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同居の御曹司は甘やかすのがお好き
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しおりを挟む「お父様の会社に就職することもできたのに、うちの会社に来たのも親に依存しないで自分でやっていこうと思ったからなのかなって」
だから尚更この人の生活を乱したくない。
「入社してからずっと優磨くんを見てきたけど、誰よりも努力してたじゃん。残業はさせてもらえないからって退勤後もこっそり営業回りしてたでしょ? 気づかれないようにしてたのかもしれないけどバレてるよ。いつも顧客リサーチも万全で計画書も完璧だし」
握った手を口に当てた優磨くんは照れるようにそっぽを向く。
「何で知ってるの……」
「同期は仲間であってライバルだから。常にチェックしてるよ」
ずっと尊敬していた。仕事ができるのに鼻にかけないし、努力しているところを見せない。優しくて気が利いて周りをさり気なくフォローしてくれた。
「だから迷惑かけたくない。優磨くんのお金は申し訳なくて使えないよ」
「そんなふうに思わなくていいって……」
「ううん、感謝してる」
本当に優磨くんの存在に助けられた。
「波瑠といると、俺も頑張れるから……感謝してる」
真っ直ぐ目を見つめられる。
「自分がまともな人間でいられる気がする」
「優磨くんはすごくちゃんとしてると思うけど。仕事決まったら生活費を折半しようって言ってくれたのも、私に気を遣わせないようにでしょ? ありがとう。嬉しかった。だから早く次を見つけて出てい……」
言葉を言い終わらないうちに突然優磨くんに抱きしめられた。
「行かないで……」
私の耳元で切なそうな声を出す。
「優磨くん?」
「波瑠は俺のそばにいて」
「あの……」
「迷惑かけてもいい。無理に働かなくてもいい。波瑠の弱いところも受け止める。だから離れないで」
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