橋本愛莉というおんな

まなづるるい

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第十三章

90.

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(背後注意)

 指の腹で下から上になぞられている。あたしの反応をみながら、指の力を細かく変えているようだった。

「あっ、あ」
「ちょっと強い方がきもちいいのかな。直に触れてほしくて腰が前のめりになってるね。でもごめんね、僕はじっくりと時間をかけてとろとろにしたいんだ。スローセックスって知ってる? 欲望のままに捩じ込むのもいいけど、何日もかけて少しづつ刺激を与えていって、僕をみただけで濡れちゃうくらいきもちよくなっていくの。ね、そういうのって、興味ある?」

 想像しただけでドキドキした。触れてもないのにケイさんをみただけで濡れるなんて、本当にそんなことがありえるのだろうか。
 何日もお預けを食らって、急所には触れずにもどかしいまま過ごして、そんな状態でしたら、いったいどれほどきもちいいのだろう。

「で、でも、途中でしたくなったらどうするの?」
「自分で触るのも禁止だよ。そしたらまた一日目からやり直し。いつまで経っても僕とはできないよ」
「いつもそうやって、色んな女の人とシテるの?」
「いつもじゃないよ。だけど向こうが我慢できなくなって、最後までできないままお別れすることの方が多いかな」
「け、ケイさんは我慢、できるの?」
「できるよ。僕はむしろ、したくて堪らないって顔してる女の子の顔をみてる方が興奮するし、可愛いなって思うんだ」

 やばい性癖の人だと思った。それでもきしょいとは思わなかった。

「きみは我慢できるかな?」

 あたしをみる瞳が、お前にはむりだと言われているようでゾクッとした。
 絶対にケイさんとシテやる。
 あたしの生きる理由がまたひとつ増えた瞬間だった。

「……できますよ」
「そっか。じゃあ僕の前で自分で触って」
「え? で、でも自分で触っちゃだめなんじゃ……もしかして寸止めしろってことですか?」
「寸止めはしなくていいよ」
「え?」
「ほら、しばらくできなくなるから」

 確かにそうだ。正直、いま既に感じているこのきもちをまずは発散させなくては、スタートラインにすら立てない気がする。それに、本人がいいと言っているのだから断る理由がない。
 あたしは覚悟を決めると、下着を片足だけ脱いで開脚をした。
 スカートを片手で捲り上げ、片足はベットに、片足は床につけたまま、身体の向きはケイさんの方に向けている。脱いだ下着は床につけた片足に絡みついたまま。あたしは割れ目に人差し指を捩じ込んだ。

「ん」

 みられていると思うだけで、割れ目はじんわりと濡れている。指の先端で何度か往復するだけで、くちゅくちゅと卑猥な音が溢れてきた。

「みられてると難しいかな、僕が手伝ってあげようか?」
「あっ、んん、ぁ」
「なに? 僕の声で感じてるの? それとも僕が手伝うって言ったから、舐めてもらえるとでも思った?」

 自然と喘ぎ声が大きくなってしまうことで、それは図星だと教えていた。
 そんなわけないだろと言わんばかりに笑みを零すその表情に、あたしはまた濡れてしまったらしい。

「可愛いね」

 そう言うと、ケイさんは自分のスマホをぽちぽちと弄りだした。

「これは僕が酔った女性を夜這いするところを撮った動画だよ」

 きっと固定カメラで撮ったのだろう。画面にはベットで寝ている女の人の下着が脱がされているところが映しだされていた。脱がしている男の人の横顔は、間違いなくケイさんだ。
 ケイさんは女の人の足を掴んで開かせると、下の方へと顔を埋めていった。するとすぐに女の人の声が甘くなり、舐められているのだと気がついた。
 もうだめになってしまったのだろう。女の人の腰が上がったまま、ビクビクと震えている。いくら酔っているとはいえ、たった数秒でこんなふうになるなんて。
 ケイさんは立ち上がりカメラを手にすると、女の人の恥部を映した。濡れ具合をカメラにみせるように指を突っ込んでだしてみせると、糸を引いているのがよくみえた。
 するといきなり指を三本も入れ、激しく上下に動かすケイさん。

『あっ、だめぇ、おしっこ、おしっこでちゃううううッ』

 言いおわるより先に、勢いよくなにかが溢れだしていた。
 ケイさんって、こんな乱暴なこともするんだ。

『ああああああっ♡ きもちいよぉううう♡』

 それはどんな動画よりも卑猥だった。気がつけばあたしの指は動いていて、動画をおかずに甘い吐息を吐きながら自分でシテいた。
 あたしもこんなふうにシテもらいたい。ケイさんの舌で一番きもちいいところを舐めてもらいたい。だめになったあとも容赦なく指を入れられて、噴水みたいになにかを撒き散らして、ベットのシーツを汚してみたい。
 ケイさんの所為だよ。ケイさんの所為であたしが変態になっていく。
 画面上ではすでに二人は始めていて、何度か激しく腰を振っては抜いて、女の人を焦らしているようだった。
 あたしももう、かなりやばい。動画と同じように指を動かしているからか、まるで自分がケイさんに犯されてるみたいに思えてしまうのだ。

「あっ、ケイさ、ん……んんッ」

 あたしは我慢できずに、自分の指を締めつけた。
 どうしよう、きもちいい。他の人との動画をみながらだめになっちゃった。
 動画を止めることなくスマホを床においたケイさんは、いきなりあたしの濡れたところに指を捩じ込んでくる。

「ああっ」

 もしかして、とあたしは期待する。もしかしてあたしもあの動画のように、指でぐちゃぐちゃにされてしまうのかもしれないと。

「け、ケイさん?」
「もう始まってるよ」
「え?」
「僕の指で壊れないでね?」

 そんなのむりだ。敏感なところにケイさんの指が入ってるなんて、だめにならないわけがない。

「あ、ぁう」

 ケイさんの中指が根元まで入ってはでての繰り返し。それしかしていないというのに、あたしの意識はそこばかりに集中してしまう。
 正直もうやばい。だけどここでだめになってしまえば、いつまでもケイさんとはできないんだ。あたしもケイさんのがほしい。あんなふうに乱暴に、激しくされたい。

「あは、耐えてる耐えてる」

 ああもうその笑顔、反則だよう。
 こっちの気も知らないで、あたしの反応をみて楽しんでいる。

「いいよ、今日はここまでね」
「……っ」
「毎日連絡してあげるから、ちゃんと我慢するんだよ?」

 その意味がわからないまま、ケイさんと解散をした。意味がわかったのは次の日のこと。ケイさんから動画が送られてきたと思い、トーク画面を開いた瞬間。

「!」

 それがなにかわかったあたしは、すぐにトーク画面を閉じた。仮にもここは学校で、いまは授業中なのだ。これはあとでこっそりみよう。できればイヤフォンをつけて。
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