
本当に凡庸なのか、それを隠しているのか、さ?」
まあ、そんな訳ないよね、兄さんは本好きな歴史家になるのが夢だもの。
アシュリーは軽く笑い流してワインを継ぎ足す。
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