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同居の御曹司は甘やかすのがお好き
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しおりを挟む予想外の言葉に動揺を隠せない。優磨くんに抱かれた体は今にも震えてしまいそうだし、心臓の鼓動が優磨くんの胸にも伝わってしまいそうだ。
「波瑠がいてくれたら俺は強い人間でいられる……波瑠を守りたい……」
「だめ……だよ……」
甘やかされたら私はどんどんダメになる。優磨くんから離れられなくなったら、これ以上弱くなってしまったら呆れられちゃう。惨めな私を気にかけないでいいのに。
「同情しなくて大丈夫だから……」
「同情じゃないよ」
低い声が胸に突き刺さるようだ。
「俺は同情して波瑠をここに呼んだわけじゃない」
「優磨くん優しいから私を助けてくれるんだよね……本当に申し訳ないです……」
「波瑠ってここまで鈍感だったの?」
この言葉に涙が出そうになって優磨くんの胸に顔を押し付ける。
「鈍感で悪かったね……そりゃあ優磨くんと比べたら私なんてアホだよ。だから浮気されるんだもんね……」
名門大学の出身で頭の良い優磨くんから見たら私なんて鈍感で間抜けだ。彼氏の浮気にも気づかなかったほどに。
「そうじゃなくて、マジで……気付いてよ」
必死な声に増々優磨くんから顔を隠すように伏せる。
とっくに気付いている。私に向けてくれる優しさや笑顔の意味も。だけど意識しないようにしていた。自覚してしまったら怖くなる。優磨くんのような素敵な人は私じゃなくても相応しい女性がたくさんいる。
傷つくのが怖い。裏切られたら悲しい。もしもこの先優磨くんの気持ちが他の人にいってしまったら私はまたボロボロになる。
「ここに連れてきたのは、下心があるからだよ」
「でも、あの……」
「波瑠」
優磨くんの手が私の顎の下に滑り込み、強く上を向かされた。ほんのわずかの時間見つめ合うと、唇を塞がれた。
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