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第四章
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*
それはとてつもない悪夢。
晴れることの無い闇のなかで、何度も何度も何度も。
わたしは死を迎えた。
そして新たな人生が与えられる
天使がやってきて、さあ、新たな人生を始めるのです。
優しく微笑んで天使はわたしにそう言うのだ。
その度に、わたしは始まりの場所に巻き戻され、変わる事のない痛みと苦痛と怨念を溜め込んでいく。
そして待っているのはあの光景。
生まれ育った故郷の空の下、見上げることの出来ない両親と暮らした日々の記憶が詰まった邸宅や王都の街並みや懐かしい王宮の景色。
そして、わたしの国の王宮。婚約者だった王子と結婚すれば住むのだと思いを馳せて見ていた、王宮の壁の一部だけが視界に広がっている。
一段下には見慣れた顔の近習や、メイドたちや、近衛騎士や衛士たち。
聖女から魔女へと転身したとされ、最後の審判を受けたわたしは断首刑にされることが決まっていた。
そして、わたしは教会に大司教様に願い出たのだ。
死ぬならばどうか最後だけは。
最後の審判がくだるまでは、せめて人としての心をとりもどしたい。
そう嘆願してかなえられ、二週間を共に過ごした孤児院の子供たちがそこにいる。
わたしのように欲に生きてはいけません、善き行いをして神に仕えるのです。
短い期間だったが、そうわたしが言った言葉は、この子達には伝わっただろうか?
わたしはこの先を知ることはできない。
彼らの未来を見ることもかなわない。
ただ、この断首刑を。
この光景を目の当たりにして、この子たちは心に傷を負わないのかと。
そう心配になる。
わたしは聖者から魔女になることを宿命づけられた者。
神々はそれを見て、楽しんでいるのだ。
神と魔が争えば、そこには多大な犠牲がでる。
だから、聖女に試練を与えて魔王を討伐させよう。
だが、その前に少しだけ試練を与えよう。
もし、聖女が魔女になれば面白いではないか。
そんな、誰かもわからない神によってされた発案。
それは‥‥‥わたしの目の前で、両親が婚約者の王子によって無実の罪で惨殺されるというもの。
あれほどに心を狂わせ、呪いの叫び声を上げさせるむごい仕打ちを‥‥‥神は喜んで見ていた。
あれは何回目か、そうあの時も死んだ後に巻き戻されて、わたしは魔女になったのだ。
あの日、婚約者だった王子の手によって殺されたわたしの両親。
その理由はわたしが、彼の一番親しい友人だった現在の婚約者を‥‥‥殺そうとしたから。
そんな事実はなかった。
でも、目の前で王子の剣により殺された両親の姿を見た時、わたしは心を聖女から魔女へと変えた。
そしてわたしは真紅の魔女となり、魔族を従えて王国へ反旗をひるがえし‥‥‥
王子の雇った勇者パーティーに負けた。
それから魔力を封じられ、孤児院で少しの癒しの時間を過ごし、いまこの断首台にいる。
子供たちの声が聞こえる。
お姉ちゃん、なんでそんなとこにいるの?
聖女様だったって本当なの?
なぜ、魔女なんかになったの?
どうして、僕たちに善いことをしなさいって教えたのに。
今から殺されるの?
わたしは何も言えない。
昨夜、何も語れないように舌を抜かれたからだ。
痛みをがまんして、かれらに微笑むことしかできない。
悔しい。
もう何回もこの光景を見てきた。そして、また巻き戻される。
すべての記憶を残したまま、あの幸せな王子からの婚約申し込みのあの瞬間まで。
ああ、聞こえて来た。
異端審問官が、わたしの罪をろうろうと述べ上げている。
魔女と認定し、ここにその罪を神の名のもとに清算する。
お前は首をはねられて、その身を清めるのだ魔女よ、と。
ねえ、神様。
こどもたちにこれを見せることは、正しいことですか?
わたしの心が魔に染まったのは、最愛の両親を目の前で、信じていた男性により殺されたから。
ねえ、神様。
また、繰り返す気ですか?
この子達の心に、悪の根を。
魔の想いを残すのですか?
もし、御慈悲があるのなら。
この断罪の場からいますぐに‥‥‥彼らをあの安らぎの孤児院へと戻して下さい。
ねえ、神様‥‥‥どうか、御慈悲を。
そして――
わたしの意識は闇へと堕ちた。
*
それはとてつもない悪夢。
晴れることの無い闇のなかで、何度も何度も何度も。
わたしは死を迎えた。
そして新たな人生が与えられる
天使がやってきて、さあ、新たな人生を始めるのです。
優しく微笑んで天使はわたしにそう言うのだ。
その度に、わたしは始まりの場所に巻き戻され、変わる事のない痛みと苦痛と怨念を溜め込んでいく。
そして待っているのはあの光景。
生まれ育った故郷の空の下、見上げることの出来ない両親と暮らした日々の記憶が詰まった邸宅や王都の街並みや懐かしい王宮の景色。
そして、わたしの国の王宮。婚約者だった王子と結婚すれば住むのだと思いを馳せて見ていた、王宮の壁の一部だけが視界に広がっている。
一段下には見慣れた顔の近習や、メイドたちや、近衛騎士や衛士たち。
聖女から魔女へと転身したとされ、最後の審判を受けたわたしは断首刑にされることが決まっていた。
そして、わたしは教会に大司教様に願い出たのだ。
死ぬならばどうか最後だけは。
最後の審判がくだるまでは、せめて人としての心をとりもどしたい。
そう嘆願してかなえられ、二週間を共に過ごした孤児院の子供たちがそこにいる。
わたしのように欲に生きてはいけません、善き行いをして神に仕えるのです。
短い期間だったが、そうわたしが言った言葉は、この子達には伝わっただろうか?
わたしはこの先を知ることはできない。
彼らの未来を見ることもかなわない。
ただ、この断首刑を。
この光景を目の当たりにして、この子たちは心に傷を負わないのかと。
そう心配になる。
わたしは聖者から魔女になることを宿命づけられた者。
神々はそれを見て、楽しんでいるのだ。
神と魔が争えば、そこには多大な犠牲がでる。
だから、聖女に試練を与えて魔王を討伐させよう。
だが、その前に少しだけ試練を与えよう。
もし、聖女が魔女になれば面白いではないか。
そんな、誰かもわからない神によってされた発案。
それは‥‥‥わたしの目の前で、両親が婚約者の王子によって無実の罪で惨殺されるというもの。
あれほどに心を狂わせ、呪いの叫び声を上げさせるむごい仕打ちを‥‥‥神は喜んで見ていた。
あれは何回目か、そうあの時も死んだ後に巻き戻されて、わたしは魔女になったのだ。
あの日、婚約者だった王子の手によって殺されたわたしの両親。
その理由はわたしが、彼の一番親しい友人だった現在の婚約者を‥‥‥殺そうとしたから。
そんな事実はなかった。
でも、目の前で王子の剣により殺された両親の姿を見た時、わたしは心を聖女から魔女へと変えた。
そしてわたしは真紅の魔女となり、魔族を従えて王国へ反旗をひるがえし‥‥‥
王子の雇った勇者パーティーに負けた。
それから魔力を封じられ、孤児院で少しの癒しの時間を過ごし、いまこの断首台にいる。
子供たちの声が聞こえる。
お姉ちゃん、なんでそんなとこにいるの?
聖女様だったって本当なの?
なぜ、魔女なんかになったの?
どうして、僕たちに善いことをしなさいって教えたのに。
今から殺されるの?
わたしは何も言えない。
昨夜、何も語れないように舌を抜かれたからだ。
痛みをがまんして、かれらに微笑むことしかできない。
悔しい。
もう何回もこの光景を見てきた。そして、また巻き戻される。
すべての記憶を残したまま、あの幸せな王子からの婚約申し込みのあの瞬間まで。
ああ、聞こえて来た。
異端審問官が、わたしの罪をろうろうと述べ上げている。
魔女と認定し、ここにその罪を神の名のもとに清算する。
お前は首をはねられて、その身を清めるのだ魔女よ、と。
ねえ、神様。
こどもたちにこれを見せることは、正しいことですか?
わたしの心が魔に染まったのは、最愛の両親を目の前で、信じていた男性により殺されたから。
ねえ、神様。
また、繰り返す気ですか?
この子達の心に、悪の根を。
魔の想いを残すのですか?
もし、御慈悲があるのなら。
この断罪の場からいますぐに‥‥‥彼らをあの安らぎの孤児院へと戻して下さい。
ねえ、神様‥‥‥どうか、御慈悲を。
そして――
わたしの意識は闇へと堕ちた。
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