正しい魔眼の使い方

星ふくろう

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第一章 愛の奇跡

愛情のタイムリミット 1

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「でも、あなたは分身じゃない。
 本物‥‥‥でしょ???」

 確信に近い疑問を弓羽は口にする。

「なんで、ここに来たの?
 わたしが触れたから??
 それはどんな意味があるの??」

 死神は困った顔をした。本音を言い当てられた。そんな顔だ。

「君は私の分身に触れることができた。そして、私はここに呼ばれてきた。
 それはつまり、君に権利が与えられたということだ」

 権利? なんの権利???
 弓羽の頭は混乱する。でも、ここで聞かなければ。
 そう、心は叫んでいた。

「それは、どんな、何を行使できる権利ですか?」

「そうだね。普段ならまあ、寿命を延ばすとか。
 不老不死を与えるとか。様々な知恵を授けるとかだけど。
 まあ、大体はできるよ。神や魔にはしてあげれないけどね?」

 大体はできる?
 どこまで? どうすればいい??

「なら‥‥‥お父さんの魂はもう苦しいだろうから。
 もう、いいです。わたしが悪魔に食べられるのもそれでいい。
 でも、しーちゃんだけ。しーちゃんだけは、死なないように。
 シープハンドの呪いを消してきちんと‥‥‥もし、あるならちゃんとした。
 何歳まで生きるかわからないけど。
 できるなら長く‥‥‥わたし以外に愛してくれる人と出会えるように。
 幸せに死ねるように。してあげて」

 死神は不思議そうな顔をする。

「なぜ、君は自分を捨てて、他人の幸せを願うのかな?
 私にはもちろん、それが君の欺瞞や自己満足ではないことはーー。
 うーん、一部、自己満足もあるが、それが犠牲になる必要があるのか?
 この一部を除いて、そうだね。無償で奉仕したいという、この感情。
 これはなんと言うのかな???」

「え?
 なんだろ…‥多分、愛、だと思う。
 親子だったり、恋人だったり、いろいろ接する形は違うけど。
 わたしは、あんなに苦しんで戦ってくれた。
 しーちゃんに報いたいの。孤独でいたわたしを救ってくれたから。
 全部を上げたいの。何もかも捨てて、しーちゃんだけの為に何かをしてあげたいの。
 大好きだから。愛してるから‥‥‥」

「なるほど、愛、か。
 それは知らない感情だな」

 死神はそれはそれは不思議そうにつぶやいた。
 弓羽には彼が何故、愛を口にしたかが理解できない。

「なんで、知らないの?
 それだけわかんないけど、数十億年とか昔からいたんでしょ???
 いろんな世界を管理してるなら、どこかで感じたことはないの?」

「うーん、難しいね。
 似たような感情に出会うことはあるが、それは死と共にすぐに魂を案内しないといけないから。
 その場には、残れないんだ」

 そうなんだ。
 なんでわたし納得してるんだろ。
 わけわかんない。
 あ、そうだーー
 そこまで考えて、弓羽は思い出す。

「あの、ねえ。
 わたしの残り時間はどれくらいなの?」

 残り時間? 死ぬまでの?
 変な質問をする子だ。
 そう思い死神は、ベッドの脇にあった置時計を指差す。

「まあ、大まかだけれどね、お嬢さん。
 君の残り時間は、あの時計で10時20分。
 あと、30分ほどかな?」

 え、短い。
 ならまだしーちゃんに会えるかも???
 弓羽はそう願い、再度質問する。

「なら、しーちゃんは?
 わたしの最愛の、溶目 雫の残り時間は???」

「お嬢さん。
 あまりそういう質問には答えられないんだ」

 うん、そうだよね。
 でも、次の言葉を聞けばあなたは答えられずにはいられない。
 弓羽は確信を持ってそれを言葉にした。

「もし、しーちゃんと会えて、その時間が少しでも長いなら。
 あなたはそれだけ、愛情が何かを知ることができるよ‥‥‥死神様」

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