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第三章 薄幸の兄妹たち
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こんな大勢の前で天眼を開き魔石を戻すなんて。
ルシアードの宵闇の魔眼を模倣しておいて良かった。
何より、天眼が開いている間、宝珠はその効果を失う。
この開いた間に、宝珠だけ普段通りに動くように操作するのがどれだけ大変か。
誰も分からないだろうな‥‥‥
魔石を手にすればもう、エリスには支配は通じない。
さあ、いつ彼女は僕を殺しに来るかな。
また、敵が増えた。困ったものだ。
そしてアルバートはふと気づいてアシュリーに問いかけた。
「なあ、どう見てもお前の方がイゼアより‥‥‥軽傷なんじゃないのか?」
あっちは仲間に肩を借りて行かなきゃいけない程にボロボロだったのに。
なんでお前はーーそんなに顔は腫れあがっているが平気そうなんだ、と。
アシュリーはあっけらかんとした返事をした。
「物や力を扱えるということはそのまま、戻せばいいだけだよ。
何倍にもしてね?」
誰が一番、天才なんだよ‥‥‥
そしてアシュリーは兄の側室になることを決めたエリスに向き直る。
「おい、妻よ?
惚れたか?
今度こそ」
アシュリー?
僕の側室なんだぞ?
そしてなんだ、エリス、その心からの嬉しそうな顔は?
「はい!!
旦那様‥‥‥」
「お前達ー‥‥‥貧乏くじは僕だけか?」
さあね?
アシュリーはエリスを抱き上げると部屋へと踵を返す。
「兄さんだけが、愚か者を演じてたわけではないよ。
あ、それとーー」
一通の手紙がアシュリーから手渡される。
「エンバスから。
まだ、部屋にいると思うよ」
「そうかーー」
たった二日でまとめたのか。
あの切れ者は。
軽くそれの封を破き、アルバートはため息を再度つくことになる。
「父上‥‥‥」
と。
そこには、長女と次女を明日にでも帰国させる旨が書かれてあった。
長女にはシェス国内の上級貴族を。
妹には第四王子の正妃にする旨が書かれてあった。
「国内で固めて王位を与えない方向性にしたのか。
さすが、我が父親だ。
そしてーー」
メアリージュン王女との婚約ではなく、婚儀を挙げたと同様の婚前契約書ならびに各支度金がすでにリベイエ王国と成立した旨も書かれていた。
「さて、これでようやく安定した政治ができるな」
アルバートはイゼアに付き添い、彼の部屋がある男子棟の手前で心配そうに待つ三人の女性を含んだ女性陣へと向かう。
「あなたーーアルバート!?
この愚か者のせいでーー!!!!」
メアリージュン王女の最初の第一声がそれだった。
これが我が妻、か。
なんて馬鹿な女なんだろう。
そして姉に妹。
家族‥‥‥か。
心にどうしようもない虚無を抱えたような気がしてアルバートは一瞬、何もかもが嫌になりそうだった。
損な役回りだけがまわってくる。
そういう人生なんだろうな。
ルシアードの宵闇の魔眼を模倣しておいて良かった。
何より、天眼が開いている間、宝珠はその効果を失う。
この開いた間に、宝珠だけ普段通りに動くように操作するのがどれだけ大変か。
誰も分からないだろうな‥‥‥
魔石を手にすればもう、エリスには支配は通じない。
さあ、いつ彼女は僕を殺しに来るかな。
また、敵が増えた。困ったものだ。
そしてアルバートはふと気づいてアシュリーに問いかけた。
「なあ、どう見てもお前の方がイゼアより‥‥‥軽傷なんじゃないのか?」
あっちは仲間に肩を借りて行かなきゃいけない程にボロボロだったのに。
なんでお前はーーそんなに顔は腫れあがっているが平気そうなんだ、と。
アシュリーはあっけらかんとした返事をした。
「物や力を扱えるということはそのまま、戻せばいいだけだよ。
何倍にもしてね?」
誰が一番、天才なんだよ‥‥‥
そしてアシュリーは兄の側室になることを決めたエリスに向き直る。
「おい、妻よ?
惚れたか?
今度こそ」
アシュリー?
僕の側室なんだぞ?
そしてなんだ、エリス、その心からの嬉しそうな顔は?
「はい!!
旦那様‥‥‥」
「お前達ー‥‥‥貧乏くじは僕だけか?」
さあね?
アシュリーはエリスを抱き上げると部屋へと踵を返す。
「兄さんだけが、愚か者を演じてたわけではないよ。
あ、それとーー」
一通の手紙がアシュリーから手渡される。
「エンバスから。
まだ、部屋にいると思うよ」
「そうかーー」
たった二日でまとめたのか。
あの切れ者は。
軽くそれの封を破き、アルバートはため息を再度つくことになる。
「父上‥‥‥」
と。
そこには、長女と次女を明日にでも帰国させる旨が書かれてあった。
長女にはシェス国内の上級貴族を。
妹には第四王子の正妃にする旨が書かれてあった。
「国内で固めて王位を与えない方向性にしたのか。
さすが、我が父親だ。
そしてーー」
メアリージュン王女との婚約ではなく、婚儀を挙げたと同様の婚前契約書ならびに各支度金がすでにリベイエ王国と成立した旨も書かれていた。
「さて、これでようやく安定した政治ができるな」
アルバートはイゼアに付き添い、彼の部屋がある男子棟の手前で心配そうに待つ三人の女性を含んだ女性陣へと向かう。
「あなたーーアルバート!?
この愚か者のせいでーー!!!!」
メアリージュン王女の最初の第一声がそれだった。
これが我が妻、か。
なんて馬鹿な女なんだろう。
そして姉に妹。
家族‥‥‥か。
心にどうしようもない虚無を抱えたような気がしてアルバートは一瞬、何もかもが嫌になりそうだった。
損な役回りだけがまわってくる。
そういう人生なんだろうな。
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