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第二章 難航するギルド開設と黒い翼の姫君
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「オ‥‥‥狼ー????」
ふらっと、シェイディアの視界が揺らぐ。
それは本人も理解しているようで、
「無理‥‥‥また、食べられる、羽の根元から―‥‥‥嫌だああ」
もうこの世の終わりのような怯え方をするシェイディアをその狼ははるか天井から見下ろすと、面白そうに鼻先を近づけた。
「ひっ!?
だめ、許して、おねが――」
「あ、気絶した‥‥‥!?」
茜がそのやりとりを側から見守る中、シェイディアを犠牲にしてその場から逃げようとする存在が一人。
光の精霊女王であることも忘れて、肉体を具現化したままー‥‥‥そろーっと、アイニスは裏の扉を開けようとしてしかし、黒い塊にその着ている服の襟元をそっと口で捕まれると、ぽいっとシェイディアの隣に投げ置かれる。
「待って、待って、待っ――――!?」
ベロン、と大きな舌で顔を下から上に舐めあげられて――
「あーあ、こっちも」
二人も気絶させるなんて‥‥‥
シェイディアにアイニス。
それぞれにこの黒い狼のような何か別の存在にトラウマをもつ女性たちはひきつけを起こしながら台の上に倒れていた。
「ねえ、リッカ。
それ、やり過ぎだから‥‥‥どうするのよ。
精霊女王までそんなにしちゃって。
まさか、あんた‥‥‥食べる気!?」
え?
そういう意外な顔をするようにして、黒狼は自分がダウンさせた二人の女性と影の主の顔を交互に見る。
困ったように首を傾げると、
「食べるのか?
精霊まで?
お前は本当に趣味が悪いな???」
「いや、わたしじゃないから!!
あなたが食べたいのって聞いてるの!?」
「なぜ、僕が食べないといけないんだ??
茜は無慈悲な殺戮を好むのは知っていたけどー‥‥‥ほら、あの惑星でも虚無のあれを――」
「何もしてないでしょ!?
あの時は三年近くも宇宙船の内部をさまよってようやく見つけた出口にー‥‥‥彼等が戦っていたんだから。
そりゃ、参戦するしかないじゃない?
だって、虚無の倒し方なんて、あなたの一族くらいしか知らないし。
ましてやこの世界に‥‥‥そんな、あれが来るなんてことがあるとは思わないわよ」
「まあ、それはそうだけど。
あれはどこにでも来るからね?
父上様や兄上様たちがはるかな古代に地球から追い出したあいつらも、いつかは戻るだろうし」
あーあ、これどうしたらいいかなあ?
困った、困ったといい、黒狼はいや、リッカと呼ばれた地球の古き神の一族の彼は再度、シェイディアに視線を向ける。
うーん?
まだ生きているよね、それよりもなぜ気を失ったふりをしているんだろう???
彼はそう不思議そうに思うと、再度、シェイディアに近づいてその顔を舐めてやる。
「嫌あ――――――――――――――ああああ!!!
お願い助けて助けて、何でもなるから、餌でもスープでもなにでもするから―――!!!
あ‥‥‥間違い、どっちも嫌です、シェイディアに二言はないけど、無いけど‥‥‥許して下さい、リッカ様、おねがい、羽だけは――――!!!」
「あの‥‥‥ごめんね、驚かせて。
でも、僕は君を食べないよ?
まあ、少しだけ美味しそうだけど‥‥‥あの茜みたいに趣味は悪くない。
君が嫌なら、何もしないよ???」
え?
ピタリ、とシェイディアの悲鳴が止む。
その音量の大きさに耳を伏せたリッカに、茜。
そして、再度、叩き起こされた‥‥‥アイニスがそっと片目を薄く開いて様子を伺っていた。
「えっ、食べ、ないの?
茜みたにいじめない?
スープの素にするとか言ってあの大鍋に入れたりしない???」
「え、あ、いやーそれは茜に任せるけど。
僕は食べないよ?
食べるのは虚無の裏側にいるあれだけだから‥‥‥」
「虚無の裏側?
よくわかりませんが、リッカ様。
それって美味しいの??」
うん?
黒狼は渋い顔をする。
美味しい?
いや、あれは美味しくない。
それどころか、胃もたれもするくらい酷いものだ。
まるで、そうあれみたいに。
「そうだねえ、様はいらないよ。
僕はリッカ。
名付け親は茜で、親は偉大なる父上様、ヤンギガルブの神だけど。
あれの味は、うん。
茜の手料理並みに酷いよ。
それに、千年か一万年くらいたたないと出てこないしね?」
「へえ‥‥‥茜の手料理‥‥‥???」
一人と一匹の視線を受けて、茜は絶句していた。
まるで料理の出来ない、家庭力のない女だと言われたようで悔しかった。
ふらっと、シェイディアの視界が揺らぐ。
それは本人も理解しているようで、
「無理‥‥‥また、食べられる、羽の根元から―‥‥‥嫌だああ」
もうこの世の終わりのような怯え方をするシェイディアをその狼ははるか天井から見下ろすと、面白そうに鼻先を近づけた。
「ひっ!?
だめ、許して、おねが――」
「あ、気絶した‥‥‥!?」
茜がそのやりとりを側から見守る中、シェイディアを犠牲にしてその場から逃げようとする存在が一人。
光の精霊女王であることも忘れて、肉体を具現化したままー‥‥‥そろーっと、アイニスは裏の扉を開けようとしてしかし、黒い塊にその着ている服の襟元をそっと口で捕まれると、ぽいっとシェイディアの隣に投げ置かれる。
「待って、待って、待っ――――!?」
ベロン、と大きな舌で顔を下から上に舐めあげられて――
「あーあ、こっちも」
二人も気絶させるなんて‥‥‥
シェイディアにアイニス。
それぞれにこの黒い狼のような何か別の存在にトラウマをもつ女性たちはひきつけを起こしながら台の上に倒れていた。
「ねえ、リッカ。
それ、やり過ぎだから‥‥‥どうするのよ。
精霊女王までそんなにしちゃって。
まさか、あんた‥‥‥食べる気!?」
え?
そういう意外な顔をするようにして、黒狼は自分がダウンさせた二人の女性と影の主の顔を交互に見る。
困ったように首を傾げると、
「食べるのか?
精霊まで?
お前は本当に趣味が悪いな???」
「いや、わたしじゃないから!!
あなたが食べたいのって聞いてるの!?」
「なぜ、僕が食べないといけないんだ??
茜は無慈悲な殺戮を好むのは知っていたけどー‥‥‥ほら、あの惑星でも虚無のあれを――」
「何もしてないでしょ!?
あの時は三年近くも宇宙船の内部をさまよってようやく見つけた出口にー‥‥‥彼等が戦っていたんだから。
そりゃ、参戦するしかないじゃない?
だって、虚無の倒し方なんて、あなたの一族くらいしか知らないし。
ましてやこの世界に‥‥‥そんな、あれが来るなんてことがあるとは思わないわよ」
「まあ、それはそうだけど。
あれはどこにでも来るからね?
父上様や兄上様たちがはるかな古代に地球から追い出したあいつらも、いつかは戻るだろうし」
あーあ、これどうしたらいいかなあ?
困った、困ったといい、黒狼はいや、リッカと呼ばれた地球の古き神の一族の彼は再度、シェイディアに視線を向ける。
うーん?
まだ生きているよね、それよりもなぜ気を失ったふりをしているんだろう???
彼はそう不思議そうに思うと、再度、シェイディアに近づいてその顔を舐めてやる。
「嫌あ――――――――――――――ああああ!!!
お願い助けて助けて、何でもなるから、餌でもスープでもなにでもするから―――!!!
あ‥‥‥間違い、どっちも嫌です、シェイディアに二言はないけど、無いけど‥‥‥許して下さい、リッカ様、おねがい、羽だけは――――!!!」
「あの‥‥‥ごめんね、驚かせて。
でも、僕は君を食べないよ?
まあ、少しだけ美味しそうだけど‥‥‥あの茜みたいに趣味は悪くない。
君が嫌なら、何もしないよ???」
え?
ピタリ、とシェイディアの悲鳴が止む。
その音量の大きさに耳を伏せたリッカに、茜。
そして、再度、叩き起こされた‥‥‥アイニスがそっと片目を薄く開いて様子を伺っていた。
「えっ、食べ、ないの?
茜みたにいじめない?
スープの素にするとか言ってあの大鍋に入れたりしない???」
「え、あ、いやーそれは茜に任せるけど。
僕は食べないよ?
食べるのは虚無の裏側にいるあれだけだから‥‥‥」
「虚無の裏側?
よくわかりませんが、リッカ様。
それって美味しいの??」
うん?
黒狼は渋い顔をする。
美味しい?
いや、あれは美味しくない。
それどころか、胃もたれもするくらい酷いものだ。
まるで、そうあれみたいに。
「そうだねえ、様はいらないよ。
僕はリッカ。
名付け親は茜で、親は偉大なる父上様、ヤンギガルブの神だけど。
あれの味は、うん。
茜の手料理並みに酷いよ。
それに、千年か一万年くらいたたないと出てこないしね?」
「へえ‥‥‥茜の手料理‥‥‥???」
一人と一匹の視線を受けて、茜は絶句していた。
まるで料理の出来ない、家庭力のない女だと言われたようで悔しかった。
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