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第五章 真実の物語
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「ああ、そうだ。
これだけは教えておかねばならん。
いいか、そなたは両輪の片割れだ。
兄はこの世界にはおらん。2年前に、世界の本流からルシールは1つの分岐点を作り出した」
「え?
どういうことですか?」
「まあ、聞け。あまり時間がない。
1つの分岐点は2つに別れた。
その片方が、この世界だ。兄はもう片方にいる。
2つはあと数年後。
ある時間軸で繋がり、本流に戻る。
それは、その時が12個目の欠片が揃う瞬間だからだ。
いま12個目の欠片はそなたの兄の手にある。
欠片が戻れば、世界の全ては無へと戻る。
それを阻止するためには、異界の何かをその身に宿さねばならん。
そなたの兄は既に身に宿している。これからはそなたが宿す番だ」
いや、そんな急なことを言われても。
その欠片から産まれたなら、エミュネスタたちは‥‥‥???!!
「待ってください。
それなら、エミュネスタもルシールも消えることに‥‥‥?
だって彼らもその欠片から産まれた。
あ、そうか。だから最初の時に異界の、異文明の武器を取り込んだんだ。
なら、エミュネスタは死なない?
でもなんで僕なんですか?
いや、僕たちなんですか???」
そうだよ、運命のいたずらなんてそんな言葉で綴られたくない。
なぜ、僕たちなのか、その理由はなんだ??
「欠片を探してた2人の人間の男女。
その女が、そなたの母親だからだ。
覚えておくといい。12個目の欠片を復元した少女の名は沙雪。
目覚める「ああ、そうだ。
これだけは教えておかねばならん。
いいか、そなたは両輪の片割れだ。
兄はこの世界にはおらん。2年前に、世界の本流からルシールは1つの分岐点を作り出した」
「え?
どういうことですか?」
「まあ、聞け。あまり時間がない。
1つの分岐点は2つに別れた。
その片方が、この世界だ。兄はもう片方にいる。
2つはあと数年後。ある時間軸で繋がり、本流に戻る。
それは、その時が12個目の欠片が揃う瞬間だからだ。
いま12個目の欠片はそなたの兄の手にある。欠片が戻れば、世界の全ては無へと戻る。
それを阻止するためには、異界の何かをその身に宿さねばならん。
そなたの兄は既に身に宿している。これからはそなたが宿す番だ」
いや、そんな急なことを言われても。
その欠片から産まれたなら、エミュネスタたちは‥‥‥???!!
「待ってください。
それなら、エミュネスタもルシールも消えることに‥‥‥?
だって彼らもその欠片から産まれた。
あ、そうか。だから最初の時に異界の武器を取り込んだんだ。
なら、エミュネスタは死なない?
でもなんで僕なんですか?
いや、僕たちなんですか???」
そうだよ、運命のいたずらなんてそんな言葉で綴られたくない。
なぜ、僕たちなのか、その理由はなんだ??
「欠片を探してた2人の人間の男女。
その女が、そなたの母親だからだ。
覚えておくといい。12個目の欠片を復元した少女の名は沙雪。
目覚める創造神の恋人。だったというべきか、これからなるというべきか」
「ちょっ、そんな、だって母さんはーー」
そこで僕は思いだした。
あの夏の夜。
母さんが語った僕が産まれた夜の事を。
二人は、消えたーー
「母さんの名は‥‥‥なんというんですか?」
「茜だ。高遠 茜。
沙雪に感謝するがいい、婿殿」
「なんで!!???
僕ら、消える存在じゃあ‥‥‥」
フェイブスタークは優しく否定してくれた。
「そうならないように、沙雪は異界の力を。
己の持っていた全てを、欠片に込めたのよ。
片方はそれで救われる。もう片方はーー」
えっ、待って。なんだこの流れ。
もう奔流のように止めれないなにかが回り出したような。
これってーー
「まさか、フェイブ。
貴方が‥‥‥???」
そう僕が問うと、彼はなんでだろう。
心底嬉しそうに?
いや、違う。娘が選んだ相手を、僕を見て安心したような。
そして、娘の幸せを願う父親の顔を見せた気がした。
「そう。
なぜ、目覚めたのか謎だったが。
まあ、これで辻褄はあったな。
いいか、欠片があっても一度は消滅するぞ。
だが、ルシールは再生するための準備を初めている。
エミュネスタが傍にいるのは遺伝子が欲しいからではない。
そなたを守るために、ルシールは傍に遣わせたのだ。
決して、ルシールを恨んではならんぞ、婿殿。
だが、これも忘れるな。
ルシールは、そう竜族はそなたたちが消えた時、この惑星を去るだろう。
分岐した世界が本流へと戻り、その中で起きた過去の異変を世界は修正しようとする。
だが、ルシールはその修正から逃れる術を知っている。
ただーー」
僕にはなんとなく、フェイブスタークの言いたいことが理解できた。
エミュネスタは死なない。僕の傍に残るかもしれない。
それを選んだ時、彼は無理矢理にでも連れていこうとするだろう。
夫として妻を迎えに来るはずだ。
その時に、僕とエミュネスタの子供がもしいれば‥‥‥
「そうだな、婿殿。ルシールは遠慮せずにその子を殺すだろう。
妻は貸し与えた。だが、子を成す許可は与えていない、とな。
これより先、その点ともう一つ。
数年先だろうが、何度か喰らうものたちが異界の力、異文明の力に惹きつけられて来るはずだ。
竜族は勝てるだろう。ルシールもな。
だが、その子はもう弱い。
多くを産み、悲しいがいまを生きるのにも力を使い果たそうとしている。
まあ、その王冠がある限りはーーどうにかなるだろう。
その後は、婿殿。
そなたの身体に宿る我の力を与えてやればいい、なに、方法は簡単だ。
先程までしておったことを、すればよいのよ。そう赤くなるでない。
では、もう夜明けは近い。
我の力をやろう。三位の力。
すぐには使えんがな。エミュネスタを愛しているのであれば、守り抜け。
喰らうものからな。
娘を頼むぞ、婿殿。どうか愛してやっておくれ」
そう、フェイブは告げて、そして姿を消した。
僕の全身に彼が溶け込み、その多くを僕が自分のものにできるようになるには。
それから数年間必要だった。
その夜。
僕はずっとエミュネスタを抱きしめて離せなかった。
なにも身体を求めたかったわけじゃない。
数十万という命を産みだしてきたエミュネスタ。
あの夏のルシアンが来た夜。
母さんが話していた妊婦さんがすぐには動けない。死ぬほどに苦しいのだと。
その話を実感しながら聞いていたようなこの子の。
僕の妻のあの寂しそうな顔を思い出したからだ。
同時に、僕はこうも誓った。
子供は作らない、と。
いつかはルシールの元にエミュネスタを戻すだろう。離婚して、そしてさよならと。
それまでは、守ろう。
喰らうものとかいうやつらから。
この僕の妻を。僕のエミュネスタを守るんだ、と。
これだけは教えておかねばならん。
いいか、そなたは両輪の片割れだ。
兄はこの世界にはおらん。2年前に、世界の本流からルシールは1つの分岐点を作り出した」
「え?
どういうことですか?」
「まあ、聞け。あまり時間がない。
1つの分岐点は2つに別れた。
その片方が、この世界だ。兄はもう片方にいる。
2つはあと数年後。
ある時間軸で繋がり、本流に戻る。
それは、その時が12個目の欠片が揃う瞬間だからだ。
いま12個目の欠片はそなたの兄の手にある。
欠片が戻れば、世界の全ては無へと戻る。
それを阻止するためには、異界の何かをその身に宿さねばならん。
そなたの兄は既に身に宿している。これからはそなたが宿す番だ」
いや、そんな急なことを言われても。
その欠片から産まれたなら、エミュネスタたちは‥‥‥???!!
「待ってください。
それなら、エミュネスタもルシールも消えることに‥‥‥?
だって彼らもその欠片から産まれた。
あ、そうか。だから最初の時に異界の、異文明の武器を取り込んだんだ。
なら、エミュネスタは死なない?
でもなんで僕なんですか?
いや、僕たちなんですか???」
そうだよ、運命のいたずらなんてそんな言葉で綴られたくない。
なぜ、僕たちなのか、その理由はなんだ??
「欠片を探してた2人の人間の男女。
その女が、そなたの母親だからだ。
覚えておくといい。12個目の欠片を復元した少女の名は沙雪。
目覚める「ああ、そうだ。
これだけは教えておかねばならん。
いいか、そなたは両輪の片割れだ。
兄はこの世界にはおらん。2年前に、世界の本流からルシールは1つの分岐点を作り出した」
「え?
どういうことですか?」
「まあ、聞け。あまり時間がない。
1つの分岐点は2つに別れた。
その片方が、この世界だ。兄はもう片方にいる。
2つはあと数年後。ある時間軸で繋がり、本流に戻る。
それは、その時が12個目の欠片が揃う瞬間だからだ。
いま12個目の欠片はそなたの兄の手にある。欠片が戻れば、世界の全ては無へと戻る。
それを阻止するためには、異界の何かをその身に宿さねばならん。
そなたの兄は既に身に宿している。これからはそなたが宿す番だ」
いや、そんな急なことを言われても。
その欠片から産まれたなら、エミュネスタたちは‥‥‥???!!
「待ってください。
それなら、エミュネスタもルシールも消えることに‥‥‥?
だって彼らもその欠片から産まれた。
あ、そうか。だから最初の時に異界の武器を取り込んだんだ。
なら、エミュネスタは死なない?
でもなんで僕なんですか?
いや、僕たちなんですか???」
そうだよ、運命のいたずらなんてそんな言葉で綴られたくない。
なぜ、僕たちなのか、その理由はなんだ??
「欠片を探してた2人の人間の男女。
その女が、そなたの母親だからだ。
覚えておくといい。12個目の欠片を復元した少女の名は沙雪。
目覚める創造神の恋人。だったというべきか、これからなるというべきか」
「ちょっ、そんな、だって母さんはーー」
そこで僕は思いだした。
あの夏の夜。
母さんが語った僕が産まれた夜の事を。
二人は、消えたーー
「母さんの名は‥‥‥なんというんですか?」
「茜だ。高遠 茜。
沙雪に感謝するがいい、婿殿」
「なんで!!???
僕ら、消える存在じゃあ‥‥‥」
フェイブスタークは優しく否定してくれた。
「そうならないように、沙雪は異界の力を。
己の持っていた全てを、欠片に込めたのよ。
片方はそれで救われる。もう片方はーー」
えっ、待って。なんだこの流れ。
もう奔流のように止めれないなにかが回り出したような。
これってーー
「まさか、フェイブ。
貴方が‥‥‥???」
そう僕が問うと、彼はなんでだろう。
心底嬉しそうに?
いや、違う。娘が選んだ相手を、僕を見て安心したような。
そして、娘の幸せを願う父親の顔を見せた気がした。
「そう。
なぜ、目覚めたのか謎だったが。
まあ、これで辻褄はあったな。
いいか、欠片があっても一度は消滅するぞ。
だが、ルシールは再生するための準備を初めている。
エミュネスタが傍にいるのは遺伝子が欲しいからではない。
そなたを守るために、ルシールは傍に遣わせたのだ。
決して、ルシールを恨んではならんぞ、婿殿。
だが、これも忘れるな。
ルシールは、そう竜族はそなたたちが消えた時、この惑星を去るだろう。
分岐した世界が本流へと戻り、その中で起きた過去の異変を世界は修正しようとする。
だが、ルシールはその修正から逃れる術を知っている。
ただーー」
僕にはなんとなく、フェイブスタークの言いたいことが理解できた。
エミュネスタは死なない。僕の傍に残るかもしれない。
それを選んだ時、彼は無理矢理にでも連れていこうとするだろう。
夫として妻を迎えに来るはずだ。
その時に、僕とエミュネスタの子供がもしいれば‥‥‥
「そうだな、婿殿。ルシールは遠慮せずにその子を殺すだろう。
妻は貸し与えた。だが、子を成す許可は与えていない、とな。
これより先、その点ともう一つ。
数年先だろうが、何度か喰らうものたちが異界の力、異文明の力に惹きつけられて来るはずだ。
竜族は勝てるだろう。ルシールもな。
だが、その子はもう弱い。
多くを産み、悲しいがいまを生きるのにも力を使い果たそうとしている。
まあ、その王冠がある限りはーーどうにかなるだろう。
その後は、婿殿。
そなたの身体に宿る我の力を与えてやればいい、なに、方法は簡単だ。
先程までしておったことを、すればよいのよ。そう赤くなるでない。
では、もう夜明けは近い。
我の力をやろう。三位の力。
すぐには使えんがな。エミュネスタを愛しているのであれば、守り抜け。
喰らうものからな。
娘を頼むぞ、婿殿。どうか愛してやっておくれ」
そう、フェイブは告げて、そして姿を消した。
僕の全身に彼が溶け込み、その多くを僕が自分のものにできるようになるには。
それから数年間必要だった。
その夜。
僕はずっとエミュネスタを抱きしめて離せなかった。
なにも身体を求めたかったわけじゃない。
数十万という命を産みだしてきたエミュネスタ。
あの夏のルシアンが来た夜。
母さんが話していた妊婦さんがすぐには動けない。死ぬほどに苦しいのだと。
その話を実感しながら聞いていたようなこの子の。
僕の妻のあの寂しそうな顔を思い出したからだ。
同時に、僕はこうも誓った。
子供は作らない、と。
いつかはルシールの元にエミュネスタを戻すだろう。離婚して、そしてさよならと。
それまでは、守ろう。
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