聖女は剣聖と呼ばれて

 かつて、たった一人で数万の魔王の軍勢を壊滅させた男がいた。
 彼はいつしか『剣聖』と呼ばれるようになる。
 その愛剣は魔王の血を吸い、意思をもつ聖剣となった。
 主の剣聖が去ったあと、気ままに世界を旅していた聖剣はある日、剣聖の恋人だった女性が現世に転生し、竜神の聖女として生きていることを知る。

 彼女の名はエレーナ。
 真紅の豊かな髪を持つ、しかし、不遇な人生を送ることを運命によって定められた少女だった。
 神々はエレーナの人生をなんどもなんども、逆行転生させて弄んでいた。
 婚約者に両親を殺害され、その恨みによってこころを聖女から魔女へと変えたエレーナは、勇者によって討伐され、斬首刑にされてしまう。
 神々はそれを楽しみ、またゲームを繰り返す。エレーナが聖女のまま魔王を倒すまで――。

 エレーナの不遇を知った聖剣は、彼女に主だった剣聖の力を与えて神々と対決する。
 これはのちに神殺しと呼ばれた、真紅の剣聖エレーナの最初の物語。
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