デビルフェイス

ガトリングレックス

文字の大きさ
上 下
8 / 51
救い編

第2話ザ・ブレイドマスター

しおりを挟む
ヒグラシキシタ、23歳、会社員、言わばサラリーマンである。
慣れないパソコンで仕事したり、会議で緊張しながらも自分の意見を言ったり、様々なストレスをためながら、今日もまた電車に乗る。
ポケットに入れたスマホにダウンロードした音楽をイヤホンで聞きながら、ユラユラと揺られる。
(コサメにもデビルフェイスが来た。家族で遺産を相続するためにお父さんとヒメ、コサメと協力して戦えばきっと勝てるはず。お母さんには悪いけど命をかけた戦いと言うギャンブルに参加した事に後悔はない。俺がデビルフェイスを持っている事はヒメも分かってるだろう。最初はお父さんと俺だけに届くと思っていたけど、ヒメにもコサメにも届くなんて。ゲームマスターはなにを考えてるんだ)
つり革をしっかり持って、バランスを保つ。
すると電車が突然緊急停車する。
(なんだ?)
不安になりながら、ギュウギュウ詰めの状態で運転席を覗く。
運転していたのは駅員ではない。
消防士を思わせるガスマスクを付けた禍々しい人ならざる者だった。
化け物は壁を自然発火で、溶かし、再び自然発火で人を次々と燃やして行く。
キシタは思わずデビルフェイスを取り出し、デビルの剣を持つ右手を召喚。
ドアをぶった斬る。
電車から脱出すると、その場から逃げる。
フェンスを乗り越え、スーパーに入る。
スマホの音楽を流すアプリを消し、会社に電話する。
「もしもし、ヒグラシです。実はですね、電車が止まってしまいまして、会社に行けない状況になってしまいました。はい、申し訳ございません。では失礼します」
電話を切り、ポケットにスマホを入れ、デビルフェイスを準備する。
スーパーに入って来たデビルは自然発火でキシタを殺そうとする。
だがそれを防ぐ様にキシタのデビルフェイス〈刃の殺人〉から鎧を着たデビルが召喚され、持っている剣で相手のデビルを斬ろうとするが、バックステップで交わされる。
「貴様、ずいぶん大胆な殺戮をするじゃないか」
「その声、女か」
「それがどうした? デビルに女性も男性も関係ないだろう」
「ふん、それもそうだな。だが俺の自然発火に勝てるかな」
「その前に私の名前を教えよう。名はブレイド、刃を暗示する者だ」
「なら俺も名を。名はファイヤー、炎を暗示する者だ」
自己紹介が終わったところで2人は戦闘体勢に入る。
それを見て客達が一斉に逃げ出す。
とっ、軍隊が到着し、ロボットスーツ達、総勢5人が2人を取り囲む。
「邪魔だ、燃えろ」
ファイヤーは自然発火でロボットスーツ達を内部から焼き尽くす。
悲鳴と共に倒れて行くロボットスーツのアサルトライフルを奪い、ブレイドに向けて連射する。
だがあまりの鎧の強度に、銃弾が弾かれる。
「無駄だ。人間の武器で私達は殺せない。分かりきった事だろう。殺せるのはデビル同士だと」
「さすがはディフェンスA+のデビル、対デビル用の銃弾を弾くとは」
「なに?」
「分からないのか。この戦いが始まって5年程経つ。これ程の時間が経てば俺達を倒す事ができる武器ぐらい完成できているはずだ。それぐらい警戒しとけ」
「助言感謝する、さて邪魔者はまだいるがどうする?」
「マスターには構わないと許可が出ている。お前は?」
「キシタ、指示を」
ブレイドは人間を殺すのに指示が必要。
キシタの指示は絶対なのだ。
「人は殺すな。相手のデビルに集中しろ」
「仰せのままに」
そう言って、次元の裂け目を複数展開し、そこからファイヤーに向けて剣や刀、サーベル、ナイフなど、刃を持つ物が勢いよく飛んで行く。
それをファイヤーはジェット噴射で左に交わし、自然発火を狙う。
しかしブレイドが持っている剣を逆手に持ち、ファイヤーに投げつけ、次元の裂け目から新たな剣を取り出し、加速する。
剣をジェット噴射で右に交わし、火の玉を乱射、スーパー内を火の海する。
するとスプリンクラーが作動、炎が消えていく。
それによって床が水浸しになり、動きが制限される。
こうなると不意に動くと足を滑らせ、その隙を突かれる可能性がある。
ファイヤーの狙いはそれだ。
(こちらにはジェット噴射での移動がある、だが相手にはそれはない、地べたでしか動けない奴に俺は負けない)
そう思った時だった。
次のロボットスーツ達がスーパー内に侵入し、アサルトライフルをファイヤーとブレイドに銃口を向ける。
「撃て!」
隊長のかけ声でロボットスーツ達はトリガーを引き、連射する。
対デビルの銃弾をファイヤーはジェット噴射で上空に飛んで交わし、ブレイドは剣を掲げ、剣の加護で銃弾を弾く。
「この剣、聖剣デュランダルにはその様な物は通じぬ」
「伝説の剣まで生成できるとは、さすがはデビルと言う訳か」
余裕そうにしている2人の化け物にロボットスーツ達は絶望感を覚える。
「戦いの邪魔だ」
ファイヤーの一言でロボットスーツ達が内部から爆発し、悲痛な悲鳴を上げながら死んでいく。
それを見てブレイドとファイヤーはあざ笑う。
デビルにとってマスター以外の死など笑いの種にしかならないのであった。
しおりを挟む

処理中です...