67 / 157
同居の御曹司は甘やかすのがお好き
67
しおりを挟む「波瑠」
「何?」
「愛してる」
初めて言われた言葉に体が固まる。
「…………」
「あのさ……黙られちゃうと結構不安なんだけど……」
「…………」
「波瑠?」
「私も……私も愛してる……」
そう答えると優磨くんが体を起こした。私の体を抱えて立ち上がらせるとキスをする。
角度を変えて何度も唇を重ねながらゆっくりと寝室まで移動していく。
私の膝の裏がベッドの端に当たりバランスを崩すと優磨くんが体を支えてゆっくり寝かされる。
「波瑠、絶対に守るよ」
熱っぽく見つめられ、私は目を潤ませながら頷く。
パジャマのボタンが外されていく。私は優磨くんのシャツを肩まで捲り脱がせた。
「優磨くん……愛してる」
首から鎖骨にかけてキスされながら言葉を絞り出す。
「もう一回言って」
「あっ……愛してる……」
指先で胸に触れられると体が小さく跳ねた。
「俺も、波瑠を愛してる」
体中に優しいキスを受けながら優磨くんの熱に溺れた。
裸のまま抱き合って寝て、目が覚めてからもまだ優磨くんの腕の中に納まっていることが幸せだと実感する。
会社でしか会うことのなかった人に「愛してる」と言われて「愛してる」と返す日が来るなんて人生何が起こるか分からないな、なんて思いながら寝顔を見ていると優磨くんも目を覚ました。
「おはよう」
声をかけるとまだ寝ぼけ顔の優磨くんは私にキスをして掠れた声で「おはよう」と囁いた。
先にシャワーを浴びると、続いて優磨くんが浴びている間に洗濯機をかける。朝食を作り終わると洗濯が終わった音が鳴る。
洗ったばかりの服を入れた洗濯カゴを持ってバルコニーに出て干す。
優磨くんの部屋は高い階にあるから、見下ろす人や車は全て小さく見える。最寄り駅に電車が到着したのが見えた。人がどっと電車から降りてまた乗っていく。
少し前の私はあの中の一人だった。今はこうやって毎日のんびり生活させてもらえてありがたい。
1
あなたにおすすめの小説
忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
自信家CEOは花嫁を略奪する
朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」
そのはずだったのに、
そう言ったはずなのに――
私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。
それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ?
だったら、なぜ?
お願いだからもうかまわないで――
松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。
だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。
璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。
そしてその期間が来てしまった。
半年後、親が決めた相手と結婚する。
退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
時戻りのカノン
臣桜
恋愛
将来有望なピアニストだった花音は、世界的なコンクールを前にして事故に遭い、ピアニストとしての人生を諦めてしまった。地元で平凡な会社員として働いていた彼女は、事故からすれ違ってしまった祖母をも喪ってしまう。後悔にさいなまれる花音のもとに、祖母からの手紙が届く。手紙には、自宅にある練習室室Cのピアノを弾けば、女の子の霊が力を貸してくれるかもしれないとあった。やり直したいと思った花音は、トラウマを克服してピアノを弾き過去に戻る。やり直しの人生で秀真という男性に会い、恋をするが――。
※ 表紙はニジジャーニーで生成しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる