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第六章 水の精霊女王
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出るんじゃなかった。
その心の悲鳴は脳内でだけ反響し、そとに出す暇もない。
自分で選んで飛び出したのに‥‥‥人間は空すら飛べないなんて!!!
途端、ナターシャは自分が極度の高所恐怖症だったことを思い出す。
アリアが浮上させた水の回廊はナターシャの予想をはるかにこえて上昇していた。
「死ぬ‥‥‥!?」
心の叫び声が出たのかはたまた、声にならない悲鳴だったのか。
音を裂き、空気を割ってー‥‥‥少女の体は数メートルしたの石畳に叩きつけられそうになる。
瞬間。
見ている者が誰かいれば、目を背けることもできない速度で落ちたエメラルドの髪をした少女は‥‥‥不思議なことに宙に浮いていた。
いや、落下の衝撃を受けとめることができるクッションがあったとしても、肉体にはなにかの異常が残るはず。
「ア、リア‥‥‥様???」
水の精霊女王が何か、土産を残して行ったのかとナターシャは首を傾げるが、水の痕跡すらなく――
「なに、これ‥‥‥浮いてる??」
落下したその衝撃すらも相殺されるような何か。
そんなものに、ナターシャは助けられていた。
普段、歩いているだけでも感じる彼女たちの世界にはまだない、重力という概念。
それすらからも、解き放たれて少女は宙に浮いていた。
「きゃ!??」
ふいっとそれはナターシャの無事を確認すると興味を失ったかのように消え去ってしまう。
「いった―い‥‥‥何よ‥‥‥???」
少女は不格好にもうつ伏せに近い状態で床に放り出されていた。
神様の手助け?
それとも、怨霊たちの何か?
ふとそれなら剣が輝いているはず‥‥‥そう思い、見た左手にはその剣はない。
「えっ!?
どこ――」
少し離れた床に物騒にも突き刺さる剣はしかし、何も反応していなかった。
怨霊たちが何かをしたなら、紅く染まるように輝くはずなのに‥‥‥
「アリア様‥‥‥」
剣を引き抜くとはるか天井にいるだろう、二人の神々を見上げるがー‥‥‥すでに、神殿の上部から離脱したのかその姿すら見えない。
「力を制限されるのに、この神殿の結界を自由に出入りできる時点で、まだアルを助けられるってことになぜ気づかないのかしら‥‥‥」
頼りにならない神々だわ。
そんな不満だけがナターシャの中に積もり積もっていく。
でも、王国への復讐は‥‥‥竜王様しかできないし。
わたしたち、本当に来た意味があるのかしら。
そんなぼやきを考えながら、アルフレッドの飲み込まれたのは確かあの辺り‥‥‥???
と、神殿の上下を支える巨大な円柱の一つにふと目が行く。
変ね、何かおかしいわ、これ。
円柱は巨大で薄暗い中でも一際目立つ存在だった。
その柱だけが周囲の、それでも歩いてすくにいける距離にはないが他の円柱よりも太く、また目立っていた。
はるか昔の神々の参列を描いたのだろう。
その柱にはふんだんに銀が使われていて、鈍く、不気味な輝きを放っている。
「どうしてこれだけ?
対になる柱もないし‥‥‥????」
まるで誰かを誘っているような、いいえ待って。
この柱、もしかして下層へと通じているんじゃないかしら。
神々の上位神がここに家来を置いて下へ置いて行ったって竜王様は話していたし。
「もし、人並みに力が制限されるなら‥‥‥階段なんて用意しないはず」
もっと便利なもの。
そう、さっきまで載っていた水の回廊のようなそんなものがあってもおかしくはない。
もしそうなら、まだアルフレッドは生きている?
あの大きな口がその入り口なら竜王様も知っていたはず‥‥‥
「後になって出来たか、それほど巨大な魔物がいるか‥‥‥罠??」
何に対する罠だろう?
侵入者?
それともー‥‥‥。
ナターシャの疑問の答えは簡単に出そうだった。
「‥‥‥やっぱり、わたしは危険や困難、災厄を招く女なのね、ごめんなさい。
アルフレッド」
周囲に床から湧き上がり、もしくはどこかの影から、もしくははるか遠くの闇の中から。
アリアの水の回廊に飛び込もうとしては阻まれてきた妖獣?
魔獣?
薄暗い中で光その目と体躯はまるで、巨大な痩せこけた猫の様。
「猫が聞いたら気を悪くするわね‥‥‥できることなら、彼に会いたかったんだけど」
剣を構えると、ナターシャはなるべく背後を守ろうとあの円柱に駆け寄りそれを壁代わりにして狩人の一団を迎え打つ姿勢を見せた。
「あなたー‥‥‥」
剣はあの夜のように鈍い燐光を放ちナターシャはそれを、敵に向かい構えて彼等の包囲がじわじわと狭まるのを感じていた。
左右に広くこられたのでは勝ち目がない。
どこか、くぼみでもあれば‥‥‥
足元を取られないように気を付けながら、すり足でまるで舞踏会で踊る時のようにつま先だけでナターシャは位置を変えていく。
「さあ、来なさいよ‥‥‥死ぬなら、こんなとこ!!
生き延びるんだから!!」
アルフレッドと共に――
どこからか自然に湧いて出たその言葉に、ナターシャは唖然とする。
そう、アルフレッドを助けなきゃいけない。
え、でもさっきの声はなに?
まるで、彼が失ってはいけない存在のような――
だが、その想いを深く探る時間を彼等は与えてくれなかった。
シャアオオ。
そんな猫の不格好な、不細工な声を潰したかのような鳴き声で先頭にいた一匹が宙に躍り出る。
防げない!?
こんなことなら、もっと学院で剣技の演習を‥‥‥そう、心に後悔が走った時だ。
(借りるぞ?)
人間の声がした。
耳元で、心の側で、脳裏に響くように。
その声と共に、声の主の古い記憶の片鱗が‥‥‥ナターシャは理解できた。
ここまで連れて来て、まるっきり役に立たないダメ竜王。
でも、彼等は笑い合っていた。
まるで家族のように打ち解け合っているその様を垣間見てナターシャは叫ぶ。
「どうぞ!!
助けて――!!!」
(承知した)
その返事に応えるかのように剣より出でた燐光は更なる光の密度を増し、ナターシャはその中に埋もれるようにして何かが彼女の身体と入れ替わるように――
はるか頭上からの奇襲に成功したとほくそ笑んだ例の猫の妖魔は、わずかに一閃。
燐光の中から現れたまだ若い、一人の騎士の手によって‥‥‥その肉体を頭から両断されていた。
「すまんが、そなたの底にあるエルフの力を糧にさせてもらった。
あとすこしばかり下がっていてくれるかな?
我が姫よ」
薄暗い神殿の中に、紅の閃光が幾重にも広がり、それに触れた都度、妖魔は悲鳴を上げて両断、もしくは四肢を失い、頭部を断たれて絶命していく。
十数体の死骸の山が積まれるまでに、数分とかからなかった。
数が多いな。
騎士はチラリとナターシャを見ると、
「怨霊ども、炎の壁を作れ!!」
叫ぶと同時に、彼の両脇の影からあまりにも黒々としたモヤが沸きあがり、それは声にしたがって巨大な炎へとその身を転じてしまう。
「なんて凄い‥‥‥」
感心するのも束の間。
騎士はこれも長くはもたん、そういうとナターシャを軽々と肩に抱えあげ、
「すまんが、落ちるぞ!?」
「へ?
ちょっと、あなたは誰!!?」
「あのバカ竜の友人だ!!」
せめて抱き上げるならもっと紳士らしく!!!
そんなナターシャの願いは届かない。
そして、彼女は振り返りざまに見てしまう。
あの、アルフレッドを飲み込んだ巨大なあごに、騎士と共に自分が飛び込んでいく様を‥‥‥
その心の悲鳴は脳内でだけ反響し、そとに出す暇もない。
自分で選んで飛び出したのに‥‥‥人間は空すら飛べないなんて!!!
途端、ナターシャは自分が極度の高所恐怖症だったことを思い出す。
アリアが浮上させた水の回廊はナターシャの予想をはるかにこえて上昇していた。
「死ぬ‥‥‥!?」
心の叫び声が出たのかはたまた、声にならない悲鳴だったのか。
音を裂き、空気を割ってー‥‥‥少女の体は数メートルしたの石畳に叩きつけられそうになる。
瞬間。
見ている者が誰かいれば、目を背けることもできない速度で落ちたエメラルドの髪をした少女は‥‥‥不思議なことに宙に浮いていた。
いや、落下の衝撃を受けとめることができるクッションがあったとしても、肉体にはなにかの異常が残るはず。
「ア、リア‥‥‥様???」
水の精霊女王が何か、土産を残して行ったのかとナターシャは首を傾げるが、水の痕跡すらなく――
「なに、これ‥‥‥浮いてる??」
落下したその衝撃すらも相殺されるような何か。
そんなものに、ナターシャは助けられていた。
普段、歩いているだけでも感じる彼女たちの世界にはまだない、重力という概念。
それすらからも、解き放たれて少女は宙に浮いていた。
「きゃ!??」
ふいっとそれはナターシャの無事を確認すると興味を失ったかのように消え去ってしまう。
「いった―い‥‥‥何よ‥‥‥???」
少女は不格好にもうつ伏せに近い状態で床に放り出されていた。
神様の手助け?
それとも、怨霊たちの何か?
ふとそれなら剣が輝いているはず‥‥‥そう思い、見た左手にはその剣はない。
「えっ!?
どこ――」
少し離れた床に物騒にも突き刺さる剣はしかし、何も反応していなかった。
怨霊たちが何かをしたなら、紅く染まるように輝くはずなのに‥‥‥
「アリア様‥‥‥」
剣を引き抜くとはるか天井にいるだろう、二人の神々を見上げるがー‥‥‥すでに、神殿の上部から離脱したのかその姿すら見えない。
「力を制限されるのに、この神殿の結界を自由に出入りできる時点で、まだアルを助けられるってことになぜ気づかないのかしら‥‥‥」
頼りにならない神々だわ。
そんな不満だけがナターシャの中に積もり積もっていく。
でも、王国への復讐は‥‥‥竜王様しかできないし。
わたしたち、本当に来た意味があるのかしら。
そんなぼやきを考えながら、アルフレッドの飲み込まれたのは確かあの辺り‥‥‥???
と、神殿の上下を支える巨大な円柱の一つにふと目が行く。
変ね、何かおかしいわ、これ。
円柱は巨大で薄暗い中でも一際目立つ存在だった。
その柱だけが周囲の、それでも歩いてすくにいける距離にはないが他の円柱よりも太く、また目立っていた。
はるか昔の神々の参列を描いたのだろう。
その柱にはふんだんに銀が使われていて、鈍く、不気味な輝きを放っている。
「どうしてこれだけ?
対になる柱もないし‥‥‥????」
まるで誰かを誘っているような、いいえ待って。
この柱、もしかして下層へと通じているんじゃないかしら。
神々の上位神がここに家来を置いて下へ置いて行ったって竜王様は話していたし。
「もし、人並みに力が制限されるなら‥‥‥階段なんて用意しないはず」
もっと便利なもの。
そう、さっきまで載っていた水の回廊のようなそんなものがあってもおかしくはない。
もしそうなら、まだアルフレッドは生きている?
あの大きな口がその入り口なら竜王様も知っていたはず‥‥‥
「後になって出来たか、それほど巨大な魔物がいるか‥‥‥罠??」
何に対する罠だろう?
侵入者?
それともー‥‥‥。
ナターシャの疑問の答えは簡単に出そうだった。
「‥‥‥やっぱり、わたしは危険や困難、災厄を招く女なのね、ごめんなさい。
アルフレッド」
周囲に床から湧き上がり、もしくはどこかの影から、もしくははるか遠くの闇の中から。
アリアの水の回廊に飛び込もうとしては阻まれてきた妖獣?
魔獣?
薄暗い中で光その目と体躯はまるで、巨大な痩せこけた猫の様。
「猫が聞いたら気を悪くするわね‥‥‥できることなら、彼に会いたかったんだけど」
剣を構えると、ナターシャはなるべく背後を守ろうとあの円柱に駆け寄りそれを壁代わりにして狩人の一団を迎え打つ姿勢を見せた。
「あなたー‥‥‥」
剣はあの夜のように鈍い燐光を放ちナターシャはそれを、敵に向かい構えて彼等の包囲がじわじわと狭まるのを感じていた。
左右に広くこられたのでは勝ち目がない。
どこか、くぼみでもあれば‥‥‥
足元を取られないように気を付けながら、すり足でまるで舞踏会で踊る時のようにつま先だけでナターシャは位置を変えていく。
「さあ、来なさいよ‥‥‥死ぬなら、こんなとこ!!
生き延びるんだから!!」
アルフレッドと共に――
どこからか自然に湧いて出たその言葉に、ナターシャは唖然とする。
そう、アルフレッドを助けなきゃいけない。
え、でもさっきの声はなに?
まるで、彼が失ってはいけない存在のような――
だが、その想いを深く探る時間を彼等は与えてくれなかった。
シャアオオ。
そんな猫の不格好な、不細工な声を潰したかのような鳴き声で先頭にいた一匹が宙に躍り出る。
防げない!?
こんなことなら、もっと学院で剣技の演習を‥‥‥そう、心に後悔が走った時だ。
(借りるぞ?)
人間の声がした。
耳元で、心の側で、脳裏に響くように。
その声と共に、声の主の古い記憶の片鱗が‥‥‥ナターシャは理解できた。
ここまで連れて来て、まるっきり役に立たないダメ竜王。
でも、彼等は笑い合っていた。
まるで家族のように打ち解け合っているその様を垣間見てナターシャは叫ぶ。
「どうぞ!!
助けて――!!!」
(承知した)
その返事に応えるかのように剣より出でた燐光は更なる光の密度を増し、ナターシャはその中に埋もれるようにして何かが彼女の身体と入れ替わるように――
はるか頭上からの奇襲に成功したとほくそ笑んだ例の猫の妖魔は、わずかに一閃。
燐光の中から現れたまだ若い、一人の騎士の手によって‥‥‥その肉体を頭から両断されていた。
「すまんが、そなたの底にあるエルフの力を糧にさせてもらった。
あとすこしばかり下がっていてくれるかな?
我が姫よ」
薄暗い神殿の中に、紅の閃光が幾重にも広がり、それに触れた都度、妖魔は悲鳴を上げて両断、もしくは四肢を失い、頭部を断たれて絶命していく。
十数体の死骸の山が積まれるまでに、数分とかからなかった。
数が多いな。
騎士はチラリとナターシャを見ると、
「怨霊ども、炎の壁を作れ!!」
叫ぶと同時に、彼の両脇の影からあまりにも黒々としたモヤが沸きあがり、それは声にしたがって巨大な炎へとその身を転じてしまう。
「なんて凄い‥‥‥」
感心するのも束の間。
騎士はこれも長くはもたん、そういうとナターシャを軽々と肩に抱えあげ、
「すまんが、落ちるぞ!?」
「へ?
ちょっと、あなたは誰!!?」
「あのバカ竜の友人だ!!」
せめて抱き上げるならもっと紳士らしく!!!
そんなナターシャの願いは届かない。
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