デビルフェイス

ガトリングレックス

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ダークサイド編

第6話ヒーローの友情

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(このままだとまずい。2体も相手にするなんて。だが俺にはこう言う場合のための切り札がある)
その切り札とは。
ソウルは魂を憑依させ、今度は灰色の鎧を着込んだ魔導騎士に変化する。
「見せてやる、これが俺とサモンの力だ!」
叫びを上げると、次元の裂け目からファイヤー、サテライトキャノン、クラッシャーが現れた。
「こいつらは一体なんだ」
突然の事にセイギは動揺する。
「なぁに、特撮でもよくある再生怪人みたいなもんだ。ふん、とりあえずこいつらをなんとかしないとな」
「でもまずいんじゃないか? トランスフォームとお前がアタリとはいえ・・・・・いや、正義の味方がそんな事言っちゃダメだよな」
「そうだ、俺達4人がいれば勝てない相手ではない」
シゲルとジャスティスとセイギ、どちらも正義と言う名の歪んだ感情を持つ者達。
それが合わさった時にどんな化学変化をもたらすのか。
「ジャスティス、〈ブレイドゴールド〉で敵を片付けろ」
「分かった。セイギの助言を信じよう」
〈ブレイドゴールド〉をスクリューから取り出し、サテライトキャノンに攻撃を仕掛ける。
「もう一度チャンスをもらえたんだから、やってやるわよ」
彼女の言葉にサテライトキャノンも賛成し、構える。
しかしファイヤーはブレイドとの戦いを望み、その場を離れた。
「勝手にやればいい、それでデビルが減れば勝てる確率が高くなる」
笑みを浮かべ、ソウルはマッハを憑依させ、逃走した。
「はぁー!」
繰り出されるクラッシャーの巨大なハンマー。
「勝負だ」
シゲルはオーラを放出し、クロスカウンターが如くクラッシャーの腹に蹴りをくらわせ、吹き飛ばす。
それに合わせる様にジャスティスはサテライトキャノンを殴り飛ばし、〈ブレイドゴールド〉をクラッシャーの背中に突き刺した。
「ブレイドクラッシュ!」
これこそ正義の裁き。
クラッシャーの体は光になって消滅する。
「う、ぐ」
「次は貴様だ」
サテライトキャノンに迫るジャスティス。
〈ブレイドゴールド〉から滴り落ちるクラッシャーの血。
動揺しながら、サテライトキャノンは右手を天に掲げる。
すると宇宙からビームの雨が降り注ぐ。
スピードアップをしようとするが、間に合わず、まともにビームを受けてしまう。
「ジャスティス!?」
「大丈夫だセイギ、この程度、ぐっ、大したことはない」
傷口から大量の血が吹き出し、血溜まりができる。
「無理するなよ! お前がいなくなったら俺はどうすれば良い! 悪を蔓延らせたまま死ぬのか! 俺は許さない! 1番の理解者であるジャスティスが死ぬなんて絶対に嫌だ!」
「セイギ」
会話をしている間にサテライトキャノンが攻撃の体勢に入る。
(こいつ、少しは空気を読めよ)
シゲルはサテライトキャノンに向けて走り出す。
「スピード!」
トランスフォームのスキルでスピードタイプになり、サテライトキャノンに襲いかかる。
「読んでいたぞ」
サテライトキャノンの言葉に、シゲルは死を悟り、変身を解除する。
「受け取れー!」
〈変身の殺人〉を投げ渡し、セイギは慌てて受け取る。
放たれたビームはシゲルの心臓部を貫き、アスファルトの上に倒れた。
「シゲルー!」
ジャスティスは口をクラッシャーオープンさせて友の名を叫ぶ。
だが友はなにも言わない、語らない。
「敵の死亡を確認、次のターゲットに攻撃を仕掛ける」
その言葉にジャスティスとセイギの怒りが爆発する。
シゲルに会ったのは初めてのセイギだったが、同じく正義の心を持つ者として共感できた。
だから、だからこそ戦う。
「シゲルさん、あなたの想い、俺が引き継ぐ」
セイギに応え、シゲルの遺体からトランスフォームが腰に装着される。
「シゲルの仇を取るぞ。いいか?」
「あぁ、行くぞ、お前の相棒のために。変身!」
右のサイドスイッチを押し、光に包まれる。
「しまった。そんな手段が」
「よそ見をするな、お前はシゲルの仇であり悪だ、ここで死んでもらう」
「原理的にはそれはできない。ソウルとサモンのスキルコンボによって蘇った存在が私達である、つまりソウルの気分次第で何度でも復活できる」
「だとしてもお前を殺したくて殺したくてうずうずしてるんだよ、正義を語る者として恥ずかしい限りだがなぁ!」
〈ブレイドゴールド〉を持つ手がバキバキと殺意の音色を響かせる。
それと同時にセイギの変身が完了し、サテライトキャノンに襲いかかる。
「3人、いや、4人で決めるぞ、ジャスティス! トランスフォーム!」
「「分かった!」」
ジャスティスは〈ブレイドゴールド〉をスクリューにしまい、拳を握る。
「シゲルー!」
高く飛び上がり、ドロップキックの体勢に入る。
「させない、サテライトキャノン・・・・・・」
その言葉を言わせないと言わんばかりにセイギが背中から口を塞ぎ、さらに拳で左の肺に風穴を開ける。
「これでお前は発射できない」
「今だ、ジャスティス! やってしまえー!」
「ジャスティスキッーーーーークーーーーー!」
ジャスティスのドロップキックがサテライトキャノンの胸に命中する。
あまりの衝撃にサテライトキャノンは消滅した。
ジャスティスはアスファルトの上に着地し、左腕をスナップさせる。
「やったなジャスティス」
「あぁ」
握手を交わし、セイギにシゲルの面影感じつつ、〈正義の殺人〉に戻り、体を癒すのだった。
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