告る相手を間違えたら学園一の美少女と付き合えた件

8.姉と弟

ねみぃ、ねみぃ。俺は、つい寝落ちしてしまった。ふと、時計を見ると今、９時半。ヤバイ、待ち合わせは確か10時だ。やべー。やべー。もう、ヤバいが口癖だw

俺が、リビングに降りると姉ちゃんがいた。母さんと父さんはもう仕事に行ったようだ。

「おい、弟。珍しく今日遅いな？」

「寝落ちしたんだよ。」

用意されていた朝飯を食べながら俺は答えた。

「ふーん。彼女とのLINE？」

俺は、つい動揺しちまった。こいつは妙なところに勘がいいから。やめてほしい。

「違いますー。」

「へー。彼女なんだー。あんたもそんな年になったとはねー。お姉ちゃん嬉しいわー。で、彼女って美里ちゃん？」

ヤバイ、ヤバイ。今、一番聞かれちゃ困る質問だよ。

「だから、彼女いないから。」

「ふーん。そうなんだー。まぁ、美里ちゃんなら大歓迎だね。小さい頃から知ってるしカワイイもんねー」

あすかはニヤニヤして言った。

「姉ちゃんこそ、そんなしゃれた格好しといてどこ行くんだよ？」

「デートよ。」

「彼氏？」

「まだ、違うけど。まぁ、姉ちゃんの勘なら今日中には告られると思うね。まぁまぁ、イケメンのインテリお坊ちゃん。しかも、むっちゃ優しいのよ。結構、優良物件でしょ？」

「知らねぇよ。」

「玉の輿狙っちゃおっかなー。」

「いいんじゃない？ただ、その男が可哀想すぎるけど。」

「なんか、言った？」

怖っ。姉ちゃん般若みたいな顔してんじゃねえか。いつぞやの相沢みたいな顔だ。怖い怖い...

「すみません。何でもでもないでーす。」

姉ちゃんは、魔性の女みたいなもんだ。姉ちゃんと出会った男はみんなおかしくなってる。ストーカーとか。これ以上はもう言いたくない。ほんとに、ヤバイから関わらない方がいい。でも、むちゃくちゃ美人なんだけどな。だから、姉ちゃんが結婚詐欺師とかやったもんならそれは儲かるだろうってヤバイ。ヤバイ。時間マジでない。女性を待たせてはいけないって父さんも言ってたし。もう、出よ。

「じゃ、行ってきまーす。」

「おい、弟。どこに行くんだ？」

「どこにも。」

「は？」

「バイバイー」

そう言って俺は家を出た。高梨凛とのデートを楽しみにしながら。