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第一章:二度寝を夢見る孤児と古代機械
第七話:最初の力
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工場跡の空気は、ひどく冷たく澱んでいた。夜明け前の淡い光が、割れた窓ガラスの隙間から射し込み、鉄骨むき出しの柱や、崩れかけた足場を鈍く照らす。
ネロと仲間たちは息を潜め、瓦礫の陰に身をひそめていた。
「……来るぞ」
テゴの低い声が、耳の奥で震えるように響く。
緊張に喉が渇き、ネロはごくりと唾を飲み込んだ。
工場の外から、鉄を蹴る靴音がいくつも響いてくる。ギャングどもの乱暴な笑い声が混じり、近づいてくるたびに、鼓動が速くなった。
「ね、ネロ兄ちゃん……本当に大丈夫だよね?」
すぐ傍に身を寄せていたリナが、震える声で尋ねた。その小さな手は震えていたが、瞳は強く前を見据えている。
「うん、大丈夫……みんなで準備したんだから。怖くないって言ったら嘘になるけど、一人じゃない」
リナはぎゅっとネロの服を握りしめ、頷いた。
カイルは拳を握り締め、力強く笑った。
「へっ、怖がってばかりじゃ生き残れねえしな! 俺たちの工場は渡さねえ!」
ミナトは唇を噛み、震える息を押し殺していた。だが目は鋭く、仲間の位置と出口を確認し続けている。
「……行ける。ネロ、合図を」
ネロは深く息を吸った。
(失敗したら……俺たちは、ここで終わる。でも――)
脳裏に浮かぶのは、テゴの冷静な言葉だった。
『正面から戦えば、不利。数も武器も違う。だが、環境を利用すれば勝機はある』
だからこそ――廃墟となった工場跡を舞台に選んだのだ。
鉄骨の足場、ひび割れた床、今にも崩れそうな梁。その全てを、ネロと仲間たちの「武器」に変えるために。
やがて工場の扉が蹴破られた。
「おらぁ! ガキども、隠れてんのはわかってんだぞ!」
「くっそ、あのクソガキどもが! 生きて帰れると思うなよ!」
数十人のギャングたちが怒号とともに雪崩れ込んでくる。
鉄の棒、刃物、そして拳。力だけを信じて生きてきた荒くれ者たちだ。
その瞬間、テゴの声が鋭く響いた。
『――今だ、ネロ』
ネロは手で合図を送った。
カイルが仕掛けたロープが切られ、頭上の瓦礫がどさりと落ちる。
轟音と共に崩れる鉄骨。
突入してきた後方の五人くらいが動けなくなり、逃げ道をふさぐ。
「ぎゃあっ!」
「足が……くそっ、助けろ!」
退路を失ったギャングたちは一斉に前へ押し出され、混乱の渦に飲まれていった。
「よし……!」
ネロは唇をかみ、次の合図を送る。
今度はミナトが走った。影のように素早く柱の影を駆け抜け、壁際に置かれていたドラム缶のストッパーを外し蹴り落とす。
「うわっ、なんだこれ!」
轟音と共に数人が押しつぶされ、床を転がるドラム缶に前進していたギャングの足を取った。
「ぐああっ!」
二人が転倒し、さらに仲間を巻き込んで雪崩のように崩れた。
リナはすかさず狭い隙間へと潜り込み、ひそかに仕掛けていた罠の紐を引く。
天井の梁から吊るされていた複数の古びた工具箱が落下し、五人のギャングを直撃した。
「ぎゃっ……頭が……!」
血を流して倒れ込む姿に、リナの顔が一瞬引きつる。しかしすぐに、歯を食いしばった。
(怖い……でも、やらなきゃ……! みんなを守るんだ……!)
「くそっ、見つけ次第、皆殺しにしてやる!」
だが、彼らが踏み込んだ先には、カイルが仕掛けた別の罠があった。
「ん? 何の音だ? なんか、床がグラグラするぞ……」
男が足を踏み入れた瞬間、床の鉄板が傾き、その上から瓦礫がガラガラと転がり落ちる。
「うがっ!」
ギャングが罠の範囲に入ると、ネロは錆びたレバーを全力で押し込んだ。
キーーーーーッ!
金属の軋む音が、工場全体に響き渡る。
次の瞬間、天井からぶら下がっていた重い鉄骨が、男たちの頭上目掛けて落下してきた。
ドゴォォォォォン!!
鉄骨は、男たちが立っていた場所に落ちた。直撃を免れた男たちは悲鳴を上げ、驚いて転がり回る。
「な、なんだ、今のは……!」
「危ねえ!」
男たちは、ネロたちの存在を完全に忘れ、自分たちの命を守るために必死になっていた。
次々と罠にかかり、ギャングの数は確実に減っていった。
「おい、どうなってんだ! どこから攻撃されてんだ!」
「こんな汚い手使いやがって!」
やがて立っているのは二人のみ。だが、彼らはまだ戦意を失っていなかった。
カイルとリナが見つかったんだ。
「見つけたぜ! なめやがって……! ガキども、ぶっ殺してやる!」
怒声とともに刃物を振り回し、突進してくる。
カイルが前に出て、パイプを振るった。火花が散り、衝撃で腕が痺れる。
「ぐっ……!」
「カイル!」
リナが悲鳴を上げる。
大人の力に押され踏ん張るカイルの背を、リナが支えた。
「隙を作る!」
ミナトが素早く走り込み、敵の足に体当たりをする。
よろめいた瞬間を見逃さず、ネロが鉄パイプで頭を殴り、相手を倒した。
残るは一人。
息を荒げたネロたちが立ち尽くす前に現れた男。
汚れた顔、ギラついた眼光。
ギャングのリーダー格――巨体の男が、ゆっくりと姿を現した。
「ガキども……よくも、俺の仲間を……」
その手には、冷たい金属の光があった。
「……銃だ!」
ミナトが警告する。
リーダーはにやりと笑い、銃口を突きつけた。
「小細工で俺の仲間を倒しやがったな。だが、遊びは終わりだ。ガキども、ここで全部終わらせてやる」
「やめろ!」
カイルが叫ぶ。
「ネロ兄ちゃん、逃げて!」
リナが泣きそうな声で叫ぶ。
ミナトはリナを庇うように前へ出て武器を構える。カイルも歯を食いしばって構えた。
だが、銃口を前にしては無力だ。
ネロの背中を冷たい汗が伝う。
(……終わるのか? ここで……?)
脳裏に浮かぶのは、短い日々を共に過ごした仲間の顔。
笑い合った夜。肩を寄せて眠った温もり。
その全てが、目の前で潰されようとしている。
(いやだ……! こんなところで失いたくない!)
その瞬間――。意識の奥で、何かが爆ぜた。
ネロの心臓が、まるで別の鼓動を刻み始めたかのように、力強く脈打った。
視界が白く弾け、リーダーの動きがスローモーションのように遅く見えた。
周囲の音が遠のき、ただ一つの音だけが鮮明に聞こえる。
それは、テゴの電子的な声。
『潜在能力の覚醒が進行中。ネロ、銃に意識を集中させろ。君の奥底に眠る力が、今、目覚めようとしている……』
ネロは、ただその声に身を任せた。
次の刹那――銃が弾かれるように吹き飛び、床を転がりすべる。
「なっ……!? 銃が……勝手に……!」
狼狽するリーダー。
ネロは震える手を伸ばし、転がった銃を拾い上げた。
冷たい重みが掌にずしりと食い込む。
そして、リーダーへと構えた。
「動くな……! 今度は、こっちの番だ」
呻きながらも動こうとしたリーダーは、その銃口を見て凍りついた。
「た、頼む、勘弁してくれ……」
その顔は、先ほどの尊大な笑みはどこにもなく、ただ恐怖に歪んでいた。
背後の仲間たちも、一斉に安堵の息をついた。
「今の……俺が……やったのか?」
ネロは信じられないように呟く。
テゴの落ち着いた声が答えた。
『解析結果はサイコキネシス。君に新たな能力が芽生えた。この状況を打破する、君自身の力だ』
恐怖の渦中で掴んだ一筋の希望。
ネロは震える息を吐き、銃を握りしめながら確信した。
(俺は……守れる。仲間を、未来を……!)
その胸に芽生えたのは、小さな自信と、大きな決意だった。
そして彼は思う。
――これがあれば、きっと“贅沢な暮らし”に近づける。
いや、それ以上に。
本当に大切なのは、共に笑い、共に生きるこの仲間たちを守れることなのだと。
それは油断だった。
『警告。ネロ、敵を排除せよ』
リーダーは、ナイフを取り出し、隙を突いて全速力で襲い掛かってきた。
「来るなぁー!」
夢中で引き金を引いた。外れる弾丸。近付いてくるナイフの切っ先。
だが、近付くことで、当たりやすくもなる。
引き金を引いても、もう弾は出ない。たった、一発。それが、リーダーの頭を貫いていた。偶然だ。
ネロは、床に倒れたリーダーに、静かに語りかけるようにつぶやく。
「俺たちは、ただ生きたいだけだ。この街で、静かに生きていきたいだけなんだ。あんたが襲ってこなければ……」
ネロは仲間たちを振り返る。
「……みんな、無事か?」
リナは目に涙を浮かべながら、ネロに抱きついた。
「ネロ兄ちゃん……よかった……!」
カイルとミナトも、ネロの肩を叩き、安堵の表情を見せた。
「さて、と……。この場所も、もう安全じゃなくなったな」
ネロはテゴをポーチに戻しながら、呟いた。
『その通り。だが、これで君たちに新たな選択肢が生まれた。この街で、ただ怯えて生きるのではなく、自らの力で未来を切り拓くという選択肢が』
「……ああ」
ネロは、崩れた工場跡を見渡す。
ここでの戦いは終わった。そして、それは彼らが生き抜くための、新たな物語の始まりを告げるものだった。
彼らの人生は、まだ始まったばかりだ。
ネロと仲間たちは息を潜め、瓦礫の陰に身をひそめていた。
「……来るぞ」
テゴの低い声が、耳の奥で震えるように響く。
緊張に喉が渇き、ネロはごくりと唾を飲み込んだ。
工場の外から、鉄を蹴る靴音がいくつも響いてくる。ギャングどもの乱暴な笑い声が混じり、近づいてくるたびに、鼓動が速くなった。
「ね、ネロ兄ちゃん……本当に大丈夫だよね?」
すぐ傍に身を寄せていたリナが、震える声で尋ねた。その小さな手は震えていたが、瞳は強く前を見据えている。
「うん、大丈夫……みんなで準備したんだから。怖くないって言ったら嘘になるけど、一人じゃない」
リナはぎゅっとネロの服を握りしめ、頷いた。
カイルは拳を握り締め、力強く笑った。
「へっ、怖がってばかりじゃ生き残れねえしな! 俺たちの工場は渡さねえ!」
ミナトは唇を噛み、震える息を押し殺していた。だが目は鋭く、仲間の位置と出口を確認し続けている。
「……行ける。ネロ、合図を」
ネロは深く息を吸った。
(失敗したら……俺たちは、ここで終わる。でも――)
脳裏に浮かぶのは、テゴの冷静な言葉だった。
『正面から戦えば、不利。数も武器も違う。だが、環境を利用すれば勝機はある』
だからこそ――廃墟となった工場跡を舞台に選んだのだ。
鉄骨の足場、ひび割れた床、今にも崩れそうな梁。その全てを、ネロと仲間たちの「武器」に変えるために。
やがて工場の扉が蹴破られた。
「おらぁ! ガキども、隠れてんのはわかってんだぞ!」
「くっそ、あのクソガキどもが! 生きて帰れると思うなよ!」
数十人のギャングたちが怒号とともに雪崩れ込んでくる。
鉄の棒、刃物、そして拳。力だけを信じて生きてきた荒くれ者たちだ。
その瞬間、テゴの声が鋭く響いた。
『――今だ、ネロ』
ネロは手で合図を送った。
カイルが仕掛けたロープが切られ、頭上の瓦礫がどさりと落ちる。
轟音と共に崩れる鉄骨。
突入してきた後方の五人くらいが動けなくなり、逃げ道をふさぐ。
「ぎゃあっ!」
「足が……くそっ、助けろ!」
退路を失ったギャングたちは一斉に前へ押し出され、混乱の渦に飲まれていった。
「よし……!」
ネロは唇をかみ、次の合図を送る。
今度はミナトが走った。影のように素早く柱の影を駆け抜け、壁際に置かれていたドラム缶のストッパーを外し蹴り落とす。
「うわっ、なんだこれ!」
轟音と共に数人が押しつぶされ、床を転がるドラム缶に前進していたギャングの足を取った。
「ぐああっ!」
二人が転倒し、さらに仲間を巻き込んで雪崩のように崩れた。
リナはすかさず狭い隙間へと潜り込み、ひそかに仕掛けていた罠の紐を引く。
天井の梁から吊るされていた複数の古びた工具箱が落下し、五人のギャングを直撃した。
「ぎゃっ……頭が……!」
血を流して倒れ込む姿に、リナの顔が一瞬引きつる。しかしすぐに、歯を食いしばった。
(怖い……でも、やらなきゃ……! みんなを守るんだ……!)
「くそっ、見つけ次第、皆殺しにしてやる!」
だが、彼らが踏み込んだ先には、カイルが仕掛けた別の罠があった。
「ん? 何の音だ? なんか、床がグラグラするぞ……」
男が足を踏み入れた瞬間、床の鉄板が傾き、その上から瓦礫がガラガラと転がり落ちる。
「うがっ!」
ギャングが罠の範囲に入ると、ネロは錆びたレバーを全力で押し込んだ。
キーーーーーッ!
金属の軋む音が、工場全体に響き渡る。
次の瞬間、天井からぶら下がっていた重い鉄骨が、男たちの頭上目掛けて落下してきた。
ドゴォォォォォン!!
鉄骨は、男たちが立っていた場所に落ちた。直撃を免れた男たちは悲鳴を上げ、驚いて転がり回る。
「な、なんだ、今のは……!」
「危ねえ!」
男たちは、ネロたちの存在を完全に忘れ、自分たちの命を守るために必死になっていた。
次々と罠にかかり、ギャングの数は確実に減っていった。
「おい、どうなってんだ! どこから攻撃されてんだ!」
「こんな汚い手使いやがって!」
やがて立っているのは二人のみ。だが、彼らはまだ戦意を失っていなかった。
カイルとリナが見つかったんだ。
「見つけたぜ! なめやがって……! ガキども、ぶっ殺してやる!」
怒声とともに刃物を振り回し、突進してくる。
カイルが前に出て、パイプを振るった。火花が散り、衝撃で腕が痺れる。
「ぐっ……!」
「カイル!」
リナが悲鳴を上げる。
大人の力に押され踏ん張るカイルの背を、リナが支えた。
「隙を作る!」
ミナトが素早く走り込み、敵の足に体当たりをする。
よろめいた瞬間を見逃さず、ネロが鉄パイプで頭を殴り、相手を倒した。
残るは一人。
息を荒げたネロたちが立ち尽くす前に現れた男。
汚れた顔、ギラついた眼光。
ギャングのリーダー格――巨体の男が、ゆっくりと姿を現した。
「ガキども……よくも、俺の仲間を……」
その手には、冷たい金属の光があった。
「……銃だ!」
ミナトが警告する。
リーダーはにやりと笑い、銃口を突きつけた。
「小細工で俺の仲間を倒しやがったな。だが、遊びは終わりだ。ガキども、ここで全部終わらせてやる」
「やめろ!」
カイルが叫ぶ。
「ネロ兄ちゃん、逃げて!」
リナが泣きそうな声で叫ぶ。
ミナトはリナを庇うように前へ出て武器を構える。カイルも歯を食いしばって構えた。
だが、銃口を前にしては無力だ。
ネロの背中を冷たい汗が伝う。
(……終わるのか? ここで……?)
脳裏に浮かぶのは、短い日々を共に過ごした仲間の顔。
笑い合った夜。肩を寄せて眠った温もり。
その全てが、目の前で潰されようとしている。
(いやだ……! こんなところで失いたくない!)
その瞬間――。意識の奥で、何かが爆ぜた。
ネロの心臓が、まるで別の鼓動を刻み始めたかのように、力強く脈打った。
視界が白く弾け、リーダーの動きがスローモーションのように遅く見えた。
周囲の音が遠のき、ただ一つの音だけが鮮明に聞こえる。
それは、テゴの電子的な声。
『潜在能力の覚醒が進行中。ネロ、銃に意識を集中させろ。君の奥底に眠る力が、今、目覚めようとしている……』
ネロは、ただその声に身を任せた。
次の刹那――銃が弾かれるように吹き飛び、床を転がりすべる。
「なっ……!? 銃が……勝手に……!」
狼狽するリーダー。
ネロは震える手を伸ばし、転がった銃を拾い上げた。
冷たい重みが掌にずしりと食い込む。
そして、リーダーへと構えた。
「動くな……! 今度は、こっちの番だ」
呻きながらも動こうとしたリーダーは、その銃口を見て凍りついた。
「た、頼む、勘弁してくれ……」
その顔は、先ほどの尊大な笑みはどこにもなく、ただ恐怖に歪んでいた。
背後の仲間たちも、一斉に安堵の息をついた。
「今の……俺が……やったのか?」
ネロは信じられないように呟く。
テゴの落ち着いた声が答えた。
『解析結果はサイコキネシス。君に新たな能力が芽生えた。この状況を打破する、君自身の力だ』
恐怖の渦中で掴んだ一筋の希望。
ネロは震える息を吐き、銃を握りしめながら確信した。
(俺は……守れる。仲間を、未来を……!)
その胸に芽生えたのは、小さな自信と、大きな決意だった。
そして彼は思う。
――これがあれば、きっと“贅沢な暮らし”に近づける。
いや、それ以上に。
本当に大切なのは、共に笑い、共に生きるこの仲間たちを守れることなのだと。
それは油断だった。
『警告。ネロ、敵を排除せよ』
リーダーは、ナイフを取り出し、隙を突いて全速力で襲い掛かってきた。
「来るなぁー!」
夢中で引き金を引いた。外れる弾丸。近付いてくるナイフの切っ先。
だが、近付くことで、当たりやすくもなる。
引き金を引いても、もう弾は出ない。たった、一発。それが、リーダーの頭を貫いていた。偶然だ。
ネロは、床に倒れたリーダーに、静かに語りかけるようにつぶやく。
「俺たちは、ただ生きたいだけだ。この街で、静かに生きていきたいだけなんだ。あんたが襲ってこなければ……」
ネロは仲間たちを振り返る。
「……みんな、無事か?」
リナは目に涙を浮かべながら、ネロに抱きついた。
「ネロ兄ちゃん……よかった……!」
カイルとミナトも、ネロの肩を叩き、安堵の表情を見せた。
「さて、と……。この場所も、もう安全じゃなくなったな」
ネロはテゴをポーチに戻しながら、呟いた。
『その通り。だが、これで君たちに新たな選択肢が生まれた。この街で、ただ怯えて生きるのではなく、自らの力で未来を切り拓くという選択肢が』
「……ああ」
ネロは、崩れた工場跡を見渡す。
ここでの戦いは終わった。そして、それは彼らが生き抜くための、新たな物語の始まりを告げるものだった。
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