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第三章 スレイプニール峡谷
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どう答えた方がいいだろうか?
ありのまま、事実だけを言う方がいいような気がして、ナターシャは少し長くなりますが、と前置きを言い事情を話し始めた。
第二王子からの婚約破棄とサーシャの、そう二人の陰謀にはめられたこと。
実家はその罪を問われ爵位を降格され、財産を奪われたこと。
昨夜、そう昨夜なのだ。
話していて今ここにいることの奇跡をナターシャは実感していた。
昨夜、あの嘆きの塔から脱出した時に、声が聞こえた事。
泥棒だと知りながら死体から服を剥いだこと。
あの小屋での身分証明書を作ったこと。
あの濃霧が起こした不可思議な幻影と、塔の声がもし何か関係しているのなら、必ず彼らの無念を晴らせるようにできる何かをすると約束すると濃霧が晴れたこと。
そして、背に負っていた太刀をルクナツァグに見せた。
この太刀で濃霧を切ろうとすると晴れたことも。
まずは隣国に逃亡し、そしてそこから基盤を築いて国に戻り無念を晴らす。
第二の人生も送りたいが、あの亡者たちの無念は晴らしてやりたいしその約束は守りたい。
それを、ありのままナターシャは伝えた。
彼女が語り終えるまで十数分はかかっただろう。
しかし、ルクナツァグはそれをただ黙って聞いていた。
時折、なるほど、などと相槌を打ちながら。
「わたしが申し上げれることは以上です‥‥‥あ、それと。
申し訳ございません、精霊に魚の料理法を聞きたいと願ったらなぜか、そのーー」
呼び出してしまった理由はそれなのです、とナターシャは自分が捕獲した魚を指差した。
黙って聞いていた妖魔は、たまらずおかしげに笑いだしてしまった。
「まさか、その料理法を聞くために呼ばれたとはな。
あの子ら、そう、お前の精霊がどうしてもと呼ぶから来てみれば‥‥‥。
まあ、人助けは二度目だ。
とりあえず、すまんな」
ケルピーはそう言うと、ナターシャの目のまえの魚二匹を宙に浮かばせた。
同時に、ナターシャの背中をくわえると、自分の背に乗せて空中を蹴り、より高い場所へと移動する。
「あ、あのーー!!??
なぜ!!?」
馬の背に乗り、天空を駆けるなど、ナターシャには産まれて初めての体験だったからその驚きも大層なものだった。
ケルピーは、一段上のこれまた路面の整備された街道に降り立つと、そっとナターシャを降ろしてくれた。
「時間が無かったのだ。
嘘を語ればそのまま放置する気だったのだがな。
見るがいい」
言われるがままに下を覗くと、上流域から凄まじい水量の水がなだれ込んでくるのが見えた。
「鉄砲水‥‥‥!!??」
なぜ、こんなことに?
振り返り妖魔に聞くと、
「ナターシャだったな?
お前は道そのものを間違えている。
ここが街道だ。もう長く使われていないがな?
その濃霧とやらが邪魔をしたのはお前を谷底に落とすためではない。
あの間違った道を行くな、と。
そう言う意味だったのだ。
気づかなかったのか?
途中から舗装されていないことに?」
そう諭すように言われ、ナターシャは気付いた。
「あ‥‥‥そう言えば、途中から舗装が無い方を選びました」
「その道はな、危険だから行くなと。
まあ、獣道のようなものだ。
まったく、水に溺れそうになった女性に、なりかかった女性。
蒼に緑。
どうにも奇妙な縁だな‥‥‥」
「あの、ルクナツァグ様?
緑がもし髪の色だとすればーー蒼の髪の女性をお助けになられたことが‥‥‥?」
ある。
そう断言するがなぜか、妖魔はため息交じりだった。
なぜ、そんな辛そうな返事をするのだろう?
ナターシャは不思議で仕方がない。
興味本位で質問をしてしまった。
「なぜ、そのように悲しそうに言われるのですか?」
と。
ありのまま、事実だけを言う方がいいような気がして、ナターシャは少し長くなりますが、と前置きを言い事情を話し始めた。
第二王子からの婚約破棄とサーシャの、そう二人の陰謀にはめられたこと。
実家はその罪を問われ爵位を降格され、財産を奪われたこと。
昨夜、そう昨夜なのだ。
話していて今ここにいることの奇跡をナターシャは実感していた。
昨夜、あの嘆きの塔から脱出した時に、声が聞こえた事。
泥棒だと知りながら死体から服を剥いだこと。
あの小屋での身分証明書を作ったこと。
あの濃霧が起こした不可思議な幻影と、塔の声がもし何か関係しているのなら、必ず彼らの無念を晴らせるようにできる何かをすると約束すると濃霧が晴れたこと。
そして、背に負っていた太刀をルクナツァグに見せた。
この太刀で濃霧を切ろうとすると晴れたことも。
まずは隣国に逃亡し、そしてそこから基盤を築いて国に戻り無念を晴らす。
第二の人生も送りたいが、あの亡者たちの無念は晴らしてやりたいしその約束は守りたい。
それを、ありのままナターシャは伝えた。
彼女が語り終えるまで十数分はかかっただろう。
しかし、ルクナツァグはそれをただ黙って聞いていた。
時折、なるほど、などと相槌を打ちながら。
「わたしが申し上げれることは以上です‥‥‥あ、それと。
申し訳ございません、精霊に魚の料理法を聞きたいと願ったらなぜか、そのーー」
呼び出してしまった理由はそれなのです、とナターシャは自分が捕獲した魚を指差した。
黙って聞いていた妖魔は、たまらずおかしげに笑いだしてしまった。
「まさか、その料理法を聞くために呼ばれたとはな。
あの子ら、そう、お前の精霊がどうしてもと呼ぶから来てみれば‥‥‥。
まあ、人助けは二度目だ。
とりあえず、すまんな」
ケルピーはそう言うと、ナターシャの目のまえの魚二匹を宙に浮かばせた。
同時に、ナターシャの背中をくわえると、自分の背に乗せて空中を蹴り、より高い場所へと移動する。
「あ、あのーー!!??
なぜ!!?」
馬の背に乗り、天空を駆けるなど、ナターシャには産まれて初めての体験だったからその驚きも大層なものだった。
ケルピーは、一段上のこれまた路面の整備された街道に降り立つと、そっとナターシャを降ろしてくれた。
「時間が無かったのだ。
嘘を語ればそのまま放置する気だったのだがな。
見るがいい」
言われるがままに下を覗くと、上流域から凄まじい水量の水がなだれ込んでくるのが見えた。
「鉄砲水‥‥‥!!??」
なぜ、こんなことに?
振り返り妖魔に聞くと、
「ナターシャだったな?
お前は道そのものを間違えている。
ここが街道だ。もう長く使われていないがな?
その濃霧とやらが邪魔をしたのはお前を谷底に落とすためではない。
あの間違った道を行くな、と。
そう言う意味だったのだ。
気づかなかったのか?
途中から舗装されていないことに?」
そう諭すように言われ、ナターシャは気付いた。
「あ‥‥‥そう言えば、途中から舗装が無い方を選びました」
「その道はな、危険だから行くなと。
まあ、獣道のようなものだ。
まったく、水に溺れそうになった女性に、なりかかった女性。
蒼に緑。
どうにも奇妙な縁だな‥‥‥」
「あの、ルクナツァグ様?
緑がもし髪の色だとすればーー蒼の髪の女性をお助けになられたことが‥‥‥?」
ある。
そう断言するがなぜか、妖魔はため息交じりだった。
なぜ、そんな辛そうな返事をするのだろう?
ナターシャは不思議で仕方がない。
興味本位で質問をしてしまった。
「なぜ、そのように悲しそうに言われるのですか?」
と。
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