恋猫月夜「魂成鬼伝～とうじょうきでん～の章」

本編開始前

甘猫日和(甘々)

**商店街での寧々と薙翔の両想い時代の話（子供姿時代の寧々目線）**


 穏やかな昼下がり 
お兄ちゃんとのんびり過ごすこの時間が 
私は何よりも好きだった。 

ぽかぽかと温かな縁側で、 
一緒に座り他愛もなく話す日常会話。

 話に耳を傾けながら隣を見れば 
すぐそこに大好きなお兄ちゃんの姿がある。
 こんな何気ない出来事が何よりも私には幸せで 
口元には自然と笑みが溢れた。
 
ふと、
前を向いていたお兄ちゃんの綺麗な瑠璃色の瞳が 
こちらへと向けられ視線が重なり合う。

 少しの沈黙の後、頬に伸ばされる手。 
優しく繊細に触れられるその指先に、心臓が少し跳ねるのを感じながらそのままその指先は、 私の長い前髪へと移され横へとそっと流された。

 『寧々の瞳は本当に綺麗だな』 

そう言いながら目の前の美しい綺麗な瑠璃色の瞳が優しく細められる。

 『…………ｯ…』 

満足そうに穏やかに微笑むお兄ちゃん。 

そっと触れられる繊細な指先も 
美しく細められるその瞳も 
私へと語らう優しい声も笑顔も 

その全てに心地の良い甘さが含まれてて 
頬に熱が篭もるのを感じながら心臓の鼓動が早まるのを感じてなんだか少し気恥ずかしい。 

でもそれよりも本能が勝ってしまった私は、 気付けば自身の頬をお兄ちゃんの頬へとそっとすり寄せていた。 
と同時にハッとする思考と驚き固まるお兄ちゃんの姿。 

『ごごごごごめんなさいｯｯ なんだか甘えたくなっちゃってついｯ…！』 
『いいいいいやいいんだ！！謝らんでくれ！！ 
いっぱい甘えてほしいし、いっぱいしてくれ！ てかオイラもするｯｯ！！！！！』 
『ええｯ…!?』 

今日も仲睦まじい猫ちゃん達のおうちは賑やかだ。 



【甘猫日和（完）】
 薙寧々は猫又ちゃんなのでお互いに気を許した相手には猫仕草が出ます。 
真っ赤になって照れる寧々ちゃんだけど、本能なのでまた何度でも薙翔にすりすりたくさんしますね。
 ちなみに次の日商店街を満面の笑みでニコニコで歩く薙翔の姿があちらこちらで目撃されてます