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第一章 自由への渇望
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登るのよ‥‥‥それしかないわ。
ナターシャは空を見上げる。
ほんの入り口の隙間にしか垣間見えない夜空とそこに煌めく満天の冬の星空を。
いましかない。
朝になればこの空気のよどみは毒をもたらすはず。
いまーー
「どれくらいあるのかしら‥‥‥」
目算では自分の背丈の二倍半ほどだ。
足元がぐらつく間隔はない。
ある道具は‥‥‥彼らしかいなかった。
「‥‥‥ごめんなさい」
そう、ナターシャは一声かけると胸に手を当てた。
死者への弔いの意を表したのだ。
そして周囲にある中から、衣類がまだつかんでも上部そうな遺体を引きずるだすと、それを積み上げていく。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいーー
一体、一体をおのれの階段として踏みあがる準備を行うたびに心が痛んでいく。
死骸は重い。
人間の骨はそれだけでも重さがある。
ナターシャの軽い体型でそれを重ね上げ、引き上げて積み重ねる。
それはかなりの重労働とも言えた。
髑髏が数個転がり落ちて行き、底の深さを伝える音が聞こえ上がってくる。
気を付けろ。
落ちればーー死ぬぞ‥‥‥
気を抜くな。
あの入り口まで‥‥‥
冥府の王が語るかのように心にそんな思いが浮かび上がる。
間違いは許されない。
些細な体重のかけかたですべてが雪崩のように崩れてしまう。
全神経を込めてナターシャは、骸骨と骨の山を築き上げていく。
こんな酷いことを人間が行った。
そして‥‥‥わたしがその行いに助けられ、己で許されない死体に対する冒とくを行っている。
「わたしは最低だ‥‥‥。
生きたいのに死んだ人を利用するなんてー‥‥‥」
涙が溢れて止まらなかった。
自分は生きようとしているのに、彼らは無念に死んでいった。
この幸運に救われた。
その事実を噛み締めていきていかねばいけない。
そうナターシャは思い始めていた。
そしてこの行いをしてきた王国の闇と権力、教会の掲げる神の正義に対して猜疑心を強くせずにはいられなかった。
「寒い‥‥‥もう嫌だ、帰りたいあの暖かい家に‥‥‥」
あの二人の警護兵が浴びせていった冷水が残酷なまでのナターシャの体力をそぎ落としていく。
負けたらダメだ、ここで諦めたら‥‥‥
生きたい。
自由になりたい。
わたしはまだーー死んでない!!!
その叫びにならない心の思いがナターシャを突き動かしていた。
登るたびに崩れていく山を再度築き上げ、それをなんども繰り返していく。
這い上がれ、負けるな。
あの二人を許すな‥‥‥
ナターシャは生きることに貪欲になっていた。
そして数時間後‥‥‥
「月よ。
あなたはなんと神々しいの‥‥‥」
空を見上げ、ため息しかでないその自由を実感した時、ナターシャは塔からの生還に成功していた。
ナターシャは空を見上げる。
ほんの入り口の隙間にしか垣間見えない夜空とそこに煌めく満天の冬の星空を。
いましかない。
朝になればこの空気のよどみは毒をもたらすはず。
いまーー
「どれくらいあるのかしら‥‥‥」
目算では自分の背丈の二倍半ほどだ。
足元がぐらつく間隔はない。
ある道具は‥‥‥彼らしかいなかった。
「‥‥‥ごめんなさい」
そう、ナターシャは一声かけると胸に手を当てた。
死者への弔いの意を表したのだ。
そして周囲にある中から、衣類がまだつかんでも上部そうな遺体を引きずるだすと、それを積み上げていく。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいーー
一体、一体をおのれの階段として踏みあがる準備を行うたびに心が痛んでいく。
死骸は重い。
人間の骨はそれだけでも重さがある。
ナターシャの軽い体型でそれを重ね上げ、引き上げて積み重ねる。
それはかなりの重労働とも言えた。
髑髏が数個転がり落ちて行き、底の深さを伝える音が聞こえ上がってくる。
気を付けろ。
落ちればーー死ぬぞ‥‥‥
気を抜くな。
あの入り口まで‥‥‥
冥府の王が語るかのように心にそんな思いが浮かび上がる。
間違いは許されない。
些細な体重のかけかたですべてが雪崩のように崩れてしまう。
全神経を込めてナターシャは、骸骨と骨の山を築き上げていく。
こんな酷いことを人間が行った。
そして‥‥‥わたしがその行いに助けられ、己で許されない死体に対する冒とくを行っている。
「わたしは最低だ‥‥‥。
生きたいのに死んだ人を利用するなんてー‥‥‥」
涙が溢れて止まらなかった。
自分は生きようとしているのに、彼らは無念に死んでいった。
この幸運に救われた。
その事実を噛み締めていきていかねばいけない。
そうナターシャは思い始めていた。
そしてこの行いをしてきた王国の闇と権力、教会の掲げる神の正義に対して猜疑心を強くせずにはいられなかった。
「寒い‥‥‥もう嫌だ、帰りたいあの暖かい家に‥‥‥」
あの二人の警護兵が浴びせていった冷水が残酷なまでのナターシャの体力をそぎ落としていく。
負けたらダメだ、ここで諦めたら‥‥‥
生きたい。
自由になりたい。
わたしはまだーー死んでない!!!
その叫びにならない心の思いがナターシャを突き動かしていた。
登るたびに崩れていく山を再度築き上げ、それをなんども繰り返していく。
這い上がれ、負けるな。
あの二人を許すな‥‥‥
ナターシャは生きることに貪欲になっていた。
そして数時間後‥‥‥
「月よ。
あなたはなんと神々しいの‥‥‥」
空を見上げ、ため息しかでないその自由を実感した時、ナターシャは塔からの生還に成功していた。
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