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第三章_星満
22.さらば両俣山荘
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プロ野球選手になったら、両俣山荘が営業している期間は試合があるので来れなくなる。
シーズンオフは両俣山荘も営業していない。
なので、次に来れるのは引退した後になるだろう。
プロ野球選手として通用せず、三年後には引退している可能性もあるが、プロになる以上、そんなことは考えない。
次は二十年後に来ますっ!
と高らかに宣言して、僕の報告は終了した。
そうは言っても二十年は長過ぎるよなぁ……
できれば毎年一回は木村さんに会いたいと思っていた。
「ミツル君、俺は夏の間はここで働いているけど、シーズンオフに山荘を締めたら、夜叉神峠の入り口にある、芦安温泉の夜叉神館っていう宿で働いているよ。 良かったら泊まりに来てくれよ」
「本当ですかっ? 木村さんが冬の間に何処で働いているのか、教えてもらおうと思って聞きそびれていたんですが、芦安温泉の夜叉神館ですねっ! 絶対に泊まりに行きますよっ!」
良かった! プロ野球を引退するまで、木村さんに会えないのではないか?
って心配していたけれど、芦安温泉に行けば会えるのかっ!
本日一番の収穫だ。
両俣山荘は、この週末の営業を終えると、今季は小屋仕舞いになる。
明日は土曜日だけど、あまり予約も入ってないみたいだ。
予約無しの飛び込みの登山者も、この季節はそう多くはないだろう。
北岳ヒュッテから、予約者の氏名が無線で伝えられた。
木村さんの顔が少し曇ったように見えた。
「長野県上田市の水野美奈さんかぁ……
最後の最後に女性のソロ登山客か。
若い娘さんだと緊張しちゃうなぁ」
「木村さん、まだそんなこと言ってるんですか?
木村さん絶対モテると思うんだけどなぁ……
もっと自信持って下さいよ」
「そんなこと言われても無理だよ。苦手なものは苦手なんだ」
次の日の昼頃に山荘を出発した。
野呂川出合から広河原に行くバスは十三時四十分頃だ。
下り坂なので一時間半あれば行けるだろう。
途中で登って来る人の姿が見えた。
今夜泊まる予約をしている女の人だろうか?
「こんにちは。両俣山荘に泊まる人ですか?」
「はい。初めて来たんですけど、紅葉が綺麗な沢ですね」
「えぇ。ここはあまり有名じゃないルートですけど、僕は大好きです。
バス停から山荘まで、丁度中間くらいですから、もうひと頑張りですよっ!」
「ありがとうございます。頑張ります」
ウチの母と同じくらいの歳の人だった。
若い女性が苦手な木村さんも、今の人だったら大丈夫だろう。
いつものことなのだが、山を下りる時は不思議な感情になる。
今日は特にその思いが強い。
いつもなら、次の登山も頑張ろうっ!
という気持ちがあるので、寂しい気持ちを納得させることができるのだが、今日に限っては、次の登山がいつになるのか全く想像ができないのだ。
次は何年後にどこの山に登るのだろうか?
今までのように大きな充実感を得ることができるのだろうか?
今よりも大人になった僕が、下山する時にこんな感情を抱くのだろうか?
いつもより複雑な思いを巡らせながら、野呂川出合のバス停を目指した。
今年のドルフィンズのシーズンはまだ続いていた。
お兄さんと水野さんの活躍もあり、クライマックスシリーズという制度が始まってから、初めての三位になり出場権を得ていたのだ。
ドルフィンズ以外の球団が二回以上の出場経験を記録する中、唯一負け続けていたのだが、ようやく辿り着いたAクラスの三位であった。
しかし、信頼できる先発投手の数が足りず、ファーストステージで敗退となった。
六回までリードを奪えば、七回以降のブルペン陣は絶対的な安定感があったのだが、なかなか勝ちパターンに持ち込むことができなかった。
シーズン三位となった結果も、先発投手が試合を作れないことが原因だったと分析できる。
来年は、僕が160キロの速球で先発投手陣の柱になれれば、長いペナントレースは勿論のこと、短期決戦でも優位に戦えるようになるのではないか?
日本シリーズ前の十月の終わりに、ドラフト会議が実施された。
スカウトの野口さんからは指名する方針を伝えられていたが、今まで在校生どころか卒業生も含めて、学校関係者がドラフト指名された経験が無いので、学校側としても何をすれば良いのか段取りが分からず、普通に授業が行われた。
放課後になり、CS放送が映る視聴覚室でドラフト会議の中継を観ることになった。
蛮と僕が主役なので、最前列に陣取り、事情を知っている先生方と野球部監督と、噂を聞き付けた生徒が何十人も廊下まで集まって来ている様子だった。
今まで、ドルフィンズから指名されるかもしれないことを家族には言っていなかった。
言ったところで信用されないだろうし、姉からお兄さんに、本当のことなのか確認するようなことをされると、大事な試合が続くお兄さんにも迷惑が掛かると思ったからだ。
もうドラフト当日なので大丈夫だろうと思い、家族にLINEを送った。
「今日のドラフトで、蛮と一緒にドルフィンズから指名されると思うから、テレビ観てて!」
父「意味不明」 母「???」 姉「あんた寝ぼけてるの?」と、すぐに全く信じていない返信が来たが、まぁ見ていて欲しいっ!
指名は淡々と進み、六巡目まで終了した。
指名を終了する球団も出てきていた。
蛮も僕も少し心配になってきたその時。
「第七巡目選択希望選手、横浜、中田蛮、捕手、十八歳、横浜紅陵高校」と読み上げられた。
「ウォォォォ!」と言う地鳴りのような歓声が廊下から沸き起こり、野球部員が部屋に乱入してきて、蛮は外に連れ出されて行った。
「でぇ~ ちょっと待ってくれよぉ~ これから星も指名されるんだっ! 俺は星が指名される瞬間が見たいんだっ! でぇ~」
蛮の声が小さくなって行った。
遠くで「ワッショイ! ワッショイ! ワッショイ!」と聞こえてきたその時。
「第八巡目選択希望選手、横浜、星満、投手、十八歳、横浜紅陵高校」
あぁ良かった。
本当に指名された。
残された先生方から拍手が起こったが、野球部員の蛮と比べると全く盛り上がっていない感じではあった。
半信半疑で廊下に集まっていた山岳部員から遠慮がちに胴上げされた。
何で山岳部員がプロ野球でドラフト指名されるんだ?
全員からそんな気持ちなのが伝わって来る、不思議な胴上げだった。
「ミツル君、おめでとう! 一緒に優勝しよう!」
お兄さんからLINEが届いた。
父「どうなってるんだ? ドッキリじゃないよな?」 母「本当なの? 同姓同名の人居ないよね?」 姉「あんた、私より下手だったのに…… 早く帰って来て説明しなさいっ」家族からのLINEには、おめでとうの一言も無い。
中学までの野球部の仲間からは「お前がプロなんて有り得ない」と言った内容のLINEが多くて苦笑いした。
その時、電話が鳴った。
「もしもしミツル君? おめでとう!」
「あっ! 木村さん! ありがとうございます! 本当に指名されちゃいました」
「凄いじゃないかっ! 来年は試合を観に行くから頑張ってな! あとね、報告なんだけど苗字が木村じゃなくて矢口に変わることになったんだ」
「えぇっ? もしかして結婚するんですかっ? 婿養子になるんですか?」
「う~ん…… ちょっと違うんだけど、まぁそんなところかな? お互いにしばらく忙しいだろうから、少し落ち着いてからゆっくり話しをしようよ。 スマホを買ったんだけど、番号登録しておいてなっ」
「木村さん…… じゃなくて矢口さんも、遂にスマホデビューですねっ! また電話しますねっ」
女性が苦手で、緊張して上手く喋れなかった木村さん、じゃなくて矢口さんが結婚するのかぁ。
何だか良いニュースが続いて嬉しさも倍増だ。
良いニュースと言えば、姉とお兄さんも来年のオフに結婚する方向で話しが進んでいる。
お兄さんはドルフィンズの寮を出て、ボールパークの近所のマンションに引っ越す予定だ。
これから先も、ずっと「お兄さん」と呼べることになって良かった。
野球部の胴上げから解放されて、蛮が戻って来た。
お互い無言でガッチリ握手をした。
いつもなら大袈裟に喜んで大騒ぎをする蛮なのだが、今日は感無量と言ったところなのか、口数が少なかった。
高校に入学してから、冬の間は休むことが多かったが、ほぼ毎日続けてきたキャッチボール。
最初の頃は変なフォームで100キロに満たないスピードだったのが、今では見栄えのするフォームで投げられるようになり、球速も上がった。
今後の課題は細かいコントロールと、何か変化球をマスターしたいところである。
シーズンオフは両俣山荘も営業していない。
なので、次に来れるのは引退した後になるだろう。
プロ野球選手として通用せず、三年後には引退している可能性もあるが、プロになる以上、そんなことは考えない。
次は二十年後に来ますっ!
と高らかに宣言して、僕の報告は終了した。
そうは言っても二十年は長過ぎるよなぁ……
できれば毎年一回は木村さんに会いたいと思っていた。
「ミツル君、俺は夏の間はここで働いているけど、シーズンオフに山荘を締めたら、夜叉神峠の入り口にある、芦安温泉の夜叉神館っていう宿で働いているよ。 良かったら泊まりに来てくれよ」
「本当ですかっ? 木村さんが冬の間に何処で働いているのか、教えてもらおうと思って聞きそびれていたんですが、芦安温泉の夜叉神館ですねっ! 絶対に泊まりに行きますよっ!」
良かった! プロ野球を引退するまで、木村さんに会えないのではないか?
って心配していたけれど、芦安温泉に行けば会えるのかっ!
本日一番の収穫だ。
両俣山荘は、この週末の営業を終えると、今季は小屋仕舞いになる。
明日は土曜日だけど、あまり予約も入ってないみたいだ。
予約無しの飛び込みの登山者も、この季節はそう多くはないだろう。
北岳ヒュッテから、予約者の氏名が無線で伝えられた。
木村さんの顔が少し曇ったように見えた。
「長野県上田市の水野美奈さんかぁ……
最後の最後に女性のソロ登山客か。
若い娘さんだと緊張しちゃうなぁ」
「木村さん、まだそんなこと言ってるんですか?
木村さん絶対モテると思うんだけどなぁ……
もっと自信持って下さいよ」
「そんなこと言われても無理だよ。苦手なものは苦手なんだ」
次の日の昼頃に山荘を出発した。
野呂川出合から広河原に行くバスは十三時四十分頃だ。
下り坂なので一時間半あれば行けるだろう。
途中で登って来る人の姿が見えた。
今夜泊まる予約をしている女の人だろうか?
「こんにちは。両俣山荘に泊まる人ですか?」
「はい。初めて来たんですけど、紅葉が綺麗な沢ですね」
「えぇ。ここはあまり有名じゃないルートですけど、僕は大好きです。
バス停から山荘まで、丁度中間くらいですから、もうひと頑張りですよっ!」
「ありがとうございます。頑張ります」
ウチの母と同じくらいの歳の人だった。
若い女性が苦手な木村さんも、今の人だったら大丈夫だろう。
いつものことなのだが、山を下りる時は不思議な感情になる。
今日は特にその思いが強い。
いつもなら、次の登山も頑張ろうっ!
という気持ちがあるので、寂しい気持ちを納得させることができるのだが、今日に限っては、次の登山がいつになるのか全く想像ができないのだ。
次は何年後にどこの山に登るのだろうか?
今までのように大きな充実感を得ることができるのだろうか?
今よりも大人になった僕が、下山する時にこんな感情を抱くのだろうか?
いつもより複雑な思いを巡らせながら、野呂川出合のバス停を目指した。
今年のドルフィンズのシーズンはまだ続いていた。
お兄さんと水野さんの活躍もあり、クライマックスシリーズという制度が始まってから、初めての三位になり出場権を得ていたのだ。
ドルフィンズ以外の球団が二回以上の出場経験を記録する中、唯一負け続けていたのだが、ようやく辿り着いたAクラスの三位であった。
しかし、信頼できる先発投手の数が足りず、ファーストステージで敗退となった。
六回までリードを奪えば、七回以降のブルペン陣は絶対的な安定感があったのだが、なかなか勝ちパターンに持ち込むことができなかった。
シーズン三位となった結果も、先発投手が試合を作れないことが原因だったと分析できる。
来年は、僕が160キロの速球で先発投手陣の柱になれれば、長いペナントレースは勿論のこと、短期決戦でも優位に戦えるようになるのではないか?
日本シリーズ前の十月の終わりに、ドラフト会議が実施された。
スカウトの野口さんからは指名する方針を伝えられていたが、今まで在校生どころか卒業生も含めて、学校関係者がドラフト指名された経験が無いので、学校側としても何をすれば良いのか段取りが分からず、普通に授業が行われた。
放課後になり、CS放送が映る視聴覚室でドラフト会議の中継を観ることになった。
蛮と僕が主役なので、最前列に陣取り、事情を知っている先生方と野球部監督と、噂を聞き付けた生徒が何十人も廊下まで集まって来ている様子だった。
今まで、ドルフィンズから指名されるかもしれないことを家族には言っていなかった。
言ったところで信用されないだろうし、姉からお兄さんに、本当のことなのか確認するようなことをされると、大事な試合が続くお兄さんにも迷惑が掛かると思ったからだ。
もうドラフト当日なので大丈夫だろうと思い、家族にLINEを送った。
「今日のドラフトで、蛮と一緒にドルフィンズから指名されると思うから、テレビ観てて!」
父「意味不明」 母「???」 姉「あんた寝ぼけてるの?」と、すぐに全く信じていない返信が来たが、まぁ見ていて欲しいっ!
指名は淡々と進み、六巡目まで終了した。
指名を終了する球団も出てきていた。
蛮も僕も少し心配になってきたその時。
「第七巡目選択希望選手、横浜、中田蛮、捕手、十八歳、横浜紅陵高校」と読み上げられた。
「ウォォォォ!」と言う地鳴りのような歓声が廊下から沸き起こり、野球部員が部屋に乱入してきて、蛮は外に連れ出されて行った。
「でぇ~ ちょっと待ってくれよぉ~ これから星も指名されるんだっ! 俺は星が指名される瞬間が見たいんだっ! でぇ~」
蛮の声が小さくなって行った。
遠くで「ワッショイ! ワッショイ! ワッショイ!」と聞こえてきたその時。
「第八巡目選択希望選手、横浜、星満、投手、十八歳、横浜紅陵高校」
あぁ良かった。
本当に指名された。
残された先生方から拍手が起こったが、野球部員の蛮と比べると全く盛り上がっていない感じではあった。
半信半疑で廊下に集まっていた山岳部員から遠慮がちに胴上げされた。
何で山岳部員がプロ野球でドラフト指名されるんだ?
全員からそんな気持ちなのが伝わって来る、不思議な胴上げだった。
「ミツル君、おめでとう! 一緒に優勝しよう!」
お兄さんからLINEが届いた。
父「どうなってるんだ? ドッキリじゃないよな?」 母「本当なの? 同姓同名の人居ないよね?」 姉「あんた、私より下手だったのに…… 早く帰って来て説明しなさいっ」家族からのLINEには、おめでとうの一言も無い。
中学までの野球部の仲間からは「お前がプロなんて有り得ない」と言った内容のLINEが多くて苦笑いした。
その時、電話が鳴った。
「もしもしミツル君? おめでとう!」
「あっ! 木村さん! ありがとうございます! 本当に指名されちゃいました」
「凄いじゃないかっ! 来年は試合を観に行くから頑張ってな! あとね、報告なんだけど苗字が木村じゃなくて矢口に変わることになったんだ」
「えぇっ? もしかして結婚するんですかっ? 婿養子になるんですか?」
「う~ん…… ちょっと違うんだけど、まぁそんなところかな? お互いにしばらく忙しいだろうから、少し落ち着いてからゆっくり話しをしようよ。 スマホを買ったんだけど、番号登録しておいてなっ」
「木村さん…… じゃなくて矢口さんも、遂にスマホデビューですねっ! また電話しますねっ」
女性が苦手で、緊張して上手く喋れなかった木村さん、じゃなくて矢口さんが結婚するのかぁ。
何だか良いニュースが続いて嬉しさも倍増だ。
良いニュースと言えば、姉とお兄さんも来年のオフに結婚する方向で話しが進んでいる。
お兄さんはドルフィンズの寮を出て、ボールパークの近所のマンションに引っ越す予定だ。
これから先も、ずっと「お兄さん」と呼べることになって良かった。
野球部の胴上げから解放されて、蛮が戻って来た。
お互い無言でガッチリ握手をした。
いつもなら大袈裟に喜んで大騒ぎをする蛮なのだが、今日は感無量と言ったところなのか、口数が少なかった。
高校に入学してから、冬の間は休むことが多かったが、ほぼ毎日続けてきたキャッチボール。
最初の頃は変なフォームで100キロに満たないスピードだったのが、今では見栄えのするフォームで投げられるようになり、球速も上がった。
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