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第8章「冒険者ギルドでの話し合い」
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修道士たちに声をかけた後、アリア、エリシラ、リンデルの3人で教会を出る。
ギルドまでの道中、アリアは森やパドギアの街の風景を通して新しい世界に胸を躍らせていた。
冒険者ギルドがある町パドギアは、小さな町だったが、活気に満ち溢れた賑やかな場所だった。
防衛のことも考えているのか、町の外周には、頑丈な石壁も作られている。
町の中心にそびえる冒険者ギルドの建物は、堂々とした外観と大きな看板が目を引いた。
建物の周りには、様々な種類の冒険者や商人、旅人が行き交っている。
「リンデルさん、いつもありがとうね」
「エリシラ様、また教会に行きますね」
「おい、あの美女、アリア様だよ! 聖女様が町に来てくれたぞ!」
皆、リンデルが通ると動きを止め挨拶をし、エリシラが通るとお互いに祈りのポーズを交わし、アリアを見ると尊敬の眼差しを向けたり、美しに見惚れたたり、鼻血を垂らすものまで現れた。
甚太郎は心の中では苦笑しつもも、アリアとして微笑みを絶やさず冒険者ギルドまでたどり着いた。
ギルドの大きな扉が開かれ、中に入ると、町同様に賑やかな雰囲気が広がっていた。
冒険者たちが情報を交換し、新たな仕事の依頼を待っている様子がうかがえた。
アリア達はギルドのカウンターに向かい、受付の係員と軽い挨拶を交わしてから、奥にあるギルド長室へ入った。
机とテーブルと椅子しかない無骨な部屋だ。
「どうぞおかけください」
リンデルは、アリアとエリシラに椅子をすすめて、机から地図をもってきてテーブルに広げ、対面に腰掛けた。
「魔物が第一防衛地点を突破しました。我々の町パドギアまで2,3日でくるでしょう」
「ついに破られてしまいましたか……。いえ、今まで十分守ってくれていたと考えるべきでしょう」
「その通りです。幸いパドギアにも防衛拠点と同じような石壁がありますので、一般人の避難には十分間に合いますが……」
「魔物を押し返せるだけの戦力がない、というわけですね?」
「エリシラ様のおっしゃる通りです。冒険者や、国の兵士達が駐屯してくれていますが、戦力的に厳しいかと……」
「それで、リンデルさんは何が言いたいんですか?」
エリシラはニコッと笑った。
その笑顔見て、リンデルも強張っていた表情を緩めた。
1人話に入っていけなかったアリアは2人の会話をずっと聞いていたものの、自分が口を挟む状況じゃないと思っていたので、次のリンデルの言葉で、椅子からずり落ちそうになった。
「聖女アリア様に、魔物の討伐、もしくは町に結界を張ってほしいのです!」
「ええええ!?」
驚くアリアを他所に、リンデルとエリシラの二人は満面の笑みで期待に満ちた表情をしている。
「あ、あの、急にそんなこと言われても、おれ、じゃなくて私……そんなことしたことないですし……」
「大丈夫です、アリア様ならできますわ」
エリシラはアリアの両腕を手に取り、自分の胸元に引き寄せて大きく頷いている。
「はい、アリア様ならできると、自分も思っています」
リンデルもまた、失敗するわけないと思い込んでいた。
「あ、いや、でも、魔物なんて見たこともないし……結界もよくわからなくて……」
「まだ二日あります。儀式の準備が整うまでは、私がアリア様も町も守り切って見せます」
リンデルは立ち上がり、拳を胸にあて、自身漲る声で宣言した。
「私も、アリア様のサポートから、儀式の準備まで完璧にこなしてみせます」
エリシラにも熱が移ったのか、立ち上がり、祈りのポーズを捧げた。
「え、あの、いや……」
「エリシラ様やりましょう!」
「ええ、リンデルさん私達の聖女様のデビュー戦に相応しい戦です!」
おおー!と盛り上がる二人をアリアは黙ってみることしかできなかった。
ギルドまでの道中、アリアは森やパドギアの街の風景を通して新しい世界に胸を躍らせていた。
冒険者ギルドがある町パドギアは、小さな町だったが、活気に満ち溢れた賑やかな場所だった。
防衛のことも考えているのか、町の外周には、頑丈な石壁も作られている。
町の中心にそびえる冒険者ギルドの建物は、堂々とした外観と大きな看板が目を引いた。
建物の周りには、様々な種類の冒険者や商人、旅人が行き交っている。
「リンデルさん、いつもありがとうね」
「エリシラ様、また教会に行きますね」
「おい、あの美女、アリア様だよ! 聖女様が町に来てくれたぞ!」
皆、リンデルが通ると動きを止め挨拶をし、エリシラが通るとお互いに祈りのポーズを交わし、アリアを見ると尊敬の眼差しを向けたり、美しに見惚れたたり、鼻血を垂らすものまで現れた。
甚太郎は心の中では苦笑しつもも、アリアとして微笑みを絶やさず冒険者ギルドまでたどり着いた。
ギルドの大きな扉が開かれ、中に入ると、町同様に賑やかな雰囲気が広がっていた。
冒険者たちが情報を交換し、新たな仕事の依頼を待っている様子がうかがえた。
アリア達はギルドのカウンターに向かい、受付の係員と軽い挨拶を交わしてから、奥にあるギルド長室へ入った。
机とテーブルと椅子しかない無骨な部屋だ。
「どうぞおかけください」
リンデルは、アリアとエリシラに椅子をすすめて、机から地図をもってきてテーブルに広げ、対面に腰掛けた。
「魔物が第一防衛地点を突破しました。我々の町パドギアまで2,3日でくるでしょう」
「ついに破られてしまいましたか……。いえ、今まで十分守ってくれていたと考えるべきでしょう」
「その通りです。幸いパドギアにも防衛拠点と同じような石壁がありますので、一般人の避難には十分間に合いますが……」
「魔物を押し返せるだけの戦力がない、というわけですね?」
「エリシラ様のおっしゃる通りです。冒険者や、国の兵士達が駐屯してくれていますが、戦力的に厳しいかと……」
「それで、リンデルさんは何が言いたいんですか?」
エリシラはニコッと笑った。
その笑顔見て、リンデルも強張っていた表情を緩めた。
1人話に入っていけなかったアリアは2人の会話をずっと聞いていたものの、自分が口を挟む状況じゃないと思っていたので、次のリンデルの言葉で、椅子からずり落ちそうになった。
「聖女アリア様に、魔物の討伐、もしくは町に結界を張ってほしいのです!」
「ええええ!?」
驚くアリアを他所に、リンデルとエリシラの二人は満面の笑みで期待に満ちた表情をしている。
「あ、あの、急にそんなこと言われても、おれ、じゃなくて私……そんなことしたことないですし……」
「大丈夫です、アリア様ならできますわ」
エリシラはアリアの両腕を手に取り、自分の胸元に引き寄せて大きく頷いている。
「はい、アリア様ならできると、自分も思っています」
リンデルもまた、失敗するわけないと思い込んでいた。
「あ、いや、でも、魔物なんて見たこともないし……結界もよくわからなくて……」
「まだ二日あります。儀式の準備が整うまでは、私がアリア様も町も守り切って見せます」
リンデルは立ち上がり、拳を胸にあて、自身漲る声で宣言した。
「私も、アリア様のサポートから、儀式の準備まで完璧にこなしてみせます」
エリシラにも熱が移ったのか、立ち上がり、祈りのポーズを捧げた。
「え、あの、いや……」
「エリシラ様やりましょう!」
「ええ、リンデルさん私達の聖女様のデビュー戦に相応しい戦です!」
おおー!と盛り上がる二人をアリアは黙ってみることしかできなかった。
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