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第一章 自由への渇望
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それよりも、この寒さだ。
いま動いたことで少しばかり身体は暖まったことに感謝しながら、ナターシャはある場所を目指した。
--あそこなら、あるはず。
その確信がある場所。
それはあの首を斬られた女たち三人の遺体を捨てていこう。
あの、あごひげが話していた遺体を放り込んだ穴、だった。
「うっ‥‥‥なんてひどい臭いーー」
人肉を喰らう狼やきつね、その他多くの動物がそこにかしこにいるかもしれない。。
そう思い、ナターシャは用心深くなっている自分に気づいていた。
「死を体験するとこうなるのかな?」
まさかと思い、どうにか近場の枝の上に上がってみたらこれだ。
死体が積み重なると硫黄のような凄まじい腐臭がする。
遺体をつまみに来ようにも、動物たちはその臭いに耐えれないのだろう。
その穴一帯は、何も動くものがなかった。
上から見下ろすと、あの警護兵たちもそうそうはいたくなかったにちがいない。
穴の手前に数体。
まだ綺麗な衣類を着た遺体が積み重なっていた。
「あれを貰うしかない‥‥‥」
辺りを警戒しながら大穴に近付いていく。
その腐臭に吐き気を催しながらも、ナターシャはあることに気づいていた。
死体を物としか見ていない自分。
そして、その光景をどこか当たり前のように受け入れ始めている自分。
あとはーー
「臭いにもなれるんだ‥‥‥最悪だわ」
首から大量の血をながしている三体のうち、二体はかろうじて血に染まった衣装を着ていない。
それを剥ぎ取り、自分の着ていたものを脱いで上から二重に着込んでいく。
「これも乾けば寒さを防げる‥‥‥死体泥棒?
墓場泥棒の侯爵令嬢なんてね‥‥‥」
いいわ、魔女というならそれでもいい。
追放するときにあれをしなかった自分たちを呪いなさい、第二王子、そして‥‥‥サーシャ。
「わたしは学院で習った魔法をまだ忘れてないわよ‥‥‥。
魔力封じの封印をしなかったのが、あなたたちの愚かさだわ」
魔法といっても大したものが使えるわけではない。
せいぜい、暖炉の火を灯したり、水を風から作り出したり、土を変質させたり。
その程度だ。
ナターシャは花を育てるのが好きだったから、土の精霊などを使役して土壌を肥えさせたりすることがあった。
大した魔法は使えない。
それでもここから離れよう。
火を起こすには怖いものがある。
それに、魔法を起こすには素材がいる。
魔素を含んだ魔石が。
それは魔物にしか内包されていない。
降りるなら山の反対側。
それだけは理解できていた。
ここは国境付近。
この山向こうは、隣国のルダイナル連邦国だ。
移民も受け入れてくれる。
そこを目指そう‥‥‥
ナターシャは月と星を頼りに方角を確認すると山奥へと向かい歩き出した。
いま動いたことで少しばかり身体は暖まったことに感謝しながら、ナターシャはある場所を目指した。
--あそこなら、あるはず。
その確信がある場所。
それはあの首を斬られた女たち三人の遺体を捨てていこう。
あの、あごひげが話していた遺体を放り込んだ穴、だった。
「うっ‥‥‥なんてひどい臭いーー」
人肉を喰らう狼やきつね、その他多くの動物がそこにかしこにいるかもしれない。。
そう思い、ナターシャは用心深くなっている自分に気づいていた。
「死を体験するとこうなるのかな?」
まさかと思い、どうにか近場の枝の上に上がってみたらこれだ。
死体が積み重なると硫黄のような凄まじい腐臭がする。
遺体をつまみに来ようにも、動物たちはその臭いに耐えれないのだろう。
その穴一帯は、何も動くものがなかった。
上から見下ろすと、あの警護兵たちもそうそうはいたくなかったにちがいない。
穴の手前に数体。
まだ綺麗な衣類を着た遺体が積み重なっていた。
「あれを貰うしかない‥‥‥」
辺りを警戒しながら大穴に近付いていく。
その腐臭に吐き気を催しながらも、ナターシャはあることに気づいていた。
死体を物としか見ていない自分。
そして、その光景をどこか当たり前のように受け入れ始めている自分。
あとはーー
「臭いにもなれるんだ‥‥‥最悪だわ」
首から大量の血をながしている三体のうち、二体はかろうじて血に染まった衣装を着ていない。
それを剥ぎ取り、自分の着ていたものを脱いで上から二重に着込んでいく。
「これも乾けば寒さを防げる‥‥‥死体泥棒?
墓場泥棒の侯爵令嬢なんてね‥‥‥」
いいわ、魔女というならそれでもいい。
追放するときにあれをしなかった自分たちを呪いなさい、第二王子、そして‥‥‥サーシャ。
「わたしは学院で習った魔法をまだ忘れてないわよ‥‥‥。
魔力封じの封印をしなかったのが、あなたたちの愚かさだわ」
魔法といっても大したものが使えるわけではない。
せいぜい、暖炉の火を灯したり、水を風から作り出したり、土を変質させたり。
その程度だ。
ナターシャは花を育てるのが好きだったから、土の精霊などを使役して土壌を肥えさせたりすることがあった。
大した魔法は使えない。
それでもここから離れよう。
火を起こすには怖いものがある。
それに、魔法を起こすには素材がいる。
魔素を含んだ魔石が。
それは魔物にしか内包されていない。
降りるなら山の反対側。
それだけは理解できていた。
ここは国境付近。
この山向こうは、隣国のルダイナル連邦国だ。
移民も受け入れてくれる。
そこを目指そう‥‥‥
ナターシャは月と星を頼りに方角を確認すると山奥へと向かい歩き出した。
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