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プロローグ
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リザはその意図がわからずに、きょとんとしている。
その間隙を突いて、柚子の唇はハーミアのそれを見事に奪い、噛み砕いた激辛のクッキーの残滓を口移しで流し込んでいた。
「んんんんむっ!?」
思わぬ反撃に魔女は水を求めてその片手は宙をさまようが、皿を持った片手はクッキーを全く床に落とさない絶妙なバランスを保っているのはさすがと言うべきか。
柚子はさらに追い打ちをかけるように宙をさまよう手を掴み、更にこの自分を実験台にしようとした、いやされているが。
その鼻をつまんで窒息させようとしていた。
ゴクリ‥‥‥
リザがその全てを諦めて、辛すぎるクッキーを咀嚼した時。柚子はざまあみろと唇を放してやる。魔女はまだ皿の上のクッキーを落とさないまま、床に泣き崩れていた‥‥‥
「ひどい、ひどいんだ、ハーミア、いいえ、柚子。
あなたは悪魔に近い、いや、それよりもひどい存在だわ‥‥‥」
柚子はリザに、はいはい、悪かったからさと声をかけてやる。
水を汲んできた柚子の前でひんひんと泣きながら言う魔女は可愛かった。しかし、その仕打ちはたまに先程のように酷いものがある。こういう時、大抵はそれ以上にひどいことをしておくと数日は悪戯が止むことを彼女は経験上、熟知していた。
そして、リザが彼女について何か心配を深めている時であることも。
「ねえ、柚子‥‥‥」
「なによ、リザ?」
「あなた、何か悩んでいない? リザにはそう思えるの」
ドキリとする。図星だった。
「さあ? 悩むことはあんまり無いような気がするよ?
一体、何を悩むと?」
「それはわたしには分からないんだ。でも、ここしばらくのあなたは何か変よ。たまに楽観的で、妙にイライラしていて、今度は呆けたようになっていて、かと思えばその何? 面白い装置? を作ることに熱中したりして‥‥‥わたしたちは出会ってもう一年と少し。その程度には理解しているつもりなんだけど、柚子?」
「どうもないよ、リザ」
「あなたは単純なんだから思ってることや考えていることがすぐに表に出るんだよ。わたしには話せないの?」
けなしているのか、心配されているのか。どうとればいいのか悩む提案を柚子は笑って誤魔化すしかなかった。
いまはまだ言えないからだ。
自分にだけ、竜神様から指示が来たなんて。
いま駐屯しているこの国の中だけでも種族間紛争が絶えないのに、仲間たちと離れなければならないなんて。
「リザにはちゃんと話して来たでしょ、これまでどんなことも?
ね?」
「そうだけど‥‥‥。
あなたはトラブルをかぎつけるのが、誰よりも上手だから」
見抜かれているなと柚子は冷や汗を背筋にかく。
しかし、簡単には引き下がらないかあ‥‥‥
この魔女はなかなかに頑固だった。
「あのね、もし、そんなだい事件が起こるようなことだとしたら上にいる連中。
神様たちが先に気づいているはずでしょ?」
床から抱き上げてベッドに座らせた彼女の顔にはまだ猜疑心が浮かんでいた。
あー信じてないな、この顔は。
そう思って次にどう言おうかと考えていると、
「‥‥‥そう。確かにハーミアの言う通りなんだよ。
神々が先に察知できないことをわたしたちが理解できることがないんだよ。何か別のことなら言えないことの一つや二つはあるんだよ、誰にでも」
「え、あの、リザ?」
分かったわと、魔女は皿を手に立ち上がりスカートの裾を払った。
意外だった。まさか、リザがこんなにあっさりと引き下がるなんて思っていなかった。
「戻るね‥‥‥」
「そう、か?」
「うん。これ、残りはきちんとしたやつだから食べて欲しいんだ」
柚子は黙ったまま、その皿を受け取る。
なんだか、悪いことをした気分になってしまい気が病んでしまった。
リザは半分開けた扉を出る時、こちらを振り向いて静かに言った。
「相変わらず嘘が下手なんだよ、あなたは。
左の眉が反応する」
「え!?
あ、その‥‥‥」
柚子は一瞬、凍り付いてしまった。
そこまであなたは私を見ていたの、と。
「どうだったんだ、あれは?」
彼等がここしばらく定宿としている『青の鋼』停の一階でたむろしていた仲間がリザに声をかけた。
仲間はリザを含めて五人。
一人はいま母国で魔王と戦火を交えているから、ここにはいなかった。
そのうちの一人、金髪の青年が声をかけてきた。
「さあ、わからない。
何かを隠しているとは思うんだけど、ハーミアは隠し事も肝心なところだけは見せないから
あの子、嘘つくのもごかますのも下手なくせに。
大事なとこだけは隠すの、天才的にうまいんだから」
魔女は悲し気に首を振っていた。
金髪の青年はまあ、そんな時もあるさと優しく微笑んでくれた。この世界にいる勇者の一人。
神々を統括する三大神の一つ、大地母神ラーディアナに選ばれた緑陽の勇者、テダー。
農民出身の彼はおおらかな性格で、パーティのリーダーを務めるには適格な存在だった。
「それでどうするんだ、リザ?
今回はながめに滞在できるのか?」
前は短かったなと、久しぶりに顔をみせた魔女にゆっくりしていけよと声をかける。しかし、魔女は苦い笑顔を浮かべたのみだった。
「国王様が‥‥‥待っていらしてるから。
また、行かなきゃ。
ほんとうはね、長くいたいんだよ?
でも新しい魔王との交戦が長引いているから‥‥‥あっちも支援しないといけないから」
「魔王?
ああ、魔王レガイアか。
いまは確か、他の勇者と交戦中だったっけ?」
「うん。
でも、こんどの勇者を名乗るやつは‥‥‥なにか違うみたい」
「違うって、なにがだ?」
「なんだろう?
勇者ってテダーのようにどこかの神様に選ばれるじゃない?
でも、こっちじゃない気がするの。その選んだ‥‥‥神様」
「あー例のあれか?
竜神神殿が主体になってやってる‥‥‥救済者の標的にされてる連中って、ことか?」
わからない、とリザは首を横に振った。
「どの神様も勇者を召喚していないと言われるの。
同時に、魔王の誕生には魔神様の許可もいるし。
それにいま魔王レガイアの軍勢と戦っているエルグランデ王国にはうちのエレーナがいる。
勇者とは別に、彼女が戦ってくれてどうにか、あの王国はもっているけど‥‥‥戦況は思わしくないわ。
ねえ、イオリ?
あなたはどう思う?」
リザはそういい、そこに座っていた五人目の仲間を見た。
リザよりも深い黒い髪に黒色の瞳。悪戯好きな瞳がくりくりとせわしなく動き回り、あきない表情を生み出している彼女はその場にいる誰よりも、奇妙だった。
頬にある、黒の二本の金属の筋は彼女が人間ではないことを示している。
魔装人形、イオリ。
地下世界と地上世界がまだ一つだったころに隆盛を極めた魔導大国の遺した魔法兵器にして、魔神の墓所を守る存在である彼女は、自分から墓守のしごとにあきて地上世界に出てきた変わり者だった。
「わかんないかも?
勇者に関しては、私もなにも聞いていないもの」
そして、イオリはテダーにねえこれどう? と、リザがさきほど柚子に与えていたクッキーの皿を手渡し、
「食べてみて?
いろいろと味が変わってて美味しいよ?」
そう言って、話題をはぐらかそうとしていた。
それを見てリザはだめね、と彼女から情報をえることを諦めた。
イオリは気分屋だから、その気にならないと口を開かない。
「もう、用は済んだから。
今日はこれで帰るね‥‥‥」
「え? そう‥‥‥か、残念だな。せっかく、ナフィーサのやつが紅茶をいれたのに‥‥‥」
テダーはナフィーサの紅茶を待ってそのクッキーを食べようとし、リザはその少女の顔が見えたから挨拶だけをして出て行こうとしていた。
その間隙を突いて、柚子の唇はハーミアのそれを見事に奪い、噛み砕いた激辛のクッキーの残滓を口移しで流し込んでいた。
「んんんんむっ!?」
思わぬ反撃に魔女は水を求めてその片手は宙をさまようが、皿を持った片手はクッキーを全く床に落とさない絶妙なバランスを保っているのはさすがと言うべきか。
柚子はさらに追い打ちをかけるように宙をさまよう手を掴み、更にこの自分を実験台にしようとした、いやされているが。
その鼻をつまんで窒息させようとしていた。
ゴクリ‥‥‥
リザがその全てを諦めて、辛すぎるクッキーを咀嚼した時。柚子はざまあみろと唇を放してやる。魔女はまだ皿の上のクッキーを落とさないまま、床に泣き崩れていた‥‥‥
「ひどい、ひどいんだ、ハーミア、いいえ、柚子。
あなたは悪魔に近い、いや、それよりもひどい存在だわ‥‥‥」
柚子はリザに、はいはい、悪かったからさと声をかけてやる。
水を汲んできた柚子の前でひんひんと泣きながら言う魔女は可愛かった。しかし、その仕打ちはたまに先程のように酷いものがある。こういう時、大抵はそれ以上にひどいことをしておくと数日は悪戯が止むことを彼女は経験上、熟知していた。
そして、リザが彼女について何か心配を深めている時であることも。
「ねえ、柚子‥‥‥」
「なによ、リザ?」
「あなた、何か悩んでいない? リザにはそう思えるの」
ドキリとする。図星だった。
「さあ? 悩むことはあんまり無いような気がするよ?
一体、何を悩むと?」
「それはわたしには分からないんだ。でも、ここしばらくのあなたは何か変よ。たまに楽観的で、妙にイライラしていて、今度は呆けたようになっていて、かと思えばその何? 面白い装置? を作ることに熱中したりして‥‥‥わたしたちは出会ってもう一年と少し。その程度には理解しているつもりなんだけど、柚子?」
「どうもないよ、リザ」
「あなたは単純なんだから思ってることや考えていることがすぐに表に出るんだよ。わたしには話せないの?」
けなしているのか、心配されているのか。どうとればいいのか悩む提案を柚子は笑って誤魔化すしかなかった。
いまはまだ言えないからだ。
自分にだけ、竜神様から指示が来たなんて。
いま駐屯しているこの国の中だけでも種族間紛争が絶えないのに、仲間たちと離れなければならないなんて。
「リザにはちゃんと話して来たでしょ、これまでどんなことも?
ね?」
「そうだけど‥‥‥。
あなたはトラブルをかぎつけるのが、誰よりも上手だから」
見抜かれているなと柚子は冷や汗を背筋にかく。
しかし、簡単には引き下がらないかあ‥‥‥
この魔女はなかなかに頑固だった。
「あのね、もし、そんなだい事件が起こるようなことだとしたら上にいる連中。
神様たちが先に気づいているはずでしょ?」
床から抱き上げてベッドに座らせた彼女の顔にはまだ猜疑心が浮かんでいた。
あー信じてないな、この顔は。
そう思って次にどう言おうかと考えていると、
「‥‥‥そう。確かにハーミアの言う通りなんだよ。
神々が先に察知できないことをわたしたちが理解できることがないんだよ。何か別のことなら言えないことの一つや二つはあるんだよ、誰にでも」
「え、あの、リザ?」
分かったわと、魔女は皿を手に立ち上がりスカートの裾を払った。
意外だった。まさか、リザがこんなにあっさりと引き下がるなんて思っていなかった。
「戻るね‥‥‥」
「そう、か?」
「うん。これ、残りはきちんとしたやつだから食べて欲しいんだ」
柚子は黙ったまま、その皿を受け取る。
なんだか、悪いことをした気分になってしまい気が病んでしまった。
リザは半分開けた扉を出る時、こちらを振り向いて静かに言った。
「相変わらず嘘が下手なんだよ、あなたは。
左の眉が反応する」
「え!?
あ、その‥‥‥」
柚子は一瞬、凍り付いてしまった。
そこまであなたは私を見ていたの、と。
「どうだったんだ、あれは?」
彼等がここしばらく定宿としている『青の鋼』停の一階でたむろしていた仲間がリザに声をかけた。
仲間はリザを含めて五人。
一人はいま母国で魔王と戦火を交えているから、ここにはいなかった。
そのうちの一人、金髪の青年が声をかけてきた。
「さあ、わからない。
何かを隠しているとは思うんだけど、ハーミアは隠し事も肝心なところだけは見せないから
あの子、嘘つくのもごかますのも下手なくせに。
大事なとこだけは隠すの、天才的にうまいんだから」
魔女は悲し気に首を振っていた。
金髪の青年はまあ、そんな時もあるさと優しく微笑んでくれた。この世界にいる勇者の一人。
神々を統括する三大神の一つ、大地母神ラーディアナに選ばれた緑陽の勇者、テダー。
農民出身の彼はおおらかな性格で、パーティのリーダーを務めるには適格な存在だった。
「それでどうするんだ、リザ?
今回はながめに滞在できるのか?」
前は短かったなと、久しぶりに顔をみせた魔女にゆっくりしていけよと声をかける。しかし、魔女は苦い笑顔を浮かべたのみだった。
「国王様が‥‥‥待っていらしてるから。
また、行かなきゃ。
ほんとうはね、長くいたいんだよ?
でも新しい魔王との交戦が長引いているから‥‥‥あっちも支援しないといけないから」
「魔王?
ああ、魔王レガイアか。
いまは確か、他の勇者と交戦中だったっけ?」
「うん。
でも、こんどの勇者を名乗るやつは‥‥‥なにか違うみたい」
「違うって、なにがだ?」
「なんだろう?
勇者ってテダーのようにどこかの神様に選ばれるじゃない?
でも、こっちじゃない気がするの。その選んだ‥‥‥神様」
「あー例のあれか?
竜神神殿が主体になってやってる‥‥‥救済者の標的にされてる連中って、ことか?」
わからない、とリザは首を横に振った。
「どの神様も勇者を召喚していないと言われるの。
同時に、魔王の誕生には魔神様の許可もいるし。
それにいま魔王レガイアの軍勢と戦っているエルグランデ王国にはうちのエレーナがいる。
勇者とは別に、彼女が戦ってくれてどうにか、あの王国はもっているけど‥‥‥戦況は思わしくないわ。
ねえ、イオリ?
あなたはどう思う?」
リザはそういい、そこに座っていた五人目の仲間を見た。
リザよりも深い黒い髪に黒色の瞳。悪戯好きな瞳がくりくりとせわしなく動き回り、あきない表情を生み出している彼女はその場にいる誰よりも、奇妙だった。
頬にある、黒の二本の金属の筋は彼女が人間ではないことを示している。
魔装人形、イオリ。
地下世界と地上世界がまだ一つだったころに隆盛を極めた魔導大国の遺した魔法兵器にして、魔神の墓所を守る存在である彼女は、自分から墓守のしごとにあきて地上世界に出てきた変わり者だった。
「わかんないかも?
勇者に関しては、私もなにも聞いていないもの」
そして、イオリはテダーにねえこれどう? と、リザがさきほど柚子に与えていたクッキーの皿を手渡し、
「食べてみて?
いろいろと味が変わってて美味しいよ?」
そう言って、話題をはぐらかそうとしていた。
それを見てリザはだめね、と彼女から情報をえることを諦めた。
イオリは気分屋だから、その気にならないと口を開かない。
「もう、用は済んだから。
今日はこれで帰るね‥‥‥」
「え? そう‥‥‥か、残念だな。せっかく、ナフィーサのやつが紅茶をいれたのに‥‥‥」
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