デビルフェイス

ガトリングレックス

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逃亡編

第2話追跡者の末路

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職場で仕事をこなすキシタは新人なせいか仕事を押し付けられる。
それを簡単にこなす姿を見た社員はその優秀さに嫉妬する者、仲良くしてくれる者、人それぞれだ。

お昼。
キシタは会社を出て、近くの公園に到着する。
誰も見ていないのを確認し、バックから〈刃の殺人〉を取り出す。
「出て来ていいぞ」
そう言うとブレイドが飛び出し、待っていたと言わんばかりに笑みを浮かべる。
その服は鎧でもなければスーツでもない。
グレーで骸骨が描かれたファスナーがないパーカー。
ベージュのズボンを皮製のベルトで止め、黒いスニーカーを履いている。
「すごく似合ってるぞ」
「そうか?ヒメに選んでもらって、お母さんからもらっていたお小遣いで買ったんだ」
「ヒメもいいセンスしてるな、よし、今日はなにを食べに行く?色々とあるぞ」
「うーん、そうだ、カレー、カレーが食べたい」
「カレーか、そういえばこの近くに商店街があって、そこの中にチェーン店のカレー屋があるんだ」
「それなら早く行こう、昼休みが終わってしまう」
昼休みは短時間でデートができる、言わばお食事デート。
時間は午後1時まで。
外食はお金がかさむので、デートは一月に3回まで。
後は晩御飯の残りを1人で食べている。
商店街に到着し、カレー屋に入り、席を案内され、そこに座る。
頼んだのはキシタはカツカレー、ブレイドはチーズカレーを注文。
席に置かれたのはおよそ10分程。
舌がヒリヒリするぐらい辛かったが、なんとか完食。
代金の支払い、お店を出て急いでコンビニに向かい、コーヒー牛乳を2パック購入、外でストローを刺して飲む。
「プヘー、さすがにあれは辛すぎだろキシタ」
「あれが良いんだよ。汗をかいて代謝を良くする。秋だからな、これぐらいはしないと」
そう言って、再び公園に戻り、〈刃の殺人〉にブレイドを戻し、会社に戻った。

仕事が終わったのは9時を回った頃だ。
帰宅のため、駅に向かう。
○uicaに2000円をチャージし、改札を通り、地下ホームで電車を待つ。
『キシタ、デビルの気配がする』
「ウソだろ、俺達は戦いをリタイアしたんだ。なんで今さら」
『分からん、一応〈刃の殺人〉を用意しておけ』
「分かった。もしもの時はよろしくな」
そう言っている間に電車がやってきたので、乗り込み、席に座り、バックから〈刃の殺人〉を取り出す。
「出発いたします、ご注意ください」
ドアが閉まり、電車が発車する。
キシタは気づいた。この電車、なにかがおかしい。
まず人がいない。
この時間帯ならまだ会社員が乗っていておかしくないのにもかかわらず誰もいない。
さらにところどころが焼け焦げている。
(確実にデビルはいる、ここでブレイドを出すか?。いや早まるな、もし生き残りがいた場合通報されてジエンドだ)
そんな事を考えていると、いきなり電車が急停止する。
「事故、じゃないみたいだな」
『確実にこれはデビルの仕業だ、現に気配がこちらに向かってくる、しかも運転席から」
だんだんと近づいて来るデビルの恐怖。
生き残りを警戒しつつブレイドを召喚する。
今回は鎧を装着し、戦闘体制だ。
「後ろの車両に逃げていろ、私がすぐに終わらせる」
そう言ってブレイドは次元の裂け目から〈エクスカリバー〉を大剣に改造した〈ジャイアントキラー・エクスカリバー〉を取り出し、構える。
その姿を見届け、キシタは後ろの車両に移動した。
ついに開かれるドア。
入って来たのはかつて倒したはずのファイヤーだった。
「久しぶりだなブレイド」
「なぜお前が生きている?私が葬ってやったはずだが?」
「そんな事はどうでも良いだろ、さあ楽しもうぜ、戦いをなぁ」
両手で火炎弾を作り出し、ブレイドに放つ。
熱によってガラスが割れ、破片が飛び散って行く。
〈ジャイアントキラー・エクスカリバー〉で火炎弾を防ぎ、一気に加速、ファイヤーに襲いかかる。
するとファイヤーは炎の剣を形成し、攻撃を防ぐ。
しかしあまりの力に吹き飛ばされ、床に叩きつけられる。
すぐさまジェット噴射で立ち上がり、自然発火の体制に入る。
だがブレイドは次元の裂け目から鎖鎌を放ち、腕を拘束する。
「お前など私にとってゴミ同然だ、さっさと掃除してやる」
「ふん、今の俺がこんなもんで拘束できるとでも思っているのか?」
余裕の言葉を言い放つと、炎を使って鎖を溶かし、矢を思わせる火炎弾を連射する。
火炎弾を座席を利用しながら躱し、近づいて行く。
「終わりだー!」
ブレイドの一撃がファイヤーを殺す。
と思われた瞬間、ファイヤーの体が爆発する。
あまりの爆発に、通路が切り離され、さらに煙が充満し、火炎が窓を突き破り、放出される。
電車から投げ出され、壁に叩きつけられ、ズルズルと鎧が擦れながら地面に落ちる。
ブレイドはすぐさま立ち上がり、キシタの事が心配になりながら、〈ジャイアントキラー・エクスカリバー〉を構える。
電車から降りて来るファイヤーを見て、いや、あれをファイヤーと言っていいものか。
その姿にファイヤーの面影はなく、消防士の様な服は爆発で無くなり、醜い姿が露出する。
ガスマスクはあまりの熱に耐えきれず縦にヒビが入り、そのまま真っ二つになり顔があらわになる。
その顔はまさにドクロ、炎が体を包み込み、まさしく炎の暗示にふさわしい姿だ。
「これが俺の本来の姿だ、さあ始めようか、本気の戦いって奴を」
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