竜姫からの招待状

星ふくろう

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第三章 竜の系譜

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 あれから、数日が経った。
 エミュネスタは数日、二日酔いに悩まされていて。
 ルシアンのもってきた竜族の酒は、それほどに純度の高いものだったらしくーー
 試しに、小皿に入れたものに火をつけると、凄まじい勢いで燃え上がった。
「危なかったー‥‥‥」
 一滴でも体内に入れていたらーー
 そう思うと、冷や汗が止まらなかった。
 もしかしたらルシアンは僕に殺意を抱いていた??
 そんな考えも浮かんだが、それは即座に消えてなくなった。
 あの人も、いや、あの竜も人間との共生に悩みながら頑張っているのだろう。
 あれだけ義姉さんのこと気にかけていたから。
 そう思うことにした。
 母さんはー……確か母も、この竜族のお酒を数口は体に入れていたはずなのだけど???
 これも竜族の遺伝子のお陰なのかな?
 その割には不自由な片足は治る気配がない。
 どういう身体の作りをしているのかな、我が母は‥‥‥。
 翌朝、朝の出勤時に玄関で僕に詰め寄ると
「‥‥‥あー、頭痛い!
 いい、由樹。
 寝てるからってエミュネスタちゃんにー」
 悪戯するんじゃないわよ! と言い残して家を出た。
 まあ、そんな悪戯ができるほど、僕は悪人じゃないよ。
 母さん。
 そして、我が妻ことドラゴンプリンセス・エミュネスタ。
 翼も尾もある状態では、人間の寝間着なんて役に立たないし、彼女たちにはーー
 下着をつけるという習慣がないらしい。
 まあ、それに似た衣服を着てはいるが。
 確かに後ろからみた時の、彼女の背中に下着の線が無いのは不思議に思えていた。
 羽があるため、背中そのものではくても、両翼の間の場所だけはどうしても素肌がみえてしまう。
 それを聞くべきかどうか迷っていたが、それは昨夜、あっさりと告白された。
「え?
 だんな様、竜族は、というのも変ですねーー
 そう、わたしたちが下着を付けるかと言われましたら、それはありません。
 といいますのも、外皮と呼ばれる全身を覆うものを着ますのでーー」
「ああ、それは、そうだよね。
 人の型をとるというか、変身することが、普通じゃないもんねお前たちは」
「はい、そうですね。
 ですからーー」
 僕はその答えを理解したよ。
 沈黙しかできない。
 下着を付けないんだね、竜族は。
 思わず、二日酔いの我が妻をじっと見てしまう。
 ルシアンはエミュネスタが僕と年齢が変わらないと言っていた。
 うん、美しい。
 豊満な胸、緩やかな隆線美を描いてカーブを作るくびれ、誰がどう見ても綺麗な存在がそこにいる。
 すべてを僕に捧げると。
 愛しているといつかは、語り会えるようになりたい僕だけの女性。
 まあ、年頃の男子なら。
 そんな美しい女性が目の前に寝ていたら。
 見てしまうよね。だめだと理解していてもさ。
「だんな様。
 そんなにみられるとー……」
「あ、ああ。
 すまない」
 エミュネスタの寝間着はまあ、羽も出せば、尾も出すもので。
 腰からのスリットは、お尻部分に入っている。
 駄目だな。
 このまま見続けたら、理性が持たない。
「で、どうなんだ、お前。
 二日酔いは少しはおさまったのか?」
 と聞くと、エミュネスタは恥ずかしそうにうつむいてあらぬ方を見た。
「ああー……まだ、気分が優れないんだね。
 なら仕方ない。
 もう少し休んでるといいよ。あ、でもーー」
 と、僕はある可能性に気づいた。。
「この冷房で、大丈夫?
 竜族は、体温はどうなんだろう?
 ねえ、お前」
 そうだ。
 エミュネスタは人型を取っているが、竜なのだ。
 僕はそれを失念していた。
 もしかしたら、冷凍庫や零下の気候でないと駄目なのかもしれない。
 そうなったらどうしたらいいんだろう。
「あ、それでしたら、問題ありません、だんな様」
 とエミュネスタは言うけれど。
 どう問題がないのかを知っておきたいと思ってしまう。
「問題がないといっても、お前。
 僕にはなにがどう問題がないかを教えておいて欲しいよ?」
 と尋ねてみた。
「そう、ですーね。
 わたしたち竜族は、あの宇宙空間でも生きれますので‥‥‥」
 ああ、そうか。
 自在に体温も操る術があると、そういうことなんだ。
 でもそうなると、なんで二日酔いで数日も寝込んでいるのだろう?
 あれ?
 まさかとは思うけどーー
「ねえ、お前。
 まさかとは思うけど、もう、体内のアルコールは昇華されていてー……なんてことは、ないよね?」
 と、意地悪く聞いて見ることにした。
 いや、もしそうでも僕はよかったんだ。
 彼女の、エミュネスタが甘えたいって思いをいま出してくれているなら。
 それはそれで、とてもかわいらしいものだったから。
 案の定、尾が反応する。
 ふうん、と僕は心の中で笑ってしまう。
 ルシアンはどうかはわからないけど、エミュネスタ。
 彼女に限っては、犬や猫じゃないけど。
 その薄く、細くなった爬虫類の様な尾が、機嫌を示す時がある。
 それに気づいたのは、以前、王城に招待を受けた時だ。
 不安であれば青みが増すし、嬉しい時は赤みが増す。怒った時や不機嫌な時は薄い緑に近い色になる。
 妻の機嫌を示してくれるバロメーター。
 生憎と、エミュネスタ本人はこの事には気づいていないようで。
 普段は茶色に近い尾が青みを増していたから、僕はずっと体調が悪いのだなと勘違いしていた。
 でも違ったんだね。
 不安と焦りや危険を感じた時の青みと、悪戯をしていて、それを楽しんでいる時の青み。
 これは暗い青と、群青色の青にわかれるみたいだ。
 いまの尾は、前者。
 悪いことがばれて、困ったというときのやつだ。
「あれ?
 どうしたのかな?
 まだ気分が悪いかい、僕の御姫様は?」
 と、そっと尾の先を撫でてやる。
 これも最近知ったことだけど。
 竜族はどうも、尾の先にいろいろな感覚器官が集まっているらしい。
 まあ、昆虫でいうところの触覚のようなものだろうか?
 だから、彼らは尾を触られるのを嫌う。
 この辺りは犬や猫に近い物があると、僕は思ってる。
 ただ、犬って尾の付け根を撫でてやると喜ぶんだよね。
 これは猫も同じでーー
 というわけで、竜族はどうなのか。
 試してみることにした。
 逃げれないように、尾の先をそっと腕の間に挟んで。
 付け根を優しく撫でてやる。
「あ、だんな様。
 そこはだめですー‥‥‥」
「だめって、なにが駄目なんだい?
 腰が痛いかなと思ってさすっているだけなんだけど?」
 面白いから尾の付け根から指を尾の先のほうに這わせてみる。
「ですから、そこは弱いー‥‥‥」
 へーえ、なるほど。
 無敵の竜族にも、弱点があるんだね、エミュネスタ。
 悪いけど、ここ二日ほど、ずっと心配で看病してきたけど。
 その心配した分を、僕はこの意地悪で晴らさせてもらうことにした。
「ほら、あまり動いたら身体に悪いだろう?
 起き上がったら駄目だよ」
 と、必死に尻尾を取り返そうとするエミュネスタの手をなんとかさばきながらーー
 力でこられたらもちろん、かなわない。
 そこは、尻尾をハンドル代わりにして、いろいろと試してみる。
 強く握ったり、優しく撫でてみたり、ちょっと引っ張ってみたり。
 力点と作用点の法則と同じで、こちらが主導権を握ったままその攻防は数分続いてーー
「で、エミュネスタ。
 どうなのかな?
 本当は二日酔いは、もうおさまってるんじゃない?」
 と、僕は爆弾を投げ込んでみる。
 すると、尻尾はまた薄暗い青になってーー
 本当にわかりやすいね、君は。
 と、僕は彼女に、尻尾をかえしえやる。
「だ、だんな様はーー」
「うん、僕がなにかな?」
 うううっと、これまで見たことの無い顔をエミュネスタがする。
 恥ずかしいような、情けないような、いじめられたようなそんな表情が入り混じった。
 初めてみる彼女の新しい側面。
 新鮮でいて、少しだけいじめるのが楽しかったことは秘密だけど。
 これはこれで、後々の夫婦喧嘩の際に、うまく有効利用できそうな気がした。
「もうーーだんな様は意地悪ですーーー!!!」
 そう、半分泣きそうな顔で言う我がドラゴンプリンセス。
 だって、最初にぼくをだますと言ったら聞こえが悪いけど。
 そうしたのは、君のはずなんだけどな、エミュネスタ。
「そうかい?
 僕は妻を心配して、腰をさすったり、背中を撫でたりしてあげてただけだよ?
 で、どうなの?
 二日酔いはいつおさまってたの?」
 と、顔を近づけて妻に聞いてみる。
「それはーー」
 悪事というか。
 悪戯がばれた子供がするような顔をするエミュネスタ。
 ああ、可愛いなあ。そう思ってしまうが、ここは出さないでおこう。
 夫としての威厳がどうこう、また言われそうだから。
「実はー‥‥‥」
「うん、怒らないから、言ってごらん?」
 と、言うとエミュネスタはきょとん、として不思議そうな顔をする。
「え、でも。
 本当に怒りませんか?」
 と、不安そうに。
 再確認までしてきた。
「うん、怒らないよ。
  で、いつからだい?」
 そう言うと安心したのか、尻尾の青もいくらか茶に近い色に戻った。
「はい、実は、最初の朝の数時間後にはーー」
 あはは。
 僕は声を上げて笑いたかった。
 やっぱり、そうだったんだね、と。そう言いたかった。
 言わないけど。
「そうか、で、どうだった?」
「え……何がでしょうか???」
「だから、まあ、悪戯が過ぎたのはあると思うけど。
 でも、続けてたってことはあれでしょ?
 怠惰とか、怠けたいとか。
 そういうものじゃないと僕は思ったから、怒らないって言ったんだよ?」
「それはーー
 そのー……由樹が、いつもはしてくれないくらいに」
 あ、出て来たね。
 本音が。
「優しくしてくれて、それで、お義母様との時間よりもーー」
 あ、そっちか。
 なるほど。
 夫婦の語らいが僕らには少なかったんだね、これは改善しないといけない。
 僕はそう思った。
「つまり、お前はーー
 エミュネスタは寂しかったんだね?」
 と言うと、まるでそれを認めるかのように、尾は赤色になってしまう。
「そうか。
 なら、もう数日はこのままでいても、いいかもね。
 母さんも、邪魔にはこないだろうから」
 そう言うと、エミュネスタの顔が途端、明るくなり、
「え、でもそれはーー
 嬉しいですけど、でもーー」
 と、ああそうなんだね。
 嬉しいんだね、と分かりやすすぎるくらいにリアクションを返してくれる。
 まあ、でも、僕もそこでそのまま終わらす気は無いから、
 少しばかり、意地悪をしてやることにした。
「ただしーー」
 と付け加えてやる。
「この、尾のマッサージ。
 これは竜族にはなかなかいいらしいってルシアン義兄さんから聞いたんだ」
 と、嘘を本当のように告げてみせ、尾をエミュネスタからそっと奪い返すと、
「だから、寝ている間は毎日、マッサージしてもいいよね?」
 と、本当に意地悪な笑みをして、言ってみた。
 すると、彼女は困ったようなでも嬉しいけど、それはなるべくなら避けたい。
 そんな顔をする。
「もちろん、いいよね?
 ね、エミュネスタ?」
 と、この問いかけに、観念したらしく、わかりました、と恥ずかしそうに返事をした。
 その後、一時間ほど、マッサージと言う名前の意地悪を僕は敢行したのだけど。
 翌朝にはなおりました、といい、妻はリビングで料理を母さんと一緒に作っていた。
「あれ、エミュネスタちゃん。
 何で、今日は尾をだしてないの?」
 と、衣服の内側に丁寧にたたんだのか、しまったのか。
 目立たないようにして、彼女は尾を隠してしまった。
 母さんにそう聞かれたら、邪魔になるからです、と答えていたけど。
 横目で、ソファに腰かける僕を少しばかり睨んでいたことを僕は知っていた。 
 うーん、残念。
 妻をいじめれるのはほんの数時間だけでした。


 
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