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第二部 プロローグ
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しおりを挟む「殿下!?
でもどうやって降りる気なのですか!!??」
滑空していくなかでアリスティアは恐怖を抱えて叫ぶ。
アルバートは申し訳なさそうに答えた。
「うーん‥‥‥実は天眼の能力はもう切れたんだよね。
魔石があればどうにかなるかもだけど」
あはは‥‥‥と軽く笑う彼に、アリスティアは尻尾を膨らませて叱りつける!
「あはは、じゃないですよ!!
結婚式するんですよね、責任とってくださいよ!!
もおーー!!!」
こんな無計画な人だと思わなかった!!!
そう涙目で叫ばれて、なかなか、感情表現の激しい女性だなあ、そうしげしげと彼女を見てしまう。
地上というよりは海面まではまだ時間はあるだろう。
なにせ、二人は風の風力に乗って運ばれているのだから。
「ねえ、アリスティア様?
垂直落下してたら、もう死んでますよ、僕たちは」
意地悪く、アルバートは言ってみせる。
え‥‥‥????
飛んでる、んですか?
そう、アリスティアは問いかけるが、まさか。
「鳥じゃないんですから、飛ぶことはできません。
でも、僕には魔眼が五つある。
どうすればいいかは、それらが教えてくれてるんですよ」
「五つ‥‥‥!?
どれだけ高名な魔導師ですらも二つまでなのに!?」
やっぱり驚かれるよなあ。
そうアルバートは思いそんなことはないですよ、と返事を返す。
「扉の瞳を使い、空間から空間への短い距離を移動してるんですよ。
避別の瞳で数分先までの危険をはかり、理王の瞳でそれらを制御する。
飛ぶことはできませんが、ゆっくりと加速を弱めて地上までいくことは可能です」
「なんて呆れた方‥‥‥。
わたしの魔眼と交換して欲しいほどですわ」
心配をして損をしたわ、そうアリスティアはぼやいてしまう。
これから先、毎度こうなるのかしら?
などと言われてアルバートは苦笑する。
「これからは先に言いますからー‥‥‥。
すいません、アリスティア。
僕はこうして隠しながら生きてきた時間が長いんです。
あなたを騙す気はなかったーー」
そんなことは知っています!!
アリスティアは風が轟轟と耳の側でなりゆく中で、彼に叫び返す。
「ずっと、何年間も見てきたんですから!!
あなただけを!!」
それはーー
エイシャ様の命令じゃなくて、あなたの本心ですか?
アルバートはこの時、その返事が怖くて聞けなかった。
いまは何よりも大事なこの女性を守ろう。
そう思い、必死に魔眼を操作する。
そして、ふと気づいた。
「ところで、あの場所にいたのは天眼で知っていましたけど!!
なんできた!?」
なにを今更馬鹿な質問をするの!?
アリスティアはまた赤い尾を膨らませて牙を向く。
「自分がわたしにものになれと命令したのではないですか!!!」
いやだって、あれはーー
「あれは、ではありません!!
主人が死に行こうとするなら、着いていくしかないじゃない‥‥‥。
家族まで守られて、どんな恩を返せと!?」
ああ、なるほど。
狼は義理堅い。
その本性もあってのことか。
それはまあ、わかるが。
「なら、結婚の申し込みはなぜ受けたんですか!!!」
「知りません、アルバートの馬鹿ーー!!!」
いたいっ!?
なにかあるたびにこれからは噛まれるかもしれないな。
覚悟をしておこう。
そうアルバートは心に命じた。
「そろそろ、海面が近い。
あとは泳ぐことになりますよ!!??」
そう叫び海面近くに落ちそうになった時だ。
フッ、と二人にかかっていた重力の軋轢が一気に消え、そしてーー
「あの‥‥‥アリスティア?
あなたの魔眼はもしかしてー?」
ええ、そうですよ。
灰狼の少女は笑顔で応える。
「アシュリー様の不動の魔眼と、液状の物であれば泡を張りその身を守れる飽食の魔眼です。
もちろん、なにかすればこの中で溶かすこともできますよ?」
これからの結婚生活にとんでもない不安をもたらすような笑顔で彼女はアルバートに告げたのだった。
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