竜姫からの招待状

星ふくろう

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第二章 失われた遺伝子

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「え?」
「お義母様?」
 僕とエミュネスタが母さんの発言に、戸惑ったのは当たり前のことだ。
 いきなり、自分を殺せと、言い出したのだから。
 僕は、母さんが何か気でも触れたかと思ったし、エミュネスタなんか母の手を両手で握りしめて離さなかった。
「なに、言ってんのさ、母さん」
 本当に、理由がわからなった。
 でも、母さんは冗談ではないと言ってのけた。
「どういうことかな、麻友殿」
 そうホルブ王が口を開く。
 王妃とルシアンは理解できない、という顔をしていた。
 そりゃそうだよ。
 だって、息子の僕でさえ、母さんの考えがわからないんだから。
「どういうことも、なにも。
 そのままの意味ですよ、ホルブ王様」
 様をつけた?
 あれだけ、王族だの特権を嫌ってさんづけだった母さんが?
 これはだめだ。
「エミュネスタ、母さんを離さないで」
 僕は母さんを守る態勢に入った。
 もし、竜族の方が言葉を真に受けてー。
 そんなあり得ないだろうけど。
 あり得たら困る状況になってしまったら、することは一つだけだ。
 母さんを守る。
 その時は、エミュネスタをあちら側に、放り投げてでも、帰してからだけど。
 彼女に、親殺しを片棒をかつがせるわけにはいかない。
 離婚するって叫ばなきゃならないだろなー、なんて僕は考えながら母さんに向き直る。
「母さん、なに考えてるのさ。
 王様や王妃様や、お義兄さんの前でなんて発言するんだよ」
「由樹。
 あたしは本気だよ?」
 わかってるよ。
 わかってるから、聞いてるんだよ!
「駄目だ!
 僕が許さない」
「はあ?
 あんたが何を許さないって?
 ちょっとばかり、嫁の御両親に褒められたからって調子に乗るんじゃないよ?
 あたしはあんたの母親なんだからね!?」
「だから聞いてるんだろ!!!
 母親って言うなら、ここはにこやかに去る場面じゃないか!
 どっちが常識がないんだよ!!!????」
 と、そう僕が怒鳴った時だ。
 パァンッ。
 と、いい音がして、僕の頬が鳴った。
 ああ、いつものやつだ。
 でも、今回だけは譲るとかそんな問題じゃない。
 僕は母さんの顔を張り返した。
 またいい音がする。
「いったああぁっ!?
 あんた、母親に手を挙げる気?!」
「こんな時に親も子もあるかよ!
 ばかか!」
 ばかか。
 そんな言葉、これまで誰にも言ったことなんてなかった。
 まさかの、自分の母親に使うのが初めてだなんて思わなかった。
「ああ、ばかだよ!
 そのばかの子供のあんたはもっと、大馬鹿だよ!!!」
 エミュネスタにがっしりと後ろから抱きしめられて、抵抗できない母さんは大声で怒鳴り返してくる。
 こりゃ、いつもの親子喧嘩では終わらなさそうだ。
「大馬鹿でもなんでもいいさ。
 親の自殺を目のまえで止めれない息子でいるくらいなら、一緒に死ぬよ」
「はああ!?
 そりゃあたしが言い出したんだよ。
 なんであんたが付きあうのさ。
 あんたはエミュネスタちゃんってかわいい嫁が出来たんだから!
 自分の幸せだけ考えたらいいんだよ!!!」
 いや、待てよ母さん。
 言ってること、おかしすぎるよ。
「お義母様!」
「なによ、エミュネスタちゃん。
 ってか離しなさい!!!」
「離しません!」
「あんた、夫の母親の命令が利けないっての!?」
 もう本当に無茶苦茶だよ。
「だからこそ利けません!
 第一、親の自殺を見過ごすようなだんな様なら、わたしから願い下げです!!!」
 あ、エミュネスタもなかなか言うんだね。
 母さんには申し訳なかったけど。
 この先、そう遠くない未来に嫁・姑合戦に巻き込まれる前に逃げる方法を考えなきゃ、身が持たないような気が一瞬だけ脳裏を走った。
「あんたねえ、人の息子を願い下げってどういう意味さ!?
 いきなりやって来て、押しかけ女房した上に、あたしにまで文句言うつもり!!??」
「それは、もう終わった話では!??」
「まだ終わってるわけないでしょ!
 ここから帰ったら、言いたいこと山ほど文句あるんだからね!!!!」
「なら、なぜ殺せなんておっしゃるんですか?」
「それは、それ、これはこれだろ!!???」
 あーもう。
 もういい。
 分かった。
 これが一番いい。
「わかった」
 僕は静かに二人に言う。
「ならもう、三人で死のう?
 お前、それでいいか?」
「だんな様!?」
 信じられない、という顔をエミュネスタがする。
「だって、僕はもうこんな場面、見たくないよ。
 死にたい理由くらいさ。
 話したっていいだろ、母さん」
「そうですわ、お義母様……」
 新竹家の内紛をあっけにとられて見ている国王夫妻と……。
 義理の兄のルシアン。
 彼だけは面白そうにこの光景を楽しんでいた。
 この義理の兄だけは、仲良く出来ないような、そんな気がしたのはこの時からだ。
 まあ、互いの家族の顔合わせの席で、円満に終わろうとしている最後で自分を殺して欲しい。
 なんて言う種族なんて、うちの母さんくらいだろうから。
 そういう意味では面白いかもしれないけど。
 まだ、国王夫妻の方が人間味があるように感じた。
「申し訳ありません、お義父さん。
 母が失礼しました」
 僕はとりあえず、詫びを入れることにした。
「いや、それは良くはないが……。
 娘をそちらに預けるには、幾分の不安にはなりますな」
 そうだろうね。
 僕も、父親ならそう言うと思うよ。
「しかし、麻友殿。
 なぜにそのように死期を早めようとなさるのか。
 せめて、お話しいただけませんか」
 この人が?竜というべきか。
 国王で、エミュネスタの父親であってくれてよかったと僕は思った。
「母さん。
 僕が養子だから、そう言ったの?」
 ピタリと、暴れていた母さんの動きが止まる。
 ああ、図星か。
 わかりやすい母親で良かった。
 非常識すぎるのが、だめだけど。
 それとも、そう演じないといけなかったのかもしれない。
 どちらにしても、僕には何も嬉しくない展開だった。
「母さん、お願いだから、もう少し、やり方を選んでよ。
 僕はそんなに信頼も信用もできない、だめな息子なの?」
 母さんはその質問につらそうな顔をする。
 思ってるわけがないだろ、そんな感じだ。
「エミュネスタ、こっちにおいで」
 僕は妻を呼び寄せる。
「でも……」
 と、いま離したら本当に自殺しそうな母を見て、また僕を見る。
「いいから、来い」
「はい……だんな様」
 不安だろうな。
 わかるよ、その気持ち。
 でも、いいからおいで。
 お前が、そこで背負うことはないんだ。
「だんな様……」
「いいんだ。母さんは知ってるんだよ。
 選抜されたってことの意味を」
「どういうことですか?」
「そうだろ、母さん?
 竜族の遺伝子を色濃く受け継いでたのは、母さんまでなんだよね?」
 僕はなんとなくだけど。
 答えがわかっていた。
 祖父母も他界していて、兄妹も、親戚も既にいない新竹家。
 僕が養子だとしたら、母さんの代でその血筋は絶えることになる。
 母さんは、後世に残そうとは思ってないんだと。
 竜族と人間の遺伝子をここで絶やそうと思ってたんだ。
 できれば、それは竜族の手にかかって終わらせたかった。
 なぜか。
 これから続く、二千年の二種族の格差を知らせたいからだ。
「母さんは、そんなに竜族を信じれないの?」
「由樹、そんな理由であたしがこんな発言すると、思ったの?」
 え?
 この返事は意外だった。
「じゃあ、何がそんなに嫌なのさ」
「嫌じゃないよ。
 竜族と人間の相の子がやがては、支配者になるならなればいいさ。
 それが、人間がいまの段階で選んだ未来なんだから。
 あたしはそんなことはどうでもいい」
 どうでもいい。
 ふうん。
 そうか。
 よくわかったよ、母さん。
 どうしても言えない隠し事があることだけは。
 良く分かった。
「母さん、何があったのさ。
 僕が産まれた時に」
 母さんは、椅子に腰かけて暴れていたわけだけど。
 僕を睨んだりしてさ。
 でも、その一言で、はっとした顔をした。
「兄さんに、関係があるの?
 それとも、父さん?
 僕には言えないことなの?」
「あんた、どこまで知って……」
 我が息子を信じれない、という顔つきでみる母さん。
 あのさ。
 僕は何も知らないんだよ。
 ただ、僕の中の憧れた彼らが、教えてくれるだけだよ、母さん。
 秘密を知ることを恐れるな。
 傷つくこともある。
 血を流して戦うこともある。
 だけど、諦めるな。
 大事なものを守れってさ。
「僕には、母さんと、エミュネスタが大事だよ。
 会ったこともない兄さんよりさ」
 そう言うと、母さんはがっくりと肩を落としてしまった。
 何を背負ってたの、母さん。
 その両肩にさ。
 僕にだけは背負わせまいと、そこまでして守ってるものは何なの?
 あーもうわかんないや。
 ぶち壊そう、このシチュエーション。
 エミュネスタ、幻滅しないでね。
 僕は本当は、気が短いんだ。
「ホルブ王、お腰の帯剣をお借りできますか?
 衛士の方のでも結構です」
 そう言うと、案の定、ルシアンが自分のをテーブルの上に置いて寄越した。
「竜族の方々。
 日本人の習わしはお詳しいですか?」
「習慣?
 いまのではなく、過去の、ということか?」
 ほら、ルシアンが乗ってくる。
「そうです。
 江戸時代やそれ以前の時代に、なぜ武士にだけ、自決する権利が与えられたかご存知ですか?」
 何を言い出すんだお前は、母さんがそんな顔になる。
「切腹や介錯といった、ああいう行為のことか?」
「そうです」
「文献では読ませて頂いたがな。
 まさか、ここで披露するとでも?」
 本当に、この人は挑戦的だ。
「破談にした詫びと、母とエミュネスタ。
 どちらも不問に処する、とお約束頂けるなら」
 ほう、とルシアンは面白そうな顔をした。
 竜族における一番の人類の問題点。
 それはこれからの彼の出方次第になるだろうな。
 僕は薄々感じていた。
 彼が、兄ではなく更に上の上位から見下すようにこの惨状を見ていたことを。
 だいぶ先の未来でその予感は当たるのだが、この時はまだそこまでは理解していなかった。
「この王宮を、竜族の血統でもないお前の血で洗われてもな。
 こちらとしては、迷惑なだけだ」
「そうですか。
 でも、これが僕たちのけじめなんですよ。
 自分の命を自分で裁く。
 それは何も武士にだけ与えられた特権じゃないと僕は思ってるんです」
「意味がわからんな。
 あの行為は武士だからこそ、与えられたものだろう?」
 そう。
 本当はそれが正解だろう。
 でも、種族としての意味に取り換えるなら。
「人間がここで起こした無礼の代わりに、王族と婚姻までした人間の特権階級の僕が責任を取るんです。
 人類に、非が及ばないように。
 それが不満ですか?」
 なにを言っているんだ、こいつ。
 ルシアンはそんな顔をする。
 そうだ。
 つまり、彼は認めてなんていなかった。
 人間側への便宜なんて、彼らからしたら道にいる野良犬に、昼ご飯の余り物でも与える。
 その程度でしかないってことを。
 僕はよく理解した。
 こんなパワーバランスで、人間と竜族の関係性がうまくいくはずがないのだ。
 彼らがしたかったことは貰ってもらう、じゃない。
 自分たちのどこかの歴史で失われた血統を、再興させることだと。
「由樹、何を考えてー」
 エミュネスタはそれを知ってるのか、知らないのか。
 まあ、惚れたのは僕だから彼女には罪はないんだけどね。
「だんな様、だろ?」
「そんなことにこだわる場合ではー」
「だんな様、だろ?」
 従えるか、エミュネスタ?
 こんな、人間でしかない僕に。
 偉大な竜族のお前は、どんな顔を見せるんだい?
 と、試したいところだけど。
 僕の惚れた愛妻は、やはり愛妻のままでいてくれた。
「はい、だんな様……」
 ありがとう、エミュネスタ。
 これに異論を唱えたのは、もちろんルシアンだ。
「妹よ、その者には我らが血は流れていないぞ?」
「残念ですけど、ルシアンさん。
 母さんは、渡しませんよー」
 剣を抜いた僕の刃先にあったのは、そう。
 母さんの喉元だ。
 どうせ、首を跳ねたところで彼らは再生させるだろうけど。
「母さん、これでいいんだろ?
 最初からわかってたの?
 自分の血が、利用されるかもしれないって」
 僕は我ながら情けない顔をして母さんを見た。
 ああ、なんで泣いてるんだろうな。
 なんで、こんなことになったんだろ。
 僕なんて、生まれてこなければ母さんが巻き込まれることも。
 僕の背ですすり泣いている、彼女をここまで追い詰めることもなかったのに。
「なんで、あんたわかったの……」
「だって、もう母さんしかいないじゃない。
 うちの親戚みんな死んでるし。
 数万年ぶりに、地球を訪れた、星空の旅人たちなんてさ。
 どう考えても何かあるでしょ?
 どうせ、政府側もなにか掴んでるよ。
 母さんの事故にしてもおかしかったしさ。
 これからは、地球規模で始まるよ。
 人間による、人間狩り、がさ」
 母はきょとんとした顔をする。
 あれ?
 そこまで考えてなかったな、母さん。
「どういう……こと?」
 あーあ。
 親子二人で泣きながらなんて、本当に情けない。
 ああ、いや。
 もう三人か。二人と一匹か。
 あーもうばかばかしくなった。
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