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第三章
異質な愛の胎動 5
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「ねえ、樹乃さん」
そう七星はかたわらにいる樹乃に語り掛ける。
「なによ?
どうすんの、この状況。
誘拐までやるなんてやりすぎでしょ!?」
そう声を上げる妹に、双子の兄は顔を見合わせた。
「そうか?
チームだのなんだのやってたらこんなのよくあることだけどな?」
なあ?
そう遠矢が弟の友紀に相槌をもとめた。
「いやー、でもあんまりよくはないけどね?」
「それ、車内でずっと窒息寸前まで責め立てたお前が言うか?」
「いやー僕はただ、ね?
話を後から聞きやすくするためにしただけだから」
その笑顔が怖いよ俺は。
遠矢はそう思う。
そのかたわらには、つい数時間前まで奴隷だった佳南が、元御主人様のゆきなを睨んでいた。
「復讐はだめだよ?」
友紀に心の中を見透かされたような気がして、佳南は寒気を感じた。
ポンポンと優しく撫でられても、以前のような淡い恋心が沸いてこない。
あるのはただ、彼とは関わったらだめだという自制心だけだった。
「あのですねーななせが思うに。
多分、こいつはどれだけ責めても本音を吐かないと思う。
どう?」
「ふむうーー!!??」
とりあえず黙ってね、と七星が手でふさいだその口で、ゆきなは不満の声を上げる。
そんなことはありません、全部しゃべります!
視線でその場にいる全員に助けを求めるが、佳南がダメ出しをした。
「あの、いいですか?
かなん、このゆきなに飼われて調教受けてもう四年、かな。
いまは樹乃様と七星様のメス犬です。その、これからも可愛がってください。
それでー‥‥‥ゆきなは言葉で人を惑わすのが本当にうまいです。
佳南がここに来たのも、御主人様に抱かせてもらえるようにしてあげるって。
そう言われて、それしか考えれなくて。
でもいまから思い返したらそんなはずないんです。
もうあの人にはお前はいらないよ。
そう言われてたんですから。
だから‥‥‥」
「だから、どうしたいんだ?
佳南は?」
静かに遠矢が問う。
四年の歳月は長い。
ある意味、一番親しかった二人だろう。心の繋がりもあったはずだ。
それを引き裂いたのがゆきななら、それを利用していたのがゆきななら。
それを裁く権利は、佳南にあるのかもしれない。
そう思ったからだ。
「そう、です‥‥‥ね。
どうしたらいいんでしょうか?
あれ、佳南なんで泣いてるのかな?
あの時、出会わなければ好きな男性に見せれる身体のままで入れたのに‥‥‥」
「ん‥‥‥そうだな。
まあ、もう離れたんだ。
あとはお前ら三人で決めることだしな?
だけど忘れるなよ、樹乃に七星。
これがお前らの先にある未来の姿だってことを」
その言葉に対して、二人はなにも言い返せなかった。
同性愛は反対しない。
でも、傷つけあって狂った世界線で生きるより、まっすぐな世界線で生きろ。
そう遠矢の目は語っていた。
そして、この家の主は宣言する。
「おい、友紀。
七星を抱いたらしいな?」
「なんでいまその話題がでるのさ?」
「抱いたのか?」
遠矢の質問に友紀は黙ってうなづいた。
「そっか。
なら責任とれ。
ゆきなと結婚しろ」
「おい、遠矢、それはーー」
「いいだろ?
お前のそのサディスティックな心もこの女なら、元調教を受けてる奴隷だ。
いいように処理してくれんだろ?
なあ、それでいいよな?
もちろん、他の御主人様だの、元の御主人様だの。
連絡取ったら、な?」
七星に手を離させてゆきなに遠矢は問いかける。
「お前もある意味、その御主人様とやらの被害者じゃないのか?
暴力は俺がふるわせない。そう友紀を監督する。
断ってもこのまま返してやる。
それも約束する。
だけどその後になにか仕掛けてきたらその時は覚悟しろよ?
選べよ、もう誰かに支配だの命令だの。
それは好きな者同士でやるもんだろ?
友紀はお前を妻したら、誰よりも以上にお前を愛するし、守ると思うぞ?
こいつは守る誰かがいないから、こうなってるだけだ。どうする?」
ゆきながその時にうなづいた。
その意味はただ助かりたかったのか。
それとも、誰かに救いを求めるのをやめる決断をしたからか。
それは分からない。
ただ、こうして高遠の家には二組の夫婦と、一組の恋人たちと。
そして、一匹のペットで満足する。
そんな女が一人。
彼らの少しだけ狂った世界線はこうして補整されたのかもしれない。
そう七星はかたわらにいる樹乃に語り掛ける。
「なによ?
どうすんの、この状況。
誘拐までやるなんてやりすぎでしょ!?」
そう声を上げる妹に、双子の兄は顔を見合わせた。
「そうか?
チームだのなんだのやってたらこんなのよくあることだけどな?」
なあ?
そう遠矢が弟の友紀に相槌をもとめた。
「いやー、でもあんまりよくはないけどね?」
「それ、車内でずっと窒息寸前まで責め立てたお前が言うか?」
「いやー僕はただ、ね?
話を後から聞きやすくするためにしただけだから」
その笑顔が怖いよ俺は。
遠矢はそう思う。
そのかたわらには、つい数時間前まで奴隷だった佳南が、元御主人様のゆきなを睨んでいた。
「復讐はだめだよ?」
友紀に心の中を見透かされたような気がして、佳南は寒気を感じた。
ポンポンと優しく撫でられても、以前のような淡い恋心が沸いてこない。
あるのはただ、彼とは関わったらだめだという自制心だけだった。
「あのですねーななせが思うに。
多分、こいつはどれだけ責めても本音を吐かないと思う。
どう?」
「ふむうーー!!??」
とりあえず黙ってね、と七星が手でふさいだその口で、ゆきなは不満の声を上げる。
そんなことはありません、全部しゃべります!
視線でその場にいる全員に助けを求めるが、佳南がダメ出しをした。
「あの、いいですか?
かなん、このゆきなに飼われて調教受けてもう四年、かな。
いまは樹乃様と七星様のメス犬です。その、これからも可愛がってください。
それでー‥‥‥ゆきなは言葉で人を惑わすのが本当にうまいです。
佳南がここに来たのも、御主人様に抱かせてもらえるようにしてあげるって。
そう言われて、それしか考えれなくて。
でもいまから思い返したらそんなはずないんです。
もうあの人にはお前はいらないよ。
そう言われてたんですから。
だから‥‥‥」
「だから、どうしたいんだ?
佳南は?」
静かに遠矢が問う。
四年の歳月は長い。
ある意味、一番親しかった二人だろう。心の繋がりもあったはずだ。
それを引き裂いたのがゆきななら、それを利用していたのがゆきななら。
それを裁く権利は、佳南にあるのかもしれない。
そう思ったからだ。
「そう、です‥‥‥ね。
どうしたらいいんでしょうか?
あれ、佳南なんで泣いてるのかな?
あの時、出会わなければ好きな男性に見せれる身体のままで入れたのに‥‥‥」
「ん‥‥‥そうだな。
まあ、もう離れたんだ。
あとはお前ら三人で決めることだしな?
だけど忘れるなよ、樹乃に七星。
これがお前らの先にある未来の姿だってことを」
その言葉に対して、二人はなにも言い返せなかった。
同性愛は反対しない。
でも、傷つけあって狂った世界線で生きるより、まっすぐな世界線で生きろ。
そう遠矢の目は語っていた。
そして、この家の主は宣言する。
「おい、友紀。
七星を抱いたらしいな?」
「なんでいまその話題がでるのさ?」
「抱いたのか?」
遠矢の質問に友紀は黙ってうなづいた。
「そっか。
なら責任とれ。
ゆきなと結婚しろ」
「おい、遠矢、それはーー」
「いいだろ?
お前のそのサディスティックな心もこの女なら、元調教を受けてる奴隷だ。
いいように処理してくれんだろ?
なあ、それでいいよな?
もちろん、他の御主人様だの、元の御主人様だの。
連絡取ったら、な?」
七星に手を離させてゆきなに遠矢は問いかける。
「お前もある意味、その御主人様とやらの被害者じゃないのか?
暴力は俺がふるわせない。そう友紀を監督する。
断ってもこのまま返してやる。
それも約束する。
だけどその後になにか仕掛けてきたらその時は覚悟しろよ?
選べよ、もう誰かに支配だの命令だの。
それは好きな者同士でやるもんだろ?
友紀はお前を妻したら、誰よりも以上にお前を愛するし、守ると思うぞ?
こいつは守る誰かがいないから、こうなってるだけだ。どうする?」
ゆきながその時にうなづいた。
その意味はただ助かりたかったのか。
それとも、誰かに救いを求めるのをやめる決断をしたからか。
それは分からない。
ただ、こうして高遠の家には二組の夫婦と、一組の恋人たちと。
そして、一匹のペットで満足する。
そんな女が一人。
彼らの少しだけ狂った世界線はこうして補整されたのかもしれない。
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