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第二章 水の精霊女王アリア
旦那様‥‥‥それは、やりすぎです‥‥‥ 9
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「あら、可愛いエバースの物言いこそわたしには悲しく感じますが?
それよりも、アリア様。
いつまで、夫の後ろに隠れておいでなさるの?
このシュネイアとは、言葉を交わしたくないと、とでも?」
まるで、子猫を扱うように引きずりだされそうな印象を与える。
その言葉には、大いなる力があって逆らえない。
でも、ここで出て行くわけにはいかないの。
エバースの言う、いいえ。
クロウ様の言われる溺愛に応える為には‥‥‥我慢することも、場をわきまえることも大事だがら。
返事をどうすべきか、夫の顔を窺い、そして彼はまだ黙っていていいよ。
そういう表情で代わりに返事をしてくれた。
「大叔母上、アリアはアリアなりに分をわきまえているのです。
創始の存在に連なる大叔母上と、まだ成りたての水の精霊女王。
それでは、格が違いますから。
何より――」
「何より、何かしらエバース?
妻としての挨拶程度はできように?」
「それもですよ、大叔母上。
ここはわたしの城。
妻はわたしを立ててくれているに過ぎませんが、それでも先程まで女性陣の相手をなぜわたしがしていたかについてもー‥‥‥。
どうやら、理解してくれている様子。
人の世では女性が先に立ち、もしくは男と対等。
そのような考えもあり、それはそれで良いでしょう。
しかし、ここは風の精霊王の城。
その主をどう立てるか、その眼前に勝手に躍り出て愚者となるか。
わたしはその線引きを考えてくれる妻に、感謝しておりますよ」
まあ、旦那様、いいえエバース。
そんなカッコいいことも言うんだ。
思わず、見直したというか。
あの遊び人なんて風評が大きすぎたのかな?
わたしの心にあった疑念が大きすぎたのかも。
どちらにせよ、シュネイア様は面白くなさそう。
周りにいる神々も、多分、シュネイア様よりは若いのだろう。
古参の神々は――
「旦那様、あの会場の奥ほどにいられる方々は‥‥‥?」
シュネイア様と同じく、燐光をまとった一風変わった感じのそれでいて、神々しさだけはどの神々よりも雄々しい存在の一団がそこにはいた。
「あれはな、大叔母上と同じく創始つまり、世界の始まりからおられる種族の神々や魔、そういったものたちだ。
近づくなよ?
あれでいて、口をきいただけで力が失うことになりかねんこともある」
と、エバースはそっと教えてくれた。
そんなに古代の神々にもなると、言葉を交わすだけでも命を代価に捧げないとだめみたい。
怖いというよりは、恐れ多い。
そんな存在だった。
そして、その一人であるシュネイア様もまた――なぜか、クロウ様に腕を引かれていた‥‥‥???
「シュネイア‥‥‥今回はそんな話はしないという約束だったろう?
なに喧嘩を売ってるんだ、おめえはよ‥‥‥??
そんなにあのアリアが気に食わねえのか?」
「あなた様はお黙りを――」
「黙らねえよ、約束をたがえるようならおいらは帰るぜ?
元々、ここに来るのだって、なあ?
誰かさんが、前に甥っ子をからかいすぎたからと申し訳なくするから来たんだろう?
素直じゃないのは、おめえのほうじゃねえのか?」
なんて、諭されて困っている可愛いシュネイア様がそこにいた――
これはどういうことなのでしょうか???
それよりも、アリア様。
いつまで、夫の後ろに隠れておいでなさるの?
このシュネイアとは、言葉を交わしたくないと、とでも?」
まるで、子猫を扱うように引きずりだされそうな印象を与える。
その言葉には、大いなる力があって逆らえない。
でも、ここで出て行くわけにはいかないの。
エバースの言う、いいえ。
クロウ様の言われる溺愛に応える為には‥‥‥我慢することも、場をわきまえることも大事だがら。
返事をどうすべきか、夫の顔を窺い、そして彼はまだ黙っていていいよ。
そういう表情で代わりに返事をしてくれた。
「大叔母上、アリアはアリアなりに分をわきまえているのです。
創始の存在に連なる大叔母上と、まだ成りたての水の精霊女王。
それでは、格が違いますから。
何より――」
「何より、何かしらエバース?
妻としての挨拶程度はできように?」
「それもですよ、大叔母上。
ここはわたしの城。
妻はわたしを立ててくれているに過ぎませんが、それでも先程まで女性陣の相手をなぜわたしがしていたかについてもー‥‥‥。
どうやら、理解してくれている様子。
人の世では女性が先に立ち、もしくは男と対等。
そのような考えもあり、それはそれで良いでしょう。
しかし、ここは風の精霊王の城。
その主をどう立てるか、その眼前に勝手に躍り出て愚者となるか。
わたしはその線引きを考えてくれる妻に、感謝しておりますよ」
まあ、旦那様、いいえエバース。
そんなカッコいいことも言うんだ。
思わず、見直したというか。
あの遊び人なんて風評が大きすぎたのかな?
わたしの心にあった疑念が大きすぎたのかも。
どちらにせよ、シュネイア様は面白くなさそう。
周りにいる神々も、多分、シュネイア様よりは若いのだろう。
古参の神々は――
「旦那様、あの会場の奥ほどにいられる方々は‥‥‥?」
シュネイア様と同じく、燐光をまとった一風変わった感じのそれでいて、神々しさだけはどの神々よりも雄々しい存在の一団がそこにはいた。
「あれはな、大叔母上と同じく創始つまり、世界の始まりからおられる種族の神々や魔、そういったものたちだ。
近づくなよ?
あれでいて、口をきいただけで力が失うことになりかねんこともある」
と、エバースはそっと教えてくれた。
そんなに古代の神々にもなると、言葉を交わすだけでも命を代価に捧げないとだめみたい。
怖いというよりは、恐れ多い。
そんな存在だった。
そして、その一人であるシュネイア様もまた――なぜか、クロウ様に腕を引かれていた‥‥‥???
「シュネイア‥‥‥今回はそんな話はしないという約束だったろう?
なに喧嘩を売ってるんだ、おめえはよ‥‥‥??
そんなにあのアリアが気に食わねえのか?」
「あなた様はお黙りを――」
「黙らねえよ、約束をたがえるようならおいらは帰るぜ?
元々、ここに来るのだって、なあ?
誰かさんが、前に甥っ子をからかいすぎたからと申し訳なくするから来たんだろう?
素直じゃないのは、おめえのほうじゃねえのか?」
なんて、諭されて困っている可愛いシュネイア様がそこにいた――
これはどういうことなのでしょうか???
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