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聖女、皇帝陛下と対決する 2
しおりを挟む冠を被った乙女は困り果ててしまった。
主の命令を遂行しにきただけなのに、この聖女は難問ばかりか主に人間の社会の問題にまで関与しろと言い出すのだから。
なんどもそれは神の口出しをするべきことではない。
そう言っても聞き入れようとしない。
さらには、駄目ならここで殺してくれと言い出した。
「アリス様。
あなた様はなぜそうも、わたくしを困らせるのですか?
エリアル様は、神の法則に従って人間の世界を運用なさっているのです。
ここのいる者たちよりも、もっと迫害を受け、死にゆくものもいるのです。
その全てを助けることなどできないと‥‥‥。
おわかりになりませんか?」
「それはー‥‥‥。
ですが、現実にここにいる方々の問題を解決するためにもーー
それは愚かな考えなのでしょうか?」
青ブタ、白に黒の薔薇。
そのどれにしても‥‥‥あの皇太子殿下の気を引こうをして精一杯頑張った結果どうなっていたか。
それをアリスは知らない。
ただ、この場で聖女だと言われて最高神からの迎えが来たという事は‥‥‥
あの皇太子殿下のことだ。
何かに理由を付けて、候補の女性たちの財産を奪い取ったかもしれないのに。
「たった一人の人間の意志で、多くの臣民が苦しむかもしれない。
この聖女認定制度が何よりも間違いではないのでしょうか?
わたしは金貨一枚で奴隷になりました。
それも皇太子殿下のご機嫌一つでです。
確かに、次期皇帝の殿下に一貴族の令嬢が手を挙げた時点で死刑になるほどの罪かもしれません。
ですが神の御意思もまた、殿下の御意思と等しいと言われているのと同じではないですか。
このままあの皇太子殿下が皇帝になれば、次は神の代理人を名乗ると思います。
そうなった時に、わたしは。
聖女はただ利用されるだけの存在になるとは‥‥‥思われませんか?」
ふむ。
確かにそう言われれば‥‥‥
未来の事を鑑みれば、それはありえるかもしれない。
冠を被った乙女はそう考えてみた。
勝手に神の代理人を名乗るようであれば、聖女は単なる人類社会の政治の道具になってしまう。
最高神の恩寵も何も関係なく、聖女を手にした者が神を名乗れる。
そんな世界になればーー
それこそ、神に対する冒涜だ。
さて、どうしたものか‥‥‥
「ではーー一度、エリアル様にこの話を確認してまいります。
船は帝国の港の側にまで移動させましょう。
その間、アリス様。
あなた様も聖女がどうあるべきなのか。
今一度、お考え頂けますか?
その結果、双方の意思が同じ目的を成し遂げるために有益ならば。
エリアル様も御姿を現すことになるかもしれません。
それで良いですか?」
アリスは周りを見渡した。
反対する者は誰もいない。
なら、それでいくべきだろう。
元々、無茶な申し出なのだから。
「はい、わかりました。
では、お待ちしています‥‥‥」
アリスはそう答える。
それを合図にしたかのように乙女たちは消え失せ、そして船は帝国の港に向けて動き出した。
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